砥石は使っているとスクラッッチや汚れによって目が詰まって切れ味が
低下してきます。 その時に、砥石の表面を研いで
切れ味を取り戻す作業を「ドレッシング」と言います。
砥石の目を立てる作業のため、「目たて」とも言われます。
砥石は、砥粒とボンドの粉を焼き固めて作りますが、使っているうちに
工作物の表面を削りながら、自分自身の表面も
切りくずや破砕した砥粒の破片などで削られていきます。
これによって役目を終えた砥粒が脱落して、下から新しい砥粒が
次々に出てきます(自生作用)。
ところが加工対象によっては、切り屑は細かく粘り気があったり、砥石の削られる
速度が追いついていかなかったり、逆に速すぎたりして、切れ味が
低下してくることが多々あります。
その際に、作業効率をキープする目的で、ドレッシングで切れ味を取り戻します。
砥石面の粗さを向上させる目的から、作業の節目節目に行うこともあれば
ある程度使いこんだらドレスするなど必要に応じた間隔で行います。
(素人の中には、この発想が無い人も多い=真ん中のへこんだ砥石で・・・)
この砥石の表面を砥ぎなおすドレッシングでは、表面に切りくずなどが
こびり付いて詰まっただけの場合(目詰まり)と、砥粒自体が
摩耗してしまっている場合(目つぶれ)、砥粒が脱落している場合(目こぼれ)
などによって最適な方法が異なります。
ほぼ、これらは複合的に発生していますが、表面が切りくずなどで詰まっている
場合では、スティック状のWAやGCなどで表面の切りくずを
搔き取る効果を持つドレッシングが効率的です。
砥粒が摩耗してしまっている場合は、砥石の母材のボンドを
薄く一皮剥がすイメージで、削り取る様なドレッシングが効果的です。
砥粒とは、砥石に入っている研磨材の「粉」のことですね。
文字通り、「研ぐための粒」ということです。
この粒が加工対象を削っていく役割を果たし、ひとつの砥石には
決められた粒度の砥粒が、思いの外沢山入っているんです。
この砥粒には大別すると二つの種類があります。
一般砥粒と超砥粒です。
一般砥粒は、アルミナや炭化ケイ素などセラミックス質のものなどが
良く知られています。
超砥粒の超砥粒とは、ダイヤモンドとCBNのことを指します。
ダイヤは工業用のものでも、合成ダイヤモンド(人工的に作られたダイヤモンド)と
天然ダイヤモンドのものがあります。
CBNとは、ダイヤモンドの次に硬い物質で、加工技術の世界では
鉄鋼系の材料の加工に良く使われるようになった超砥粒です。
ダイヤと違って、天然には存在しません。
現在、実用化されているもので「最強」とされるのがダイヤモンドですね。
超硬など非常に硬いものもありますが、ダイヤには及びません。
では「ダイヤモンドを加工するときには何を使うのか?」ということになりますが、
やはりダイヤモンドを使います。 ダイヤにはある方向には割れやすいという
特性があるので、これをうまく利用して加工していきます。
以下 参考まで
超砥粒の種類
天然ダイヤモンド(D)
天然産のダイヤモンドを、工業用として種々の工具に用いるもので、色は概して灰白色のものが多く比重は 3.25、硬さはヌープ硬さ8000~8500kg/m㎡であらゆる物質のなかで最高の硬度を有し、耐摩耗性も高く、また各種の薬品にも侵されない安定した品質を有しています。
粗いものは、ドレッサー等の工具、粉砕整粒されたものは主としてダイヤモンドホイールに、又特に細かいもの(ミクロンサイズ)はラップ研磨材として使用され、更にその工具としてダイス・バイト等にも利用されています。
但し、耐熱性において、空気中600度で炭化が始まり、硬度は低下、800度に至ると燃焼するので、一般に鉄系金属の研削には使用できません。
そこで、研削作業中の砥粒の脱落及びホイール製造工程中の熱による酸化に耐える為、砥粒の表面に金属をコーティングしたものも在ります。
合成ダイヤモンド(SD)
1955年、米国のGE社が、高温(約2000度)、超高圧(約56,000気圧)で製造に成功し、マンメードダイヤモンドの商品名で市販されて以来、量的、質的共に急速に進歩して工業用ダイヤモンドの主流となりました。
結晶の生成速度が、天然産より速いため硬度は若干低く、大粒のものが作りにくい等の欠点が有りますが、被研削物との硬度さが大きいこと、及びホイールとして常用されている粒度範囲においては、天然産に比較して遜色はありません。
特に、製造設備(圧力・温度・時間等)や素材等を適当にコントロールすることにより、結晶形・粒形・粒度等を自由に変えることができます。
そこで、比較的球状に近いブロッキーなものは、耐熱、太摩耗の点で有利なため、主として、切断や、ボーリングのような粗い重研削用として、メタルボンド法のものに適します。
又、不規則な形状で、表面に凸凹の多いものは、微少破砕されやすいため切れ味本意となり、従ってと石寿命がやや短くなるので、精密研削用としてレジン、又は、ビトリファイドボンド法のものに用いられます。
このように、ホイールの製法・用途別に各種のものが製造可能となった為粗研削より精密研削に至るまで各分野で広く使用されています。
金属被覆した合成ダイヤモンド(SDC)
これは、合成ダイヤモンドと粒に、Ni或いはCu等の金属をコーティングすることにより、レジンボンド法における結合剤の付着性を高め、従ってと粒の保持力を強化すると共に、更には、耐熱性・放熱性をも向上させて、従来のダイヤモンドと粒の欠点を、相当改善させたもので、このような新たな特性により、従来、仕上用のみに使用されていたレジンボンド法のホイールが、粗取りの重研削にも使用が可能となりました。又、このコーティングと粒は、鉄系被研削物の研削を可能とするものや、ビトリファイド法における製造工程上の高温(1300℃程度)にも耐え得るもの等も開発されつつあります。
立方昌窒化ほう素(CBN)
1957年、米国のGE社により、約1,650℃、約7,000気圧のもとで生産されたもので、ボラゾンの商品名で販売されました。色は黒色で、比重は3.4、ヌープ硬さは4,700kg/m㎡で、耐熱性に優れ1,280℃まで安定し、又化学的にも安定しています。ダイヤモンドに比較して、硬さは多少劣りますが、耐熱性が良く、ダイヤモンドホイールで研削困難な、鉄系被研削物の研削に使用され、従来のA系と粒では研削困難な高V、高Crのような難削材料の研削や、研削条件の悪い内面、底面の同時研削のような分野に進出しています。耐熱性に優れていることは、同時にホイールの製造にも有利で、ビトリファイド法において、従来のA系、C系のといしとほざ同様の工程で製造が可能です。英国デ・ビアース社のものは茶褐色又は黒色でABNと称しています。国内産では、昭和電工のものが、SBN一の名称で多量に使用されるようになりました。
金属被覆された立方昌窒化ほう素(CBNC)
これは、合成ダイヤモンド(SD)に対する(SDC)と同様の考え方によったもので、主として、レジンボンド法のホイ一ルに使用されます。なお、(CBN)、(CBNC)共に、合成ダイヤモンド(SD)に比較して、原料も安く、製造工程上の温度、圧力共に低いのにかかわらず、と粒の製品価格が(SD)より高いことが、(CBN)、(CBNC)の最大の問題点であります。これは、(CBN)の生産量が(SD)に比較して、未だ格段に少いことが最大の理由で、従って、これが価格の引き下げは、今後の(CBN)の需要拡大にかかっているものと考えられます。