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ハッチがいた日常

夫は病死、仕事も辞めて被災猫ハッチと暮らしたけれど、10年で終わってしまった。これからは本当の一人暮らしの日々。

朝日歌壇10月9日

2022年10月09日 13時47分12秒 | 短歌

高野公彦選

個人店また減りまた減りまた減りて離れ小島のようなわが店     さいたま市 田中富子

「とりあえずビール」の居酒屋ご無沙汰し家で毎日ごちゃまぜ飲みす 伊予市 福井恒博

柚子坊の名があるんだね植えたてのレモンの苗木丸坊主にして    横浜市 岡田紀子

 一首目、個人商店の受難の時代は、相当前から始まっていますが、それでもがんばっている「わが店」は、どんなお店でしょうか。仲間が減っていくというのは、本当に心細いと思います。みんながスーパーで買い物するようになってしまった社会が、本当によかったのか、考え直す時がきているのかもしれませんね。二首目、まだまだ不安ですよね、コロナ禍。それでも、やはり外で飲みたいなあ。最近は経済事情でその回数を減らしています。家で飲んだ方が、安い?!私もごちゃまぜ飲み、やりますよ。ワイン飲んで、ちょっと飲み足りないと、今度は焼酎かウイスキーを割って飲み、そのうち、リモンチェッロかフランジェリコか、もういい加減にしろって、残った理性が私に警鐘を鳴らしています。三首目、知りませんでした、「柚子坊」と呼ばれるイモムシがいるのを。それでも、これを詠んだ岡田さんは、優しい目で見ていますよね。私も八王子の戸建てに住んでいたころ、山椒の葉にイモムシがついてしまって、困り果てましたが、まあしょうがないかと思ったものです。

永田和宏選

いつの日かゼレンスキー氏の背広着る日がくることを祈り待っている 町田市 古賀公子

 この歌は馬場あき子氏も選んでいます。ウクライナの大統領が、戦争が終わればきちんと背広姿でテレビに登場するはずです。早くロシアが負けて、停戦になってほしいです!

佐佐木幸綱選

焼けてます看板の前通り過ぎおいかけてくるお芋の香り       今治市 気田由紀子

 看板だけだと、一体なんだかわかりませんよね。後からおいしいお芋の香り、それだけで幸せいっぱいになります。私もたまにヨーカドーの焼き芋を買って帰るのですが、あれはその日が賞味期限なんですね。それでも、半分残して冷蔵庫に入れちゃっています。焼き芋のそれだけで和菓子のように感じます。お抹茶に焼き芋、合うと思いますね。お腹すいてきちゃいました!

 


朝日歌壇10月2日

2022年10月02日 16時35分42秒 | 短歌

佐佐木幸綱選

子どもらと折りづる手向け祈りゐしゴルバチョフ氏の姿を偲ぶ   和歌山県 市ノ瀬伊久男

 先日、ゴルバチョフ氏が亡くなりました。ソ連を民主化した功績は大きいけれど、ソ連崩壊で国民には不人気だったそうです。でも、私はゴルビー大好きでした。

高野公彦選

ヘルシーで美味しいからと水団(すいとん)をリクエストする平成生まれ 中津市 瀬口美子

魚たちに養われてるにもかかわらず人間は海にトリチウム流す      いわき市 守岡和之

 一首目、戦時中にお米もなくてすいとんを食べた人は多かったと思いますが、そんなことは知らずに、ヘルシーだとかで食べる若い子たちに、驚きで詠んだのでしょう。とはいえ、もうすいとんが生れた背景を知らない世代が増えてきたのも事実。ところが、なんとなんと調べたらすいとんの歴史は古くて、江戸時代にはあったそうです。さらに関東大震災後に食糧不足ですいとん屋がたくさんできたとか。二首目、地球温暖化で魚もなかなか取れなくなりそうですし、さらにロシアが北海道の日本の漁業の邪魔しているんです。地球の生態系は、どんどんおかしくなっていくでしょう。日本だって、福島の原発事故の汚染水を海に流そうとしているんです。最近私が気になっているのは、やたら北朝鮮が核ミサイル実験をして海に落としていますが、燃料がとんでもなく有毒らしいのです。それも海洋汚染につながっているから、本当に、魚たちの運命は、恐ろしいことになっています。

永田和宏選

フルネームですらすら言える政治家の一人だったミハイル・ゴルバチョフ 八千代市 砂川壮一

 今回は、ゴルバチョフを悼む歌が多かったです。日本人のフルネームと違い、外国人は長いから、なかなかフルネームで覚えることはできませんよね。J.F.ケネディだって、ジョンはわかるけれど、Fがフィッツジェラルドとは知りませんでした。

馬場あき子選

「若菜集」に初めて会いし青春の杜の都の高山書店       仙台市 沼沢修

 若菜集は、島崎藤村の処女詩集。高山書店は、有名な仙台市の老舗書店だったそうで、今はもうないようです。このところ、大型書店の閉店が相次いでいます。残念なことです。私にとって、本屋はワンダーランドなのに。電子書籍で本を読む気にはなりません。絶対に、紙じゃなければイヤ!


朝日歌壇9月25日

2022年09月25日 20時53分10秒 | 短歌

馬場あき子選

ベッドから食卓までの二十五歩人生最後の通勤距離か       岡山市 伊藤次郎

「生き延びる事ができたらまた会おう」テレビ取材に微笑む兵士  五所川原市 戸沢大二郎

 一首目、切実な現実ですが、ちょっとユーモラスに詠っています。誰もがそうなる現実です。寝たきりにならないよう、がんばりましょう。この歌は高野公彦氏も選んでいます。二首目、おそらくウクライナの兵士のことだと思いますが、先日はロシアに大幅に徴兵の命令が出たから、きっとロシア人も同じようなことになっているはずです。プーチンが直接、ゼレンスキーと対面で交渉すればいいだけじゃないですか。これ以上、両国の未来ある若者を殺さないでほしいです。何より、ロシアはウクライナで戦争犯罪を犯しているんですよ、兵士ではない民間人を拷問して殺しているのです。どっちがジェノサイドだ!絶対に許せません。ロシア国内でもっともっと反戦の動きが出ることを願っています。プーチン、あなたは人の命を何だと思っているのですか?傲慢にもほどがある!

佐佐木幸綱選

質問に応えるけれど答えない術を学べる国会審議         西条市 村上敏之

廃鉱の村は緑に取り込まれ竹がトタンの屋根突き破る       出雲市 塩田直也

 一首目、その通りですよね。説明すると言いながら、全然説明になっていなかったり、もう安倍元総理時代から、国会審議が、まるで意味をなしていない、のらりくらりの答えばかり。本当、それは答えていないでしょというものばかり。情けないですよね、政治家がこの程度なんだから、日本が斜陽になるのも当然です。二首目、その斜陽の国土の廃墟状態がこれです。空き家はどんどん増えて、もう人も入れない状態になっている。きっと、タヌキやキツネ、ハクビシンが住み着いているのでしょう。

高野公彦選

どや顔で夏がズズンと入り来ぬ宅急便にドア開けたれば      鎌ヶ谷市 大島悠子

掃除して一晩寝かせ礼をしてレンジを置きぬごみ回収日      さいたま市 斎藤宏遠

 一首目、真夏に宅配が来てドアを開ける、その光景が目に浮かびます。彼ら配達員は、この無茶苦茶暑い中、外で働いているんですよね。本当に頭が下がります。いつもありがとう。二首目、うちの方では、50センチ以下なら小型家電で、それ以上なら粗大ごみで申し込まないと取りに来てくれません。でも、最近は本当にレンジをよく使いますから、台所では相棒のような存在。まずはお礼を言ってお別れしなくては。私は一人暮らしで、最近は歯が弱ってきているので、歯科医からはあまり噛まないものを食べる様にと言われています。歯だけは、絶対に回復しないものなんです。噛めば噛むほど、すりきれる。肉ならひき肉と言われ、ひき肉レシピ本を取り寄せました。そして一度に作ってストックしてという工夫をするようになりました。これ以上、歯の状態を悪くさせないために努力が必要です。以前は歯間ブラシを使っていましたが、最近は水流で落とすウォーターピックを使っています。歯科医にも、どんどん使って大丈夫とお墨付きをもらいました。けっこうごそっと歯の間のカスが取れるんですよ。赤ワインやコーヒーの着色までは取れないんですけど、使った後は気持ちいいです。おすすめですね。

「いくらでも女性は嘘をつける」と言い要職に就く まだそんな時代だ 町田市 村田知子

大根にも葱にも泥がついていた釣り銭のざるありし店先        観音寺市 篠原俊則

 一首目、杉田水脈議員のことですよね。男だって嘘をつくし、その人によるんじゃないの?こういう考えの女性が、女性の足を引っ張ってるんですよ。この国では、もっともっと女性が社会で上にいなくてはいけないのに!彼女が国会議員でいることが本当にあり得ないんですけど。嫌な言い方だけど、こういう人は女の腐ったのというのか、男の腐ったのというのか、どっちだ?ワンバックのスピーチを聴かせたいですよ。もう、自民党の政治には何も期待できないし、失望だらけです。よくもまあ、旧統一教会と手を組んで、おろかなことをしてきたものですよ。票のためには何をしてもいいなんて、そういう人間が議員でいるなんて、許しがたい。二首目、懐かしい釣り銭のザル!亡母の実家の八百屋にありましたっけ。うちは母の実家のすぐ裏だったから、よく手伝いに行きました。もうとっくに、八百屋は廃業しちゃったけれど、昔の商店街の活気は、今はなかなか見られなくなりました。八百屋にはネズミ除けで必ず猫を飼っていたせいか、私は子どもの頃から猫好きでした。小学校高学年から中学までだったかな、母の実家のお風呂を薪で焚いて1回50円のバイトをしていました。野菜などが入っていた木の箱を解体して使うんですよ。あの木戸をあけて・・・。祖父の死後は実家は廃業してビル建てちゃいましたっけ。もう、何年も故郷に帰っていません。両親が亡くなっているし、実家も姉家族が建替えちゃっているし、両親が引っ越した高尾の家はもう売却して、ああ、私は根なし草かな・・・。ま、それも自由ってことですね。

 

 


朝日歌壇9月18日

2022年09月19日 16時44分10秒 | 短歌

永田和宏選

人数や動画再生回数で数値化されてしまう感動          大津市 佐々木敦史

ウクライナのニュースに馴れてゆく炎暑 ベトナム戦争の頃のようだね 名古屋市 水岩瞳

 一首目、昔では考えられない基準が生れているんですね。「いいね」を押したり、何度も動画を見たり。その動画も、早送りで見るっていうのですから、びっくりです。私は早送りはドラマを録画したときのCM飛ばすくらいです。感動って、そんな簡単なものじゃないと思いますよ。二首目、ベトナム戦争とは懐かしい。太平洋戦争ではアメリカは戦勝国で、日本という専制国家(軍政というべきか)に民主主義を教えてくれましたが、それ以降、朝鮮戦争からあとは、戦争を始めてもいい結果にはなっていません。そうこうしているうちに、中国という民主主義ではない国が世界を動かそうとしているのは、アメリカだけではなく、自由主義陣営は脅威を感じていますが、どうにもならないみたいですよね。みんなバラバラで、ウクライナを侵略して戦争を始めたロシアを追い込むこともできない。それぞれの国のエネルギー問題が、ロシアを頼るしかない状態だから。でも最近ではウクライナが優勢になっているから、希望はあります。暴漢が牛耳る世界なんか、誰だっていやですよ。私たちが本気で戦わなければならないのは、地球温暖化とか、そういうもののはず。だから、早く戦争が終わってほしい。ライフラインを破壊する行為は、もうやめてもらいたいです。ロシアで反戦運動が大きくなることを祈ります。

佐佐木幸綱選

「昭和館を守れなくてごめんなさい」焼失直後の名画座館主    北九州市 福吉真知子

 火事で焼失した小倉昭和館。北九州市の旦過市場は、4月にも火事があり、先月の火事ではその時よりももっと大きな被害だったそうで、80年も続いていた昭和レトロな映画館が焼け落ちてしまったのです。とても貴重な機材もあったのに、本当に悲しいです。館主の女性は、何度も焼けた跡に足を運んでいるとのこと。そして、今は台風14号が九州に上陸しました。大丈夫でしょうか?この日本という国は、地震もあれば台風も来る、災害列島です。どれだけ人はつらい思いをしなくてはならないのか・・。残念なことですが、一番大事なのは命です。生きていれば、希望もきっとあるはずですから。

高野公彦選

一期目の民生委員の三年に八人見送り二期目を迷う        観音寺市 篠原俊則

菜園の余剰作物持ち歩く妻はわらしべ長者なりけり        長野県 千葉俊彦

 一首目、民生委員の任期は三年なんですね。コロナ感染で亡くなる高齢者も多かったと思います。この民生委員は、私の地元では年齢制限があるのです、70歳以下というものです。政府が人生100年時代とうたっていながら、こういう年齢制限があるのって、おかしいと思いませんか?公民館運営委員もそうなのです。公民館活動している人のほとんどが70歳以上だというのに、なんとばかばかしい規定でしょう。国会議員なんて70歳以上、ごろごろいるくせに!篠原さん、きっとほかになり手がいないと思いますよ。民生委員も大変な役目で、誰もやりたがらない。でも、誰かがやらないといけない。つらいところですね。二首目、私もその菜園の作物、たまにいただいています。ありがたいことです。私は戸建てに住んでいた時に庭に畠を作って頑張りましたが、挫折しました。マンション暮らしでもう、猫草しか栽培していません。でも、自然に触れて自然を学べる原点ですよね。ものづくりを楽しみましょう!人にも喜ばれるし。


朝日歌壇9月11日

2022年09月11日 20時14分32秒 | 短歌

高野公彦選

スパシーバ私がわかる唯一のロシア語なのに使いたいのに   京田辺市 藤田佳予子

戦争は祈りだけでは止まらない 陽に灼かれつつデモに加わる 東京都 十亀弘史

 一首目、スパシーバはロシア語で「ありがとう」です。パジャールスタは「どういたしまして」。ほかにも、ドブレウッドラとかスパコイノイノウチ?だったかな、姉に教えてもらいました。姉は大学時代に休みの度に長野県の山田牧場のペンションでアルバイトをしていて、その時にロシアのお客さんから教わったそうです。ロシアが、戦争前に早く戻ってほしいと思います。二首目、私も数年前に国会デモに叔父とともに参加しました。初めてでちょっと興奮しましたっけ。国葬の件も、そうですよ。国民の声をあえて聞かないのか、デモを起こしても通じないのか、この国は、おかしいです。でも、声を上げなくては、黙っていては「YES」と言ったことになるなんて、おかしい世界ですよね。常に反対意見を言わないと、その声を届けないと、届かないかもしれないけれど、届けようとしないと、何も変わらないのです。がんばりましょう!この歌は、他の選者全員も選んでいるんですよ!

永田和宏選

一年前の自分と比べ衰弱す想像なすだに怖し五年後       和泉市 長尾幹也

昔から思っていたがベーブ・ルース ベースボールと似すぎてないか 東京都 伊東澄子

 一首目、後期高齢者となると、こういう思いはみんな感じているんだと思います。ひところは、ダイエットとかメタボとか言われていても、これからはフレイルになるといけない、なんて180度変わるんですよ。コロナ禍で余計、そういう恐れが出てきました。家にいても、筋トレやストレッチを欠かさず、健康に気をつけましょう。二首目。確かにそうですね、面白いと思いました。調べたら、ベーブというのは愛称で、童顔のことだそうです。ルースは本名。たまたま、そうなってしまったんですね。

馬場あき子選

背中より空冷ファンの音させて業者は来たり猛暑の二時に    小金井市 神蔵勇

戦争で分かったことが一つある国国に大量の武器のあること   川崎市 宇藤順子

 一首目、今年の夏は異常なほどの猛暑でした。そんな中、外で作業する業者は本当に大変だったはずです。頭が下がります。宅配業者も同じです。午後二時なんて、防災無線では外に出るなという時間帯ですよ。どうか、お体をお大切にと申し上げたいです。二首目、ロシアのウクライナ侵攻で、各国のいろんな武器がニュースになりました。ロシアは武器が足りなくなって、北朝鮮からもらうそうですが、北朝鮮の武器はロシア語?朝鮮語?まあ、旧ソ連のタイプならロシアは使えるのでしょうけれど、北朝鮮に借りを作れば、ロシアもこの先、大丈夫なのかなあと正直、ザマーミロと思います。とにかく、核兵器は抑止力にならないということが、この戦争でみんな痛感しましたよね。もう、いい加減にそんな無駄なこと、やめませんか?私が一番怖いのは、戦争で人間に殺されることよりも、AIなどロボット兵器に殺されることです。確かに、人間同士の殺し合いでは、お互いの精神的なダメージは大きい。心が壊れると思います。だからといってAIにそれを任せるのって、おかしいですよ。AIは人を助けるために使うものであって、人を殺すためのものじゃないはずです。鉄腕アトムが悲しむよね。平和の世紀だと思っていたら、あちこちで虐殺が起きています。怖いです。もう、いい加減にしてほしいです。

 今日は、あのアメリカの9.11テロがあった日です。もう21年前のことです。新聞のどこにもそのことが載っていなかったのが、残念でした。私にとっては、今も忘れられない事件です。確か、夜のニュースで堀尾アナウンサーが伝えているその画面を見て、すごくショックを受けました。

 この世界で、どうして格差が生まれるのか、どうして差別が起こるのか、どうして、人は自分以外のことに無神経なのか・・・。もう、性善説では何事も計画してはいけないということなのでしょうか。そうであれば、生きているのが苦しくなりますよね。私は、知らないということは罪じゃないかと思うのです。


朝日歌壇9月4日

2022年09月04日 12時41分06秒 | 短歌

佐佐木幸綱選

枝打ちの我が胸元に子かまきり純真無垢のそのうすみどり   国分寺市 上田豊喜

放射線治療の夫が日傘デビュー今年の夏は特別暑い      東京都 浅賀裕子

 一首目、植木職人の方でしょうか、それとも、ご自宅の植木の手入れで、自分の胸についていた子かまきりをとてもやさしい目で観察した姿が、素敵ですね。しっかり育ってほしいという親心を感じます。昆虫すごいぜの香川照之が、セクハラでテレビからしばらく消えることになってしまい、ちょっと残念です。酔っぱらって、お店の女性を昆虫のようにめでてしまったということなのでしょう。子供向け番組だけは続けてほしいと思いました。二首目、亡夫も放射線治療を受けていました。30日とか40日とか、毎日連続して受ける治療なのです。この猛暑の夏に通院するのは大変だったと思います。最近では男性の日傘もよく見かける様になりました。私も、今年日傘デビューしました。

高野公彦選

コロナ禍に猛暑日つづく外出は今日も直行直帰なりけり    熊谷市 内野修

人間ものせたらいいのかもしれないきけんゆうどく生物図かん 奈良市 山添聡介

 一首目、私も同じような日々を送っています。なかなかコロナ禍が終息しないから、堂々と外出を楽しめないのが悲しいです。国立公文書館の古文書の展示を見たいと思っていたのですが、まだまだコロナ感染者が激減とまでいかないので、断念しました。HPを見たら、空調設備も故障でこんな暑い中、無理だろって思いましたけど。二首目、プーチンが起こしたウクライナ戦争、とんでもなく地球に危機をもたらしています。子どもの読んだ短歌ですが、本当にそうだよねと共感しました。この歌は、永田和宏氏、馬場あき子氏も選んでいます。

永田和宏選

処理水の海洋放出ふくしまの沖の魚らは何も知らない     福島市 美原凍子

政治家のレベルは所詮その国の民のレベルと聞くは哀しき   横浜市 道蔦静枝

 一首目、この話を新聞やニュースで見て、ショックを覚えました。いまだに東日本大震災の原発事故は終わっていません。それなのに、また再稼働って、おかしくないですか?地球を滅ぼす核、もういい加減にやめないと大変なことになります。二首目、この国の政治家はひどいものですよね。それなのに、世界的に見てもあまりに高給取りなのが、おかしいです。旧統一教会との関係だって、本当に断てるのか、疑問です。いっそのこと、あれだけの問題を起こし、裁判でも旧統一教会は敗訴しています。そういう組織を宗教団体として認めたままでいることこそ、おかしい。私には、オウム真理教と何の違いもないように思えます。ぜひ、今回の件を機会に、宗教団体の認可を廃止してほしいです。まるで反社会的組織ですよ、暴力団と同じです。

 


朝日歌壇8月28日

2022年08月28日 16時52分07秒 | 短歌

馬場あき子選

ピョンピョンと虫けらたちがおじぎして我にことわりトマトをかじる  彦根市 田中祐二

 いやー、虫たちにおじぎされたら、食べさせてあげたくなりますよねえ。とてもユーモアがある情景で、大好きです。

佐佐木幸綱選

無機質に人数告げるコロナ死の中の一人は我の義兄(あに)なり    八王子市 本田修文

青大将梁から落ちただけですとやおら畳をするするとゆく       京都市 八重樫妙子

 一首目、ただのデータの中には、知人や親せき、家族がいると想像するととても悲しい。日本のコロナ対策は失敗しているとしか思えません。岸田総理もかかったくらいですから、本当に身近にコロナがいますよ。大丈夫なのでしょうか。私は日本の政策は信用できません。でも、4回目のワクチン、打っちゃいました。二首目、普段は人の目につかないように過ごしている青大将も、ちょっとドジっちゃったのでしょうね。なんともおかしい感じがします。

高野公彦選

かさばれる古書のリュックを抱えつつ時忘れけり岩波ホール     我孫子市 松村幸一

国葬の国費があれば幾人の孤児の食事が作れるだろう        観音寺市 篠原俊則

断捨離ができるのは今後もっと良い思い出が増える自信ある人    東京都 上田結香

 一首目、あの岩波ホールがなくなるんです。私も若いころ、観に行きました。神保町にあるので、古本屋もたくさん寄れるし、楽しい街ですよね。その大きな楽しみが一つなくなるのは寂しい。二首目、本当にそう思います!旧統一教会と自民党とのずぶずぶな関係が明らかになっているのに、それでも国葬にするという無神経さに腹が立ちます。自民党を解散した方がいいですよ。票のためならなんでもするという節操のなさは、議員としてどうなのかと思います。反社会組織とつるんでいるわけですよね。これがヤクザだったら法律違反ですよ。私は旧統一教会は、ヤクザといっしょだと思っていますから。人権を無視したとんでもない組織です。それにお墨付きを与えていたのが自民党でしょ。三首目、そういう考えもあるんだと思いました。確かに、そうですね。この国の未来は全然明るくないし、コロナも終息しません。私にも、もういい思い出なんかなさそうな日常です。還暦過ぎたら欲もあまりなくなりました。ただただ、夏の暑さが堪えます。この先、こういう非情な夏をいくつ経験しなくてはいけないのでしょうか、恐ろしいです。少しでも涼しさを感じるのなら、幽霊もありがたくなる?ならないなあ・・。

永田和宏選

網膜に何を焼き付け逝くのだろうウクライナ兵もロシアの兵も   つくば市 小林浦波

資源ゴミ回収の朝百科事典栞を挿(はさ)んだまま出されており  川越市 西村健児

 一首目、死んで行くのは若者です。どっちの国にしろ、悲しいことです。いったいどうして、こんな戦争をプーチンが起こしたのか、本当に許せないです。これ以上、若者の未来を奪わないでほしいです。人間の感覚で最後まで残るのは聴覚だといいますが、戦争で亡くなるときは、爆撃の音などでとても最後の音なんて言える状況ではありません。無残に殺されるのが本当に悔しいです。二首目、昔はどの家庭にも、「百科事典」がありましたよね。子どものころ、うちにもブリタニカがありましたっけ。でも、今となってはインターネットでなんでも調べられますから。それでもわからなければ、図書館に行けばいい。もう、百科事典も、何かの重しにするとか、別のことに使われてしまいますよね。ひもで縛って出すのも、相当重そう・・・。時代が変わったと実感します。それでも、分厚い本をぱらぱらめくるのは、わくわくするのですよね。私は未だに紙の本が好きです。電子本は買ったことがないですね。    


朝日歌壇8月21日

2022年08月22日 17時45分30秒 | 短歌

永田和宏選

ラジオから古いユーミンの曲流れ脳の奥から歌詞が染み出る    尾道市 森浩希

「時刻表覚えんでええんやで」東京に進学したる哲っちゃん言いき 東京都 岡 純

 一首目、きっとNHKFMの今日は一日ユーミン三昧を聴いたのではないでしょうか?私も大好きです。青春時代を思い出しますよね。私は俳句で「ユーミンの歌がきこえるうろこ雲」と詠みましたっけ。二首目、地方の電車は本数が少なくて、時刻表を覚えておかないといけない日常から、東京の電車の本数の多さで覚える必要がなくなったのですね。私の地域では、青梅線はそんなに覚えなくてもいいけれど、八高線は覚えておかないと30分に1本だから大変。先日は、全国のJRの赤字路線が発表されましたが、大人以外、通学で必要な場合は電車がなくなると本当に困りますもの。四国でしたっけ、世界で初めてのバスが線路も走れるという車両が運行されてとても重宝しているとか。線路はそのまま生かしてほしいですよね。

馬場あき子選

病身の歩みは遅し人去りてインターホンに夏の雨聞く       和泉市 長尾幹也

小松菜にストレスによる斑点出づ生くる苦しみ人のみにあらず   柏市 正野貴子

 一首目、病気で体がすぐには動かない状態で、訪問を知らせるインターホンが鳴って、諦めて訪問の人が去ったあとに、雨の音がしたという、ちょっと寂しくもコミカルな描写にいいなあと思いました。でも、そんなに急がなくていいんですよ。自分の体を優先させて。本当に必要なら、相手は待っているはずです。二首目、野菜もストレスでおかしくなるんですね。かわいそうです。モーツァルトを流せばストレスも減るのかもしれません。

高野公彦選

みんみんのにぎやかに鳴く水辺にて合ひの手入るる牛蛙あり   熊谷市 内野修

オンラインの後遺症かな無反応な学生を前に対面講義す     千葉市 岡部統子

 一首目、ジブリの世界のようですね。夏のさなかのミンミンゼミとウシガエル。自然が残っている証拠です。私の住んでいるところでは、蛙はあまり見ないのですが、玉川上水沿いの木々に蝉が合唱しています。蝉しぐれっているのでしたっけ。蛙の声は、好きですねえ。昔、高尾山ろくに住んでいた両親の家に行く途中、田んぼがたくさんあって、蛙の声がしきりにしていました。今は圏央道などで田んぼもなくなり、親の家も売却してしまいました。駅からの長い道のりを、蛙の声を聴きながら歩くのは楽しかったなあ。二首目、オンライン授業ばかりで、対面の講義の受け方を忘れちゃったのでしょうか。リモートの枠付きの習慣が抜けないとか。リアルな対面に早く慣れてほしいですね。


朝日歌壇8月14日

2022年08月14日 19時54分18秒 | 短歌

高野公彦選

ゼレンスキー氏がユニクロのに出るようなそんな日が早く来てほしい 前橋市 西村晃

「民主主義守る国葬」国会の議論も経ずに決定をする        観音寺市 篠原俊則

 一首目、私もそう思いました。戦争が終わって、ウクライナに平和が戻ったら、ゼレンスキー氏のユニクロ姿は本当に世界中に風を起こすでしょう。早く、戦争がウクライナの思うように終わってほしいと思います。彼こそ、ユニクロがとても合う人物だと思います。この歌は永田和宏氏も選んでいます。これからは、多様性が当たり前の世の中になるべきなんですよ。暴力で国を治めるなんてもってのほかです。ロシアの人々が、真実を知って行動する日が来ることを願います。専制国家、独裁国家、それは都合の悪いことを国民に知らせない国家なのです。中国も同じなのではないでしょうか。中国がロシアを正面切って反対しなかったのは、台湾のことがあるからです。でも、暴力で領土を奪う時代はもうすでに終わっているのです。こんなことが許されるわけではありません。何より、そういうことをするロシアと中国が国連の常任理事国というのがありえないのです。別の組織を作るべきでは?とはいえ、アメリカもまたトランプが大統領になったら、それこそ民主主義が後退してしまうのですから、恐ろしい!中絶禁止というのは、女性の人権を否定しています。宗教の原理が政治を動かすのは間違っています。旧統一教会も、キリスト教原理主義も、イスラム教原理主義も・・・。暴力はテロですよ。絶対に許されません。中絶禁止も、ある意味では暴力だということをお忘れなく!二首目、安倍元総理や自民党の国会議員が、旧統一教会との関係があることが白日の下にさらされましたね。そして最近は韓国での旧統一教会のイベントで安倍元総理の追悼が行われたということです。そんな中、日本で安倍元総理の国葬が行われようとしていますが、国民はみんなが賛成しているわけではありません。私は反対しています。そもそも、桜を見る会、森友加計問題など、本人が説明をしないままうやむやになってしまったことが多すぎます。彼こそが、民主主義を壊した張本人ではありませんか。官僚に忖度させて、我が世の春か知らないけれど、税金を使って自分たちの思うようにふるまった。こんなことは許されていい訳がありません。共謀罪という、テロ防止法というけれど戦前の特高の再来かと思えるような気持ち悪い法律を作ったのも彼です。言論の自由が脅かされています。今のメディアも、忖度ばかりしているじゃないですか。これって、戦前の日本と同じようになりかねません。怖ろしいことです。日本の戦争放棄と核兵器反対を絶対に守っていかなくては、先の戦争の反省もなにもあったものじゃないですよ。武力で領土を拡大するという前近代的な手段は絶対に許されないのです。ロシアを許すことはできません。常任理事国は、そういうことをしたら権利を剥奪するという規定を作らなかったのがおかしいですよね。なんのための国連なのでしょうか。

馬場あき子選

明日は抜く奥歯にメロンを味わわせ八十年の労をねぎらう    蓮田市 斎藤哲哉

 64歳で私も奥歯を抜く経験をしましたよ。歯はとっても大事な老後の指標なんですよね。大事にしないといけません。でも、無理して残してもっと悪くすることもある。だからこそ、いい歯科医に巡り合うことが大切なのです。私は経験しました。ネットの口コミがかならずしも頼りにできないことを。歯科医は、それこそ、地域の人たちの評判が大切なんです。ネットは信用できないというのが、私の体験でした。噛む力をなくしてはいけません。噛むことで脳が刺激を受けるのですから。だからこそ、いまある歯を残す工夫をしましょう。亡夫は末期がんで部分入歯がうまくいかなくて食べることを諦めました。これが死期を早めたと思っています。

佐佐木幸綱選

野仏に供える黄菅二本剪り今日の畑の仕事を終う        蓮田市 斎藤哲哉

 あらー、馬場あき子選の歌と同じ作者でした。こちらの歌は、農作業の様子がのどかで素敵です。野仏というのは、道祖神のようなものでしょうか。こういう土着の宗教心が、ほんものなんだなーと思いました。そう、旧統一教会とは全く別物です。

 私は1957年生まれで、一浪して私立大史学科に入りました。新入生にはサークルの新歓が盛んでしたから、怖いほどいろんな勧誘がありました。私の頃でも、例の旧統一教会の関係だという原理研には注意しろという話がありました。でも私はよくわからない東洋思想研究会というのに誘われて、すぐにそこから離れましたが、いま調べてみると、それは創価学会系だったようです。私はもともと宗教は信じていません。早く離れてよかったです。そもそも宗教というのは、死の恐怖を柔らげるために存在するものだと思っています。歴史を見れば、宗教戦争は日本でも西洋でもたくさん起こっています。聖戦を許容すること自体、宗教の教義にもとるはずなのに・・。隣人を愛せとかいうくせに、おかしいでしょう。相手を殺すことが、相手にとっての救済だというのはひどいすり替えですよね。人を殺すことは、どんなことがあっても許されることではありません。戦争もしかりです。ブチャの虐殺が、白人ではなく、アジア人の顔をしていたということですが、それは本当でしょうか?人種差別につながるのではないでしょうか。人種がどうあれ、それはあってはならないことです。あの先の戦争で、広島と長崎に原爆が落とされたのは、日本人が黄色人種だったから?

 

 


朝日歌壇8月7日

2022年08月07日 21時00分38秒 | 短歌

佐佐木幸綱選

レプリカの竪穴住居の入口に消毒用のアルコールあり   松戸市 遠山絢子

下町の小窓の部屋のワンルーム暑さに耐えて履歴書を書く 横浜市 徳元てつお

 一首目、縄文時代の建物のレプリカに、新型コロナウイルス対策の消毒用アルコールという取り合わせが、とてもきいています。この歌は高野公彦氏も選んでいます。二首目、これが現実なんだと悲しくなるけれど、応援しています。私も下町出身なんですよ。

高野公彦選

枝先にモリアオガエルの袋ありふくらむ中は生命(いのち)の宿坊 飯田市 草田礼子

 モリアオガエルの卵のかたまりを宿坊と表現したのがすごいと思いました。言い得て妙です。この歌は馬場あき子氏も選んでいます。

馬場あき子選

「抑留」を訊けど多くを語らずに父は白寿を生きて逝きたり  南丹市 中川文和

五歳にて空襲により気絶せしわれただ祈る戦争の終結     入間市 有賀政夫

 昨日はヒロシマに原爆が落とされた日でした。8月は特に、戦争と平和について考えることが多い月です。この二首も、戦争のことがテーマです。抑留といえば、ソ連のシベリア抑留のことではないでしょうか。相当多くの日本兵捕虜が強制労働で亡くなりました。戦争を生き延びたのにです。多くの兵は、南洋などで補給もなく餓死に追い込まれていました。こういう無謀な戦争をした日本軍の上層部は、戦後にきちんと罪を償ったのでしょうか、疑問です。押し付けられた日本国憲法と言われていますが、庶民はこの戦争を二度と起こすまいとして「戦争放棄」を選び、男女平等をとてもありがたく思ったに違いありません。自由と平等が、どれだけそれ以前の社会と違ったものだったか。それなのに、今もあの当時の社会に戻ろうという考えがあるのが、本当に腹が立ちます。家父長制度がそうです。LGBTの否定もそうです。多様性が尊重されるべきなのに・・。もう二度と戦争をしてなはいけないのです。日本人はそれを心から望んでいたはずなのです。平和の尊さを、再認識しなくてはいけません。どれだけの犠牲のもとにこの平和が訪れたのか、もっと考えなくては。

 私はこの朝日歌壇で以前にも書きましたが、子どもが詠んだからといって、紙面に載せることに違和感を感じています。今回も、「編集者さんに初めて会いました一緒にひみつきちに入った」という歌が選ばれていますが、これはこの歌を詠んだ子供と親たちの家族の歌集が出るからこういう歌が詠まれたのでしょう。でも、これって、暗に歌集の宣伝になっていませんか?紙面でこういうことをするのはどうかと思います。私はいやですね、馬場あき子さま。

 自分の短歌の勉強にもなるし、面白いからと続けてきたこのコーナーですが、面白さ以外に、ネガティブな思いが出てきてしまいました。もうやめたほうがいいのかもしれませんね。