白浜町のダイビングショップ経営、川西佳樹さん(41)がこのほど、串本町須江の沿岸で、オレンジの体色に白い筋が入った珍しいハゼ(全長約4センチ)を見つけた。研究者が写真をもとに調べたところ、インドネシアなどで確認されている「イレズミハゼの仲間」の新種である可能性が出てきた。
水深23メートル付近の海底に沈んでいたオイル缶の中にあったコーヒー缶に逃げ込むオレンジ色の魚を見つけた。目の周りにイレズミのような柄があり、以前同海域で見つかった「イレズミミジンベニハゼ」という珍しい種類と思い、顔の部分を撮影した。翌日には全身を撮影することに成功した。
このハゼは尾の方まで等間隔で横じまが入っていてイレズミミジンベニハゼと違う種類であることが分かり、画像を魚類分類学に詳しい、神奈川県立生命の星・地球博物館の瀬能宏学芸員(50)に送った。
瀬能学芸員は「ハゼを分類する場合、色と柄が重要になってくるが、いままでに分かっている種類で一致するものがない。結論を出すには標本を検討する必要があるが新種の可能性が高い」と話している。
「ユキフリソデウオ」確認 長いひれ持つ深海魚
全国的に採集例が少なく、非常に珍しい深海魚「ユキフリソデウオ」(フリソデウオ科)の幼魚(全長39.7センチ)が、和歌山県白浜町沖で捕獲された。魚類に詳しい元高校教諭の池田博美さん(62)=田辺市あけぼの=が確認した。県内では26年ぶり2例目となる。
5月17日、白浜町の約15キロ沖で巻き網漁をしていたみなべ町の漁師平野勝さん(61)が、ゴマサバの中に銀色で長いひれを持つ美しい魚が交じっているのに気付いた。
池田さんが調べたところ、国内では数年に1度捕れるユキフリソデウオの幼魚であることが分かった。普段は水深500メートル付近で生息している。県内では1982年に太地町の沿岸で22センチの幼魚が捕獲されただけ。
今回捕獲された幼魚は、体に厚みがなく平たい。背びれ前部と腹びれが長く伸び、尾びれは黒と赤の三角形をしている。体色は銀色の中に黒褐色の横じまが所々に入っている。成魚になれば最大1メートルに達する。全体的に銀色となる成魚は、姿形がかなり異なるという。
【珍しい深海魚ユキフリソデウオ】
(2008年06月04日更新)
南方系の魚ハナフエフキ 白浜町日置で県内初確認
白浜町日置の日置川河口で、南方系の魚「ハナフエフキ」(フエフキダイ科)が見つかった。京都大学瀬戸臨海実験所(白浜町)によると、県内では初確認。17日に京都大学白浜水族館に持ち込まれたが、死んだため標本として保存している。
同実験所の元教員、荒賀忠一さん(76)=白浜町才野=が11日に釣り上げた。全長14・4センチ。
荒賀さんは在職中、南方系の魚の分類学が専門だった。現在でも、海水と淡水が混じった河口付近で小さい魚や珍しい魚を釣り、水族館に持ち込んでいる。釣り上げた時、紀南でよく見られる「ハマフエフキ」だと思ったという。
ハナフエフキは沖縄県以南から西太平洋、東インド洋の亜熱帯・熱帯域で見られ、帯状のオレンジ色の模様があり、えらぶたに2本の赤い線があるのが特徴。大型の個体は全長30センチになる。
荒賀さんは「最近、この辺りでも南方系の魚がよく見られるようになった。温暖化の影響だろう」と話している。
【県内初確認のハナフエフキ(和歌山県白浜町で)】
(2008年11月19日更新)
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