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●『思考停止社会 ―「遵守」にむしばまれる社会―』読了(3/3)

2010年02月14日 13時56分55秒 | Weblog

郷原信郎著、思考停止社会 ―「遵守」にむしばまれる社会―

 メディアに関する問題点も。「事件報道が冷静かつ慎重に行われているのであれば、・・・日本のマスコミ報道はそれとはほど遠いものです。/一度、メディア・スクラム(マスコミによる集団過熱取材)状態になると、個々の記者や個々のマスコミの力ではどうにもならないほど報道が過熱することは、松本サリン事件などの過去の多くの事件の例からも明らかです。重大であればあるほど、不正確な報道、歪曲されたセンセーショナルなものがあまりに多いというのが実情なのです」(p.100)。「このような一連の報道が、断片的に視聴した一般人に相当な予断・先入観を与えた可能性・・・。・・・裁判員裁判・・・、公正な裁判を行う上で重大な支障・・・」(p.101)。
 「「司法への市民参加」だけが自己目的化」(p.114)。

 年金制度の問題点。「制度で解決できないことを「非公式な調査」で解決」(p.137)しようとしている。
 もう一つの問題点は、トップの姿勢としての当時の舛添厚生労働大臣の発言と態度(p.150)。「自分の部下である社保庁職員をこき下ろし事実を確認する前から組織や部下の職員の刑事責任にまで言及したのです。/・・・基本的な事項について十分に理解していたとは思えません。/・・・社保庁職員に対する批判がここまでエスカレートすることはなかったでしょう」(p.151)。

 歪むマスメディア報道が「思考停止」状態の要因(p.160)。「記者クラブ制度による行政や政治とマスメディアとの癒着の問題」(p.161)。
 「ジャーナリズムには、真実に迫るための最大限の努力が求められるのは当然ですが、真実であるとの確証まではつかめない場合でも、事柄の性格によってはあえて取材結果を報道すべき場合もあります。また、速報性が要求される場合、まだ不確かな情報しか得られていない場合でも、その情報をあえて報道することが求められる場合もあります。そういう意味では、報道内容が百パーセント真実であるということは、もともとあり得ないはずです。/問題は、報道した内容について真実性に問題があるとの指摘があった場合にどう対応するかです」(p.183)。


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