2014年8月21日-1
秋山豊寛『原発難民日記』を読んだ
2012年6月24日(日)14:00-16:00の、
・秋山豊寛 講演会「原発難民になって」/京都大学農学部W100/主催:NPO法人 市民環境研究所
を聞いた。また、16:30からの秋山さんを囲んでの懇親会/玉蘭/2500円にも出た。
この席で「何が一番必要か」と訊いたら、秋山さんは、わかりやすい説明文書を作ることが重要だと言っていた。
なお、講演記録DVDがあるらしい。
「2012-06-20 17:51:33 | さようなら原発1000万人署名・京都の会
400名の参加者がありました。講演記録DVDあります。お問い合わせは市民環境研究所まで。」
http://blog.goo.ne.jp/543142011/e/2534feb89abb7401e7a9e5d0a3bc727e
以下に、心に響いた箇所を抜き書きする。
「暴力的な「近代」アメリカの資本主義が小作農民を、その生まれ育った大地から追いかける状況は、「原発」という「近代の暴力」によって、普通の暮らしをしていた阿武隈の中山間地の人々が、そして私のような零細農民が追い立てられる状況と、構造として無縁ではない感じがした」
(秋山豊寛 2011/12: 23頁)。
「〝危険と意識しにくい〟危険といつも隣り合わせの暮らしは耐え難いだろう。」
(秋山豊寛 2011/12: 31頁)。
「政府に国民の健康を守る意思さえあれば、このような高い数値の「暫定規制値」なるものを設定するのではなく、汚染された「食品」は全て、東京電力と日本政府の責任のもとに「処理」すべきなのだ。西日本から東に向けて、必要品の大量輸送するとともに、疑わしい食品の流通を一切許さないという姿勢を取るべきなのだ。「がんばれ東日本」などと言って、汚染された食品を全国に流通させるのではなく、「がんばれ西日本」と言って、西日本の農家に、国民のためにさらなるがんばりを求めるべきなのだ。」
(秋山豊寛 2011/12: 46-47頁)。
「日本の原子力発電所の増設、展開は、エネルギー政策に基づいている。この「基本計画」は〝総合資源エネルギー調査会〟という経済産業大臣の「諮問機関」が事実上策定しているのだ。そして、この「諮問機関」は資源エネルギー庁に設置されている。資源エネルギー庁は、長官経験者が将来の副社長含みで東京電力に天下ることが有名な役所。この一体化した仕組みに手をつけなければ、〔脱原発は〕本気とは言えない。
さらに、原子力村の構造は、核燃料サイクルという危険な夢想にも支えられている。〔略〕核を持って大国入りしたいと言う歪んだ夢想だ。そして、これが「歪んでいる」と考えないところに、彼らと国民の乖離がある。
プルトニウムをすでに大量に保持していることのIAEA(国際原子力機関)の言い訳として、毎年無駄なお金が使われる。」
(秋山豊寛 2011/12: 51頁)。
「「放射線は怖くない」ことを宣伝する国際組織もある。国際放射線防護委員会(ICRP)と呼ばれている。日本政府に、子供が浴びても良い放射線量を年間一ミリシーベルト中から突然二〇ミリシーベルトに上げるという「基準」をアドバイスしたのも、この国際的シンジケートにつながる連中であることは、間違いないだろう。この組織の勧告は、原子力産業が成立できるように、そこで働く人々を含め、人間が被曝しても良い放射線量の限度を設定することが基本になっているからだ。同時に、核兵器を維持することを可能にする線量の設定にも、事実上かかわっているわけだ。
こうした国際的バックアップを持つ日本の原子力ムラは、「地震国」日本では「核とは共存できない」といった程度の理由で攻めても、「原発推進」の旗を降ろすはずはない。脱原発の実現のためには、まず焼け太りを許さない論理と、法改正などによる「ムラ」の解体への第一歩。そして「仕方がない」と洗脳された人々の思い込みという汚染の浄化が出発点になる必要がある。」
(秋山豊寛 2011/12: 52頁)。
ロシアの放射線の専門家らしい人から受けたいくつかの忠告の、
「もう一つは、甲状腺の影響。若い人だけでなく年配の人も影響を受けるのだから、これも「年をとっているから気にしない」などと思わないように。
そして最後に、放射線の「許容量などない」という点。怖いのは染色体のDNAへの影響。「特に妊婦は影響を受けやすい」と言う。1991年、チェルノブイリ事故のその後を取材した時のことを思い出す。頭に浮かんだのは、ウクライナで訪れたある病院の標本室に並べられた、実に多くの死産した先天性異常児のホルマリン漬け。いずれも染色体の異常が原因とされるものだ。取材チームは、それをビデオ・テープに収録したものの、到底放映できない残酷なものだった。」
(秋山豊寛 2011/12: 56頁)。
「私は、猛暑の中、幼い稲の苗を五本、六本と数え、トロッとした水田に植えながら、〔略〕私たちを慣れ親しんだ大地や濃い緑の森の風景から引き剥がすシステム〔を〕つくることに狂奔してきた人々に、何とか「一矢」を報いる方法はないものか、と大地の神々に語りかけた。貴方たちは、この日本の大地が金の亡者たちに汚されてくやしくはないのか、と語りかけた。」
(秋山豊寛 2011/12: 58頁)。
□ 文献 □
*秋山豊寛.2011/12/7.原発難民日記 怒りの大地から.79pp.岩波書店.[本体560円+税][Rh20140816][ob]
秋山豊寛『原発難民日記』を読んだ
2012年6月24日(日)14:00-16:00の、
・秋山豊寛 講演会「原発難民になって」/京都大学農学部W100/主催:NPO法人 市民環境研究所
を聞いた。また、16:30からの秋山さんを囲んでの懇親会/玉蘭/2500円にも出た。
この席で「何が一番必要か」と訊いたら、秋山さんは、わかりやすい説明文書を作ることが重要だと言っていた。
なお、講演記録DVDがあるらしい。
「2012-06-20 17:51:33 | さようなら原発1000万人署名・京都の会
400名の参加者がありました。講演記録DVDあります。お問い合わせは市民環境研究所まで。」
http://blog.goo.ne.jp/543142011/e/2534feb89abb7401e7a9e5d0a3bc727e
以下に、心に響いた箇所を抜き書きする。
「暴力的な「近代」アメリカの資本主義が小作農民を、その生まれ育った大地から追いかける状況は、「原発」という「近代の暴力」によって、普通の暮らしをしていた阿武隈の中山間地の人々が、そして私のような零細農民が追い立てられる状況と、構造として無縁ではない感じがした」
(秋山豊寛 2011/12: 23頁)。
「〝危険と意識しにくい〟危険といつも隣り合わせの暮らしは耐え難いだろう。」
(秋山豊寛 2011/12: 31頁)。
「政府に国民の健康を守る意思さえあれば、このような高い数値の「暫定規制値」なるものを設定するのではなく、汚染された「食品」は全て、東京電力と日本政府の責任のもとに「処理」すべきなのだ。西日本から東に向けて、必要品の大量輸送するとともに、疑わしい食品の流通を一切許さないという姿勢を取るべきなのだ。「がんばれ東日本」などと言って、汚染された食品を全国に流通させるのではなく、「がんばれ西日本」と言って、西日本の農家に、国民のためにさらなるがんばりを求めるべきなのだ。」
(秋山豊寛 2011/12: 46-47頁)。
「日本の原子力発電所の増設、展開は、エネルギー政策に基づいている。この「基本計画」は〝総合資源エネルギー調査会〟という経済産業大臣の「諮問機関」が事実上策定しているのだ。そして、この「諮問機関」は資源エネルギー庁に設置されている。資源エネルギー庁は、長官経験者が将来の副社長含みで東京電力に天下ることが有名な役所。この一体化した仕組みに手をつけなければ、〔脱原発は〕本気とは言えない。
さらに、原子力村の構造は、核燃料サイクルという危険な夢想にも支えられている。〔略〕核を持って大国入りしたいと言う歪んだ夢想だ。そして、これが「歪んでいる」と考えないところに、彼らと国民の乖離がある。
プルトニウムをすでに大量に保持していることのIAEA(国際原子力機関)の言い訳として、毎年無駄なお金が使われる。」
(秋山豊寛 2011/12: 51頁)。
「「放射線は怖くない」ことを宣伝する国際組織もある。国際放射線防護委員会(ICRP)と呼ばれている。日本政府に、子供が浴びても良い放射線量を年間一ミリシーベルト中から突然二〇ミリシーベルトに上げるという「基準」をアドバイスしたのも、この国際的シンジケートにつながる連中であることは、間違いないだろう。この組織の勧告は、原子力産業が成立できるように、そこで働く人々を含め、人間が被曝しても良い放射線量の限度を設定することが基本になっているからだ。同時に、核兵器を維持することを可能にする線量の設定にも、事実上かかわっているわけだ。
こうした国際的バックアップを持つ日本の原子力ムラは、「地震国」日本では「核とは共存できない」といった程度の理由で攻めても、「原発推進」の旗を降ろすはずはない。脱原発の実現のためには、まず焼け太りを許さない論理と、法改正などによる「ムラ」の解体への第一歩。そして「仕方がない」と洗脳された人々の思い込みという汚染の浄化が出発点になる必要がある。」
(秋山豊寛 2011/12: 52頁)。
ロシアの放射線の専門家らしい人から受けたいくつかの忠告の、
「もう一つは、甲状腺の影響。若い人だけでなく年配の人も影響を受けるのだから、これも「年をとっているから気にしない」などと思わないように。
そして最後に、放射線の「許容量などない」という点。怖いのは染色体のDNAへの影響。「特に妊婦は影響を受けやすい」と言う。1991年、チェルノブイリ事故のその後を取材した時のことを思い出す。頭に浮かんだのは、ウクライナで訪れたある病院の標本室に並べられた、実に多くの死産した先天性異常児のホルマリン漬け。いずれも染色体の異常が原因とされるものだ。取材チームは、それをビデオ・テープに収録したものの、到底放映できない残酷なものだった。」
(秋山豊寛 2011/12: 56頁)。
「私は、猛暑の中、幼い稲の苗を五本、六本と数え、トロッとした水田に植えながら、〔略〕私たちを慣れ親しんだ大地や濃い緑の森の風景から引き剥がすシステム〔を〕つくることに狂奔してきた人々に、何とか「一矢」を報いる方法はないものか、と大地の神々に語りかけた。貴方たちは、この日本の大地が金の亡者たちに汚されてくやしくはないのか、と語りかけた。」
(秋山豊寛 2011/12: 58頁)。
□ 文献 □
*秋山豊寛.2011/12/7.原発難民日記 怒りの大地から.79pp.岩波書店.[本体560円+税][Rh20140816][ob]