はさみ屋のブログ

理・美容師の使うカットシザーのメンテナンス・アドバイザー(研ぎ・調整・販売)

あれこれ初級編

2005年12月27日 | はさみネタ

ハサミについて
知っておきたいこと
あれこれ!(初級編)

技術者にとって良いハサミとは?

ハサミはサロンの技術者にとって、最も基本的な道具のひとつです。
優秀な技術者であればあるほど、「良いハサミに出会いたい」と誰しも願うことです。
良いハサミとは「良く切れる」「切れ味が持続する」といった、基本的な機能の他に
「手や指に負担が掛からない」「手に良くフイットする」「手が疲れない」
「使いやすい」これら全てに対してトータル的な好条件がそろったものです。

他にも具体的に「髪の毛が逃げずに切れる」「刈った毛が飛ばない」
「髪の毛の切断面がきれい」「最初の切れ味が研磨調整で
もとにもどる」などなど色々考えられます。

それ以外には、「作業目的を満足させる機能性」として、セニングなどの
特殊なハサミや開閉角度がどの位置でもほとんど同じになる
スライドカット向き笹刃などもあります。

自分にとって、最高のハサミを手にすること。
これはプロの技術者として、お客様に最高の技術を提供することにもつながるのです。


ハサミを選ぶときのポイント

① 自分の手に良くフイットするもの。

② 刃先の幅は細すぎないものが良いでしょう。
  刃先の太いハサミは刃先に力があるので、ブラントカットなどでも
  髪の毛に負けないで切れ味が良いと言えます。
  細いハサミは刃先に力がなく、切れなくなるのが早まります。

③ 刃角は鋭角のものが良く切れますので、ハマグリ刃のほうが
  段刃よりは刃角が鋭くてその分だけ切れ味が柔らかいので良いと言えます。
 (すでに段刃を使用している場合には刃角調整によりハマグリ刃の
  切れ味に近づけることも出来ます。)

④ 用途に応じたものを数丁選び、用途別に使い分ける。

日頃の管理

プロの技術者ほど道具を大切に管理するものです。
たぶん、その道具によって仕事や生活が成り立っているという思いや
プロとしての意識がそうさせるのでしょう。
得てして・・・ 道具に、こだわりのない技術者は・・・
有る意味で「下手」の水準で技術が頭打ちになってしまいます。ので。(主観です)

道具のひとつであるハサミについても同じ事です。
理想としては、ひとりのお客様が終わる度にハサミをきれいに拭き取って
ほしいのですが現実的には、けっこう負担ですので、せめて1日の
仕事が終わった後に、髪の毛や薬液を水かぬるま湯で洗い流してから
乾いたタオルなどで拭き取ってあげましょう。

髪質や目的に応じてハサミを使い分ける

プロの技術者なら、お客様の髪質やスタイリングに合わせた、ハサミの使い分けを
してほしいものです。 例えば、ショートパーマのカットにはミニシザー
刈り上げにはセミロングかロングシザーを使い、シャギーやレイヤーカット
そして、刈り上げのぼかしなどにはセニングシザーという様に
目的に応じて使い分ける事をお勧めします。

仕事時間の短縮が計れ、きれいな仕事を早くこなしていくことにつながります。

ハサミの扱いと手入れのコツ

● 空切りは避けること

● 押し切りをしないこと

● 研ぎたてのハサミや新品のハサミの初切りは厚切りをしないこと。

①当たり前ですが理・美容ハサミで髪以外のものを切らない。

②濡れたまま放置すると毛管現象により刃先に水分が集まり
 部分腐食の原因になります。

③長い間使わないときは、ミシン油を薄く含ませた布で拭き
 湿気を避けて保管しましょう。

④ひんぱんに使うハサミは、同じハサミを2丁用意しておいて、かわるがわる
 使うようにすると金属疲労を防ぎ長持ちします。

⑤カットが終わったら、セーム皮、布、ティッシュペーパーなどで乾拭きしておく。

⑥ネジの締め具合は、きつすぎると開閉がしづらくなります。
 逆にゆるいと開閉は楽ですが、ガタつきが出て静刃と動刃のすれ合う角度が
 大きくなりその結果、永切れしなくなったり刃こぼれを起こす原因にもなります。
 適正なネジ圧くらいは、ご自分でちゃんと管理してくださいね。

ハサミの原理

ハサミは①裏スキ、②ソリ、③ヒネリの3要素から出来ています。

①裏スキとは、刃の裏側のR状の窪みのことです。
 静刃、動刃の接触を容易にし、裏刃の研磨をより効果的にします。

②ソリとは、刃を開いて横から見ると、それぞれ反対方向に反っているのが
 分かります。 これは切るという動作の中で、作用する刃の先端部分に
 力を集中して伝えるためです。

③ヒネリとはハサミの刃を開いて、片一方の刃の先の方から根本の方を
 注意深く見るとちょうどプロペラの羽のように刃がねじれています。
 これは、動刃と静刃の接点を小さくして、ぶつ切れをなくすためにあります。
 またソリの効果をより大きく引き出し、刃の先端部分に力を集中して
 伝える効果を高めています。
 (参考までに、右手で使用するハサミのヒネリはプロペラと
  正反対の方向にひねってあります。)

原理のまとめ

ハサミは、この3要素がうまくかみ合って、はじめてすぐれたハサミの
機能を発揮します。 この内のひとつでも欠けると、もう使い物になりません。

よく「ハサミは落とすな」と言われますが、それは落としたときに刃を
欠けさせるばかりではなく、この3要素のバランスを崩さないためでもあります。

良いハサミの条件

● 髪の毛が逃げずにきれる。

● 刈った毛が飛ばない。

● 切断面がきれい。

● 切れ味が持続する。

● 手指にかかる負担が少ない。

● 最初の切れ味が研磨調整で元に戻る。


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