中学生のころに読んだきりなので、今ならばなにか分かるのかと思って読んでみました。
「なぜ被害者の帽子が犯行現場の劇場から消えたのか」
この謎一発で最後まで引っ張る力業は見事。
以下ネタバレ
犯人が帽子を持ち出さないといけなくなったのは犯行直前のアクシデントのせいで、
犯行前にあらかじめ折り畳める帽子を用意することができなかった、という前提をあげてありました。
なるほどね。それと物語とをうまく繋げられるところが才人たる所以です。
でも「被害者の帽子が無い」という状況が伝わりづらいのは、
風俗がずいぶん変わってきたからでしょう。
いまは帽子なんてただのアクセサリーですが、
当時それなりの格好をしていたら帽子は必須だったみたいで
「帽子が無い!」と騒ぐのが今の人間にはちょっと理解しづらいところです。
そして、なぜかエラリー・クイーンはあまり登場せず、
父親のクイーン警視が主人公と言ってもいいくらいに最後まで活躍します。
なぜクイーン警視が主人公扱いなのか。不思議です。
「ローマ帽子の謎」はコンテストで受賞するはずでしたが、
片方の主催者である雑誌社が倒産してしまったので、
女性が書いた別の作品が受賞となってしまいました。
それが、この「殺人者はまだ来ない」(イザベル・B・マイヤーズ 山村美紗訳!)です。
倒産した雑誌社のあとを継いだ会社が、女性向けの雑誌を発行していたので、
女性作家の書いたゴシックロマン調の作品に変更されたそうです。(角川版「ローマ帽子の謎」解説より)。
なるほどね。
すると最初の雑誌社はもしかしたら、「文藝春秋」みたいな年配男性向けの雑誌を出していたのかも、
というのが「クイーン警視が主人公」という理由かと勘ぐっています。
クイーン(著者のほう)は、そのあたりを考えて
(二人とも広告代理店勤務なのでマーケティング思考は当然でしょう)、
息子を思う父親を主役に仕立てたのではないでしょうか。
にしても、創元版「ローマ帽子の謎」(中村有希訳)でのクイーン父子の会話がちょっと気持ち悪い。
いい歳をした息子にたいして、こんな子どもをあやすような口調で会話をするのだろうか?
角川版(越前敏弥・青木創訳)はもうちょっとドライな会話で安心できます。
※角川版表紙のエラリー。まるでラノベですね。さすが角川。
表紙は創元版のほうがいいなあ。
■角川版の飯城勇三(いいき・ゆうさん)による解説は
さすが「エラリー・クイーン論」を書いた人だけあって、
「クイーンによって謎解きミステリのパラダイムチェンジがおきた」という指摘は示唆的です。
■舞台となった「ローマ劇場」はブロードウェイにあるという設定のようですが、
事件がおきたときにかかっていた「ピストル騒動」はミュージカルだったのでしょうか。
歌を歌っていた、とは書いてないので普通の芝居だったと思われます。
「なぜ被害者の帽子が犯行現場の劇場から消えたのか」
この謎一発で最後まで引っ張る力業は見事。
以下ネタバレ
犯人が帽子を持ち出さないといけなくなったのは犯行直前のアクシデントのせいで、
犯行前にあらかじめ折り畳める帽子を用意することができなかった、という前提をあげてありました。
なるほどね。それと物語とをうまく繋げられるところが才人たる所以です。
でも「被害者の帽子が無い」という状況が伝わりづらいのは、
風俗がずいぶん変わってきたからでしょう。
いまは帽子なんてただのアクセサリーですが、
当時それなりの格好をしていたら帽子は必須だったみたいで
「帽子が無い!」と騒ぐのが今の人間にはちょっと理解しづらいところです。
そして、なぜかエラリー・クイーンはあまり登場せず、
父親のクイーン警視が主人公と言ってもいいくらいに最後まで活躍します。
なぜクイーン警視が主人公扱いなのか。不思議です。
「ローマ帽子の謎」はコンテストで受賞するはずでしたが、
片方の主催者である雑誌社が倒産してしまったので、
女性が書いた別の作品が受賞となってしまいました。
それが、この「殺人者はまだ来ない」(イザベル・B・マイヤーズ 山村美紗訳!)です。
倒産した雑誌社のあとを継いだ会社が、女性向けの雑誌を発行していたので、
女性作家の書いたゴシックロマン調の作品に変更されたそうです。(角川版「ローマ帽子の謎」解説より)。
なるほどね。
すると最初の雑誌社はもしかしたら、「文藝春秋」みたいな年配男性向けの雑誌を出していたのかも、
というのが「クイーン警視が主人公」という理由かと勘ぐっています。
クイーン(著者のほう)は、そのあたりを考えて
(二人とも広告代理店勤務なのでマーケティング思考は当然でしょう)、
息子を思う父親を主役に仕立てたのではないでしょうか。
にしても、創元版「ローマ帽子の謎」(中村有希訳)でのクイーン父子の会話がちょっと気持ち悪い。
いい歳をした息子にたいして、こんな子どもをあやすような口調で会話をするのだろうか?
角川版(越前敏弥・青木創訳)はもうちょっとドライな会話で安心できます。
※角川版表紙のエラリー。まるでラノベですね。さすが角川。
表紙は創元版のほうがいいなあ。
■角川版の飯城勇三(いいき・ゆうさん)による解説は
さすが「エラリー・クイーン論」を書いた人だけあって、
「クイーンによって謎解きミステリのパラダイムチェンジがおきた」という指摘は示唆的です。
■舞台となった「ローマ劇場」はブロードウェイにあるという設定のようですが、
事件がおきたときにかかっていた「ピストル騒動」はミュージカルだったのでしょうか。
歌を歌っていた、とは書いてないので普通の芝居だったと思われます。
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