郷土教育全国協議会(郷土全協)

“土着の思想と行動を!”をキャッチフレーズにした「郷土教育」の今を伝えます。

教科書展示会へ行って、市民の意見を出しましょう!

2024年06月03日 | 日記

来年から4年間使う中学校教科書を、今夏、日本中の各採択地区の教育委員会が選びます。

6月はその見本教科書を展示する期間です。

市民や教員がその見本教科書を見て意見を出し、教育委員会にはそれらの意見を尊重して教科書選びをしてもらいたいものです。

まずは市民が見本教科書を見て、意見をどんどん出しましょう。

意見を書く際の参考までに、私の「『教科書ネット21」シンポジウム」の報告を以下に載せます。



―市民意見の参考にー 【報告者や参加者の発言で印象に残ったこと】



◆戦争賛美のあぶない教科書

・令和書籍―歴史

・育鵬社―歴史、公民

・自由社―歴史、公民

・教育出版―公民

・道徳―日本教科書 

《なぜふさわしくないか》

1. 研究成果が反映されておらず、間違いが多く使いにくい
2. 侵略戦争を賛美し、真実を教えない
3. 日本国憲法を敵視し、「憲法改正」を推進
4. 政府の考えだけを記載し、子どもに考えさせようとしていない


今回なぜか検定に合格した令和書籍の歴史教科書は「国史教科書」と名付けてあり、日本史冒頭に神武天皇から始まる皇統譜を載せるなど「天皇を軸とした」記述。

超右過ぎて育鵬社、自由社教科書が中道に見えてしまうほど。

「令和でないから育鵬社を採用しようか」という声が審議会で出ないか(令和の犠牲バント作戦)心配。

令和書籍社長の竹田恒泰氏は「公立校でなく、私立エリート男子校の採用を狙う。彼らが日本を担う人材になるから」と言っている。

育鵬社は内容が少しマシになった。



◆QRコード

・QRコード掲載が大幅に増えた。コストも時間もかかるので資本力のある教科書会社が有利になっていくのではないか。

   教科書の寡占化が進む。

・QRコードは検定の対象外。

  「問題のあるQRコードが子どもの目に触れるようになる可能性もあり得る。」(文科省教科書課)

・採択審議で、「QRコードがたくさんある教科書を採択したい。子どもが自分で勉強できるし、忙しい先生も助かるから。」

    等という意見が出ることも予想される。

・教員は、一つ一つのQRコードを確認したうえでどのような教材を使うか考えなければならず、かえって大変になってしまうのではないか。

・昨年教育出版の小学校社会科で省庁紹介のQRコードで防衛庁の自衛隊宣伝動画がが載った。

   中学でも同じ教育出版・公民でそれと同じ動画が載っている。

 教育出版・公民はその他の所でも問題部分が何か所もある。

・これまで紙の教科書に掲載していた教材をQRコードに移行して、ページ数を減らした教科書もある。

・便利な面もあるが生徒が自ら調べようとせず、受け身になりがち。(中嶋哲彦名古屋大名誉教授)

・QRコードにふりまわされず、紙の教科書の内容をしっかり比較分析して判断することが大切。



◆ジェンダー(社会的性差)平等、性の多様性、家族のあり方

 〔好ましい教材〕

・開隆堂-家庭(男女差P83) (ジェンダー平等が載っているのは開隆堂のみ)

・帝国-公民(「LGBTQ+」、婚姻の平等議論紹介コラムP49)

・東書―保体(「性の多様性」P51)

・大修館―保体(「性の多様性」P42,P43)

・教出―国語2年(「『ここにいる』を言う意味」P102)

・東書―英語3年(性的少数者の権利擁護の曲の歌詞を全文掲載 P50 )

・学研―道徳1年(「らしさって何だろう」P118) ,2年(「多様な性と私たち」P77)、3年(「境界線を越える」P90 )

・教出―英語(Ladies and Gentleman ➡ Hello every one)

・各社―キャラクターも配慮(中性的に見える人物も描くなど)

 〔検定で修正させられた〕―「多様な家族のあり方を認めない検定意見や指導要領は見直しを!」と区民意見を出しましょう。 

・教図―家庭(「3世代家族・ちびまる子ちゃん」、「血のつながりのない家族も同居・名探偵コナン」P14~15)などのアニメを並べ、「法律上の親子関係や夫
 婦関係ではなくても、お互いに家族のような意識を持って暮らしている場合もあります」(削除)

 「家族って何だろう?」➡「家族とはどのような存在だろう」に修正。

・開隆堂-家庭(「ふたりママの家で」などさまざまな家族の絵本の表紙紹介。そこに付けた3つの吹き出し中、次の2つの吹き出し「家族は一つのかたちだと思って
 いたけれど」「ふたりママってどういうことかな?」を削除。P26~27



◆学習量

・理科―学習量が増え、難しくなっている。「探求」と言うがお仕着せである。〔?な教材〕

・理科―東書「処理水は安全」とコラムで書いてある(東書だけ)。



◆自己評価欄

自己評価欄は道徳教科書にだけ付いているのかと思っていたが、他の教科にも付いているらしい。

(展示会で教科書を見て確かめてください。)

それは、学習指導要領で評価の仕組みが「主体的学習態度」も「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」と同等に評価するというやり方になったから。

各教科、その理解度や技能だけを見て評価するのでなく、態度も成績に入るというわけだ。

先生の声:「学習の終わりにいちいち自己評価を書かなくてはならない生徒たちがかわいそう。教員もそれを見るのに手間と時間を取られる。みんな一所懸命やってい
るから全員Aにしたくても、管理職は『A評価は50%以内でないとダメ。私も上から言われている。』と言う。胸が痛む。」

先生も生徒も苦しめる無駄なものだと思える。

自己評価欄、こういうところまで管理されるのか、学校教育はまさに戦争前夜ではないかとつくづく感じた。



* 長々となってしまいました。

 少しでもし市民意見を書く参考にしていただければ幸いです。


* 展示会で漫然と教科書を見ていると、その流れに乗って「なるほど、なるほど」となって問題など特に感じなくなってしまいます。


◎ 観点を決めていろいろな教科書を見較べると少し距離を置いて見られるかもしれません。

◎ 今や瀕死の学校、教育に「市民は見ていますよ、関心を寄せていますよ」との意思表示に市民意見を1枚でも多く出してきましょう。

 

 

 

-K.I-


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