深夜に車で猫を轢いてしまった…」そのまま立ち去ると罪に問われるのか? 該当する2つの法律を弁護士が解説
以下コピペ
自動車を運転する際、ほかの車や歩行者、自転車などに注意しなければならないのはもちろんだが、場合によっては犬、猫、あるいは野生動物などにも気をつける必要がある。もし動物と衝突事故を起こした場合、ドライバーはどういった対応をとらなければならないか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
深夜、緊急な用事ができ、車を走らせていたら、猫が飛び出してきて、ぶつけてしまいました。すぐに車を降り、措置をすべきでしたが、なにせ急いでいたので、そのまま立ち去ってしまったのです。あれから気持ちが落ち着きません。小動物を轢いてしまったのに、走り去ると何かしらの罪に問われますか。
【回答】
『道路交通法』により、交通事故を起こした運転者は、直ちに停車して負傷者を救護し、道路上の危険を防止する措置を取り、警察に報告する義務があります。
交通事故には、物の損壊を起こした事故(物損事故)も含まれます。動物は法律上、動産、すなわち物ですが、車とぶつかれば動物はたいてい死傷したりするため、動物と衝突して起こした事故は物損事故となります。当然、動物と衝突したとわかれば停車し、警察に報告する義務を負います。
つまり、あなたは報告義務違反(当て逃げ)を犯したのです。
この違反は3か月以下の懲役、または5万円以下の罰金で処罰されます。
さらに動物を路上に放置して交通が危険な状態になる場合は、その防止措置も義務付けられますが、猫ではその恐れは少ないと思います。しかし、飼い猫だと路上に放置した結果、再び轢かれるといった二次事故に繋がるはずだと飼い主からクレームがつく可能性もあるので救護すべきでした。
対応困難であれば、事故報告に合わせて警察に保護を相談するべきだったでしょう。なお、動物に衝突して車に損傷が生じれば、車両保険の請求ができますが、事故証明書が必須です。そのためにも、警察への事故報告が必要なのです。
この他、
『動物愛護法』では道路など公共の場所で負傷した動物や死体の発見者に、飼い主や役所に通報する義務を課しているので、あなたも役所に通報しなければいけませんでした。もっとも、これは努力義務で罰則はありません。
仮に、猫が進行方向にいるのが目視でき、停車して追い払ったりできるのに、轢過することを承知で、あえてぶつけ、殺傷したときは、正当な理由なくみだりに殺傷したものとして『動物愛護法』により、5年以下の懲役、または500万円以下の罰金で処罰されます。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2024年2月2日号