受法寺本堂建築誌

伝統木造工法により建築中です

お手伝い

2005年08月18日 | Weblog
お盆休みもあけ、今日から解体した木材の撤去の続きです。
夏休みの宿題のため来ていた甥っ子と友達が、片付けを手伝ってくれました。
私が勤めていた本願寺塩屋別院を建立する時に、海に浸かる低地にあったため、門徒達が外に出たときに少しづつ土や石を持ち帰って寺地を整えていったという話を思い出しました。
今ではプロが大型の重機で一気に仕事をしていますが、本堂建立に何かお手伝いをしたいという気持ちを大事にしたいものです。

リサイクル

2005年08月09日 | Weblog
今日一日で、本堂は完全に倒れました。
水をかけながらの作業でしたが、土埃が上がってしまいました。
土壁の赤土は新しい土と混ぜ、また基段の石も、新本堂に再利用します。
内陣ケヤキの丸柱は、記念品として念珠が作れるように保管しました。
大量に出たは廃材は、風呂の燃料として使用します。
捨ててしまうのは、瓦ぐらいです。
昔の建物は、木と土と紙できているので、リサイクルしたり、負荷をかけることなく自然に還すことが出来ます。

天保13年

2005年08月08日 | Weblog
現本堂は、棟札など建築時の記録がなくいつ頃建てられたか不明でした。
解体中に、向拝・肘木・天板より年号の入った木材を発見。

受法寺現住 無涯
天保十三年寅年 
三月吉辰

天保13年は1842年、今から、163年前です。
高知を襲った巨大地震は、宝永地震が1707年、安政地震が1854年ですから、安政地震の12年前には、現本堂が完成されており、大地震や大津波に耐えたと推測されます。


解体工事

2005年08月08日 | Weblog
本堂木工事を担当する高知の寺社建築会社の澤匠も加わり本格的な解体工事となりました。
今回の工事は修復ではなく、本堂の構造材の傷みが激しく、また寸法も変更となりますので、木材はほとんど使えません。置いておくのは、向拝の周りの彫刻の入った虹梁、海老虹梁、蟇股、龍頭の彫り物などは新本堂にそのまま使用し、濡れ縁は庫裏に、受法寺と浮彫りされた鬼瓦は記念として残します。

工事が始まりました

2005年08月05日 | Weblog
8月5日から、工事が始まりました。まず、本堂に進入するために塀の解体です。東側の塀は昭和32年に建造、北側は約20年前のもの。大地震がきたらすぐに倒れそうだと思っていましたが鉄筋もしっかり入っており意外に頑丈で、縦にカッターで切りとり、重機2台、作業員5人、2日がかりのの工事です。

土佐派の家と伝統木造工法

2005年08月05日 | Weblog
このブログは、施主側が本堂建築工事の進み具合を適時に載せていきます。
建築については素人ですから、ブログについては一つ一つ、設計士さん、施工者の方に相談をしておりませんので、誤りなどがあろうかと思いますが、お許しください。

新本堂設計の上田堯世さんは、山本長水さんと共に、高知の「土佐派の家」運動を牽引してこられ、伝統木造工法にも明るく、この度の受法寺本堂改築をお願いしたところ快く引き受けてくださり、浄土真宗の寺院建築について、広島・丸亀・県内など共に見学に行き、研究を重ねて頂きました。

初めてお会いしてから8年が経ち、設計協議を重ねてきましたが、門信徒及び各位の皆様より厚い御懇志を頂き、諸縁が調いまして、この度ようやく建築が始まりました。

あるブログからの引用で、 「土佐派の家」とは、 10年ほど前、高知県に「土佐派の家委員会」と称する建築家グループが立ち上がった。 土佐杉・檜、土佐漆喰、土佐和紙など地元の伝統的な自然素材をふんだんに使った、百年住める野太い住宅建築を標榜している建築家グループだ。
 リーダーの山本長水さんは「土佐派の家」をこう説明する。「化石エネルギーと化学薬物を多用した近代文明がもたらしたさまざまな問題を乗り越えた新しい時代のもの。地球環境にあまり負担をかけない、多様な生命の共存共栄を願えば、人間が多少の犠牲的な努力を求められることもある。
これを受け入れて、地上に新しい“楽土”を実現しようとするとき、建築や住宅はどんなものであれば良いのかという答えを求めた、一つの新しくて美しい運動です」 いまの日本の家は平均25年で建て替えられているという。近代的な工場で化学物質をふんだんに使って作られるハウスメーカーの家々は、大量の産業廃棄物を生み出しながら次々に新しく立て替えられている。
なるほどビジネスとしては、うまくできている。しかし、やっと住宅ローンが終わったら建て替え時期がやってくるというのでは、庶民はたまったものではないし、この環境の時代に資源浪費も甚だしい。 
こんな冗談のような悲惨な現状に、土佐の田舎から敢然と異議申し立てをしようというのだ。

従来の寺院建築は、新建材など使わない時代から、木と土と石と紙だけで、何百年という年月を、風雨をしのぎ地震に耐えながらも風格を失わずに、門信徒の尊崇を集めてきています。
このたびの、受法寺本堂も、新しい時代の技術を取り入れながらも伝統木造工法により建てられ、少しは修復を重ねながらも、150年から200年は建て替える事がないものとなります。
また、「土佐派の家」に見られるように、新建材をなるべく用いずに、地元高知の豊かな素材である、桧・杉・土佐漆喰・和紙を使い、地球環境にも、人間にもやさしい建物となります。
工事の進捗状況に応じて不定期の更新ですが、完成まで暖かく見守ってください。