ケルベロスの基地

三本脚で立つ~思考の経路

BABYMETAL探究(『メタル・エヴォリューション』08)

2016-01-15 21:44:13 | babymetal
さあ、ようやく2016年度の<METAL RESISTANCE>が本格的に動き出した、それを実感する一日になった。

無事、メタルネーム引き継ぎと、2ndアルバムTHE ONE限定盤の注文を終えた。
タワレコで初回限定盤も2枚予約(3月29日に確実にフラゲしたいので、店頭取置と、横アリ直後に特典下敷付は宅配で予約)しているので、すでに3枚買うことは確実になっている。
まあ、どうせ、いずれ「布教」用に何枚か買うことになるだろうから、いいのである。
手に入るうちに入れておかないと。

特典映像盤の詳細も明らかになった。
4月の黒ミサ、赤ミサ。
6月のメトロック。
どちらも、観客席との一体感の凄まじさが堪能できるはずで、たいへんたいへん楽しみである。
メトロックの「神映像」も、CSは観られない環境だったので録画などできていず、ネットで観るしかなかったのだが、映像盤として手元に置いておけるというのはたいへん嬉しいし有り難い。しかも、2曲以外の未知の映像も、同様の「神」レベルである期待ができそうだし。

「最新こそ最高」のBABYMETALライヴ映像盤が、つぎつぎと更新されてゆく。
そのリリースをワクワクしながら待つだけで、日々の仕事も励まされる。

次は、いよいよ6月21日幕張メッセでの『巨大天下一メタル武道会』が映像盤としてリリースされる、ということになる。
単体で映像盤化されるのか?
それとも、前回考えたように、楽曲「THE ONE」の”伏線→回収→発展”を軸にして、『Trilogy』として、あるいは、横浜アリーナでのライヴとセットとして、リリースされるのか?この場合、WOWOWの放映との関係で、リリースはまだまだ先になってしまうことになるのかもしれない。
まあ、それは楽しみが先に延びただけのこと。この3月末から4月にかけては、音盤、映像盤のラッシュの、まさに”お祭り”状態を存分に楽しめばよいのだ。

3月17日は仕事が確定しているので、応募はしない。できない。
応募された方、妄想が止まらないでしょうね。こっちまでニヤニヤしてしまいます。宝くじの一等、二等よりは確率は高そうですが、さあ、どんな「選考」がなされるのか?傍から、楽しませていただきます。)


…さて、久しぶりに、『メタル・エヴォリューション』を視聴して考えたことを記しておこうと思う。

このブログを書きはじめたそもそもの動機は、WOWOWで放映された『メタル・エヴォリューション』を観て、たいへんに触発されたことだった。

昨年の2月24日に書いたこのブログ第1回目の記事の冒頭を、僕は次のように記している。

WOWWOWで録ったサム・ダン監督の全11話にわたるドキュメンタリー『メタル・エヴォリューション』をひと通り視聴し終わった結果、「BABYMETALは、ヘヴィメタルの進化の最先端形態である」、という確信を得るにいたった。(もちろん、『メタル・エヴォリューション』には、“まだ”BABYMETALは登場してはいない)。

しばらく、『メタル・エヴォリューション』1話1話に即しつつ、具体的に、「BABYMETALとは何なのか」を、ヘヴィ・メタルの「進化」史のうえに載りながら、考えていこうと思う。

この、当初の意気込み・目論見に反して、さまざまな寄り道をしてきたために、約1年経っても、まだ全11回中7回ぶんの探究しかできていない。

まあ、あくせくと仕事をこなす日々の中、空いた時間を見つけての執筆になるので、そうした時間・集中できる精神状態がなかなか作れなかった、ということも大きな要因なのだが、それ以上に何と言っても、6月の幕張のBABYMETALのライヴに参戦できた!ということが絶対的に大きかった。

(すでに書いたことだが)映像で観ていたBABYMETAL(もちろん、それもとんでもなく幸せな体験であり、これがBABYMETALの魅力を享受するための”柱”であることは、今も、これからも、変わらないはずだ。だって毎日ライヴには参戦できるはずもないのに、毎日彼女たちの「演」奏を見ないと我慢できないからだになってしまっているのだから)とも全く異なる次元の、<死にそうになるほど楽しいライヴ>。
その初ライヴが、2万5千人オールスタンディングの『巨大天下一メタル武道会』だったからよりいっそう、という特別な事情もあったのだが、その後の、「黒ミサⅡ」そして横アリ2日目(これはまだ参戦記を書きかけだが)にも参戦できた。

それによって、語りたいことが次々と生れてしまい、当初の予定からこんなにも大きくずれてしまったのだ。だから、このことは決して悪いことでも怠慢でもない。必然、である。

で、年末・年始に帰省したときの新幹線の中で、久しぶりに時間をとって『メタル・エヴォリューション』第8回を観ることができたのであった。

第8回は、「ニュー・メタル」の回であり、(これもまた)たいへん興味深く、BABYMETALを探究する参考になった。
冒頭に挙げた、「BABYMETALは、ヘヴィメタルの進化の最先端形態である」という思いは、例えばこの回を視聴したことが大きく影響していたのだと思う(その時に何を感じていたのかは、自分でもよくは覚えていないのだが)。

この回とりあげられているバンドは、例えば、
セパルトゥラ
コーン
パンテラ
リンキンパーク
リンプ・ビズキット
等である。

率直に言って、僕はこれらのバンドをほとんどきちんと聴いたことがない。
苦手、である。
BABYMETAL経由で、リンプ・ビズキットのベスト盤を借りてきて聴いてみたものの、途中でギブアップした。聴きこめば魅力的に感じる部分も当然あるのだろうけれど、そこまで我慢することができないのだ。
これは、単に僕の個人的な偏見ではなく、例えばNWOBHMの洗礼を受けてメタルを聴くようになった同好の士の、多くに共通する感慨ではないか。

語り手のサム・ダン自身も「好きになれない」と言い(何しろ、この『メタル・エヴォリューション』のタイトルバック冒頭と結末に流れるのは、アイアン・メイデンの「トゥルーパー」なのだから、彼自身、いわゆるガチ・メタル好きなのである)、リンプ・ビズキットのライヴに列をなしているファンに、「どこが魅力なの?」「どうして僕は好きになれないのかな?」なんて質問をしたりしていた。
ただし、(ここがこの番組の素晴らしいところなのだが)そうした個人的な好みや相性を超えて、ヘヴィ・メタルの「進化」史において、これらニュー・メタルが果たした役割とは何か?を考えようとするその内容は、ヘヴィメタル史を俯瞰してBABYMETALを語りたいと考える僕にも通じる立ち位置であるため、たいへん啓発的だったのである。

BABYMETALが、単に、ヘヴィメタルという「市場」に放たれた「あざとい人気商品」なのではなく、いわば、<ヘヴィメタルの進化史>が生みだした(異形の)王女(たち)(ひょっとして「救世主」)なのだ、ということ。
それが、この回を視聴して、僕には身にしみて感じられたのだ。

BABYMETALのワールドツアー2014でも「宣言」されてきた、冒頭の紙芝居の文言(一部を抜粋)、

A Long Time ago in a HEAVY METAL galaxy far,far away...
...
The METAL MASTER grieved about the World's chaotic situation.
...
He was determined to make the world become one with HEAVY METAL again.
...
He gave them(=BABYMETAL) the misson to make the world become one with HEAVY METAL again.

Now is the time to join the METAL RESISTANCE,

As BABYMETAL- the guardians of HEAVY METAL - travel across the galaxy.


のとりわけ下線部が、単なる煽り文句ではなく、まさに音楽的にBABYMETALが実現していることの象徴的な表現なのである、と。

つまり、ニュー・メタルが苦手な僕のようなおっさんに、ニューメタルのエッセンスを(唯一無二のクオリティの、Kawaiiというかたちで)体験させ、その魅力を臓腑を揺らすレベルで体感させてくれる。

これも、BABYMETALが果たしている役割のひとつなのだ。
(だから、批判・嫌悪感を示す方も多くいる「姫」という呼称だが、僕はこのような意味での畏敬をこめて、臆することなくこれからも「姫」という呼称を用いるつもりだ。)

BABYMETALに体現されている、ニュー・メタルのエッセンスをいくつか挙げると、
a ラップとメタルの融合
b グルーヴ → 縦ノリ
c ダウン・チューニング
等だ。

aを忌避するメタル原理主義者は多いだろう。僕もどちらかといえば、そっち派だ。
しかし、BABYMETALは、例えば、「おねだり大作戦」でこのa&bを実現した、というところが凄い。

天才歌姫SU-METALであっても(だからこそ、か?)単体では、例えばaを行うことは不可能ではないにせよ(事実、「おねだり大作戦」の音源ではSU-METALのつぶやきが使われているのだから)、ライヴのステージ上で、会場全体を縦ノリの狂乱に巻き込むという、これほどのチャーミングな(むしろ「狂った」というべきか)衝撃を与えることは難しかっただろう。

SU-METAL + YUIMETAL・MOAMETAL
という二等辺三角形の、
ヘヴィ・メタルの「演」奏者としてのとんでもない機能性


が、例えばa→bの実現を見ると、いっそう鮮明になるのだ。
(他のガールズ・バンドには、ここまでの「演」奏の多様性はない、ありえない。これは、バンドではない、メタル・ダンス・ユニットという異形性がゆえの実現力だ。)
もはや悪魔の発明、とでも言うべきものだろう。

「メギツネ」等の楽曲においても、SU-METALの周りを跳ねまわる、YUIMETAL・MOAMETALの、異国の観客でさえ一瞬で、縦ノリ・横ノリさせるその「実力」よ!

話を「おねだり大作戦」に戻すと、FORUMライヴをよくよく観ると、後半、お立ち台の上でのふたりのダンスが、たたらをふむ、というか、まるでお立ち台の際を足で掴みながら(ブーツを履いているのだから、そんなことはできるはずがないのだが)踊る、などという超絶技巧を使っているのではないか?と見えるところがある。
MOAMETALの左足は半分台からはみだしながら(26:17あたり)、踏み落ちることなくグルーヴを生み続けている。
これ、何度巻き戻して確認してみても、鳥肌がたつ!

要素cに関しては、神バンドの、ツイン7弦ギター(ISAOは8弦でしたっけ)、6弦ベースというのも、単に、鬼面ひとを驚かすたぐいの強面(こわもて)の装備などではなく、音楽的には、グランジ→ニューメタル→…の果ての2010年代に、BABYMETALがヘヴィメタルの最新形態として出現した、という「進化の証」なのだ。

ニューアルバムでは、そうした「ヘヴィ・メタル史の横断」「BABYMETAL- the guardians of HEAVY METAL - travel across the galaxy.」が、さらに大きなスケールで体験できそうである。
すでにライヴで披露された楽曲群は、そうした「品格」を備えた粒ぞろいのものだ。

単に時代の寵児、人気者のニューアルバム、にとどまらず、「ヘヴィ・メタルとは何だったのか、何なのか、どうありうるのか」、その可能性を見せてくれる・聴かせてくれる、そんな期待をしている。その期待は必ず叶うはずだ。

音楽的な「志」の高さ(と、超絶的な「実現」力)
僕たちおっさん(メタル好き、ロック好き、洋楽好き、音楽好き)がBABYMETALに涙する核には、まずもってこれがある。
ほんとうに、ほんとうに、誇らしい。


最後に、まったくの余談ですが、たいへん心躍る出来事がありましたので、ご報告を。

先日、夕方の仕事の前に寄ったスタバから出た後で、雑踏の中で、<ブルータルロゴ・ニットキャップ>をかぶった方(自転車に乗っておられました)とすれ違ったのです!
おっさん(失礼!)でしたので、「おう、同志よ!」という思いをいっそう強く持ったのでした。
「あっ!」と思った瞬間には、自転車はかなたに去ってしまっていましたが、僕も<ブルータルロゴ コーチジャケット>を着ていたので、おそらく向うの方も気づいたのではなかったか、と思います。

京都の町なかでベビメタ・グッズを身につけた他人に遭遇したのは初めてだったので、感激、でした。
やっぱり、おっさんだった!」という思いも持ちましたが、それもまた、BABYMETALらしくて、ぐっときたのでした。
京都の烏丸御池あたりで、何でもない日常の時間に、横アリライヴでの物販グッズを身に纏った見も知らぬおっさん二人がすれ違うなんて、メタル・レジスタンスは着々と進行しているのだ、そのひとつの表れでしょう。

それと、数々の海外の音楽誌のサイト、例えばRolling Stone の『25 Most Anticipated Metal Albums of 2016』で、BABYMETALのニューアルバムが期待されるアルバムの1枚として取り上げられていますが、僕たちファンはもう「ふ~ん、またか」みたいに不感症になっていますが、これって、もの凄いこと、ですよね、よくよく考えると。

この2つの出来事を合わせて、改めてBABYMETALの”いま””現象”を、まさに目にした・体感した気がしたのでした。

FOX DAYが来るのが、楽しみを通り越して、怖ろしくさえなっています。
とんでもないことになるのでしょうね。
ひえ~!