中野系

この銀河系の中心、中野で考えること

北ドイツ放送交響楽団/庄司紗矢香

2005年12月12日 | 日常
連れがチケットをもらった、とのことで土曜日は久しぶりにプロオケの演奏会へ。北ドイツ放送交響楽団、指揮アラン・ギルバート。

NHK音楽祭(というのがあるのを知らなかった)の一環ということで会場はNHKホール。ここはいうまでもなく「紅白歌合戦」でも使用される多目的ホール。NHK交響楽団の本拠地でもあるけれど正直音響がよいとはいえない会場。そしてチケットの座席は3階、少々不安はあったけれど、もらったものだけに文句も言えない。

プログラムはブラームスのVnコンチェルトにリヒャルト・シュトラウスのドンファン、薔薇の騎士組曲というなかなかに渋い構成。今日の注目はなんといっても、前半のブラームスのコンチェルトでソロを弾く庄司紗矢香。

知り合いのヴァイオリントレーナーによれば、最近の日本人ヴァイオリニストの中ではこの庄司さんがダントツ、との評判を聞いていた。

ブルーのドレスを纏って舞台に現れた彼女はかなり小柄の様子。舞台からは遠い席から、ではあるが楽器がそれなりに大きく見えるので推定身長は150cm代前半。曲が始まると足をがっ、と開いて音楽にあわせ体を揺らす姿はなかなかにユーモラス。

最初はこんな感じで眺めていたわけだが、いざソロが始まると空気は一変。貸与されているというそのストラディバリウスから発する音の美しいこと、いやはや。細かいパッセージを見事弾きこなし、まるで「録音されいた」かのように正確な音程。

個人的に弦楽器についてはそう造詣が深くないわけではないけれど、それでもこの人が「すごいな」というのは充分に実感し、そして堪能させてもらった約30分。とにかく音色が良い、というのが自分と連れの一致した感想。あと、連れによればこのホールで3階席までしっかりと音を届けられる音の太さもすばらしい、とのこと。

無料でこのような才能を楽しませてもらい、なんだか非常に幸せな週末であった。会場で配られたチラシによれば、来年はバンベルグ響とまたコンサートをやるみたいだ。次は是非ともチケットを購入してみよう。

取ってつけたようだけれど、後半のオーケストラ、リヒャルトプログラムも良かったです。北ドイツ放送響、と言ってもあまり馴染み無い人は多いかもしれないけれど、ある意味クラシック大国としてのドイツの奥深さを表すオケ。ベルリンのような派手さはないけれど、確実にドイツの音を聴かせてくれる。ギュンター・ヴァントとのブラームス物あたりはCDでも色々と出ているのでお勧め。

とはいいつつ、トロンボーンセクションは(多分)アメリカ製の楽器を使用していた様子。音楽の世界でも「グローバル化」は進行しているみたいで、この辺少し残念。