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●日隈一雄さん、「小沢さん無罪が明確であり、そもそも起訴する必要がない事案」

2012年05月03日 00時00分32秒 | Weblog


情報流通促進計画by日隅一雄(ヤメ蚊)』より『【回答編】小沢さん無罪報道によって分かるあなたのメディアリテラシー度~NHKニュースを題材に

 闘病しつつ、FUKUSIMA原発人災を引き起こした東京電力の記者会見に通い続けている日隈一雄さん。弁護士としての確かな目を感じます。本件について、日隈さんの結論も「小沢氏は無罪」。

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http://yamebun.weblogs.jp/my-blog/2012/04/%E5%9B%9E%E7%AD%94%E7%B7%A8%E5%B0%8F%E6%B2%A2%E3%81%95%E3%82%93%E7%84%A1%E7%BD%AA%E5%A0%B1%E9%81%93%E3%81%AB%E3%82%88%E3%81%A3%E3%81%A6%E5%88%86%E3%81%8B%E3%82%8B%E3%81%82%E3%81%AA%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%86%E3%83%A9%E3%82%B7%E3%83%BC%E5%BA%A6nhk%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%92%E9%A1%8C%E6%9D%90%E3%81%AB.html

2012/04/27
【回答編】小沢さん無罪報道によって分かるあなたのメディアリテラシー度~NHKニュースを題材に

《判決要旨全文のありかを教えてもらいました。補足その3をご覧ください》

すみません、本日は、理学療法士さんによるチェックがある日でした。回答編を作成し始めるのが遅れ、午後10時としていたアップ時期が遅れました。予習の具合はばっちりでしょうか?

予習の課題は、「無罪判決 小沢氏違法認識と言えず」というタイトルのNHKニュース(※1)を読む際、どこに注意をする必要があるか?ということでした。私なら、このニュース原稿は突き返すとまでかかせていただきました。

※1 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120426/k10014745551000.html

まず、このタイトルのもとでのニュースの内容は、「なぜ、小沢さんが必ずしも違法性を認識しているとはいえないという判断をしたか」ということになります。つまり、NHKのニュース自体にあるように、小沢さんが、「4億円を記載しないことなどについて、報告を受けて了承していた」ことまでは判決は認定しています。それにもかかわらず、なぜ、違法性の認識がない可能性があると判断したのかを視聴者に分かるように説明をしなければなりません。

ところが、このNHKのニュースは、この点、【一方で、小沢元代表が元秘書らと共謀したかどうかについては、「共謀があったことを疑う、それなりの根拠はあるが、元代表が具体的な事情を知らなかった可能性があり、違法だと認識していたとは言えない」と指摘し】、無罪としたというだけで、なぜ、【元代表が具体的な事情を知らなかった可能性があり、違法だと認識していたとは言えない】のかの理由について説明をしていないのです。私が原稿を突っ返すといった一番の理由はこの点です。

ところが、実は、判決はこの点を説明をしています。

その説明をする前に、なんと驚くべきことに、このNHKのニュースでは、収支報告書へ記載された「うそ」の内容そのものが説明されていないことを指摘しないわけにはいきません。「うそ」を書いた、「うそ」を書いたといってはいるが、いったい、何が嘘なのだろうか?その説明をしなければ事実が分からないにも関わらず、このニュースではそこに触れられていません。私が突っ返すといった理由の二番目がこれです。

まず、判決が認めた「うそ」の内容とは、小沢さんの資金管理団体「陸山会」の政治資金収支報告書について、【(1)元代表が04年10月に石川議員に手渡した4億円を記載せず(2)同月に土地を購入し代金を決済しながら05年分報告書に記載をずらしたこと】(毎日新聞クローズアップ2012 ※2)の2点だ。つまり、小沢さんが土地購入のために2004年10月に秘書に渡した4億円が陵山会の収入として記載されていないこと、(2)土地購入が実際には、2004年中になされていたのにもかかわらず、2004年度の報告書には記載せず、2005年度の報告書に記載した、ということだ。

※2 http://www07.mai.vip.ogk.yahoo.co.jp/select/opinion/closeup/index.html

(1)については、重要なポイントは、①実際に、土地購入のために使われた4億円はりそな銀行からの融資であったこと、つまり、小沢さん個人が出した4億円は支払いには使われなかったこと、②小沢さん個人が出した現金は、りそな銀行から融資を受けるための担保としてりそな銀行に定期預金とされたこと、③判決要旨(毎日新聞4月27日9面掲載)によると、「元代表は、04年分の収支報告書において、借入金収入として、りそな銀行からの4億円が計上される代わりに、自身の4億円は計上される必要がないと認識していた可能性がある」ということだ。

ちょっと、わかりにくいが、判決が指摘しているのは、【小沢さんは、自分が秘書に渡した4億円は自分名義でりそな銀行に預金され、それを担保としてりそな銀行から陵山会が、4億円を借り入れたと考えていた可能性がある】ということだ。

この点、上記毎日新聞は、より明確に判決を引用している(判決はまだ紙にはなっていないので、法廷でのメモによる)。【4億円についても「元代表が土地購入原資とならず、同額の銀行融資における担保(定期預金)となったと認識し、報告書への計上の必要性を認識していなかった可能性がある」と判断。「元代表が違法性を認識していたと断定できない」として、刑事責任を否定した。】

そうであれば、4億円は、陵山会の収入として記載する必要はまったくないことになる。あくまでも、借り入れを行うための担保として小沢さんが銀行に提供しただけということになるからだ。

ここで、預金を担保として借り入れをすることについて、不思議に思う人もいると思うので説明しておきます。つまり、「預金を担保に金を借りて土地を買うくらいなら、預金にする金で支払ってしまえばいいのではないか」という疑問に対する答えです。

手元の現金を支払ってしまうと、もう、その現金は、手元からなくなります。でも、担保として提供しておくだけなら、担保からはずせば、いつでも自由になるお金になります。今回のような不動産売買が典型です。良い不動産があるが、購入する不動産を担保として借り入れして購入するためには、銀行の決済で時間がかかるため、ほかの人に売られてしまう可能性がある。そこで、とりあえず、手持ちの現金(たとえば4億円)を定期預金にして、それを担保として現金(たとえば4億円)を借り入れして不動産の代金とし、後ほど、購入した不動産を担保とすれば、預金は担保からはずれるため、自由に使うことができるわけです。預金担保はすごく使い勝手がいいわけです。

というわけで、うその(1)については、預金担保の名義が「陵山会」ではなく、自分であると勘違いしていた可能性「など」(=ほかの説明もあり得ると思う)があるということです。というか、本来、小沢さん個人が担保提供するのであれば、小沢さん個人の名義で行うのが普通です。ですから、小沢さんがそのような誤解をしていた可能性はかなり大きいと思われます。

次に、うその(2)ですが、この点は、判決要旨(上記毎日掲載)に、「元代表は土地の所有権取得時期や残代金の支払い等の決済時期を含めた決済全体を遅らせるものとして報告を受け、認識していた可能性がある」としている。つまり、秘書らの報告自体が間違っていた可能性(あるいは誤解させるような説明ということだろう)があるということだ。これはそのとおりだろう。

この点も毎日はより明確な引用をしている。【石川議員は土地購入を05年分収支報告書に記載するため、実際の登記や代金決済日を05年に遅らせようと、元代表に説明した上で不動産業者と交渉。結果的に決済繰り延べに失敗し虚偽記載に至ったが、判決は「元代表がこうした経緯を正確に認識しておらず、支払いを(石川議員の説明通り)05年だったと思った可能性がある」と推認した。】

ここまで説明してようやく、なぜ、判決が、取引について報告・了承までは認めながら、違法性の認識がない可能性があるという判断をしたのか、ということの説明になるわけです。

ここで、小沢さん個人の預金担保ということが分かるとまずいので、小沢さん自身、陵山会名義の預金にするということを明確に認識していたのではないか、という疑問もあるだろう。しかし、陵山会名義で4億円の預金があるということが発覚した場合、結局、その預金の出所はどこだ、ということになるため、陵山会名義で預金担保する必要はない。よって、あくまでも小沢さんが4億円の現金を持っていることを収支報告書に記載しないというだけの話になり、それならば、小沢さん名義での預金であっても、陵山会名義の預金であってもいいわけだ。そして、政治家の資産公開には現金は含まれておらず、小沢さんが4億円を現金でもっていたこと自体は政治倫理上も何ら問題にならない。

というわけです。これらのことは、私が言い出したことではなく、小沢さんの起訴自体、不当だという議論の中でも触れられています。判決でそのことがより明確になったにもかかわらず、マスメディア(特にテレビ)は、この合理的な判決の判断を説明せず、一方的に「小沢ほとんど黒」などというコメントをさせているのです…

小沢さんに対する起訴の内容はまったく立証されていないわけですから、これは立派な白だということになります。

黒に限りなく近い、判決はおかしい、などというテレビコメンテーターがいたら、すぐに電話をかけて、預金担保のイロハから教えてやってください(笑)。

あなたのリテラシー度はどうだったでしょうか?質問などは、コメント欄に残してください。

【補足】
メディアをチェックするための3原則(①誰が得をするか、②不合理な内容があるか、③金の流れに着目)という点からは、①は検察ですね。普通の国なら、検察が虚偽レポートを作成したことを激しく糾弾するでしょうね。これって、普通の国にはあってはならないこと。②は、検察に対する批判が異常といえるほど弱い。もし、これが中国で起きていたら、つまり、政治家が検察の暴走によって陥れられたら、いかにひどいことかを詳しく書くはずです。③今回は金の流れはあまり関係ないけれども、預金担保などの点で正確な流れを把握する必要がありましたね。

【補足その2】
テレビについては、チェックしていただければ分かるが、ほとんどNHKと同じ内容の報道にとどまっており、それを前提としてコメンテーターが判決を批評するので、完全なミスリードとなっている。マッチポンプというわけだ。

では、新聞はどうか?

各紙が「判決要旨」において、「なぜ報告・了承はあったと認定したのに、違法性の認識についてはない可能性があると認定したのか」という点について、どのように正確にまとめているか、ランキングしてみよう。いずれも4月27日東京最終版に基づく。


第1位:東京新聞(13面)

「元代表は、本件4億円(小沢さんの現金4億円)の代わりに、りそな銀行からの融資4億円が土地購入資金に充てられ借入金となり本件4億円を原資として設定される定期預金は、元代表のために費やされず確保されると認識した可能性がある。

かえって、本件4億円が、陵山会の一般財産に混入し、売買の決済などで費やされたことや、定期預金が実際は陵山会に帰属する資産で、元代表のために確保されるとは限らず、いずれ解約されて陵山会の資金繰りに費やされる可能性があることなどの事情は認識していない。本件4億円を借入金として収支報告書に収入計上する必要性を認識しなかった可能性がある。

これらの認識は、(元代表の共謀共同正犯としての=日隅まとめ=)故意責任を問うために必要な要件であり、その認識が不十分な場合は故意を欠いたといえる」

以上、東京新聞は、「うそ」のうち(1)に関して適切な引用がされている。つまり、小沢さんが4億円について、自らの財産として確保されているという認識があったこと、つまり、小沢さんの名義で預金されているという認識があった可能性があることを判決が指摘していることを明確に書いている。


第2位:朝日新聞(36面)

「(不動産取引を2005年に遅らせるための)交渉が不十分な結果に終わったことで、2004年分の収支報告書に計上しないことが違法と評価され、捜査機関の摘発を受ける危険につながる可能性があった。石川氏にとっては失態で、小沢氏の不興を恐れて報告しなかったと考える余地がある。この程度で摘発されることはないだろうと甘く考えて、深刻に受け止めなかった可能性もある」

「うそ」のうち(2)について、判決が、なぜ、小沢さんが決済の遅れを知らなかった可能性があると認定したかを説明する部分を引用している。


第3位 読売新聞(10面)

「小沢元代表は、石川被告からの説明により、自らの個人資産から出した4億円の代わりに、銀行から融資を受けた4億円が土地の購入資金として借入金になり、自身の4億円を原資として設定された定期預金は、自身への返済原資として確保されていると認識した可能性がある。

小沢元代表は、04年分の収支報告書で借入金収入として、銀行からの4億円が計上される代わりに、自身の4億円は計上される必要性がないと認識した可能性がある。」

東京新聞と同じ内容。ただし、少しわかりにくいので、3位とした。


4位 毎日新聞(9面)

本文中に記載したとおり。判決要旨だけだと、1位~3位にあるような点を触れていないので、4位。クローズアップ2012年の解説と併せて読むとランキングはアップする。


同順5位 産経新聞(5面)、日経新聞(46面)

いずれも、なぜ、判決が報告・了承の存在を認定したのに、違法性の認識についてはない可能性があると認定したのかについて、説明してある部分を省略してあり、今回の判決の要旨としては、零点だ。


【補足その3】
判決要旨の全文が階猛(しなたけし)議員のウェブサイトに掲載されていましたので、ご覧ください。

http://shina.jp/a/wp-content/uploads/2012/04/ozawa.pdf

87~91ページに私の説明したことが書いてあります。コメンテーターの中には、この全文を読んだといった上で、それでも判決はおかしいなどと批判している人がいるようですが、おそらくこの部分が理解できていないのでしょう。判決批判をする人には、この87~91ページを理解できているのか、という抗議をしてください!

なお、今回の判決全文を読んで、私も一部誤解をしていたことが分かりました。不動産購入の決済に使ったのは、実際には小沢さんから借りた4億円で(決済は10月29日午前10時頃)、4億円を担保にした借り入れが終了したのはその直後(同日午後1時頃。借り入れ手続き開始は午前9時21分で、不動産の決済よりも早い!)ということでした。石川秘書は、本来、借入金による決済を行う旨小沢さんに説明したため、自分の不手際が発覚することをおそれ、報告をしなかった可能性があると、裁判官は認定しています。したがって、おおよその流れは違いません。ただし、ちょっとわかりにくいので、今晩調子が良ければ、整理して明日(4月30日)、図付きで説明したいと思います。

いずれにせよ、この判決要旨全文を読めば、小沢さん無罪が明確であり、そもそも起訴する必要がない事案であったことを改めて確信することができると思います。
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