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会津天王寺通信

ジャンルにこだわらず、僧侶として日々感じたことを綴ってみます。

王道の精神で日中は仲良くすべきだ 柴田聖寛

2022-06-03 08:24:44 | オピニオン

 

―写真は孫文—

 中国どう付き合うべきかについては、私も頭を抱えてしまいます。地理的にも近い国であり、まったく無視できないからです。私の親の世代の多くは中国大陸に兵士として出かけています。アメリカとの戦争に付いては、日本人の一部に肯定的な見方がありますが、中国への侵攻となると、日本の暴走以外の何物でもありません。
 私は二本松市出身ですが、右翼の巨頭といわれ、ロッキード事件で有名になった児玉誉士夫氏とは同郷です。その児玉氏が作詞し古賀政男が作曲したのが「民族の歌」です。藤山一郎が歌いましたが、その九番に「攻防千里大陸に 砲火にまみえしその敵は 同じ亜細亜の朋にして 永久にぞ悔いを残したり」というのがあります。アジア人同士が戦ったことを後悔しているのです。
 私の知り合いは中国人も多く、体制の違いを超えて仕事もさせてもらっています。わたしどもの天台宗も、もとをただせば中国浙江省東部に位置する天台山と深い関係があり、そこで天台宗の開祖である智顗が天台教学を確立したのです。
 中国がロシアのようなことにならないように、私たちは警戒をしなくてはなりませんが、それと同時に、民間の交流は積極的に行うべきだと思います。その積み重ねが日中関係の改善に結び付くからです。
 岡倉天心以来、日本ではアジアは一つというスローガンがありました。そこに向かって行くには、日本も中国も変わらなくてはなりません。中国は王道を目指すべきであり、日本もアジア全体の視点を持たなくてはなりません。魯迅の研究家であった竹内好氏のように、私たちは、アジア人であることを再確認しなくてはならないのです。欧米一辺倒であってはならないのです。 
 新型コロナが沈静化すれば、早い機会に私も中国を訪れたいと思っています。南京などでは、私は現地の人と一緒に風呂に入り、裸の付き合いをしました。同じ人間同士ですから、争うことよりも、協力し合うことが大切なのです。

               合掌

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今の戦争は人間の心をAIが読み解く 柴田聖寛

2022-04-22 20:52:48 | オピニオン

 今回のロシアのウクライナ侵攻は世界に衝撃を与えましたが、これまでとは違ってAIによる戦争だということです。ウクライナが未だに持ちこたえているのは、欧米からの武器の供給もありますが、それと同時に、AIシステムによるロシア軍への監視が行われているからなのです。それによって、攻撃目標を特定し、ドロンなどを使っての攻撃がより有効になっています。
 そのAIシステムというのは、スパイなどを使わなくても、一般に公開された情報を分析する能力によってウクライナ軍が優っているのです。最終的にはあらゆるデータを分析するのは人間がやる仕事だとしても、それによって相手が何を意図して行動しているのかが、手に取るように分かるのです。
 サイバー攻撃によって相手国のインフラを破壊するとは違って、致命傷にはならないと思いがちですが、実際にはかなりの効果があるのです。私のパソコンにも色々な広告が表示されますが、あれなども、私が何を考えているかを、これまでのSNSなどの記事から判断し、必要な情報を提供してくれているわけです。
 しかし、敵国が何を考えているかが分かり、一人ひとりの私たちの心まで見通せるというのは、ある意味では薄気味悪い深刻な事態です。そのうちにAIのテクノロジーによって、人間が操られる時代が来ないとも限りません。   平和を希う仏教徒にとっては、戦争は断じて許されるものではありません。科学の進歩によって、人間が滅亡に至ることを危惧してなりません。それを阻止するために、私たちに何ができるかというと、悉有仏性の信仰を世界中の人に知ってもらうしかないと思っています。どんな人も殺めてはならないのです。

写真は破壊されたマリウポリの市街地

       合掌

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謹賀新年   柴田聖寛

2022-01-01 07:04:47 | オピニオン

 

 新年おめでとうございます。世界も日本もこれまでに経験したことのない危機に直面しています。その一つが新型コロナによるパンデミックであり、もう一つが戦争の危機です。
 そんなときだからこそ、私は「忘己利他」「山川草木悉皆成仏」の伝教大師様の教えが重要になってくると思います。人類は協力し助合うことが求められており、そんなときに争うのは愚の骨頂です。これまでも天台宗は世界平和実現の先頭に立ってきましたし、新型コロナの感染拡大を阻止すべく、祈りの心の大切さを説いてきました。
「忘己利他(もうこりた)」とは「自分のことを忘れ、他の人々のために尽くせ」ということであり、「山川草木悉皆成仏(さんせんそうもくこくどしゅかいじょうぶつ」とは「山川草木や国土のように心をもたないものでさえも、ことごとく仏性があり成仏する」という意味です。
 利他の精神を持って、あらゆるものに仏性があるとの観点に立てば、人間のエゴイズムは克服することができると思います。今年も天台宗の一僧侶として、全力で布教に努めたいと思っていますので、これまで以上のご支援ご指導のほどよろしくお願いいたします。

         合掌

 

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令和三年を振り返って   柴田聖寛

2021-12-30 18:24:01 | オピニオン

 今年も色々なことが公私ともにありました。残念でならないのは、平和を待望する世界の人々の思いとは違って、刻一刻と戦争に向かっているような気がしてならないことです。未だに新型コロナウイルスが収束していないのも深刻な問題です。
 それだけに私は、天台宗の一僧侶として、何が大事か身をもって痛感するに至りました。安岡正篤先生の『東洋倫理概論 いかに生くべきか』に収録された「真の脱落」の章で、「法華経如来神力品」を紹介されています。「若しは經卷処住の處、若しは園中(修行する精舎)に於て、若しは林中に於て、若しは樹下に於て、若しは僧房に於て、若しは白衣の舎(俗人の家)、若しは殿堂に在って、若しは山谷曠野、是の中皆應に塔を起して供養すべし。所以は何(いかん)。當に知るべし。是の處即是道場にして、書佛此に於て阿耨多羅三藐三菩提(あのくたらさんみゃくさんぼたい・正しい悟り)を得、諸佛比に於て法輪を轉(てん)じ、諸佛に於て般涅槃(はんねはん・悟りの境地に入る)す」
 安岡先生は「生を明らむるは佛家一大事の因縁なり。生死(しょうじ)の中に佛あれば生死なし」とも書いておられます。老いた今なってはなおさら、私は生死の覚悟によって誠の信仰者に一歩でも近づきたいと思っています。
 また、今年は牛の年でありましたが、牛は寒気に強く農耕の準備に用いられましたが、あくまでも準備の期間でありました。来年は寅年ですから騎虎之勢で、さらなる飛躍を目指したいと思いますので、何卒今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします。

       合掌

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ブログの話題の中心は新型コロナだったこの一年 柴田聖寛

2020-12-30 21:23:49 | オピニオン

 今年も残りわずかになりました。皆さんにはいかがお過ごしでしょうか。この一年を振り返ってみますと、私のブログでも一番取り上げたのはやはり新型コロナについてでした。
 1月31日には「コロナウイルスと闘う中国の友人に支援の手を」ということで、中国の感染拡大について触れています。2月18日には、その段階で世界全体の感染者数が71324人に達し、死者が1775人に達したということを取り上げています。私は「国の壁がなくなったことで、世界中にあっという間に広がってしまうのではないか」とも書きましたが、実際に今その通りになってしまいました。
 信仰者として看過することはできませんから、村上圓竜御住職様(愛知県・常覺院)が発願人代表となった「世界疫病終息・大祈祷会―妙法蓮華経観世音普門本(観音経)壱百万巻読誦大祈願会―」が5月7日から8月15日までの100日間行われましたが、福島県からは会津天王寺が参加し、そのPRのために「世界疫病終息・大祈祷会」の看板を設置した。それがマスコミでも取り上げられ、私の「百日読経」の模様がTBSの系列局のテレビューで紹介されました。
 また、東日本大震災から9年目ということで、そのことも話題にはしましたが、次々と襲ってくる禍を一掃するためにも、祈りの心が大切になっているように思えてなりません。皆様にはこの一年お世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。

         合掌

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