何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

時代を切り開く名シャーロット

2015-05-06 10:15:13 | ニュース
彼女の名は、シャーロット・エリザベス・ダイアナ

<英王女は「シャーロット・エリザベス・ダイアナ」と命名>2015.05.05 Tue posted at 09:42 JSTより一部引用
(CNN) 2日に誕生した英ウィリアム王子とキャサリン妃の第2子が「シャーロット・エリザベス・ダイアナ」と命名された。
シャーロットという名前は、ウィリアム王子の父チャールズ皇太子の名前の女性形。ミドルネームはエリザベス女王と、ウィリアム王子の母で1997年に亡くなったダイアナ元皇太子妃の名をとった。
王女は「プリンセス・シャーロット・オブ・ケンブリッジ」の称号を与えられ、「シャーロット王女」と呼ばれる。



祖父チャールズ皇太子と、曾祖母エリザベス女王と、祖母ダイアナ元皇太子妃の名がすべて入っていると聞けば、この名前の豪華さ賑やかさは納得だが、自分としてはシャーロットという響きにあまり馴染みがなかった。

シャーロットといって浮かぶのは、「ジェーン・エア」の作者シャーロット・ブロンテだけかもしれない。
それもかなり以前に読んだきりで、あらすじの記憶も曖昧だったので書評を見てみると、「男女平等という視点や自由恋愛(女性側の恋愛における積極性)を描いた点で、当時としては画期的な内容であった」とあるので驚いた。
物語終盤に健康も財産も失った男性に告白して飛び込んでいく女性主人公の強さには感じ入った記憶はあるが、男女平等やら自由恋愛やらを大上段に構えて説いた小説という印象ではなかったからだ。
が、小説など芸術には、その時代でしか成立しえない設定や共有できない感情があると何かで読んだ記憶がある。
友人を裏切って恋を成就させた後ろめたさを一生抱え込んで死んでいく「先生」という設定は明治大正時代だからこそだし、「太陽族」とかいう自由奔放というよりは享楽的な若者を歓迎できたのは「もはや戦後ではない」と言いたい時代であったからだし、浮気を隠すことが犯行理由となる推理小説は不倫が許されない世相を前提(共有)しなければ成立しない、という説を読んだことがある。

時代が変われば、もはや小説に書かれるほどでないありふれた風景であっても、何事にも最初があり、最初を生きる人には盛大な物語が誕生するのかもしれない。
数々の逆境に立ち向かうジェーンの強さが印象に残るシャーロット・ブロンテ「ジェーン・エア」であったが、それが男女平等や自由恋愛を描いて当時画期的と評された作品だと知って、シャーロット姫の御存在に想いを馳せている。

ウィリアム王子の御成婚にあわせて、男女の区別なく王位継承が定まると法改正が準備されたのは、エリザベス女王陛下の御英断であった。
第一子が男児ジョージ王子であったため、この法改正の意義が今一つ世間に認知されていないが、シャーロット姫の御誕生により、叔父ヘンリー王子の王位継承順位に取って代わったと、日本でもようやっとニュースになっている。

イギリスには過去にも英邁な女王陛下はおられたが、基本的人権の尊重という普遍的価値観のもと男女平等の精神が根付き、それによって王位継承順位が定まったのは英国では初めてのことであり、この新たな法律のもと王位継承順位を得る最初の王女様となられるのがシャーロット姫であると思うと、男女平等と女性の積極性を書いて画期的とされた「ジェーン・エア」の作者の名が、シャーロット・ブロンテであったのも、なにやら暗示的な感じがする。

エリザベス女王陛下の英邁さと、ダイアナ元皇太子妃の華やかさと、祖父チャールズ皇太子の名を冠にした
シャーロット・エリザベス・ダイアナ姫の新しい時代での御活躍を祈っている。

翻って、世界的な普遍的価値観を共有できないままに、女児しか産まなかったと皇太子妃を病に追い込み、一粒種の内親王をマスコミの餌食に差し出している我が国に、果たして新たな時代のページが開かれる日がくるのだろうか。
古色蒼然とした物語は擦り切れた表紙もろとも痛みきってしまうのか、それとも、そこから抜け出された方が
お幸せなのだろうかと、女児誕生を心から祝うイギリスを見て複雑な思いを抱いている。



ところで、「この連休は感染症と噴火の本などを読んで過ごすつもりだ」と書いたが、噴火がいよいよ現実味を帯びているので、心して「死都日本」(石黒 耀)を読んでいる。

<箱根山の噴火警戒レベルを2に引き上げ・気象庁「小規模噴火の可能性」>産経新聞 5月6日(水)8時3分配信より一部引用
気象庁は6日、火山性地震が増加しているとして、箱根山(神奈川、静岡県)の噴火警戒レベルを1(平常)から2(火口周辺規制)に引き上げた。同日午前6時すぎ、火口周辺警報を発表した。気象庁は現地調査で、大涌(おおわく)谷の温泉施設で蒸気が勢いよく噴出しているのを確認。「今後、大涌谷周辺に影響を及ぼす小規模な噴火が発生する可能性がある」としている。

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