54のパラレルワールド

Photon's parallel world~光子の世界はパラレルだ。

キチガイ病院

2005年11月01日 | クリエイティブな思考への挑戦
グオーン・・・グオーン・・・グオーン・・・
私はその音に目を覚ました。私は真白いベッドの上にいた。はて、ここはどこかしら、と思い考えてみて唖然とした。私は自分が誰かもわからなかった。記憶という記憶が全く飛んでいたのだ。あるのは、「グオーン・・・グオーン・・・」という音だけだった。
一瞬にして記憶喪失になってしまったのか。ふと気づいて窓の外を見た。青い海がどこまでも広がっていて、どういうわけか砂浜に、クジラが打ち上げられているみたように、飛行機が打ち上げられていた。私はいよいよ頭がおかしくなってしまったか。そう思うと同時にいろいろ思い出してきた。

部屋を見てみると、外に3つベッドがあり、2人がベッドの上にいて、1人が廊下で医者ともめていた。激しく言い寄る男の手に包丁が握られていたので、私は近づいていって「そんな怖いもの持たないでくれよ。反則だぜ。お前の勝ちだよ。だけど料理は俺の方が得意なんだ。だからこの包丁はもらうよ。」なんぞと言ってゆっくり包丁を取ったのだが、包丁を握った瞬間とてつもなく冷たい感じがしたので、いや熱かったかもしれない。「冷たいっ」と言ったのに実は熱かった、あるいはその逆みたような感じ。とにかく包丁を取り落としてしまった。医者先生がすぐさま取り上げたのでどうもならなかったが。
私が思い出したというのは、ここが精神に異常をきたして殺人を犯してしまった人たちの集まるキチガイ病院だということだ。はて、私がどんな犯罪を?そこまでは思い出せなかった。

今度は廊下の右手奥の部屋から黒い煙が出ていて騒ぎになっていた。行ってみると、部屋の真ん中に山積みにされた本が燃えていて、女性が布で叩いて消そうとしているところだった。私は近くにあった手ぬぐいを取り、一緒になって叩き始めたが、収まる様子はない。私は上の方の燃えていない本を取り除けるように、そばにいた女の子に指示した。すると、黒煙をあげる一冊の本だけが残った。一所懸命叩くが一向に消えないので、花瓶の水をかけるよう言って、ようやく消し止めた。すると少女と女性から「すばらしい判断だったわ、ありがとう」なんぞと褒められて、お礼にとグレイプフルーツをもらった。
私は得意気になっていたのだが、床の本を見てみると、さっきまで黒煙をあげて燃えていたのに、焦げた跡などが全く見当たらないので、あの煙は幻覚だったのではないかしらと思った。もらったグレイプを見てみると、テニスボールだったので、いよいよ私はキチガイだと思った。
どうしても気になるので、私はその本「ドグラマグラ」を持って部屋を出た。

部屋に戻る途中、向かいの部屋の男と目が合った。行ってみると、男は「お前は絶対に殺してやるからな。」なぞと物騒なことを言う。何かこの男と因縁を持ってしまい、命を狙われているのだということを思い出した。一体何があったのかまでは思い出せなかった。
私は窓の外を見ながら、「どこまでも白い雪景色を見てみろよ。美しいだろ。もっと早くお前と知り合いたかった。」「そうだな。」なぞと、わかったふうな意味不明な言葉を交わした。
はて、さっきは真夏の青い海、反対のこっちは真冬の雪景色ときた。やはり私の頭はどうかしているらしい。

グオーン・・・グオーン・・・グオーン・・・
どうやら時間を告げる時計の音らしいとわかったが、医者先生が何人かやってきて制服を渡してきた。白に男は青、女は赤のラインの入った制服。「作業だ。」と言われて、みんな列を成してぞろぞろ歩いていった。歩いていく先には重い鉄の扉があり、私はとてつもなくイヤな感じがした。キチガイ病院ではなく、あの世に来てしまったのではないかしら。あの扉の向こうにはエンマ大王様がいて、「お前は天国、お前は地獄」なんぞと選別しているのではないかしら。生前の行いを元に・・・記憶のない私は一体どうなるのかしら。なぞと思いながら、扉をくぐればいよいよ死人だぞと思い、逃げようかと思った。しかし、もしかするとエンマ大王様は私の失われた記憶を返してくれるかもしれないと思いつき、このまま歩いていくことに決めた。

私は今本当の自己を取り戻すために歩いている。。


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1 コメント

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Unknown (54)
2005-11-01 19:56:19
こんなキチガイ病院の夢を見たというのは完全に「ドグラマグラ」の影響でしょうね。

にしても長い夢だった。
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