医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

美心倒悪 19

2008年12月10日 08時12分42秒 | Weblog
 サラディン“Saladin”と聞くと、僕はなんとなく、Dボウイの狂曲、「アラディンセイン」“Aladdin Sane”を思い出します。

 それにしても、サラディンのことは世界の歴史的人物としては聞いたことがないし、サラディン物語ってのも目にしたことないなあ・・。

 アメリカ化された日本でのイスラムの情報は本当に枯渇しておりますが、ハールーン=アッラシードという8世紀におけるイスラム帝国アッバース朝第5代カリフがおります。

 日本で言えば平安時代でしょうか?

 在位中はアッバース朝の最盛期で、「アラビアン・ナイト(千夜一夜物語)」の「シンドバッドの冒険」や、「アラジンと魔法のランプ」など様々な物語が生まれました。

 何度も繰り返しますが、イスラムの文化はすばらしく、石原都知事もよく「千夜一夜物語」と「ハリウッド映画」の差だと、アメリカ文化を批判しますが、うなずけます。

 今の世界のパワーバランスは、たまたま産業革命がイギリスに、そしてキリスト教文化圏に起こったにすぎませんが、まあ起こす土壌は当時のヨーロッパにはあったわけでしょう。

 しかし、むしろ文化・学問的に先に花開いたイスラムから見れば十字軍など、野蛮な西欧人ども、自分たちの世界に侵入するおろか者め、くらいに映っていたのでしょう。

 言語、数学、哲学、天文学、政治学、医学、法学、建築学・・・ありとあらゆる学問は、本当はアラブや中国から生まれております。

 西洋の情報ばかりをうのみにする僕たち日本人は、ややもするとアラブやイスラムの世界や文化や知性を不当に低く評価しがちですが、それは無知なだけでとんでもないことです

 イスラムの文化はたとえば匂いひとつをとっても格調が高く、ジャコウ(ムスク)麝香はジャコウジカ(雄)の肛門腺から出る分泌物を乾燥させたものです。

 ジャコウ以外にも、竜涎香、白檀、伽羅、樟脳(しょうのう)、乳香(にゅうこう)、バラの香水、オレンジの花の香水、ヒラーフ水・・・

 このヒラーフ水というのは、しだれ柳の花や実からつくった香油で、他にもバラの原産地とされるイランのバラを使ったバラ水などなど・・・。





 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は同じ神を崇拝し、世界の歴史を壊しては築いてきました。

 さまざまな思いが錯綜し、奪い合い、殺し合い・・・その上に結果として今の世界があります。

 であるなら、仏教徒の日本人がまあまあと仲を取り持つ、というのも実は短絡的で、絶対神を崇めない異教徒の言い分に貸す耳など到底ないでしょう。

 世界から紛争が消えない理由、つまり世界の貧困は世界の富裕が招いているのは、どう考えたって火を見るより明らかです。

 途上国に援助をしても、その国の既得権益層や援助をした国の巨大企業がすべて吸い上げてしまい、貧困はまったく解消されないばかりか、今や深刻度を増しております。

 食料が人口増加に追いつかない、あるいは自然災害で食料の供給不足のため、貧困層に回らない、というのは本当は正しくないらしいです。

 アサシンもイルミナティもなんだか、実在するとするならば、実はちょっとした違いのようにも思えてしまいます。