ケルベロスの基地

三本脚で立つ~思考の経路

BABYMETAL探究(横アリ2日目参戦記(3))

2016-01-21 23:25:05 | babymetal
わずか1カ月前なのに、すでに遠い昔のできごとのような、あるいは夢の中のできごとであったかのような気さえするのだが、昨年12月13日(日)、横浜アリーナでのBABYMETALのライヴに、僕は確かに、中3の娘と参戦したのだった。

今回は、その日の体験を振り返りつつ、なぜBABYMETALのライヴは、あんなにもとんでもなく楽しいのか?を改めて考えてみることにする。

映像盤を(できるだけ爆音で)視聴するだけでもBABYMETALのステージの素晴らしさ(カッコよさ、カワイさ)は十分堪能できるのだが、実際にライヴ会場にまで足を運び、その場に身を置き、汗まみれになり声を嗄らしながらの1時間半を体験することは、映像の視聴とは全く別の次元の高揚感を味わうことである。
去年6月に初体験した、幕張メッセでの『巨大天下一メタル武道会』や、自らコープスメイクをして臨んだ、8月の黒ミサⅡについて、個人的な参戦記はすでにこのブログに記したのだが、今回は、吾が愚娘の反応や言動と、それを目にして僕が改めて感じた、BABYMETALのライヴに参加するとは何をすることなのか・どうなることなのかを、より分析的に記述しておきたい。

基本的な内容は、前2回と重なるだろう(本質的には変わるはずもない)が、最新にして最高のライヴに熱狂しながらも、隣りにいる吾が娘(BABYMETALのライヴ初体験)のリアルな反応も間近に見聞きしながら感慨にふけったりもした、ということから、ぼっち参戦のとき以上に鮮明に見え・感じられた細部や詳細も、いくつかあるからだ。

① ”参加”する、ということ: We are BABYMETAL!の具現化
ベビメタ黒Tシャツを着こんで家を出る。この瞬間からすでにBABYMETALのライヴへの参戦がはじまっている
これは、ライヴ参戦への、いわば「正装」なのだ。
12月13日は、僕は「METAL GOD」T、娘は「THE DARK KNIGHTS」Tだった。どちらも、6月の幕張『巨大天下一メタル武道会』に僕が参戦した際に、物販で購入したものだ。
(どちらも、デザイン的にはとても気に入っている。BABYMETALらしいカッコよさ・可愛さ・可笑しさが詰まった秀逸なデザインだと思う。その日に入手したもう1枚の「RITUAL」Tも大好きで、普段着として重宝している。この時の3種のデザインはどれも素晴らしい。ただし、各サイズ1枚しか買えなかったので、「THE DARK KNIGHTS」Tは娘だけのもの、僕自身は着ることはないのだが)。

冬なので、上にはパーカーやジャンパーを纏ってはいるが、いわば、ライヴに臨む「姿勢」が主体的に・前のめりになっているのだ。ベビメタ黒Tを身に纏うとはそうした強い意味を帯びた、極めて主体的な行為なのである
(ちなみに、この日はスタンド席だったので、僕は、スニーカーではなく、Dr.Martensのブーツを履いていった。これも僕なりの、BABYMETALのライヴへの「正装」のつもりだった。)

ひょっとしたら、家ででも、このような恰好をして映像盤を視聴される方もいらっしゃるかもしれないが、僕自身は(さすがに)それは(まだ?)したことがない。普段着として、ギミチョコ!!パーカーや、手書きロゴパーカーは、よく羽織っているが、それはほんとうの普段着であって、ライヴに行くための「正装」とは意味づけが全く異なる。
「さあ、今日はいよいよBABYMETALのライヴに参戦するのだ!」という大義名分と高揚感をもちながら、ベビメタ黒Tシャツを羽織り、家から出る。これは、いわば一種の「聖なる儀式」なのだ。
(こうして文字にするだけで、当日の高揚感がよみがえってくる気がする…)。

多くのバンドが、ライヴ会場ではTシャツを販売するだろうし、ライヴの度に新たなデザインのものが販売されるのだろうが、BABYMETALのこれは、やはり特別なものだろう。

毎回ライヴ前に、物販の情報がネット上で公開されるが、それを見るだけで、「早く馳せ参じて、何としても入手せねば!」という気にさせられるのだが、それは、コレクター的な興味関心ではなく(僕の場合は、だが)、実際に着る・身につける「正装」のニュー・ヴァージョンとして手持ちの「正装」群のヴァリエーションが広がる嬉しさ、というのが、いちばん的確な表現だろうか。

2015年の国内ライヴだけでも、
① 新春キツネ祭り …4種
② 黒ミサ     …1種
③ 赤ミサ     …1種
④ 幕張ライヴ   …3種
⑤ Only The FOX GOD Knowsライヴ 1種
⑥ 赤ミサⅡ    …1種
⑦ 黒ミサⅡ    …1種
⑧ The land of Rising Sun tour 1種
⑨ OZZ FEST    …1種
⑩ 横浜アリーナライヴ …3種
⑪ COUNTDOWN JAPAN 15/16 1種
と、18種(⑧は⑩の1種とほぼダブるけれど)もある。
あと、④にはLVヴァージョンもあったし、海外ツアーやレディング・リーズなどもあるし、さらに、THE ONE公式や、「MERRY BABY CHRISTMAS 2015」(運よく僕もゲットでき、この年末・年始にはよく着た、このデザインも秀逸だと思う)も入れると、壮観である。

明らかな確信犯、というか、BABYMETALの活動の柱にTシャツがあることは疑いようがない。

常に、黒Tであること、(国内正規のものは)バックプリントがあること、この2つがポイントだ。

見出しに書いたように、これは、「We are BABYMETAL」の形象化、具現化なのである。

しかも、手持ちのベビメタ黒Tがある程度の枚数になると、「さあ、今回はどれを着て行こうか」という選択の楽しみ(贅沢な悩み)も加わる。
実際、12月13日は、黒ミサⅡのTシャツを着て行こうと当初考えていたのだが、結局、出かける寸前の気持ちで、「METAL GOD」Tに決めたのだった。
その選択には、娘は1枚しか持っていない「THE DARK KNIGHTS」Tを着ていくはずだから、それとの釣り合いを鑑みた、ということもおそらくあったはずだ。ペアルックとまでの意識はないが、「親子でベビメタ・ファンである」ということの表明、という意味合いはあったはずだ。

そうそう、(当然ではあるが、改めて確認し、ある種の感激を覚えたことの一つとして)吾が愚娘も、(僕は何も言わなかったが)当然のように「THE DARK KNIGHTS」Tを着て新幹線に乗り込んだ、のである。
そのへんに別にこだわらない方もいらっしゃるだろうし、もちろん、それはそれで全く何の問題もないのだが、BABYMETALのライヴに、Myベビメタ黒Tシャツを着て臨む、という主体的な”参加”の喜びがあること
これは、たいへん大きなことだ。

「BABYMETAL黒T」であるという統一性を持ちながら、その中のどのデザインを今回選んで身に纏うのか、その選択は各自の意志に委ねられている、というこのバランスが、絶妙なのだろう。
単なる「ファンクラブのお揃いのユニフォーム」ではないのである。
(まあ、しかし、BABYMETALファン以外の立場にたって傍から見たら、みんなが「狂信的なファンのお揃いのユニフォーム」を着ている風に見えているのだろうが…)。

高校時代に、兄にプレゼントしてもらった、マイケルシェンカーの顔のプリントされた黒Tを休日に誇らしげに着ていたし、修学旅行にもあえて着て行ったことなどを、このBABYMETALの黒Tシャツをめぐって思い出すこともある。
ここにも、僕のような<メタルヘッズおっさん>の胸をとろかす高い質のこだわりがある。
徹底的に本物のメタルで(も)あること。
メタル風のアイドルではない、BABYMETALの本物ぶりは、このベビメタ黒Tへの執拗なこだわりにも滲み出ているのだ。

12月13日には、京都駅や、新幹線の中では、BABYMETALの装束をした人を目にすることはなかった(中に着込んだ人とすれ違っていたのかもしれないが、認識はできなかった)。
新横浜の駅で新幹線を降り、小雨だなあ、と娘と顔を見合わせてから、地下街のうどん屋に入ったのだが、そこでは、もう、あちこちにBABYMETALの衣装をまとった人たちを目にすることができる。
「ほら」と僕が知らせると、目で追ってその姿を確認した娘は「わあ!」と嬉しそうな笑顔を見せる

現状、国内では(も)、まだまだBABYMETALはメジャーな存在ではない
娘の学校、クラスでも、ファンなどいないどころか、まだその存在を知らない子がほとんどだという(年末のMステ出演によって、多少状況は変わったのかもしれないが)。
とりわけ、関西は、なかでも僕の住まう京都では、BABYMETAL旋風の風速はまだまだ弱い。
そんななか、「いた!」を確認できるのも、ライヴ参戦の楽しさなのだ。

間もなくこの状況は大きく変わるのかもしれないが、少なくとも現段階では、疑いなくそうである。

だからこそ、ベビメタ黒Tを典型にしたベビメタグッズを纏った人を実際に目にした時の感激は、大きいのだ。

昼を済ませ、物販会場へと向かう。

この時の胸の内を率直に明かすならば、物販でのグッズ売り切れを心配する僕は、一刻も早くという気持ちでいっぱいで、駆け出したいくらいなのだが、それはさすがにしなかった。父親として、娘の前ではできなかった。小雨の中を傘を差したり閉じたりしながら、父親としての威厳を保つべくにこやかに娘と会話しながら、初めての横浜アリーナへと足を運ぶ。

物販会場に入ると、当然、長蛇の列であった。
ただ、6月の幕張の物販の印象からすれば「あれ、こんなもん?」という感じであった。2時間くらい並ぶのを覚悟して、ポータブルBDプレイヤーをもってきたのだったが、「30分くらいで買えそうだな」という感じであった(実際、丁度30分ほどだった)。
BABYMETALのライヴの物販に並ぶ人を見るのも、また楽しい。ここでも「We are BABYMETAL!」が確認できるし、ベビメタ人気の凄まじさ、客層の多様性をまざまざと見ることができる。
「わあ、可愛い!」と娘が声をあげた。視線の先には、メギツネの衣装を着飾った小さな女の子がいる。そうしたコアなファン(がお連れになった、お子さん)を見るのも楽しい。

ああ、すでに楽しい。ライヴ開演4時間ほど前だけど、BABYMETALの世界に身を浸している、そんな楽しさを味わっている。

この楽しさは、ライヴ会場に足を運ぶから味わえる楽しさである。
ぼっちの方、僕たちのような親子、家族、友人どうし、仲間の集団、夫婦、職場?の仲間、さまざまな人たちがライヴ会場の物販に並び、嬉しそうにグッズが買える順序を待っている。その場に身を置く楽しさ。もちろん、その先には、「今日のライヴはどんなのだろう?」という期待感が置かれているのだ。

この日は、並んだときには、「ブルータルロゴ パーカー」は売り切れていた。まあ、これは想定通りで、結局、「ブルータルロゴ コーチジャケット」も含めて欲しかったグッズは買えたので、大満足であった。

物販の部屋を出るとすぐに、娘が「これ着るわ」と「ブルータルロゴ コーチジャケット」の袋をあけて、羽織った。サイズはSはなくてMだったが、コーチジャケットなので、小柄な娘にも似合う。吾が愚娘も、いっそうBABYMETAL化していく、これは何とも嬉しいことである。ぼっち参戦では味わえない、「同志」意識の昂揚を覚えた。

ちなみに、僕はライヴ直前に、物販で購入した「TRINITY」Tに着替えて、会場入りをしたのだが、娘は「どうしようかな?」と考えた末に、「やっぱりこれで行こ」と「THE DARK KNIGHTS」Tのままでライヴに臨む、という決断をした。
ライヴ後に(当然、汗びっしょりだったので)「TRINITY」Tに着替えて帰路についたのだが、こうした選択ができるのが、楽しいのだ。

娘も、この日2枚買ったので、手持ちのベビメタ黒Tは計3種類になった。これから、TPO(?)に応じてベビメタ黒Tを選ぶ楽しみができたはずだ。


…Tシャツの話だけで、こんなに長文になってしまったが、これは、単なる余談、付録的な話ではないのだ。
BABYMETALのライヴに実際に参加することにおいて、これが、一つの核なのである。
それを、娘連れでの参戦で改めて痛感したのであった。

(つづく)