男は一軒の立ち飲み屋の前で立ち止まった
長い間の宿題店
いや、この場所に移転してこられたのが1年前だから
1年間の宿題店
その間、何度弾かれたことだろうか
早い時間には満員で、遅い時間はネタ切れで弾かれる
そもそも男が飲み歩くのは水曜日
しかし、基本的に水曜日は市場が休み
鮮度を基本とするお店が定休日なのは致し方ないところだ
男はドアを開ける前にほくそ笑んだ
目の前のカウンターの端っこに空隙が見える
「一人なんじゃけどのぉ~」
の決まり文句を言うまでもなく、男はその場所に張り付いた
男は目の前の品書きを手に取り一瞥した
「お飲み物は何にいたしましょう」
「日本酒が飲みたいんじゃが・・・」
「日本酒のメニューは中央にある黒板になります」
フロアの若い女性は、愚昧の手にスマホが握られているのを確認して
「写真に撮っておかれると便利ですよ!」
男は表情を変えることなく頷いた
男は早速「たかちよ」を所望した
新潟といえば、越後のおかぁさんが偲ばれる 男は表情を崩すことなく泣いた
刺身も一人前発注する
この辺の立ち飲み屋では群を抜いていると言われている鮮魚
間違いないであろう
男は心の中で思った(知らんけど)
酔鯨を願い出る
天ぷらは、アスパラと白身
強面の大将の様子を探る
この段階で、男はマスターなのか、板さんなのか、親爺なのか、おとうさんなのか、おにいちゃんなのか、あるいはその他の呼び方があるのか知る由もなかった
そもそも、男はそういう呼称で呼ぶことはないのであるが
何種類か寿司を願い出て
ついでに田中六五を発注した
あまり東では口にしなかった
福岡のお酒
男の寿司タイムが始まった
とろたく
いつもは〆に細巻きを頼むのであるが、この日は同時に頼んだため最初に来てしまった
だからといって、どうってことはないのだが
男は芽ねぎがあるとつい頼んでしまう
シャキシャキの食感が好きなのだ
いくら
これはセルフなのか
男は不器用であった
お会計を願い出た
「立ち飲み ひとよ」覚えておこう
いつも人気で弾かれる理由が分かったような気がした
男は自分が出てきたビルを振り返った
「俺の後ろに立つな」
男は洋光台行のバスに飛び乗った
横浜ではありませんから
長い間の宿題店
いや、この場所に移転してこられたのが1年前だから
1年間の宿題店
その間、何度弾かれたことだろうか
早い時間には満員で、遅い時間はネタ切れで弾かれる
そもそも男が飲み歩くのは水曜日
しかし、基本的に水曜日は市場が休み
鮮度を基本とするお店が定休日なのは致し方ないところだ
男はドアを開ける前にほくそ笑んだ
目の前のカウンターの端っこに空隙が見える
「一人なんじゃけどのぉ~」
の決まり文句を言うまでもなく、男はその場所に張り付いた
男は目の前の品書きを手に取り一瞥した
「お飲み物は何にいたしましょう」
「日本酒が飲みたいんじゃが・・・」
「日本酒のメニューは中央にある黒板になります」
フロアの若い女性は、愚昧の手にスマホが握られているのを確認して
「写真に撮っておかれると便利ですよ!」
男は表情を変えることなく頷いた
男は早速「たかちよ」を所望した
新潟といえば、越後のおかぁさんが偲ばれる 男は表情を崩すことなく泣いた
刺身も一人前発注する
この辺の立ち飲み屋では群を抜いていると言われている鮮魚
間違いないであろう
男は心の中で思った(知らんけど)
酔鯨を願い出る
天ぷらは、アスパラと白身
強面の大将の様子を探る
この段階で、男はマスターなのか、板さんなのか、親爺なのか、おとうさんなのか、おにいちゃんなのか、あるいはその他の呼び方があるのか知る由もなかった
そもそも、男はそういう呼称で呼ぶことはないのであるが
何種類か寿司を願い出て
ついでに田中六五を発注した
あまり東では口にしなかった
福岡のお酒
男の寿司タイムが始まった
とろたく
いつもは〆に細巻きを頼むのであるが、この日は同時に頼んだため最初に来てしまった
だからといって、どうってことはないのだが
男は芽ねぎがあるとつい頼んでしまう
シャキシャキの食感が好きなのだ
いくら
これはセルフなのか
男は不器用であった
お会計を願い出た
「立ち飲み ひとよ」覚えておこう
いつも人気で弾かれる理由が分かったような気がした
男は自分が出てきたビルを振り返った
「俺の後ろに立つな」
男は洋光台行のバスに飛び乗った
横浜ではありませんから