中野系

この銀河系の中心、中野で考えること

段取りの差

2006年02月28日 | 仕事
自宅の近所に今日、コンビニエンスストアがオープンした。家と駅との間にあるので毎日開店までの進捗を眺めてきたわけだけれど、その手際のよさには感心するばかり。

昨年暮れの、元よりあった民家を壊すところから始まって、建物の建築、電源の引き込みから設備の設置、商品の搬入。本当に流れるように作業は進む。

同じく近所で大型マンションの建設が進んでいるのだけれど、これもコンビニ同様。毎日(うるさいけど)、着実に作業は進み、日々モノが出来上がっていくのがよくわかる。

普通の人にはこういう風景が「あたりまえ」のことに映ると思うのだけれど、システム開発の現場で10数年働いてきた身とすると、どうしても必要以上に感心してしまう。

システム開発の世界では「デスマーチ」(死への行進、の意)なんて言葉が業界用語として定着するくらい「キツイ業界」であるのは有名なところ。

現場にいる人間の意見として、このイメージはまんざら間違ったものではない。実際、開発プロジェクトでは結構な確率で火が吹くことが多く「なんの問題もなく着々と進みました」という話は滅多に聞かない。

「新しい業界」なので開発手法や段取りが確立されていないのだ、との説は自分が仕事を始めるよりずっと昔から言われている。が、いうまでもなくこれは言い訳。確かに建設業界あたりに比べれば新しいけれど、システム開発という職業が一般的になってから既に数十年が経過している。

システム工学といった学問も発達し、最近ではプロジェクトマネージメント学の視点からシステム開発をなんとかしよう、という動きも活発になっている。

それでも未だ状況が「あまり改善されない」のはなぜなのだろう。今回のように「確立されたやり方のある」業界の段取りを眺めているといつも考えてしまう。

攻め方いろいろ

2006年02月24日 | 日常
今日のニュースの主役、フィギュアスケートの荒川選手。今回のオリンピックでは(たぶん)日本唯一のメダリスト、しばらくは大騒ぎが続きそう。

オリンピックが始まる少し前、クイズ番組「ミリオネア」で荒川選手や村主選手が挑戦者として出演した回を見たのだけれど、この時に荒川選手の性格というものが垣間見れて結構面白かった。

まず第一にどの問題でも全然迷わない。番組では賞金額の上昇とともに問題が巧妙になってくる。かならず2個、非常に迷う選択肢を用意するのだけれど、どれだけ微妙な選択肢でもすぐに「ファイナルアンサー」してしまう。

みのもんたが迷っている回答者をいじって余計に迷わせるのが番組の面白いところなのだけれど、荒川選手はそのいじりにも全然屈しない。回答に自信があるわけではないようなのだけれど、迷ってわからないものは迷わない、という感じ。とにかく決断が早い。

そして賞金500万円まで獲得後、750万円の問題を聞いてみてこれは無理だと思うとすんなりリタイヤ、出番は終了(この番組は途中でリタイアすれば、それまでの獲得賞金は保証されるが間違えると殆ど没収されてしまうシステム)。

チャレンジ開始前、賞金を獲得したらオリンピックに両親を飛行機のファーストクラスで招きたい、と抱負を語っていたのだけれど、確かに500万円もらえればこの目的は充分果たせる。リスクを負ってまでより上を目指す必要もない、というところか。

一方の村主選手もおなじく500万円までは獲得。しかし750万円の問題で、迷ってはいたのだけれどダメモトでチャレンジ継続、結果失敗している。非常に対照的だ。

安藤選手も、オリンピック本番では一発逆転狙いの4回転にこだわり、あまりよい結果は残せなかった。一方の荒川選手は本番中にも回転数をその場の判断で減らしてまで確実性を重視。結果を残した。

勝てば官軍的なところもあるので、荒川選手はいま絶賛と祝福に包まれているけれど、もしもメダルが取れていなかったら、たぶん世間はチャレンジして失敗した安藤選手のほうを持ち上げていたのではないだろうか。

いうまでもなく、攻め方は人それぞれ。どれがよいと言うものではない。今回は荒川選手のやり方に結果がついてきたけれど、個人的には安藤選手のようなやり方も嫌いじゃない。同じ日本選手でもこれだけ違うタイプの人が活躍するようになったこと自体、なにかというと「画一性」を揶揄されてきた民族としては、喜ばしいことなのではないかと思っている。

ちなみに個人的予想として近いうち絶対、オヤジ向け雑誌あたりで「荒川静香の判断に学ぶ経営のなんたら」とかいった記事がでると思うのだけれど、どうだろう。

SkypeIn

2006年02月22日 | 日常
今日から日本でもSkypeInのサービスが始まった。

Skypeというのはネット間で通話(やチャット)ができるフリーのソフトウェア。基本的にはPC間でやり取りをするためのもの。ただしオプションサービスでSkypeOutというものがあって、有料ながらもSkypeから一般の電話番号へ電話することは出来るようにはなっていた。

今回のSkypeInはその逆、一般の電話番号からPCのSkypeへ電話することが可能なサービス。当然ながらその際はSkype側に「電話番号」を持つ必要がある(Skype間同士の通話ではアカウントのみで繋がるようになっていたし、SkypeOutの場合、着信した一般電話からみると、常に「非通知」扱いで着信していた)。

SkypeInというサービス自体、海外ではかなり前から開始されていたのだけれど、日本では未だ通信に関する国の規制がいろいろある様子。この度IP電話のフュージョンコミュニケーション社のサービスを利用してSkypeOutを実現した、ということらしい。3ヶ月1500円、1年だと4000円。これで番号を維持することができる。番号はIP電話と同じ050で始まるもの。

本来なら固定電話の強力なライバルとなるはずのものなのかもしれないけれど、固定電話の存在意義は既に低下しまくり。今更打撃を与える、ということはなさそう。

ノートPCを持ち歩けば海外でもIP電話の受発信ができるのはメリットのひとつだと思うけれど、これを必要とする人というのも世の中そうは多くなさそう。

モバイル端末と無線LANサービスと組み合わせると、廉価な携帯電話代わりになるので、たぶんこのサービスがヒットするとしたら、そういうパッケージをどこかが売り出した時、だと思うのだけれど(実際そういうサービスを検討しているといった話も聞いた(気が)する)、どうだろう。

いずれにせよ、コミュニケーション手段の多様化と料金の低廉化は大歓迎。このサービスについてはしばらく見届けていきたいところ。(でも今は不要なので契約もしないけど)。

年齢不詳肌

2006年02月21日 | 日常
女性誌の吊り広告で「年齢不詳肌の作り方」という大きな文字。この言葉自体は初耳だけれど、言いたいことは良く分かる。表現うまいなぁと感心し、帰宅後ネットで調べてみると、検索で予想外に多くのサイトが引っかかる。女性の間ではすっかり一般用語になっている様子。

不詳ということは「実際より上」の年に見られてしまうケースも含めることになる訳だけれど、もちろんここでは「下」に見られることだけを想定しているはず。

それであれば、昔からの「実際よりX歳若く」との表現でもよいはずだけれど、当然「不詳肌」のほうがインパクトは圧倒的に強い。

「年齢不詳」という、ややもするとネガティブなイメージがなくもない言葉。それをうまくポジティブに結び付けているところがうまいと思う。

我が懐かしの80年代、糸井重里や林真理子の活躍でコピーライターが時代の花形として持てはやされていた時期。実を言うとこの頃、自分自身も「なにか一文を考えるだけでお金がもらえる」という仕事に少し憧れたことがある。中学生らしい実に安直な理由ではあるけれど。

今もたぶん実家には当時のコピー「作品」を綴ったノートがどこかにはあるはず。中学生が何も考えず、うわべだけ真似したもの。全然記憶にはないけれど、見たら顔から火がいくら吹いても足りないような内容だと思う…

安直に憧れただけに飽きるのも早く、既に高校生の時にはコピーライターのことなどすっかり忘れていたわけだけれど、それでも時折、こういったうまい「言葉」を見るとこの中学生の時のことを思い出してしまう。

そういえばアメリカのTVドラマ「奥様は魔女」でもサマンサの夫、ダーリンは広告会社のコピーライターという設定だったはず。子供ながらにもひどいコピーばかりだ、と思った記憶があるのだけれど、実際のところどんな内容だったのだろうか。たぶん、これなら僕でもできそう、と勘違いしたきっかけになった気がしないでもないけれど。

献血と狂牛病

2006年02月20日 | 日常
誰だって良い事をして悪い気はしない。けれど実生活で積極的に一日一善を実行する、というのも案外に出来ない事。そういう意味で献血というのは「実施しやすい」善行のひとつ。

こういう思いもあって、対象年齢となって以来、結構な回数献血には協力してきたのだけれど(そして一度もあの記念のバッジをもらった経験がない。これまで何枚献血カードを作った事か…)、ここ最近はその些細な善行も出来ずにいる。

昨年から例の狂牛病対策として特定時期に渡英経験のある者は献血ができなくなってしまったのは周知の通り。疑わしきはまず停止との対応は仕方のないところだと思うのだけれど、この規制のせいで今では街角で献血を呼びかける人の声にも素通りせざるを得ない状態。

自分の場合たった1度、それも数日ではあるけれどイギリスへの旅行経験があるのみ。しかしこれがイギリスで狂牛病が爆発的に広まった時期、ということらしい。

以前に見たNHKの番組によれば、この頃イギリスの大手ハンバーガーチェーンで牛の脳、背骨、内臓がミックスされた食肉が使用され、それが狂牛病蔓延の原因になってしまったらしいのだけれど、よりによって数日の滞在で、2度もそこでハンバーガーを食べた記憶がある。まぁ仕方がないといえば仕方のないことなのだけれど…

ちなみに旅行したのは10年少し昔。調べてみると狂牛病の潜伏期間は2~8年というのが一般的な説。これに従えばセーフ。ただしサイトによっては潜伏期間=6年~12年を唱えるところもある。自分の場合「たぶん」大丈夫だけれどまだ安心できない、といったところか。

ここ数年は物忘れすることも多くなり、そういう時は一瞬「ひやり」としたものだけれど、上記の期間等を考えると牛のせいというよりはやはり「自然の摂理」によるものだったのだろう。

血液の成分については結構悪くない数値を毎回残していたし、こちらとしては少しでも協力したいと思っているのだから、日本赤十字も渡英期間による制限だけでなくその「解除」時期についても考えて欲しいと思う今日この頃。

とはいいつつ最近のニュースを見る限り、狂牛病の次のメインステージはアメリカになりそうな気がしているので完全に安心はできない部分もある(アメリカは知人が多かった事もあって、ほぼ毎年のように行っている)。

他国比で圧倒的に高いらしいアメリカでのアルツハイマー病発生率、これが実は「狂牛病」のミスカウント、との説もある。これは想像するだけでも恐ろしい…

どこまでやれるか

2006年02月16日 | 仕事
株の口座を開いたはよいけれど、いまだ最初の取引を思案中。とは言いつつ口座に現金も入力し、買おうと思えばいつでもという状態。毎日株価を眺めるというのは思ったよりも楽しい作業ですね。

今朝も、口座をもつ証券会社のサイトへログインしようとするも、システムトラブルなのか一向にうまくいかない。結局ログインができたのは9時30分頃。

まだ一株も持たぬ身としては実害もないけれど、時間がやタイミングがものを言うタイプの金融取引で30分も非稼動な状態が発生するなんて、少々驚き。口座を所有しているのはネット専業証券会社ではかなりの大手であるわけだし。

いま見ると、サイトには障害報告が記されている。サーバーへの負荷分散機器(ロードバランサ)の異常によるもの、とのことらしい。昔の会社でとあるポータルサイト構築を請け負った際、散々と悩まされた問題なのでやはり、という感じ。ソフト側の問題ならともかくネットワーク機器関連は、意外なくらいプロフェッショナルが不足していて、これで障害が起こるとなかなか回復が難しい。

その昔の会社もそうであったように、小規模ながらハード関連まできっちりとこなせるソフトウェアハウスというのは正直、皆無に等しい。ソフトからハードまで一環してきっちりこなせるような会社、となると大手、特にハードまで扱っているような会社がやはり無難な選択ということになる。件の証券会社、新興とはいえ資本力はかなりのものを持っているので、さすがにシステム会社もそれなりの大手を選択しているとは思うのだけれど…

最近、知人のソフトウェア会社(起業2年目、社員8名、自分の会社同様、本当に「ベンチャー」)が大手証券会社との直取引の仕事を取れた、と大喜びしていたのだけれど、その話を聞いて他人事ながら「大丈夫かな」と思わずにはいられない。さすがにシステム全てを請け負った、というわけではないみたいだけれど。

まだまだJavaを始めとしたWEB系技術者は不足している現状も手伝って、このような「チャンス」というのはシステム業界に未だあるのだけれど、そろそろ発注する側ももう少し「選択する際の基準」等、考えたほうがよいと正直思う。ちなみにその知人の会社、一番経験の長い社長でもシステム開発経験3年…

自分自身、同様の企業にいながらこういうことを言うのもどうかとは思うけれど、正直この業界「自分がどこまでやれるか理解していない人」が非常に多いです…

スパムフィルタ

2006年02月15日 | 日常
最近、送ったメールに対し返答がまったく来ないことが何度か発生した。基本的にはプライベートな連絡での話(仕事関連ではなし)。誰か一人ならともかくまったく関係のない3名で同様のことが起きた。

なんでだろうと考えてみると、返事をくれない3人の共通事項はメールアドレスがYahooのものである点で共通している。これでだいたい見当もついたので、3人にそれぞれ電話で確認すると予想通り。

送ったメールが「迷惑フィルター」によって、スパムメールとして振り分けられてしまったようだ。3人とも携帯でメールをチェックするので「迷惑メール」フォルダには気がつかなかったらしい。

Yahooのメールフィルターは通常の無料版だと「自動的な振り分け」しかできないみたいなので、自分自身もメールの振り分けでしばしば注意を要する事態が発生している。有料版であれば学習機能もついているみたいだけれど…

いずれも親しい友人だったので「来週あたりそろそろ…」といった、あやしいタイトルにしてしまったのがいけないのかもしれない。メールフィルターは果たしてどういう基準で振り分けを行っているのだろう…

確かに最近、自分もYahooアカウントにはスパムメールが増えてきた。精度が多少悪くてもフィルタ機能がないと困る部分はあるのは事実なのだけれど。

知人の一人で(Yahooメールではないけれど)スパムと判断されたものは見もせずにばっさり削除してしまう強者がいるけれど、自分は「迷惑」フォルダもタイトルだけは必ずチェックしている。

人生にはこんなことも稀にはある。その機会を逸するくらいなら、スパムのタイトルを見ることくらい我慢してもよいと思っている次第。

ミュンヘン

2006年02月13日 | 映画
ミュンヘンオリンピックでイスラエル選手11名が暗殺された事件を元に、そこに関わった「人間」を描いた映画。

銃を持ちうなだれる男のポスターを見て「殺した側」が凶行に至るまでを描く人間ドラマ、と勘違いしていたのだけれどまったくの逆。「殺された側」イスラエルの情報機関員が事件の報復として、犯行関係者を次々と暗殺した史実に関する映画。「ミュンヘン」での事件そのものでなく、その事件が引き起こした別の事件が映画の中心。

題材が題材なので、重く暗い内容を想像していたけれど、前半は予想を裏切りいかにもなハリウッド映画的進行で話は進む。ミッション・インポッシブルのようにチームが「仕事」をやり遂げる「どきどき」を経験するつくり。ユダヤ人かパレスチナ人、もしくはそれらに関係の深い人でなければ単純にサスペンス映画として楽しめると思う。

この映画が色々な意味で「話題」と「問題」を起こしていることはそれとなく耳に及んでいたけれど、前半だけでは「単なるユダヤ人(スピルバーグ自身がユダヤ人なのは周知の通り)視点でものをみた映画」にしかみえなくもない。なんでだろ、と思いつつ見てその意味がわかってきたのは映画後半に入ってから。

ネタバレしない程度簡単に記しておくと後半は暗殺チームリーダー、アヴナーの苦悩とある決断に至るまでを描いている。ここからは映画のテンポ、内容ともども、当初予想した通り「非常に重い」ものとなる。164分という上映時間もこの後半を描くが為、という感じ。少々ダレる感じもするけれど、それもある意味計算してなのかもしれない。

決してすっきりとした気分で劇場を出ることができない映画なので、人により評価もまちまちかもしれない。イスラエル、パレスチナ間の問題、として捉えるならば日本人には「遠い話」であるけれど、憎しみの連鎖と報復の問題として捉えれば、それは十分に普遍的な問題。

こういう映画でたまには「重い世界」を経験するのも悪くないのかもしれない。少なくとも映画というヴァーチャルな世界の中でのことならば。

自身ユダヤ人でありながらこのような映画を製作したスピルバーグについては、正直たいしたものだと感心した。プライベート・ライアンもそうであるように、彼の問題提起型映画には「底が浅い」という評価を下す人が多いけれど、個人的には分かりやすい形で提起する、ということは重要ではないのだろうか、と思う次第。

★★★☆

好きこそものの

2006年02月10日 | 日常
3月に台湾旅行を計画しているのでネットをいろいろと眺めていたら、ある台湾のオタク青年のサイトに辿り着いた。

生粋の台湾人なのだけれど、"オタク"を自称するだけあってサイトの文章は日本語で綴られている。で、この日本語があまりに見事なので非常に驚く。

文法的にしっかりしているとかそういうレベルでなく、言い回し、リズム。どうみても言語形成期を日本で過ごしたとしか思えない自然な(そしてうまい)文章。日本在住なのかとも思ったけれど、生まれも育ちも台湾、ということらしい。

日記のコーナーが面白く、過去分を含め一気読みしてしまったのだけれど、これによってある程度、彼の外国語習得のプロセスを垣間見ることができた。

子供の頃、街の本屋で見かけ、付録欲しさに「子供の科学」と「小学1年生」を親に買ってもらったのが全ての始まり。そこで始めて日本語というものに触れ、以後1号も欠かさず上記二誌を購読、独学で日本語を学んだということらしい。

更にある時期から日本のマンガ、アニメにとりつかれ、以後オタクの道へ。ここでより柔軟な口語表現を会得した、ということらしい。好きこそものの上手なれ、ということか。

自分がそこそこ英語をこなせるようになったのも、趣味に拠るところが大きい。中学生の頃から聴き続けたビートルズ、辞書を片手に歌詞カードと音の聞き比べた毎日。大人になってからはビーバス&バットヘッド、サウスパーク等々、アメリカのアニメーションにかなり嵌ったものだし(というか今も…)。

語学学校のようなものを否定するつもりはないけれど、もし何か言語をひとつマスターしたいと思っているのであれば、その言語によるドラマ等(もちろん内容が面白そうなもの)を見て学ぶ、というのはひとつの手ではないか、と思います。ぜひ試してみてください。

サウスパークの場合、「悪い言葉」がたくさん出てくるので、その辺問題といえなくもないけど…

オリバー・ツイスト

2006年02月09日 | 映画
イギリスの文豪、ディケンズ「オリバー・ツイスト」の映画化。

ディケンズの小説といえば、学生時代「デイビット・コパフィールド」を読んだことがあるけれど、とにかく長かったとの印象しか残っていない。どういう内容だっただろうか。最後がハッピーエンドだったことだけは覚えているけれど。再読するのはちょっとしんどい。

「小説は長ければ長いほどよい」と公言するジョン・アーヴィングが敬愛する作家、ディケンズ。このオリバー・ツイストはそのディケンズ作品としてはそう長くはなく、文庫本上下2冊のボリューム。

映画を見て感じたのは、129分という長さで収めることにはきっと苦労したのだろうということ。不自然というほどではなかったけれど所々でどうして、と思う部分が出てくる。例えばなぜオリバー・ツイストが周りの人にああも愛されるか。その過程はあまり描く時間がなかったみたいで、ブラウンロー氏の「人を惹きつけるなにかがあの子にはある」ですませてしまったり。こういうタイプの話はストーリー自体の流れも重要で、ある程度こうせざるを得なかったのだろうけど。

上映時間を自由に長くできるなら、こういう問題も解決したのだろうけれど、映画もビジネス、難しい部分があるのだろう。基本的にこういう話、映画よりはBBCあたりによるテレビシリーズの方が面白くできるのかもしれない。

とはいいつつ、19世紀イギリスの街の再現はお金もかかっていて見事なものだし、かなり強いイギリス英語、薄暗い街。これらを体験していくだけでも十分に楽しいし、決して「退屈」することはなかった。

あと主役を演じるバーニー・クラーク少年は本当に可愛い。そっちの趣味はないけれど、それでもついつい見入ってしまいます。昔はたしかあのマーク・レスター主演でも映画化されているはずで、やはりこの映画の主人公は「美少年」でなければいけない様子。パタリロファンやその中の「あの趣味」の人々にとってはいうまでもなくお勧めの映画。

★★★

偶像とえいば

2006年02月07日 | 日常
イスラム教預言者を風刺漫画で表現した事に端を発した、デンマークを始め世界各地での騒動。偶像崇拝を禁止した宗教の預言者の姿を漫画という形で「表現」してしまったうえ、皮肉もこめられていたのがまずいということらしい。

宗教についはいろいろと難しい部分もあるし、下手な発言をして襲われても困るので「無難」なことしか言わない。他人の信仰について尊重はするべきだと思うけれど、暴力はいかん、と。

このニュースを聞いてふと思い出したのがサウスパーク第5シーズンの「SUPER BEST FRIENDS」というエピソード。

主人公のスタンが、カルト宗教に嵌った仲間の救出をキリスト(サウスパークの世界ではなぜか本物のキリストもサウスパークの住人。地元のケーブルテレビで自分の番組まで持っている)に頼むも、キリスト一人では全く太刀打ちできない。そこで彼が呼び集めたのが彼の最高の友達である、仏陀、クリシュナ、モーセ、老子、ジョセフ・スミス(モルモン教の始祖)、そして今回話題のモハメッド。このベストフレンド達の協力で、最後はカルト宗教の悪事を阻止するという話。

物語中モハメッドは「善」の側とはなっているけれど、その姿をサウスパーク的な漫画タッチでしっかり「描いて」いる上、キリストや仏陀と友達という設定。はじめてみた時も「大丈夫なのだろうか」と思ったけれど、今回の騒動をみると、今更ながらよく無事だったな、と思う次第。

サウスパークでは全ての人種、宗教、境遇の人々を「平等」に茶化す、というのが基本姿勢。それがわかっていると、このアニメが決して「差別的」な内容でない(というか、差別が存在する現実自体を笑っている)ことが良く分かるのだけれど、それにはある程度の数、エピソードを見進める必要がある。

それを知らずに特定のエピソードだけ見ると「差別だ!」と叫ぶ事必至のアニメーション。当然ながらアメリカのPTA(記号としてはわかり易いけれど、いまでもPTAってあるのか?)からは忌み嫌われる内容。

一コマ漫画であれだけの騒動になったというのに、このアニメで騒いでいないのは、イスラムの人達にもサウスパークの「本質」が受け入れられたから、ということなのだろうか?

そんな訳あるはずないけれど、サウスパークファンとしては、そうであって欲しい、と祈る次第。もっとも自分には祈るべき神などいないけれど…

※ちなみに日本版DVDで、シーズン5はまだ出ていないようです。WOW WOWではもしかしたら視聴可能。

東京の物価は高いのか

2006年02月02日 | 日常
世界で一番生活コストの高い都市として、東京が14年ぶりに1位の座をオスロに譲ったとの記事。調査は英経済誌エコノミスト系機関によるもの。世界、約130都市で比較しての結果。

こういう報道、初耳というわけでもなく、14年ずっと東京は世界で一番と刷り込まれつづけたことになる。

実際、トップでなくてもよければ14年といわずかなり昔から、東京は世界有数の「物価が高い都市」と言われつづけたことは確かだと思う。

実感としてバブルの頃までは確かに、日本というのはどうしてこう何もかも高いのだろう、と思うことが多かった。特に海外へいくとそのことを「痛感」した。当時の円は今ほど強くはなかったはずだけれど、その円で旅行をしても肌身で感じる外国は「日本にくらべると何もかもが安い」国だったと記憶している。アメリカもヨーロッパも、ましてアジア諸国は言うまでもなく。

ただ、バブル崩壊以降のいわゆる「失われた10年」、本格的な不況とそれに伴う「デフレーション」の時代。ここに関しては正直、この東京は世界一という評価に疑問をもち始めることが多くなってきた。

「デフレ-ション」という社会の時間に習う言葉を身をもって体感した感想としては、今の日本の物価ってバブルの頃と殆ど変わらない、もしくはあの頃よりむしろ暮らしやすい気すらする。あくまでも感覚的なものではあるけれど。

物価の比較というのは為替レートや各国の需給問題等々、一律には計れないものが複雑に絡み難しい部分あると思うけれど、少なくともバブル崩壊後にヨーロッパやアメリカへ旅行した感覚としては、どう考えても東京の方が大抵のモノ、サービスは安いような気がしてならないのだけれど…(さすがにアジア内では相変わらずダントツの物価ではあるけれど)。

少し前、ヨーロッパの「オタク」の人が日本旅行を記録したサイトを眺める機会があったのだけれど、そこで「日本は物価が安いなぁ」という記述を見た記憶がある(ちなみにそのオタクの人はフランス人)。ヨーロッパ、日本の双方で少なくとも2名の人間は東京の物価がそうひどくは無い、と思っているわけだ。

この調査はイギリスの「エコノミスト紙」系の会社が実施している模様。どこまで「実際の視点」に立って調査しているのか少々あやしい気がする。デジタルカメラの値段を三越で調べたりしていそうな気がするのだけれど、実際のところどうなのだろう…