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●《生殖細胞をゲノム編集で改変…人はいずれ、ある欲求を抑えられなくなるだろう…デザイナーベビー》…

2019年02月11日 00時00分45秒 | Weblog


東京新聞の社説【ゲノム編集の子 神の手を勝手に使うな】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019012302000166.html)と、
コラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2019012302000154.html)。

 《中国で遺伝子を改変した双子の女児が生まれた。使われたのは品種改良や病気の治療にも役立つと期待の技術。だが、技術があれば人間を改造しても良いのか。研究者任せにせず、よく考えたい》。
 《中国広東省でゲノム編集によって遺伝子を改変した双子の女児が誕生したという▼世界で初といえども倫理、安全面で批判のあった研究である。研究者は功名心でやったと言うが、あまりにも軽々しく神の扉を開けてしまったのではないか》。

 東京新聞の記事【ゲノム編集サルでクローン誕生 「世界初」中国5匹】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201901/CK2019012502000120.html)によると、《新薬開発の実験の効率が飛躍的に向上すると主張。今後もさまざまな脳の病気モデルのクローンサルをつくりたいとしている》。

 「人殺し」のオモチャと同じ。持てば使いたくなるもの…でも、そこまでやっちゃぁ、イカンでしょぅに。
 最早、当初の立派な「目的」を逸脱しているのではないか? 《研究者は功名心でやった》、《研究者は「名誉と利益のために実施したという》…。何の《功名》?、何の《名誉》?、何の《利益》?
 《だが生殖細胞をゲノム編集で改変できるとなれば、人はいずれ、ある欲求を抑えられなくなるだろう。…デザイナーベビー》。悍ましい…。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019012302000166.html

【社説】
ゲノム編集の子 神の手を勝手に使うな
2019年1月23日

 中国で遺伝子を改変した双子の女児が生まれた。使われたのは品種改良や病気の治療にも役立つと期待の技術。だが、技術があれば人間を改造しても良いのか。研究者任せにせず、よく考えたい。

 昨年十一月、中国・南方科技大の研究者がクリスパー・キャス9(ナイン)と呼ばれる技術を使って受精卵の遺伝子を改変、エイズウイルスに感染しない双子の女児が生まれた、と発表した。当時は真偽がはっきりしなかったが、広東省の調査チームが事実と認定した。

 遺伝子は四種類の文字からなる文のようなもので、字が一つ変わるだけで全く違うことが起きることもある。遺伝子を含むDNAは約三十二億文字の文章で、ゲノムと呼ばれる。クリスパーは狙った部分を探して、字を削除したり、付け加えたりすることができる。

 これまでは突然変異に期待していた品種改良が、計画的にできるようになった。通常よりも大きなブタやマダイ、日持ちの良いトマトなどが開発された。

 人間への応用はどうか。遺伝子に原因のある病気は多く、治療法としての期待が大きい。受精卵などの遺伝子を改変して知能指数の高い子や、容姿の良い子をつくることも可能だとされる。今回は治療ではなく、これに近い。一方、受精卵や精子、卵子に適用すると改変は子孫に引き継がれる

 遺伝子の働きがすべて解明されたわけではない。現状では不利な遺伝子に見えても特殊な状況では有利な場合もある。改変のミスによる未知の危険性も心配される。

 クリスパーの発明者の一人ジェニファー・ダウドナ米カリフォルニア大教授は著書の中で「ブタの顔を持つヒトラーが利用法を知りたいと語りかけてきた」という表現で、悪用の危険性を訴えている。社会との対話が必要と考え、会議も開催している。それでも中国人研究者は名誉と利益のために実施したという。

 クリスパーは比較的安価で、高度な技術も必要ないという。遺伝子を改変された赤ちゃんが次にどこで生まれるのか分からない

 教授は「核兵器の轍(てつ)は踏まない」と書くが、歴史を振り返ると、使える技術を使わせないというのは難しい。米国防総省はすでに巨額の予算を注ぎ込んでいる。

 将来世代に遺伝子改変が伝わらないように、新たな生物兵器が出現しないようにするルール作りが必要だろう。核兵器の失敗を繰り返さないためにも、である。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2019012302000154.html

【コラム】
筆洗
2019年1月23日

 米航空宇宙局(NASA)が二〇一一年におもしろい発表をしている。題名は「NASA研究者が選んだ科学的にもっともらしいSF映画ベスト・ワースト」▼ベスト部門一位は米映画の「ガタカ」(一九九七年)である。遺伝子の改良によって知能、体力、容姿を向上させた新人類が支配する未来を描いている。遺伝子操作を受けていない人間は「不適正者」として差別され、なりたい職業にもつけない▼現実的というNASAの見立てが的中するのか。中国広東省でゲノム編集によって遺伝子を改変した双子の女児が誕生したという▼世界で初といえども倫理、安全面で批判のあった研究である。研究者は功名心でやったと言うが、あまりにも軽々しく神の扉を開けてしまったのではないか▼ゲノム編集で難病を治療する。これは理解できるし、期待もある。だが生殖細胞をゲノム編集で改変できるとなれば、人はいずれ、ある欲求を抑えられなくなるだろう。ゲノム編集で生まれてくるわが子を頭脳優秀で運動能力も高く美しい子にデザイナーベビーである▼誰もが自分の能力や姿に不満があろう。がまんしているのは神様が決めたことだからである。それを人が書き換える。その神の扉の先に待つのは優良な遺伝子だけが生存すべきだという優生学的思想と差別ではないか。科学的にもっともらしいあの映画の世界である。
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【デスク日記 私の手元には、九州大の…】 (A.S.)
2020-11-09 08:51:57
■【デスク日記 私の手元には、九州大の…】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/660999/)/《私の手元には、九州大の石野良純教授(63)にもらった33年前の研究論文がある。内容は大腸菌のDNAの解析結果。この成果を基に、遺伝子を狙い通りに改変するゲノム編集の新技術「クリスパー・キャス9」を開発した欧米の研究者2人が、今年のノーベル化学賞に選ばれた。石野氏は功績をたたえられ、研究者仲間から「ミスター・クリスパー」と呼ばれている。4年前の化学賞は、ナノテクノロジー(超微細技術)の一種「分子機械」の開発に貢献した欧米の研究者3人に贈られたが、この分野の先駆者は九州大の新海征治特別主幹教授(76)。「ファーストワンではなく、ベストワンが選ばれたのでしょう」。当時、すがすがしい表情で取材に答えた新海氏が印象に残った。九州大の2人が切り開いた道は、ノーベル賞の研究成果に勝るとも劣らない。黄ばんだ石野氏の論文。だが新技術の“端緒”となったそれは、色あせない。(野村大輔)》
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