中野系

この銀河系の中心、中野で考えること

ア・ビガー・バン/ローリングストーンズ

2005年09月06日 | CD

実を言うとローリング・ストーンズを好んで聴くようになったのはここ3年くらいのこと。自分が生まれる前から活動しているバンドなのだから、それこそ「今更」な話ではあるけれど。

洋楽に幅広く興味を持ち始めた高校生の頃に一度、レンタルレコード(当時はまだレコード。借りたのはあの黎幸堂!)でベスト盤を借りて聴いてみたのが多分ストーンズサウンドとの最初の出会い。当時の感想は「格好良いロックだけど、なんだか単調で」と。生意気な事を言いたくなる年頃、ということもあるけれど、それ以来、ストーンズは自分にとっていくつかの代表曲が格好いい「なんだか長く続いているバンド」以上のなにものでもなかった。

長いこと自分にとってストーンズが「普通の」バンドでいたことは、中学生の頃からビートルズに夢中にっていたことも一因かもしれない。ビートルズの曲のバリエーション、初期~中期~後期と徐々にその音楽が変化していく様子。こういうものを「当然」と捉えてしまっていた部分あり、どうしてもそれと比較してストーンズはなんだか、というところがあったのだ。

そんな偏狭さからの束縛が解けたのは3年ほど前。ある晩、酔っぱらって家の床に転がっているとき、つけていたFMラジオから流れてきたのが「ジャンピング・ジャック・フラッシュ」。この瞬間、それまで20年以上、近くにありながらそれ以上になれなかった音楽が自分の耳に届くようになった。やや過剰に摂取したアルコール。人間、好みの決定なんて意外につまらいことに左右されるものだ…

さて、そんな中でいよいよ新譜の「ア・ビガー・バン」。すっかり皺だらけのメンバーがなにか「光放つ」ものを囲むあやしいジャケット。サウンドはよくも悪くも「ストーンズ」そのもの。目当たらしさはないけれど、古さ、たるみも感じられず、個人的には結構気に入っている。漠然とした評価だけれど「現役のバンド」の音がする。

肝心の新譜の評価が数行、というのも我ながらお粗末ではあるけれど、まずは一聴してみることをお勧めします。多分、ストーンズが好きである人、および近頃甘口のロックが多いとお嘆きの貴兄には非常に楽しいアルバム、だと思うので。

ウクレレ・フォース

2005年09月01日 | CD
話題のウクレレフォースを購入してみたが、これは楽しい!

スターウォーズの音楽をウクレレを中心とした編成で再現するアルバム。ちゃんと20世紀フォックスのテーマからメインタイトルという流れになっていて、あとは各エピソードからうまく馴染む曲を集めた構成。選曲のセンスもよい。

ウクレレ、ということでこの楽器に固執した内容を想像していたけれど、むしろウクレレをうまく利用した小編成の室内楽という感じ。なので「ウクレレ」にこだわらずとも、純粋に音楽として「聴ける」。クラシック音楽において、フル編成のオーケストラ楽曲を室内楽編成版になおしたものというのが時折あるけれど、それに近いイメージ。楽器編成を変えることでオリジナルから「もう一つの音楽」を創造している。

「やる気のないダースベイダーのテーマ」とも呼ばれる「帝国のマーチ」は笑える。なんだか偉ぶっている割に間の抜けている中年中間管理職、みたいな雰囲気の音楽なので、これとベイダーのイメージを重ね合わせること、難しいところがまたおかしい。この音楽のベイダーは、早く部屋に戻ってヘルメットはずし、ビール飲むことしか頭になさそう。

曲により奏者も異なるのだけれど、この帝国のテーマやエンドタイトルを担当している「栗コーダーカルテット」が個人的にはお気に入り。普段どのような活動をしている人達なのだろう。もしもライブをやるようだったら是非行きたい。

単なる「笑い」を期待する色物と思いきや、純粋に音楽としてなかなかに楽しくまとまったアルバム。スターウォーズファン、ウクレレファン、そのどちらにもお勧め。

夏の午後、部屋で聴くにはもってこいの音楽。もう少し早く気が付いていればよかった…。この週末に沖縄旅行を予定しているので、早速iPodにこのアルバムを詰め込んだ。オリオンビールを飲みながら浜辺で聴くのがいまから楽しみ!

ベストクラシックス100

2005年06月06日 | CD
「ベストクラシックス100」というCDが売れているようで、アマゾンCD売上ランクでも全ジャンルを通じての2位。数千枚売れればヒット、というクラシックの世界においては異例のことだ。

一流演奏家による名曲の数々を6枚組、3000円と「お手ごろな値段」。これなら売れるのももっともなところ。商売がうまい。

内容をみる限り名曲がぎっしり。6時間でこの曲をどう収めたのだろうと仔細をみると、曲の肝となるメロディー部分だけ抜粋しているものが多いようだ。「冒頭」とか「終結部」という言葉が多用されているのがそれ。

マニアの視点からすると、ダイジェストで耳障りのよい音ばかり集めたこのような企画はある意味邪道に写るのだろう。特にクラシック音楽の場合、交響曲のように全体を通して何かを表現するものなので、メロディのさわりだけ紹介しても作曲者の意図は伝わらない、という意見はある意味正論。

一方で、硬いこと言わず、好きなものだけ聴いていたってよいじゃない、というのもまた一つの正論。これがきっかけで、その続きが聴きたいと思う人が一人でも増えれば、それはそれでよいことだし。

自分は結局このCDは購入しなかったのだけれど、曲目のリストを見る限りなかなか凝ったプログラム。クラシックをどこから聴けばわからない、という人にはお勧め。メジャーな曲はもちろん、なぜかクラシックファンでもそう知らない曲もあったりして、結構楽しい内容。売れたのは値段だけが理由ではないのかもしれない。

ちなみにこのCDとは別のCD企画で「100%」シリーズというものがあるのだけれど、個人的にはこれも結構お勧め。たとえば「パッヘルベルのカノン100%」では、演奏形態やアレンジが異なるカノン「だけ」が10曲くらい収録されているので、約1時間、延々と好きな曲ばかり、リピートすることなく聴くことが出来るという寸法。自分はバッハの「主よ人の望みの喜びよ」と「アメイジング・グレース」、二枚の100%シリーズを持っていて、結構な頻度で愛聴しています。

ラバーソウル/ビートルズ

2005年06月01日 | CD
もっとも好きなバンドを問われれば迷わずビートルズと答える。ではそのビートルズのアルバムを一枚だけ選べと言われたら、少し迷って選ぶのがこのラバーソウル。

デビュー後発売した5枚目のアルバムが「ヘルプ」。もしビートルズがこの5枚のアルバムだけ残し解散していたならば、60年代特集でたまに思い出されるナツメロバンドで終わっていたのではないだろうか。このアルバムまでは「抱きしめたい」的な曲が中心の「アイドル」であったわけだし。

バタフライ・エフェクトではないが、この5作だけで解散していればジョン・レノンもあのようなことにはならなかったかもしれないし、毎年夏には日本ツアーで全国くまなく回ってくれるバンドになっていたかもしれない。(これが果たして心から喜べることなのかは微妙なところ)

話が少しそれてしまったが、その後のビートルズへの転換期ともいえる、非常に重要な作品がこのラバーソウル。このアルバムにはイエスタディ、レット・イット・ビーのような超メジャー曲は少ないのだが、各曲、地味ながら粒だったものが多く、いわゆる捨て曲がない。

ビートルズといえば「サージェントペパーズ~」がしばしば「ロックの頂点」等々、彼らの最高傑作として評されることが多いけれど、面白いのは最近、その反動からか「それ以外」のアルバムを評価するのがツウ、という風潮が一部では見られるようになってきたこと。
こういう場合、だいたい「ツウ」な人が選ぶのがラバーソウルかリボルバー。音楽なんて好みの問題、正解はないと思うけど、これら中期のアルバムがビートルズの音楽的に非常に充実していた時期、という点においてはツウもそれ以外の人も意見の一致するところだと思う。

ラバーソウルのどこが好きかといえば、ポップバンドとしての前期、ロックバンドとしての後期。それらの狭間でちょうど良い具合にその両者が融合している感じ、だろうか。個人的にはヘルプまでがポップアルバム、リボルバー以降がロックアルバムに分類されると思っている。で、ラバーソウルはその中間。ロックとは?と議論する勇気と知識は自分にはないので、あくまでも「個人的」な意見として、に留めるが。

もうひとつ特筆すべきは歌詞。アイドルとして「君が好きさ」一辺倒の世界から前進し、彼ら独自の「詩的」な世界を展開し始めるのもこのアルバムから。これまでのストレートな内容から、言葉の遊び、コノテーション等々、ある意味ビートルズらしさ、が前面に出てくるのがちょうどこの時期。

村上春樹でもおなじみの「ノルウェイの森」もこのアルバム収録。彼のエッセイでも言及されたことがあるが、実はこのノルウェイの「森」というタイトルは歴史的な誤訳ではないか、との声もある。原題は「Norwegian Wood」。単数形であること、歌詞の内容的を考えるとノルウェイの木でできた家具、としたほうがしっくりするのは事実。ただ、前述のようにこの歌の歌詞自体、多分に含みと言葉の遊びがあるので、確実に誤り、ともいえないところがまた面白いところ。

ベスト盤的なものだけでなくもう少しじっくりビートルズを、と考えている方がいれば、以上のようにまずこのアルバムを手にとってみることをお勧めします。そのあとアルバム発売順にリボルバー、サージェントペパーズ~と聴いていくのがより良いか、と。

ちなみにこのブログ、最初は「In My Life」というタイトルにしたかったのだけれど、調べたら既に使われていたのでこんな名前にしてしまいました。本当に余談だけど。

GREATEST HITS/ポリス

2005年05月25日 | CD
今日、仕事をしながら聴いた一枚。

スティングは今も現役でがんばっているけれど、POLICEといえば70~80年代。
ちょうど洋楽を聞き始めた年頃に全盛を迎えていたバンド、ということもあり思いもひとしお。とか言う割に所有するCDはこのベスト盤、1枚だけど…

四半世紀を経た今も、彼らの音楽には古さを感じさせないところがいい。別に古いものが悪い、という訳ではないが。

古くないと感じる理由のひとつは60~70年代音楽に多かった政治や社会と関連性が前面に押し出されていなくなってきた時期の音楽、ということはあるかもしれない。どうしてもこれより前の音楽=時代と直結するものが多かったから。

でもそれ以上に重要なのはやはり音楽それ自体。ポリスはポリス、だから良い。あのレゲエを取り入れたロック、というのは(他にもいろいろあるかもしれないが)やはり「ポリス」の世界以外のなにものでもないと思っている。ロックに精通しているわけでもないのでボロが出ない程度でこの話はここまでにするけど。

いずれにせよ、シンクロにシティIIなんて、最近の曲だと言われても絶対にわからないと思う。通勤時間帯に電車に乗ったりすると、いまでもこの曲が浮かんでしまう。本当にイカス。

そういえば80年代、たしかドゥドゥドゥ・デ・ダダダの日本語バージョンというのがあった気がするのだけれど気のせいだろうか。思い違いでなければ日本人歌手が、でなくスティング自身が歌っていたような… Googleで調べれば出てくるだろうけど、なんだか結果を見たくないのでこれはこのままにしておこう。

レゲエ=夏、というのも単純な発想かもしれないけれど毎年、気温の上昇と共に、聴く回数の増えていくアルバムのひとつ。

明日への扉

2005年05月11日 | CD
ふとしたきっかけで、i wishの「明日への扉」という曲が気にいってしまった。CDまで買った。年甲斐もなく、というのもあるし時期的にも「いまさら」なのだろうけど。

TVの番組のタイアップで使われていたのは知っているし、番組も何度か見たことはあるけれど、内容自体はさすがに自分の年ではちょっとね、というのが正直なところ。なので、番組に対する思い入れの延長とかそういうものではなく、純粋に楽曲が気に入った次第。

どこがよい、といえばなによりもあの声。昔はどちらかというとハスキーで低めの女性ヴォーカルが好みだったのだけれど、30も過ぎた頃からこういう甘い、いかにも若い娘の声、も悪くはないなと思うようになった。単に自分の周りにないものを求めているってことなのだろうか・・・

歌が気に入った、とはいっても音程は全体的にやや不安定だし、(J-POP全般に言えることだけど)歌詞は概ねまずい。もともとティーンエージャーあたりをターゲットにしたものだから仕方ないのかもしれないけれど。

面白いのは、歌の後半部分。前半までと打って変わって急に言葉が生きてくる。
この辺のくだりとかは結構いいな、と思う。

 抑えきれない この気持ちが 25時の空から
 光る滴として 降り注いだ 
 ~
 言葉が今 時を越えて 永遠を突き抜ける
 幾つもの季節を通り過ぎて

あの声で「抑えきれない、この気持ちが」とか歌うのを聴いていると
思わず遠い目をしてしまう。あの頃は俺も、なんて思いながら。

こういうのを年をとった証拠、というのだろうな…