受法寺本堂建築誌

伝統木造工法により建築中です

仕口ダンパー

2006年04月30日 | Weblog

内陣柱上に敷梁・投掛梁が重なり、その仕口(しくち・柱と梁の交点) に取り付けた三角形の金属板が、仕口ダンパー。

雨の日に、建物内部で作業しました。

阪神大震災以後に、土台、柱、梁を金具で固定するようになりました。しかし仕口を金物などによってあまりに固くすると、逆に柱や梁を傷めることになります。
また家の構造計算を無視し、後から取り付ける耐震リフォームの固定金具は問題外です。

くぎなど使わない本堂など軸組工法による木造建物では、ガチガチに固めるのではなくある程度揺れる事により、地震荷重や風荷重のエネルギーを吸収して木造建物の変形を抑制します。この事は、 これまでの巨大地震や耐震実験で実証されています。

この伝統工法の上に、柱・梁の仕口部に、三角形の鋼板と鋼板の間に粘弾性体を挟み込んだダンパーを計118個取付け、耐震性能を高めています。また、柱・梁が抜け落ちる事も防ぎます。

受法寺本堂では、十分に巨大な梁を熟練の技術により噛み合わせていますが、その上に構造計算に従って、地震による揺れのエネルギーをしなやかに吸収するハイテクの耐震装置を取り入れています。

 


茅負(かやおい)

2006年04月29日 | Weblog
化粧隅木に、茅負(かやおい)を納めました。

下から見ても直線に見えるような水平材の茅負ですが、近くから見ると上に反り、内側から外側に行く程、太くなっているいるのが良く分かります。

このような造作をする事によって、屋根が貧弱に見えないようにする昔からの寺院建築の知恵です。

この茅負に、飛擔垂木(ひえんだるき)をつないでいきます。


縋破風(すがるはふ)

2006年04月29日 | Weblog
連休に入りましたが、雨模様の天気の中、シートの中で屋根軒裏造作が進みます。

写真は、本屋根から流れてきた向拝屋根側面で、一番大工さんが悩む縋破風(すがるはふ)部分です。

伊野の大工さんにより彫刻が施され、破風全体が旧本堂と比べて深い曲線となっています。

懸魚下絵

2006年04月28日 | Weblog

現場事務所での打合せ会で、懸魚〔げぎょ・屋根の破風に取りつけて,棟木(むなぎ)や桁(けた)の木口を隠す装飾。〕について、確認しました。

前回の打合せ会で、六葉(ろくよう・懸魚の中央にある飾り。6枚の葉で構成する意匠で、六角形の図柄から付いた呼び名)について、巾寸法を六寸であったのを六寸五分としています。

わずかな差ですが、ぐっと見栄えが良くなりました。大工さんではなく、岡山の彫師にお願いします。

旧本堂と比べても、大きくなっています。

 


水糸

2006年04月27日 | Weblog
本堂側面の化粧垂木を取り付け。

タイミングよく手が要る所に来たので、片手でピンクの水糸の端を押さえ、ピーンと張って、撮影しました。

不揃いな化粧垂木に印を付け、後で切り落とします。

小口の胡粉は、塗ってあるものと、切り落としたりで塗ってないものも有り、後でもう一度塗るとの事です。

化粧天板

2006年04月26日 | Weblog
化粧垂木の上に、化粧天板を貼っていきます。

浜縁から屋根を見上げると、垂木の間から見える所です。

合わせるのに、カンナやノミを使って、ピッタリに収まるようにします。


化粧垂木(けしょうだるき)

2006年04月25日 | Weblog
屋根を下から見上げた時に見える正面の化粧垂木を納めました。

垂木と隅木との取り合い部分が、角度があり難しいようで何度も合わせていました。

仏教建築とともに中国から伝わったものであると考えられている指金(さしがね)・かねじゃく(曲尺)で角度をとっています。

垂木の小口には胡粉(貝殻を粉砕した物を材料)を、材の切り口を日差しなどから保護し、また意匠的な意味合いでも塗っています。

力垂木(ちからたるき)

2006年04月24日 | Weblog

垂木(たるき)は屋根下地の野地板を受けて、棟木・母屋・軒桁に架設する材のこと。

垂木がつけられると、屋根らしく形がつかめます。

力垂木は他の垂木に比べて長く、内部の梁に架かり力を受けています。


屋根工事

2006年04月24日 | Weblog
建物の木組み事終わりましたので、屋根工事にかかりました。

板の間の天井は30mm厚の板を、乾燥した時のはねあがりを防ぐ為、ボルトにワッシャーをつけて止めて行きます。

龍鼻

2006年04月22日 | Weblog
虹梁の端に、龍鼻を取り付けました。

鼻には意匠として獅子や象がありますが、受法寺の寺号は龍頭山ですので、龍の頭です。

仁王像は通常配置する時、右が口を開けた阿形(あぎよう)像、左が口を結んだ吽形(うんぎょう)像となりますが、南を陽として口を開けた像をとりつける考えかたも有ります。

龍鼻は、前に付けていた穴もあるので、そのままに付けました。