中野系

この銀河系の中心、中野で考えること

小さい会社でも

2005年10月04日 | 仕事
午前中、品川のある中堅Sierを訪問。我が社のA君、フリーランス時代に同社と取引をした経緯から、社の顧客拡大のためにと同社へ個人的にコンタクト、会社のことも売り込んでくれたのだ。ここまでなら幸せな話、なのだがその後がいけなかった。今日はそのまずい売り込みに対する後始末、二度目の訪問。

求道的で、自己のスキル向上なによりの喜びとするA君、とにかく同社と仕事がしたくてたまらなかったらしい(このSierさんは業界でも知る人ぞ知る高スキルの会社なのだ)。困ったことにA君、その思い溢れすぎて少々余計なことをしてくれた。具体的には、ここ数ヶ月我が社が地道なアプローチにより獲得しかけているエンドユーザさんを、勝手にこの会社に紹介する、と約束してしまったのだ。このユーザさんは品川のSierさんからみてもなかなかに魅力的な先。当然ながら、上等の鴨鍋を前にしたかのごとく猛烈な勢いで「はやくユーザとの段取りを」と猛烈なアピールをかけてきた。

自分の意図としては、請け負えそうな仕事の一部について、彼らの協力を得たかっただけなのだが、A君はそれを丸ごと彼らに譲ってしまおうとしていたのだ(そして、その一部をこちらにまわしてもらおうとしていた)。

もちろんそのようなことはできないし、下手な嘘もつきたくない。ここは正直に謝り彼の発言を取り消すしかないな、というのが今日の訪問目的。曇り空以上になにか思いものを感じながらの訪問であった。

先方も大人の対応をしてくれたので話は無事に終了。訪問後に少し喫茶店で話をする。彼の言い分としては、我が社単独でこなした場合、自分達以上のスキルは発揮できないが、彼らの「下」で作業を行えば、よりスキル向上が行えると思った、と。

うちのような零細企業だと、会社の力も高がしれている。営業活動では常に相手より下の立場で物事を進めなければいけない。そんな中でやっとつかみかけた直接の大手取引先。このことが伝わっていたら、今回のような行動も取らなかったのだろう。

社員について、単なる使用人にはなって欲しくないし、徐々に上を目指して欲しいとも思っている。その意味も込め常日頃より「チャンスがあれば積極的に各自が営業活動を行って欲しい」と言っていたのだが、それがすっかり裏目にでてしまった形だ。小さい会社の中でさえ意図することを他人に完全に理解してもらう事はなかなかに難しい。

今回の件はA君が最近加わった会社立ち上げ時よりのメンバーではない、ということにも原因があるのかもしれない。まだ規模は小さくても、全てをツーカーで済ませるわけにはいかない段階になった、ということを知った意味では良い教訓だ。

良くも悪くも、我が社もだんだんと「企業」らしくなってきたということなのだろう、前向きに考えるならば。