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人民元

2010年09月30日 | Weblog

米下院が対中制裁法案可決=人民元安に対応―相殺関税可能に

時事通信 9月30日(木)7時5分配信

 【ワシントン時事】米下院は29日の本会議で、人民元相場の上昇を抑制する中国に対する制裁法案を賛成348、反対79の賛成多数で可決した。今後、上院での採決や大統領の署名が必要だが、成立すれば、中国製品に対する相殺関税の導入が可能となり、既に貿易摩擦が顕著な両国間の緊張がさらに高まりそうだ。
 中国は6月に人民元相場の弾力化を表明したものの、これまでの上昇幅は2%程度にとどまっている。米議会では、中国が大規模な市場介入によって人民元の上昇を抑えている結果、貿易で不利になる米国の産業や景気に大きな打撃が及んでいるとの批判が高まっている。この日の採決では野党共和党議員も半数以上が賛成に回った。
 
 

米中「貿易戦争」を覚悟せよ

ニューズウィーク日本版 9月29日(水)13時24分配信

米下院で対中制裁法案が可決されれば報復合戦は避けられないが、中国の横暴を許してはならない

ロバート・サミュエルソン(本誌コラムニスト)

 スムート・ホーリー法の歴史を知っている人なら、間もなく米中貿易戦争が勃発すると聞いて平常心ではいられないだろう。1930年、米フーバー政権は国内農業を守るため、外国からの輸入品の関税を記録的な水準に引き上げるスムート・ホーリー法を施行。諸外国が報復措置としてアメリカの輸出品に高い関税をかけたため、世界経済は停滞した。

 米中は今、当時のような貿易戦争に向かって突き進んでいる。しかも、貿易戦争が勃発したほうがプラスになる可能性が高い。

 スムート・ホーリー法は世界大恐慌を引き起こした直接の原因ではないが、世界的な報復合戦を招き、大恐慌をさらに深刻化させたのは確かだ。グローバル経済の回復が完全でないなか、人民元の切り上げを拒む中国に対してアメリカが対抗措置を取れば、かつてと同じ報復合戦を招くかもしれない。そして不幸なことに、アメリカはこのリスクを冒す必要がある。

 この10年間で中国は広大な貧困国から経済大国に変貌を遂げた。一人当たりの国民所得は(2009年は6600ドル)はアメリカ(4万6400ドル)の7分の1だが、その経済規模がグローバル経済に与える影響は増す一方だ。今年のGDP(国内総生産)は、日本を抜いて世界2位。09年には輸出額でドイツを抜いて世界一になり、世界最大のエネルギー消費国でもある。

 問題は、中国が世界経済の基本原則を本気で受け入れる気がないこと。国益にかなう場合には世界共通ルールに従うが、国益に反するときはルールを拒んだり、変更したり、無視したりする。アメリカを含むすべての国が中国のように振舞いたいし、実際にルール違反を試みた国も多い。ただし、そうした国が中国と違うのは、自国の短期的な利益を犠牲にする必要がある共通ルールの正当性を認めていること。しかも、中国ほど巨大な国がルール違反を犯した例はない。小国がルールを破っても、世界経済全体を脅かすことはないのだ。

■中国の為替政策で350万人の雇用が消えた?

 中国の身勝手な振る舞いの最たる例は、人民元の価値を過小評価し、輸出主導の経済成長を促進していることだ。とばっちりを受けているのはアメリカだけではない。安値で輸出し、高値で輸入する中国は、ブラジルからインドまで多くの国の経済を傷つけている。06~10年にかけて、世界の輸出額における中国の割合は7%から10%に急増した。

 アメリカの歴代大統領は長年、人民元相場を見直して輸出競争力を低下させるよう中国に求めてきた。だが中国は、国内消費の強化の必要性は認めつつも、輸出に影響を及ぼさない範囲でしか人民元相場を上昇させないつもりのようだ。

 中国は05年半ばから08年半ばにかけて人民元相場を約20%上昇させる為替レート改革を行ったが、その大部分は生産性向上によるコスト削減によって埋め合わせ可能だった。しかも、経済危機が勃発すると、この改革さえ中止。最近になってようやく人民元の上昇を再び認めたが、為替レートはほとんど動いていない。

 人民元がどれほど過少評価され、それによって何人のアメリカ人が職を失ったかを示す明確な数字はない。だがピーターソン国際経済研究所によれば、人民元相場が20%上昇すれば、2~3年で30~70万人のアメリカ人の雇用が創出されるという。

 リベラル系シンクタンクの経済政策研究所のエコノミスト、ロバート・スコットは、アメリカが対中貿易を行ってきたせいで350万人の雇用が失われたと推定する。この数字は大げさすぎるかもしれない。中国製品の輸入を止めれば代わりにアメリカ国産品が消費されるという前提に立っているが、実際には他国からの輸入品に取って代わられる可能性があるからだ。それでも、経済危機で職を失った総計840万人より小さな数字ではある。

 中国が人民元の切り上げに応じなければ、報復という選択肢が浮上する。中国もボーイングやエアバスの購入を控え、アメリカ産大豆の代わりにブラジル産を輸入するようになるだろうから、いよいよ貿易戦争が勃発するかもしれない。

 ティム・リアン下院議員(民主党)とティム・マーフィー下院議員(共和党)は、中国の為替操作は事実上の輸出補助金に相当するとして「報復関税」の課税を認める法案を提出した。経済学的にはもっともな主張だが、WTO(世界貿易機関)に不当と退けられる可能性はある。

 米下院歳入委員会は9月24日、報復関税を含む対中制裁法案を可決した。今週にも下院本議会を通過するかもしれない。

■アメリカの報復は保護主義とは違う

 米議会の動きが圧力となって、中国が大幅な人民元切り上げに踏み切れば理想的だが、より現実的なシナリオは、スムート・ホーリー法の再現だろう。不安定な世界経済にとっては最悪のタイミングで2つの超大国が対立することになるが。

 各国で経済ナショナリズムが台頭すればコントロールするのは難しいかもしれないが、当時と今とでは大きな違いがある。スムート・ホーリー法は、アメリカの露骨な保護主義の表れだった。多くの製品の関税が引き上げられ、多くの国が報復措置に出た。一方、今回のアメリカの行動は中国の保護主義を阻止するためのものだ。

 第2次大戦後の通商体制は相互利益の原則に基づいており、完璧でないとはいえ、その原則は守られてきた。だが中国は、自国のニーズに合わせた通商体制を望んでいる。共産党の権力維持に必要な雇用を支える巨大な輸出市場、石油や食材、その他の重要な原材料の供給源の独占、テクノロジーでの優位性というニーズだ。諸外国の経済の成否は、中国の国益への貢献度によって決まる。

 いま対立しているのは、世界秩序に関する2つの考え方だ。旧来の秩序を作り上げ、守ってきたアメリカは、おぞましい選択に直面している。中国の野望に抵抗して、誰もが敗者となる貿易戦争を始めるリスクをとるか、あるいは何も手を打たず、中国に新たな通商体制を構築させるのか。

 前者は危険を伴う。だが、後者は世界を破滅させるかもしれない
。 

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