クラブ契約フリーの選手を追いかけ続ける筆者。久々に男子ツアーに行った際に、今季からフリーになった平本穏を見つけて声をかけました。クラブにうるさい2人が本音で喋ると、そりゃ大激論に発展します…。
平本穏がクラブ契約フリーになった経緯は?
平本穏(やすき)、32歳。広島生まれのこの男、独特なこだわりを持っている。見た目はひょろっとして私服だとその辺の兄ちゃんにしか見えない。ところが、中身はプロゴルファーの誇り高く、とにかく真っすぐで暑苦しい性格。熱くなるとすぐ広島弁が出てくるのが分かりやすい。そんな平本と筆者のギアに関するトークバトルが勃発!
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筆者 「プロって、キャリアのほとんどがダンロップ契約でしたよね?なんでまた今季から契約フリーになったんですか?もしかしてダンロップと喧嘩したんですか?」
平本 「そんなわけないじゃろ! でも、そう思われてもしょうがないか…。契約更新しなかったのは、ボクからお願いさせてもらったんです。結果が出んのをクラブのせいにさしてください!って無茶なこと言って受け入れていただきました」
筆者 「結果をクラブのせいにする…、なかなかの発言ですね。ダンロップも心が広いなぁ…」
平本 「もちろん、自分の実力が足りんせいじゃけど、それはわかった上で、一旦退路を絶って、好きなクラブを使ってそれで結果が出んかったら自分のせい。自分が絶対に言い訳できんところまで追い込んじゃろうと思って…」
筆者 「そう聞くと、かっこよく聞こえます。(ドMだとも言う…)でも、そこで言えば、新しく契約フリーの立場でいま使うモデルに関してはどうなんです? 例えば今ミズノのアイアンを使われてますけど、それもクラブのせいにするなら、提供してくれたミズノを泣かすことになりませんか?」
平本 「……。(ぐっ…)いや、ミズノさんのせいになんてしません。ボクが色々試して見てきた中で、本当にいいと思って使ってますし、それで結果が出ないのはボクのせい。ボクの見る目がない部分も含めて結果の全責任を負うのがプロゴルファーじゃし。そこはわかってますし!」
筆者 「でも、なんでミズノなんですか?」
筆者 「なるほど。でも、そもそもなんでミズノなんですか? ウッドはテーラーで、アイアンはミズノですよね? ブルックス・ケプカなどPGAツアーの契約フリーに多いパターンに見えますが、やっぱり打感が柔らかいんですか? ミズノは“芯がある”打感だと言っていて、芯を外したらわかることがメリットなのかなと。プロもそういう理由ですか?」
平本 「いや、打感に関しては正直言って、ダンロップさんのアイアンも柔らかかったので、そこに大差は感じませんよ。それに、ワシは真ん中でしか打たんので。芯を外すなんてあっちゃいかん」
筆者 「ちょっとミスしてヒール喰ったとか、トゥに外れたとか、無いんですか?」
平本 「ないない。アイアンは芯で打つもんじゃ!左右になんて外れん!(プロゴルファー舐めとるじゃろ!)」
筆者 「じゃあ、顔とか形状の違いですか?」
平本 「ミズノさんは顔が“ボックス”に見えよるんですよ」
平本 「説明しても分かるかなぁ…、ボクは顔のこだわりが強くて、ボックスに見えるというか、長方形に見えるものがスクエアに構えやすくて結果が出ると思ってミズノなんですよ」
筆者 「ボックス? う~ん…、いま使ってるのは新作の『ミズノプロ319』じゃなくて、『ミズノプロ518』なんですよね? アン・ソンジュとかと同じやつ。どう見てもボクには三角形に見えますけど…。プロには長方形に見えるんですか? ボクの目が悪いのかなぁ…」
平本 「……。(ワシの目が悪いと言いたいようじゃ、だから、言うても分からんと思っとったんじゃ!)長岡さん、アイアンの顔って全体のシルエットの話ししとりません?」
筆者 「えっ? オフセットの少なさとか、トップラインとか、全体のシルエットは見ないんですか?」
平本 「……。(やっぱり…)いや、一応目には入りますけど、一番大事なのはボールの当たる部分じゃし、そこが長方形でネックからのつながりでスクエアに見えるかどうか? が一番大事じゃし。長岡さんはそこ見んのですか?」
平本 「プロは“当たる部分のスクエア”を見とる」
筆者 「いや、見ます。正確に言うと、ごく最近でそこを見るようになりました。でも、今までは顔のシルエットやオフセット度合いなど形状で好みのアイアンを一度選んだら、スコアラインの1本目をスクエアに構える感じでしたね。今まではそこの長方形なんて意識したことなかったです…。普通に考えたら、どう見てもシルエット的な三角形に見えますし…」
平本 「三角形は三角形じゃけど、その中に長方形があるんですよ。ネックの左右の幅があるじゃないですか、この幅から真っすぐ上に延長した“つながりとして”スクエアにフェース面の中に長方形のゾーンを見とるんです。当たる部分の向きが一番大事じゃし。ちょうど当たる部分の高さまでのところに長方形のゾーンが見えるものと、見えないものがある。ネックと向きがズレとるというか…。
ここのボックス部分がしっかり真っすぐスクエアに見えるものじゃないと気持ち悪い。ミズノさんのアイアンはそこがボックスに見えてスクエアに構えられる。今までクラブ契約フリーのプロがミズノを選ぶ人が多かった理由って、ボクと同じだと思うんですけどね。【ここがスクエアだと真っすぐ打てる】ってアドレスで安心感が段違いじゃから」
筆者 「………。(うわぁ~、マジか…)プロ、一応確認しますが、この話は誰かの受け売りとかじゃなく、あくまでもプロ個人の意見なんですよね?」
平本 「当然じゃろ。(何を疑うとんの?この人…)」
筆者 「ありがとうございます! いやぁ~、さすがプロゴルファーですね、目のつけどころが違います。ありがとうございました!」
平本 「???(何を関心しとんじゃろ、この人…)」
平本と話す2週間前にミズノ・伊藤マイスターに話を聞いていた
筆者がなぜ平本の話に関心したのか? 時を遡ること2週間前、筆者はミズノ養老工場に行き、マスタークラフトマンでありマイスターの伊藤友男氏に話を聞いていたのだ。そこで筆者が伊藤マイスターと話した会話が下記のやり取りだった。
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筆者 「伊藤さん、ここ養老工場にはプロゴルファーのクラブを研磨、調整する作業部屋があるじゃないですか。そして、ここにフェースゲージなどもあります。いい顔の条件、プロゴルファーが納得するものって何か? というと、このトゥ側のフォルムを決めるフェースゲージとかが重要なんですよね?」
マイスター伊藤(以下、伊藤) 「……。いや、そのフェースゲージはあくまでも目安というか、なんというか…。あくまでもミズノの過去モデルの基準として、一番いいとされているモデルの型というだけですね(そんなに重要じゃない…)」
筆者 「え? トゥ側のフォルムって顔を決める上で大事じゃないんですか?」
伊藤 「……。私の考えでは、トゥの丸みの頂点を少し下げることで、構えたときに落ち着きのある見え方をして現代的だとは思いますが、アイアンの顔はいろんな曲線のつながりで出来ているし、好みもありますからね…」
筆者 「……。(好みと言われてしまうと、けっこうキツイなぁ…)質問を変えます。伊藤さんが長年ミズノのアイアン作りやプロゴルファーのサポートをしてきた中で、【構えた時の顔づくりで一番大切にしていること】は何ですか?」
伊藤 「いい顔は、フェースの上半分を隠せば分かります」
伊藤 「ネックからのつながりです。いい顔のアイアンは、フェースの上半分を隠しても分かりますよ。これは、私たちの大先輩の方々から受け継いできた、ミズノのクラフトマンが大切にしてきたアイアン作りの根底にある部分ですね」
筆者 「えっ? 顔の良さを見るのに上半分を隠す?? だからさっきトゥ側が重要じゃないってことだったんですか??」
伊藤 「この話は一般の方には伝わりづらいかもしれません。ネックとフェースは付いている角度が違って、2Dではなく3Dに見えますから。あくまで構えたときのゴルファー目線の視界で話をすると、【ネックが真っすぐ入っていること】が一番重要なんです。ネックの付け根の部分の角度に歪みがあると、その先の“フェースへのつながり”のラインが壊れて違和感が出てしまう。
プロゴルファーはこの部分を一番重視しますし、ネックが真っすぐ入って、そのネックの幅の延長でフェースがスクエアにつながって見えないと気持ち悪いんです。ですから、フェースの上半分を隠して、下半分だけを見るだけで、いい顔かどうか?の判断が出来るんですね。
上半分を隠しても、ネックが真っすぐ入ったものは、ネックからの左右の幅の延長上にスクエアな面というか、方向性を感じさせるゾーンが見えてくるはず。オフセット度合いのフェースプロ(FPのこと)やトゥなどは好みやモデルによって違いますが、この部分だけはミズノは昔からこだわっています」
筆者 「えっ、昔から!? ちょっと展示してある過去の名器を全部フェースの上半分を隠して見てみます!」
筆者 「ウワァァァ~ほんまや~。全部にボックスが見えるゥ~~」
筆者 「!!! ウワァァァ~~~ほんまや~~~。過去の名器も最新作も、どれを見てもネックからのつながりが真っすぐやァ~~~。どれもこれも形もサイズも違うけど、スクエアなボックスがボクにも見えます……。ナニコレ、まさか、50年以上前のモデルから脈々と受け継がれていたとは……」
伊藤 「オフセット度合いや、トップラインの薄さ、フェースの長さなどはモデルによって色々ですが、私が言っている意味が分かっていただけましたか?」
筆者 「はいッ!! 今まで見ていなかった部分が見えてきました……(泣)。プロゴルファーって、アイアンのこの部分だけをずっと見てきたのか……。でも、ちょっと待てよ、伊藤さん、プロやアスリート向けのアイアンの名器なら話しは分かるんですが、アベレージゴルファー向けのデカヘッドのキャビティでも、これって同じなんですか???」
伊藤 「ええ、もちろん同じですよ。私も他社製のアイアンを構えることがありますけど、きちんとされている評価の高いモデルは、アベレージ向けモデルでもこの顔の部分がしっかりしてますよ」
筆者 「顔は【好み】ってよく言うけど、モロ【性能】じゃないですか…」
筆者 「………。(マジか…)ってことはですよ? 今まで【アイアンの顔は好み】とかよく言われてきましたけど、全然違うじゃないですか。プロゴルファーがアイアンの顔にこだわるのって、モロ、【方向性とナイスショットに直結する性能だからこだわってる】ってことじゃないですか!!!」
伊藤 「えぇ、まぁ……。(当たり前のことなのに、なぜこんなに興奮するんだろう、この人…)」
筆者 「クソ~~、今までオフセット度合いがどうとか、トップラインがこうとか、シルエットの好みの話をしていたら、そこは枝葉であって、一番大事な幹の部分を見落としてたのか……(泣)今まで何やってたんだよ、俺……(グスンッ)」
ミズノ田中さん 「長岡さん、最新の『ミズノプロ319』『同719』も同じですよ!」
クラブ契約フリーの選手を追いかけ続ける筆者。久々に男子ツアーに行った際に、今季からフリーになった平本穏を見つけて声をかけました。クラブにうるさい2人が本音で喋ると、そりゃ大激論に発展します…。
2018年08月03日
筆者 「ウワァァァ~ほんまや~。全部にボックスが見えるゥ~~」
最新作も過去の名器も、【ボックス】が筆者には見えるように!!
筆者 「!!! ウワァァァ~~~ほんまや~~~。過去の名器も最新作も、どれを見てもネックからのつながりが真っすぐやァ~~~。どれもこれも形もサイズも違うけど、スクエアなボックスがボクにも見えます……。ナニコレ、まさか、50年以上前のモデルから脈々と受け継がれていたとは……」
伊藤 「オフセット度合いや、トップラインの薄さ、フェースの長さなどはモデルによって色々ですが、私が言っている意味が分かっていただけましたか?」
筆者 「はいッ!! 今まで見ていなかった部分が見えてきました……(泣)。プロゴルファーって、アイアンのこの部分だけをずっと見てきたのか……。でも、ちょっと待てよ、伊藤さん、プロやアスリート向けのアイアンの名器なら話しは分かるんですが、アベレージゴルファー向けのデカヘッドのキャビティでも、これって同じなんですか???」
伊藤 「ええ、もちろん同じですよ。私も他社製のアイアンを構えることがありますけど、きちんとされている評価の高いモデルは、アベレージ向けモデルでもこの顔の部分がしっかりしてますよ」
筆者 「顔は【好み】ってよく言うけど、モロ【性能】じゃないですか…」
『319』と『719』が加わった、『ミズノプロ』シリーズ。全部ミズノらしいネック形状…
筆者 「………。(マジか…)ってことはですよ? 今まで【アイアンの顔は好み】とかよく言われてきましたけど、全然違うじゃないですか。プロゴルファーがアイアンの顔にこだわるのって、モロ、【方向性とナイスショットに直結する性能だからこだわってる】ってことじゃないですか!!!」
伊藤 「えぇ、まぁ……。(当たり前のことなのに、なぜこんなに興奮するんだろう、この人…)」
筆者 「クソ~~、今までオフセット度合いがどうとか、トップラインがこうとか、シルエットの好みの話をしていたら、そこは枝葉であって、一番大事な幹の部分を見落としてたのか……(泣)今まで何やってたんだよ、俺……(グスンッ)」
ミズノ田中さん 「長岡さん、最新の『ミズノプロ319』『同719』も同じですよ!」
うん、ネックからのつながり完璧!!
ミズノ田中さん 「長岡さん、先日発表会で打っていただいた新作の『ミズノプロ319』、『同719』も、この部分はもちろん踏襲されていますよ。弊社のアイアンは徹底的に打感にこだわってますし、最新のフィッティングで軸心距離がフローしたものから最適シャフトとヘッドが必ず選べますから!」
以上、アルバニュース
私もアイアンはミズノを使用しています。
たまたまですが・・・
アイアンのフェイスの見方について勉強になります。
これを参考にこれからのクラブ選択したいと考えています。
ゼクシオテンのアイアンを1か月前に購入したのですが、転売しようかなと思っています。
なぜか、前に使用していたミズノの方がいいからです。