米ホワイトハウスで1月に日米首脳会談が開かれ、太平洋地域におけるアメリカの軍事的な関与が強調された。改めてアジアに焦点が当てられたが、米軍内では激しい論争が起きていると、軍事アナリストのジョナサン・マーカス氏は説明する。
米海兵隊は、米軍で最も神聖な組織の1つだ。その米海兵隊で、厳しい内紛が勃発している。
海兵隊の改革案をめぐって、元上級指揮官らが現在の指導部を批判しているのだ。
問題になっているのは、海兵隊を中国との潜在的な紛争に適応させようという計画「フォース・デザイン2030」だ。立案直後から退役将官のグループが、メディアに不満を訴えるという異例の方法でこの計画を攻撃し続けている。
退役将軍たちは、定期的に集まり、セミナーやシンクタンクで講演している。「フォース・デザイン2030」は海兵隊の未来にとってとんでもないものだと主張する退役将軍たちは、独自の代替案を考案している。
目立った批判を展開している1人が、米海軍長官と上院議員(ヴァージニア州選出)を歴任したジム・ウェブ氏だ。同氏は、ベトナム戦争に海兵隊員として従軍し、2015年には大統領選の民主党指名候補争いに名乗りを上げた経歴を持つ。
ウェブ氏は米紙ウォール・ストリート・ジャーナルへの寄稿で、フォース・デザイン2030について「検証が不十分」で「本質的に欠陥がある」と批評。「大半の戦闘で相当の犠牲者を出すだろう部隊の兵力構成、兵器システム、人員レベルを劇的に削減することについて、その見識と長期的リスクに対する深刻な疑念が生じた」と警告した。
では、退役将軍たちはいったいどうして、これだけいらだっているのか。
海兵隊総司令官デイヴィッド・H・バーガー大将が2020年に打ち出したこの計画は、イラクやアフガニスタンのような反体制戦に対抗するためのものではなく、インド太平洋地域で起こり得る中国との紛争に備え、海兵隊を準備することを意図している。
計画で海兵隊は、太平洋の島しょ各地で繰り広げられる戦闘作戦に参加する想定だ。部隊はより小規模になり、従来より分散されるが、さまざまな新兵器システムによって、ずっと大きなパンチ力をもつことになる。第2次世界大戦のような大規模な水陸両用上陸作戦や、イラクで実施したような大規模な陸上配備は、おそらく過去のものとなる。
最も不評なのは、歩兵を減らし、戦車はすべて手放すとしている点だ。海兵隊が過去に背を向けていると批判する人もいる。
海兵隊は、海軍と密接な関係にあるが、別の組織だ。第2次世界大戦で飛躍的に大きくなり、近年のイラクやアフガニスタンでの作戦では重要な役割を果たしてきた。
社会における海兵隊のイメージは、第2次世界大戦に強く影響されている。ジョン・ウェイン主演の1949年の映画「硫黄島の砂」や、スティーヴン・スピルバーグ氏とトム・ハンクス氏が制作した2010年のドラマシリーズ「ザ・パシフィック」を見た人なら、大規模な水陸両用作戦を覚えているだろう。兵士たちは上陸用舟艇から続々と、陸地へとなだれ込んだ。
新たな計画では、海兵隊はこうした戦い方はしない。
海兵隊の伝統的な役割は、米軍の1次対応の部隊として、世界中で異質な挑戦に対処するというものだった。それが、中国とインド太平洋を重視する新たな計画によって、弱まりかねないとの批判が出ている。
では、計画にはどんな内容が含まれているのか。
- 歩兵大隊の一部を削減する
- けん引砲兵隊の約4分の3を長距離ロケットシステムに置き換える
- ヘリコプター隊をいくつか削減する
- 戦車をすべて手放す
これらの削減で182億ドル(約2.4兆円)近くを生み出せる。それで、新兵器システムにかかる158億ドル(約2兆円)を賄う算段だ。
海兵隊は、新型ロケット砲システムに加え、陸上から発射できる新型対艦ミサイルや、新型無人航空システムを導入する予定だ。ウクライナでの戦闘がすでに示している新たな種類の戦争に、海兵隊を備えをさせることを目的としている。
フォース・デザイン2030の主な指針は、海兵隊総司令官が「分散作戦」と呼ぶものだ。大規模な部隊を小ユニットに分割して広範囲に分散させ、真の戦果を生むために十分な軍事的パンチ力も確保する。
新たに中国に力点を置くことで他地域での海兵隊の活動が損なわれるかもしれないと批判が出ていることについて、軍事専門家のマイク・オハンロン氏は、的外れな批判だと話す。
首都ワシントンのシンクタンク、ブルッキングス研究所で外交政策を担当するオハンロン氏は、海兵隊は命令された場所に行くのであって、新戦略はおそらく、一部で考えられているほどには作戦に影響を与えないだろうとの見方を示す。
「本当に影響が大きかったのは、近年のイラクおよびアフガニスタンからの撤退だ。それこそが大きな変化であって、バーガー大将の構想は関係ない。(変化のほとんどは)大将の構想がそもそも練られる前のことだった」
多くの論者は、海兵隊が現代の戦場の課題に立ち向かうには、変化が不可欠だと主張する。
元海兵将校で、現在は米国防大学の特別研究員を務めるフランク・ホフマン博士は、「(新計画に)批判的な人々は輝かしい過去を懐かしがり、中国やテクノロジーについての戦略的な展望を欠いていて本当に残念だ」と話す。
海兵隊から戦車を排除することは、特に強く批判されている。しかしホフマン博士は、正しい方向だと主張。「重戦車とそれを支える給油機」がなくなるだけで、装甲車はまだ数多く残るとする。
「より正確に火力を組み合わせながら、より遠くの地域までカバーしようという適応委の仕方で、ウクライナでも見られることだ。海兵隊はこれまで、遠くの地域には航空部隊を使ってきたが、これからは従来の砲兵隊と、致死性と射程範囲の大きいミサイルの一群を交ぜて使うようになる」
多くの人はこうした措置を、ウクライナの教訓で正当化されると言うだろう。
無人航空機(UAV)、ロケット砲、長距離・高精度の攻撃能力の有用性と重要性はどれも、ロシアとウクライナの戦争で明確になっている。海兵隊の新計画も、こうしたものを大いに取り込んでいる。ただ、想定している戦場は大きく異なる。ウクライナの森や草原ではなく、広い太平洋に連なる島々だ。
フォース・デザイン2030は、まさに進化中の計画だ。すでに変更が加えられており、今後も加えられるだろう。方向性は定まってはいるが、広大な地域に部隊が分散することから生じる後方支援の困難さなど、解決すべき大きな問題がまだ残っている。
ここで重要になるのが水陸両用船だ。ロンドンのシンクタンク、国際戦略研究所(IISS) で海軍と海上安全保障を担当するニック・チャイルズ上級研究員は、新型の船が必要になると説明する。
「従来型の大型水陸両用船だけでは、立ち向かうことになる近代兵器に対してもろ過ぎる」
「そこで、新型の小型船を多数保有することが重要になる。海兵隊が、より機敏かつ分散して活動できるようにするためにだ」
しかし、船の数を増やすのは簡単ではない。小型船はいろいろな造船所で素早く建造できるが、必要なペースでできるとは限らない。米海軍も相当数の軍艦を必要としているし、資金や造船所が十分あるのかはまったく明らかではない。
これは、戦略上優先すべきものと資源をどうマッチングさせるかという、昔からある問題だ。軍隊がまったく新しい方向に進もうとする時に、過去の脅威が再び出現することもあると、ウクライナの危機は浮き彫りにしている。
(ジョナサン・マーカス氏は、英エクセター大学戦略・安全保障研究所名誉教授)
以上、BBCニュース
米中戦争は島がメイン?
日本の南西諸島?
戦車をなくすことがいいのかは分からないが、海兵隊OBは反対しているようだ。
もしかして、日本の戦車の出番になる?
日本が舞台になる戦争かもしれない。
★Wake up japanese!!
★「今だけ、金だけ、自分だけ」の政治家、官僚は去れ!!
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