会津天王寺通信

ジャンルにこだわらず、僧侶として日々感じたことを綴ってみます。

「きらめき」の令和2年秋号が届きました  柴田聖寛

2020-08-29 17:08:21 | 天台宗

 

 一隅を照らす運動の機関紙「きらめき」の令和2年秋号がこのほど届きました。今回の特集は「医療と宗教の協同を目指して」というテーマで、一隅を照らす運動の理事に就任された医療法人社団仁生会の古倉みのり理事長を紹介しています。 
 みのり理事長は、父親の後を継いで滋賀県甲賀市の地域医療を担う若きリーダーですが、人間関係の難しさや医療現場の深刻な状況に直面し、それまでの医学中心ではなく、最近は宗教、哲学、自己啓発の本を読み漁るようになったといいます。
 みのり理事長が「患者には不安、職員には不満を解消できる術はないか」ということから、当時の小堀光實延暦寺執行に手紙を書いたことがきっかけで、平成26年11月6日に小堀執行自らが講話したのを皮切りに、翌年から年3、4回院内で法話会が開かれています。「一隅を照らす、忘己利他」と諭された伝教大師様の教えに触れることができ、職員や患者の変化が生じ、笑顔がこぼれるようになったのでした。
 そうしたみのり理事長の活動が話題となり、去る7月8日の「一隅を照らす運動」理事会で、杜多道雄理事長の推薦もあって、外部から初の女性理事誕生となりました。私はこの記事を読んで、地域に根差す「一隅を照らす運動」を実践されている方がおられるのに感動しました。
「きらめき法話」のコラムでは、阿純孝千妙寺御住職が「伝教大師のおことばと『泣いた赤おに』」という文章を書いておられます。伝教大師様の「悪事を己に向かえ好事を他に与え、己を忘れて他を利するは慈悲の極みなり」(『山家学生式』)との言葉を、浜田廣介の童話『泣いた赤おに』に出てくる青おにが実践したというのです。
 いくらお誘いの立札を立てても友だちになってもらえない。それで腹を立てた赤おには、暴れて立札を壊しました。それを見た青おには、自分が悪役になって、赤おにを正義の味方にしようとしました。すると、赤おには人間たちと仲良くなることができたのです。赤おには、姿を見せなくなった青おにが心配になりました。青おにの家に行ってみると、張り紙がしてあり、二人が仲良くしているのをみたら、赤おにのやさしさが疑われるというので、旅に出てしまったのです。自分がどうなっても、他の人のために尽くす。なかなかできることではありませんが、人間として目標とすべきことではないかと思います。
 残念な話題としては、新型コロナの感染拡大の影響もあって、伝教大師1200年大御遠忌の記念事業である「不滅の法灯全国行脚」や、兵庫県丹波篠山市にある和田寺の地蔵盆が中止になったというニュースも取り上げられています。
 このほか、落語家露の団姫(まるこ)の川柳小話や群馬教区西前橋部の長靖順善性寺御住職の「お不動様とお護摩?」のイラストも好評連載中です。「きらめき」を読みになりたい方がおられたら、会津天王寺まで、連絡をお待ちしています。

       合掌

 


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