受法寺本堂建築誌

伝統木造工法により建築中です

雁振瓦(がんぶりかわら)

2006年07月13日 | Weblog
大棟は台熨斗瓦・肌熨斗瓦・割熨斗瓦12段を積み重ね、最後に雁振瓦(がんぶりがわら)とよばれる瓦を取り付け、完成しました。

一般的に使われるのは反り(そり)ですが、建築では照り(てり)とも言われる反転する曲線が出ています。

『てりむくり』(立石二郎著)という本には、ブルーノ・タウトが絶賛した桂離宮のような直線で構成される建築の流れだけではなく、「いかもの・いんちき」として拒絶された「照り(てり)起り(むくり)」が、日本の古代からの美意識の記憶として、寺院建築などに取り入れられていると解説しています。

たくさんの例を上げていますが、お経の中にも「ソリ」という節があり、仏教の無常感を醸し出しています。

本堂の屋根に反りがあるのは、大空への憧れを表し、現世と来世をつなぐ装置として設けられているようにも思われます。