永田和宏選
リモートの講義をぼやく十八歳噴火しそうなニキビがふたつ 堺市 平井明美
タンポポがこんなに明るく咲いている帰れぬ町も帰らぬ町も 南相馬市 佐藤隆貴
一首目、大学生になったばかりの青年でしょうか、リモートばかりでリアルな大学生活を送れないのは、本当に気の毒です。ニキビの描写も面白い!二首目、帰還困難区域にタンポポが咲いているのでしょうか。少しずつは解除になっていても、帰って生活をするのも大変です。10年も地域のコミュニティーが壊されているのですから。これは完全に国の責任です。
馬場あき子選
この花の下を三八式歩兵銃と軍靴でくぐりし昭和忘れず 我孫子市 松村幸一
シニア支援はかけ声だけで不採用つづく七十歳雇用の壁 市川市 都竹秀樹
一首目、この方は兵役経験があったんですね。それも、国内で軍務についたのか、訓練だったのか・・。なぜか日本人は桜を命と結びつけますが、私は命を粗末にしているようで嫌です。花は毎年、咲いては散って、また咲くじゃないですか。でも、人の命は散ったら最後ですよ。それも、天皇陛下のためとか、そんなことおかしい。あの戦争で日本は馬を使ったんですよ、信じられませんよ。人も馬も食べなきゃならないのに。機械化されないのでは最初から負けるに決まっています。そう、当時も今も、ガソリンがなければ成り立たない社会ですが、そのガソリンを使わない時代がすぐ身近に来るのです。自動車も、非ガソリンが主流になるのです。びっくりですよね。二首目、そう、100年人生とか、定年延長とかいっても、現実は就活しても採用をもらえないのです。私も50代後半で就活、大変でした。嘱託でしか仕事につけませんでした。20代の頃は正社員で転職ばかりしていたのに。今はシルバー人材センターだって、登録料をこちらが払うのですから。
佐々木幸綱選
菜の花と蛍烏賊和えほろ苦きパスタを食めばさめざめと雨 岐阜市 木野村暢彦
いやー、私はパスタ大好きなもので!先日、筍と蛍烏賊のパスタを作りました。こっちの方がおいしそう!
高野公彦選
「春はモカ」枕草子のように言うコーヒー好きの友に会いたい 奈良市 山添聖子
嫁はんか家内か妻かウチのんか夫の使用語彙を知らない 堺市 丸野幸子
オリジナルは「春はあけぼの、ようよう白く・・・」だったかなあ?またも緊急事態宣言でますます、友に会えなくなってしまいました。こんな世の中、いやだよね。二首目、妻の「主人」というのも、本当はおかしいという動きが出てきましたよね。対等であるはずなのに。刑事コロンボのように「ウチのかみさん」というのは、親しみやすくていいですよね。私は絶対に「主人」は使いませんでした。「夫」とか「配偶者」だったかな。呼称から変えていかないと、本当の対等関係は生まれないような気がします。とはいえ、私の家庭も、対等だったかどうか、ギモン。いつも、一歩後ろを歩けと言われていましたっけ。間違っていたとしても俺を立てろ、とかね。ああ、めんどくさかった。一人になって、自由で幸せ!!