生命哲学/生物哲学/生活哲学ブログ

《生命/生物、生活》を、システム的かつ体系的に、分析し総合し統合する。射程域:哲学、美術音楽詩、政治経済社会、秘教

タバコ喫煙による公害(1)

2014年08月21日 16時58分09秒 | 原発を無くす
2014年8月21日-5
タバコ喫煙による公害(1)

1. 喫煙支持と喫煙否定の論証式

  「喫煙支持と喫煙否定の論証式を作ってみた。

提案「喫煙は人間にとって有用である」
理由「心の安らぎを与えてくれるから」
喩例「心の安らぎを与えてくれる音楽を聴くことは、人間にとって有用である」
適合「同様に、喫煙も心の安らぎを与えてくれる」
結論「したがって、喫煙は有用である」

提案「喫煙は人間にとって無用である」
理由「健康を害するから」
喩例「健康を害する過度の飲酒は人間にとって無用である」
適合「同様に、喫煙も健康を害する」
結論「したがって、喫煙も不要である」
(桂紹隆 1998/10: 136-137)。

 下記の「先の論証式」とは、上記の論証式のことである。

  「先の論証式をダルマキールティ流の二支論証に書き換えてみる。

【論証式一】
遍充関係:「およそ心の安らぎを与えてくれるものは人間にとって有用である。例えば音楽の如し」
主題所属性:「喫煙は心の安らぎを与える」
結論:「したがって、喫煙は有用である」

【論証式二】
遍充関係:「およそ健康を害するものは人間にとって無用である。例えば飲酒の如し」
主題所属性:「喫煙は健康を害する」
結論:「したがって、喫煙は無用である」

 論証式一の遍充関係が成立するか否かは、「有用」ということばの概念規定に大きく依存するはずである。「心にやすらぎを与えてくれても有用でないものもある」と考える人もいるかもしれない。主題所属性についても同様である。気持ちがイライラしたときにタバコを吸って、かえってイライラがつのった経験のある人もいるはずである。したがって、論証式一はあまり説得力のある文章と言うことはできない。
  一方、論証式二の遍充関係は、おそらく誰もが認めるところであろう。主題所属性の方が、肺ガンなどの患者を調べれば、かなりの確率で正しいと言えるであろうが九十歳を過ぎても喫煙と飲酒の習慣を続け、すこぶる健康な大先生もおられる。したがって、論証式二も百パーセントの説得力をもつとは言えない。」
(桂紹隆 1998/10: 320-321頁)。


2. タバコ税

  「酒やタバコには税金がかかっています。 なぜ税金をかけるのかというと、健康のために、酒とタバコの消費を抑制するために税金をかけているのではなく、税源が安定しているから、 つまり税率を引き上げても、お酒を飲む量を減らしたり、タバコの本数を減らしたりしないから、税をかけているのです。」
(佐和隆光 2013/9: 46頁)。

 いっだったかの値上げでタバコ消費量は減ったはず。

3. 日本人喫煙率の推移

  「平成24年の調査では、日本人の喫煙率は20.7%で、昨年より上昇しました。
 男性の喫煙率は34.1%で、やや増えており、20歳代~40歳代が増加しています。
 一方、女性の喫煙率は9.0%で、20歳代から50歳代が12%前後で、それ以降は低い値を示しています。
 男性に比べ、平成元年より9~12%の間を上下しながら漸減しています。
 」
http://www.health-net.or.jp/tobacco/product/pd100000.html[受信:2014年8月21日。]
とのことだが、

  「 たばこ産業の「平成25年全国たばこ喫煙者率調査」によると、成人男性の平均喫煙率は32.2%でした。 これは、昭和40年以降のピーク時(昭和41年)の 83.7%と比較すると、45年間で51ポイント減少したことになります。 年代別にみると、急激な喫煙率の減少傾向が見られる60歳以上は23.8%で、 ピーク時(昭和41年)より54ポイント以上も減少しました。また、平成25年の喫煙率が一番高い年代は40歳代で41%でした。

 成人男性の喫煙率は、この19年間、減少し続けていますが、諸外国と比べると、未だ高い状況にあります。

 これに対し、成人女性の平均喫煙率は10.5%であり、ピーク時(昭和41年)より漸減しているものの、ほぼ横ばいといった状況です。 平成25年の喫煙率が一番高いのは30歳代の14.5%、最低は60歳以上の6.3%です。

 若い女性の喫煙率の増加は、青少年の喫煙と同様に、いま世界各地で大きな問題として取り上げられており、 世界全体で取り組まなくてはなくてはならない問題です。「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」の会議において、 「たばこの煙にさらされることからの保護に関するガイドライン」が採択され、喫煙・受動喫煙による健康被害についての普及啓発を積極的に行なっています。」
http://www.health-net.or.jp/tobacco/product/pd090000.htmll[受信:2014年8月21日。]

喫煙率は20%を切ったらしい。


4. タバコ中の放射性物体

 「在来種
主産地は茨城県、福島県をはじめとする東日本主体。
「葉たばこ」の種子が日本に伝えられて以来、日本の気候風土の中で、時間をかけて改良された、日本独自の種類です。 葉肉が薄く、喫味がやわらかで、紙巻たばこの原料としても効果的に使用されます。」
http://www.jti.co.jp/tobacco-world/journal/process/01/01.html


 バーレー種及び在来種葉たばこ(乾燥済)の放射性物質検査結果〔20111018_02〕
http://www.jti.co.jp/news/radiological_inspection/pdf/20111018_02.pdf

 黄色種葉たばこ(乾燥済)の放射性物質検査結果〔20110906_02〕
http://www.jti.co.jp/news/radiological_inspection/pdf/20110906_02.pdf


 2011年 国産葉たばこに関する放射性物質の検査について
http://www.jti.co.jp/news/radiological_inspection_20110906.html


 2011/10/18
 2011年 国産葉たばこに関する放射性物質の購買前検査完了について
http://www.jti.co.jp/news/index.html

 日本たばこ産業
http://www.jti.co.jp


□ 文献 □
[か]
桂紹隆.1998/10/25.インド人の論理学 問答法から帰納法へ.x+333pp.中央公論社.[本体940円+税][B19991124]

[さ]
*佐和隆光.2013/9/4.IV エコ製品が経済成長を牽引する.ロビンス,エイモリー・新原浩朗・福山哲郎・佐和隆光・村上憲郎・槌屋治紀、『再生可能エネルギーがひらく未来』: 45-54.

[ろ]
*ロビンス,エイモリー・新原浩朗・福山哲郎・佐和隆光・村上憲郎・槌屋治紀.2013/9/4.再生可能エネルギーがひらく未来.71pp.岩波書店.[本体560円+税][ざっとRh20140819][ob]

桂紹隆『インド人の論理学』から/ウパニシャッド

2014年08月21日 16時18分18秒 | 秘教/オカルト科学
2014年8月21日-4
桂紹隆『インド人の論理学』から/ウパニシャッド

  「ウパニシャッドの思想の中核をなす「神秘的同一化の原理」(アーデーシャ)によれば、大宇宙にあたる自然界の諸要素と小宇宙と考えられる人間の諸機能、さらに、祭儀の諸構成要素との間に一対一の対応関係があるとされる。」
(桂紹隆 1998/10: 85-86頁)。

  「ホートリ祭官=ことば=火神という神秘的直観にもとづいて正しく実施される祭祀は、祭主を天上界へ導き、大宇宙と合一させ、離脱させるというのが、ヤージュニャヴァルキヤの真意であろう。」
(桂紹隆 1998/10: 86頁)。

 桂紹隆(1998/10: 86頁)にしたがって、対応表を作ると下記の通り。

対応表(ヤージュニャヴァルキヤによる)

  ホートリ祭官=ことば=火神
  アドヴァリユ祭官=目=太陽
  ウドガートリ祭官=気息(プラーナ)=風神(ヴァーユ)
  ブラフマン祭官=思考力(マナス)=月

 
□ 文献 □
桂紹隆.1998/10/25.インド人の論理学 問答法から帰納法へ.x+333pp.中央公論社.[本体940円+税][B19981124]

国債暴落後に備えよう(1)

2014年08月21日 15時44分32秒 | 原発を無くす
2014年8月21日-3
国債暴落後に備えよう(1)

 たとえば国債暴落がヘッジファンドなどから仕掛けられて、金融「危機」になる可能性は高い。むしろ、必然だと思う。
 一つの大きな問題は、石油などのエネルギー取り出し資源の輸入が止まることである。
 理想としては鎖国状態でも食料やエネルギーを自給自足することである。
 個人または家族や集団としては、太陽光発電などで、
 家電は一台ごとに、作動に必要なエネルギーを太陽光発電などで自賄いできるようにすることが望ましい。
 

  「金融グローバル化を推し進めて行く際、その基準となったのはいわゆるワシントン・コンセンサスでした。ワシントン・コンセンサスとは、元々は、一九八二年の中南米国際金融危機に際して、 多国籍銀行、IMF、アメリカ財務省等の間で合意された途上国の債務処理を進めていくスキームを定式化したものです。一九八九年に、 アメリカの国際経済学者ジョン・ウィリアムソンが、これを以下の一〇の定義に取りまとめました。

 1 財政赤字の是正
 2 補助金カットなど財政支出の削減
 3 税制改正
 4 金利自由化
 5 競争的為替レート
 6 貿易自由化
 7 直接投資受け入れ自由化
 8 国営企業の民営化
 9 脱規制
 10 所有権法の確立

 このワシントン・コンセンサスは、一九九四年~一九九五年のテキーラ危機、一九九七年~一九九八年のアジア通貨金融危機に際しても、IMF等による救済支援の基準となりました。このため、 ワシントン・コンセンサスは、市場原理主義や新自由主義に基づく政策体系であるとされ、G・ソロスやスティグリッツらはこうした観点からワシントン・コンセンサスへの批判を行いました。〔略〕
IMFのトップ、専務理事はヨーロッパから選ばれるものの、アメリカは常にナンバー2の地位による拒否権を確保しており、WB〔世界銀行〕の歴代総裁は事実上、アメリカ大統領によって指名されてきました。ですから、そこで出される政策体系が、市場原理主義、新自由主義そのものに傾斜していくのは、当然といえます。」
(伊藤正直 2012/11: 30-32頁)。

□ 文献 □
*伊藤正直.2012/11/6.金融危機は再びやってくる──世界経済のメカニズム.69pp.岩波書店.[本体560円+税][ざっとRh201408⁇][ob]



読書録20140821

2014年08月21日 14時43分20秒 | 原発を無くす
2014年8月21日-2
読書録20140821

北原惇.2009/11/20.脱西洋の民主主義へ─多様性・負の自由・直接民主主義.227pp.花伝社.[2,000円+詐欺的税金][B20140409、円]


篠原資明.2013/4/30.差異の王国──美学講義──.1+3+133pp.晃洋書房.[1,500円+税][B20140628、1,620円]


本庶佑.2014/6/18.STAP論文問題 私はこう考える.新潮45 33(7): 28-33.[Rh20140705]


田中聡.2014/5/30.陰謀論の正体!.215pp.幻冬舎[新書].[B20140609、円][Rh20140706]


川添泰宏.1996.色彩の基礎 芸術と科学.美術出版社.[本体価格3,500円+税][B20140709、600+257=857円amz][Rh20140713]


峯村敏明.1992.ニュートンとハイゼンベルクの両空間を生きた芸術家.峯村敏明(監修・解説)、『ルーチョ・フォンターナ展 ― 切り裂かれた空間』: 21-32.[一部Rh2014071?][B20140714、500+300=800円]


バリー,スーザン.2009(宇丹貴代美 訳 2010/12/15).視覚はよみがえる 三次元のクオリア.254pp.筑摩書房.[本体価格1,600円+税][B20140607、1,728円][Rh20140716、Rb20140715]


布施英利.2013/12/20.色彩がわかれば絵画がわかる.220pp.光文社[新書].[900円+税][B20140628、972円][Rh20140717]


宮元啓一.2008/3/20.インドの「一元論哲学」を読む――シャンカラ『ウパデーシャサーハスリー』散文篇[シリーズ・インド哲学への招待].x+194pp.春秋社.[2,500円+税][B20080419][Rh20140714]


*甲斐倫明.2007/9/4.低線量放射線のリスク評価とその防護の考え方.益永茂樹(編)『リスク学入門5 科学技術から見たリスク』: 57-82.[Rh20140714][ob]


*中谷内一也.2008/10/10.安全。でも、安心できない.206pp.筑摩書房.[本体価格700円+税][ob361.4ナ][Rh2014072?]


*堀川大樹. 2013/9/15.クマムシ博士の「最強生物」学講座 私が愛した生きものたち.290pp.新潮社.[本体1,200円(税別)][ob460.4ホ][ざっとRh20140728]


西部忠.2014/5/10.貨幣という謎 金と日銀券とビットコイン.254pp.[本体780円+税][Rh20140807、Rb20140731]


松田裕之.2014/6/15.福島第一原発事故による放射線の健康リスク.海洋と生物 (212): 294-298.[B20140727、1,944円amz][Rh20140802][ICPRにだけ頼っている]


*伊藤正直.金融危機は再びやってくる 世界経済のメカニズム.69pp.岩波書店.[本体560円+税][ざっとRh201408⁇][ob]


東條真人(編訳・解説).2001/5/11.ヘレナ・P・ブラヴァツキー〔著〕シークレット・ドクトリンを読む.339pp.出帆新社[トランス・ヒマラヤ密教叢書].[本体3,500円+税][Rh20140807][c201407??]


明日香壽川・朴勝俊・西村六善・諸富徹.2014/1/31.ハンセン氏らの書簡への反論 原子力発電は気候変動問題への答えではない.8pp.[http://www.cneas.tohoku.ac.jp/labs/china/asuka/_src/2014/nuclear_power-climate_change_jp.pdf[受信:2014年8月4日。]][Rh20140804]

Caldeira, K., Emanuel, K., Hansen, J., Wigley, T. 2013. To those influencing environmental policy but opposed to nuclear power. [https://plus.google.com/104173268819779064135/posts/Vs6Csiv1xYr[受信:2014年8月4日。]][Rh20140804]


影浦峡.2013/11/?.「科学的」であることを市民の側から考えるために――東京電力原発事故と被曝をめぐる「科学」的言説をめぐって.科学 83(11): 1261-1269.[cRh20140811]

長谷川裕子.2011/11/10.「なぜ?」から始める現代アート. 8+199pp.NHK
出版[新書].[本体820円+税][B20121218][Rh20140811、Rb20140808]


関曠野・ 藤澤雄一郎.2014/3/5.グローバリズムの終焉 経済学的文明から地理学的文明へ[シリーズ地域の再生3].279pp.農山漁村文化協会.[本体820円+税][B20140526][Rh20140814、Rb20140811]

関曠野.ベーシックインカムで日本を変えよう― 成長幻想から仏教経済学 ―.http://bijp.net/transcript/article/423[受信:20140812].[Rh20140815][講演会記録]


*秋山豊寛.2011/12/7.原発難民日記 怒りの大地から.79pp.岩波書店。[本体560円+税][Rh20140816][ob]


村田純一.2002/11/28.色彩の哲学.viii+267+6pp.岩波書店.[本体2,900円+税][B20140712、351+257=608円*amz][Rh20140817]


田中優.2013/9/14.電気は自給があたりまえ オフグリッドで原発のいらない暮らしへ.111pp.[本体1,000円+税][B20140613、1,000円、シチズン][Rh20140818]


*ロビンス,エイモリー・新原浩朗・福山哲郎・佐和隆光・村上憲郎・槌屋治紀.2013/9/4.再生可能エネルギーがひらく未来.71pp.岩波書店.[本体560円+税][ざっとRh20140819][ob]
[ 「 酒やタバコには税金がかかっています。 なぜ税金をかけるのかというと、健康のために、酒とタバコの消費を抑制するために税金をかけているのではなく、税源が安定しているから、 つまり税率を引き上げても、お酒を飲む量を減らしたり、タバコの本数を減らしたりしないから、税をかけているのです。 ところが、環境税は何のためにかけるのかというと、税源をやせ細らせるためにかけるわけです。つまり、化石燃料の消費を減らすために環境税をかける。税としては非常に特殊なわけです。そのため、 イギリスでは税ではなく課徴金(levy)という呼び方をしています。 ともあれ、環境税が経済成長を鈍化させるというのが、経産省や日本経団連の年来の主張なのですが、国が税金の使い方を上手にやれば、決して成長鈍化させることがないというのが、私の主張するところです。
 三番目の論点は、原子力発電は温暖化対策の切り札であると、二〇一一年三月一一日までは、経済産業省の方々はお考えだったはずです。ところが、先ほど福山さんがおっしゃった通り、原発はもはや切り札ではなくなった。」(佐和隆光 2013/9: 46頁)。
  「二〇一一年二月七日に〔原発の〕寿命を二〇年延長する、つまり六〇歳になるまで延長することが認められました。三・一一のなんと1カ月余り前のことです。つまり官民挙げて効率化を優先して取り組んできたことが、 このたびの事故の基本的な理由だと私は考えています。〔略〕
  これからの原発のあり方ですが、絶対安全なんてありえないことを肝に銘じておく必要があります。」
(佐和隆光 2013/9: 48頁)。


小林秀雄.1958/4/15.近代繪畫.300+3pp.人文書院.[定價2800圓 地方價2900圓][ob][一部Rh20140820]

秋山豊寛『原発難民日記』を読んだ

2014年08月21日 13時46分42秒 | 原発を無くす
2014年8月21日-1
秋山豊寛『原発難民日記』を読んだ

 2012年6月24日(日)14:00-16:00の、
・秋山豊寛 講演会「原発難民になって」/京都大学農学部W100/主催:NPO法人 市民環境研究所
を聞いた。また、16:30からの秋山さんを囲んでの懇親会/玉蘭/2500円にも出た。
 この席で「何が一番必要か」と訊いたら、秋山さんは、わかりやすい説明文書を作ることが重要だと言っていた。

 なお、講演記録DVDがあるらしい。
  「2012-06-20 17:51:33 | さようなら原発1000万人署名・京都の会
400名の参加者がありました。講演記録DVDあります。お問い合わせは市民環境研究所まで。」
http://blog.goo.ne.jp/543142011/e/2534feb89abb7401e7a9e5d0a3bc727e

 以下に、心に響いた箇所を抜き書きする。

  「暴力的な「近代」アメリカの資本主義が小作農民を、その生まれ育った大地から追いかける状況は、「原発」という「近代の暴力」によって、普通の暮らしをしていた阿武隈の中山間地の人々が、そして私のような零細農民が追い立てられる状況と、構造として無縁ではない感じがした」
(秋山豊寛 2011/12: 23頁)。

  「〝危険と意識しにくい〟危険といつも隣り合わせの暮らしは耐え難いだろう。」
(秋山豊寛 2011/12: 31頁)。

  「政府に国民の健康を守る意思さえあれば、このような高い数値の「暫定規制値」なるものを設定するのではなく、汚染された「食品」は全て、東京電力と日本政府の責任のもとに「処理」すべきなのだ。西日本から東に向けて、必要品の大量輸送するとともに、疑わしい食品の流通を一切許さないという姿勢を取るべきなのだ。「がんばれ東日本」などと言って、汚染された食品を全国に流通させるのではなく、「がんばれ西日本」と言って、西日本の農家に、国民のためにさらなるがんばりを求めるべきなのだ。」
(秋山豊寛 2011/12: 46-47頁)。

  「日本の原子力発電所の増設、展開は、エネルギー政策に基づいている。この「基本計画」は〝総合資源エネルギー調査会〟という経済産業大臣の「諮問機関」が事実上策定しているのだ。そして、この「諮問機関」は資源エネルギー庁に設置されている。資源エネルギー庁は、長官経験者が将来の副社長含みで東京電力に天下ることが有名な役所。この一体化した仕組みに手をつけなければ、〔脱原発は〕本気とは言えない。
 さらに、原子力村の構造は、核燃料サイクルという危険な夢想にも支えられている。〔略〕核を持って大国入りしたいと言う歪んだ夢想だ。そして、これが「歪んでいる」と考えないところに、彼らと国民の乖離がある。
 プルトニウムをすでに大量に保持していることのIAEA(国際原子力機関)の言い訳として、毎年無駄なお金が使われる。」
(秋山豊寛 2011/12: 51頁)。

  「「放射線は怖くない」ことを宣伝する国際組織もある。国際放射線防護委員会(ICRP)と呼ばれている。日本政府に、子供が浴びても良い放射線量を年間一ミリシーベルト中から突然二〇ミリシーベルトに上げるという「基準」をアドバイスしたのも、この国際的シンジケートにつながる連中であることは、間違いないだろう。この組織の勧告は、原子力産業が成立できるように、そこで働く人々を含め、人間が被曝しても良い放射線量の限度を設定することが基本になっているからだ。同時に、核兵器を維持することを可能にする線量の設定にも、事実上かかわっているわけだ。
 こうした国際的バックアップを持つ日本の原子力ムラは、「地震国」日本では「核とは共存できない」といった程度の理由で攻めても、「原発推進」の旗を降ろすはずはない。脱原発の実現のためには、まず焼け太りを許さない論理と、法改正などによる「ムラ」の解体への第一歩。そして「仕方がない」と洗脳された人々の思い込みという汚染の浄化が出発点になる必要がある。」
(秋山豊寛 2011/12: 52頁)。

 ロシアの放射線の専門家らしい人から受けたいくつかの忠告の、
  「もう一つは、甲状腺の影響。若い人だけでなく年配の人も影響を受けるのだから、これも「年をとっているから気にしない」などと思わないように。
 そして最後に、放射線の「許容量などない」という点。怖いのは染色体のDNAへの影響。「特に妊婦は影響を受けやすい」と言う。1991年、チェルノブイリ事故のその後を取材した時のことを思い出す。頭に浮かんだのは、ウクライナで訪れたある病院の標本室に並べられた、実に多くの死産した先天性異常児のホルマリン漬け。いずれも染色体の異常が原因とされるものだ。取材チームは、それをビデオ・テープに収録したものの、到底放映できない残酷なものだった。」
(秋山豊寛 2011/12: 56頁)。

  「私は、猛暑の中、幼い稲の苗を五本、六本と数え、トロッとした水田に植えながら、〔略〕私たちを慣れ親しんだ大地や濃い緑の森の風景から引き剥がすシステム〔を〕つくることに狂奔してきた人々に、何とか「一矢」を報いる方法はないものか、と大地の神々に語りかけた。貴方たちは、この日本の大地が金の亡者たちに汚されてくやしくはないのか、と語りかけた。」
(秋山豊寛 2011/12: 58頁)。


□ 文献 □
*秋山豊寛.2011/12/7.原発難民日記 怒りの大地から.79pp.岩波書店.[本体560円+税][Rh20140816][ob]