会津天王寺通信

ジャンルにこだわらず、僧侶として日々感じたことを綴ってみます。

東日本大震災から3年目を迎えて 会津天王寺住職 柴田聖寛(会津人)

2014-03-10 09:01:09 | 信仰

 東日本大震災からまる3年目を迎えましたが、福島第一原発事故もあって、今もなお人びとは不安な生活を強いられています。死者行方不明者は約2万人にものぼります。さらに、復興庁が今年2月26日に発表した避難者の数は約26万7千人で、このほか、原発事故の影響を恐れて、自主的に福島県から離れた人が約2万人とも見られています。

 津波の被災地については、徐々に復興が進んできていますが、問題なのは放射性物質によって汚染された地域です。福島県の中通りや浜通りに住む人たちは、除染などで線量は低くなったとしても、それこそ年間の被曝線量は1ミリシーベルトを超えることころが大半であり、とくに心配されているのが子供への影響です。

 福島県の36万人の子供たちに対する子児甲状腺超音波検査は、平成25年12月31日の時点で、一次検査の受診者は約27万人。そのうちの94・4%に検査結果が通知され、1786人が二次検査対象者とされました。細胞診検査で75人が悪性の疑いが持たれ、小児甲状腺癌と確定したのは33人でした。その数が多いか少ないかは議論の余地がありますが、福島県民は現在も被曝の現実と向き合って生きているのです。

 また、福島第一原発をめぐっては、メルトダウンどころか、メルトアウトして、原子炉中の燃料集合体が建屋を抜けて外部に漏れ出し、それが地下水に触れれば再臨界になる可能性も取りざたされています。今後どのような経過を辿るかについては、まったく予測がつかないのです。

 人々が不安におののいているのであれば、なおさら日々の祈りが大事になってきます。それはまさしく、今から1100年前に、慈覚大師円仁様が東北で行われた祈りの心を受け継ぐことです。

 とくに、今年の天台宗の言葉は「挑心燈(ちょうしんとう)」であり、「心に燈(ともしび)を挑(かか)げよう」の意味があります。武覚超執行様が昨年12月、縦140センチ、横240センチの和紙に大書したその文字には、燈にこめられたたくましい躍動感に満ちています。天台宗の一僧侶として、今後も東北の暗闇を照らす燈を挑(かかげ)ていきたい、と願っております。

 

「忘己利他の精神」を忘れず頑張りたい。 合掌


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