中野系

この銀河系の中心、中野で考えること

絶望的な話

2005年10月31日 | 日常
連れがエキストラで出演するあるアマチュアオーケストラの話。

定期演奏会を1週間後に控えた今になり、ピアノコンチェルトを演奏予定だったソリスト(まだ若く無名)が自らの申し出によって急遽降板することになった。何でも原因不明の角膜に関する病気を患い、その症状が悪化してきた為だという。今後失明の可能性が高い、重く深刻な病気であるらしい。

普通の感覚でいうならば同情せずにはいられない話だと思うのだが、世の中には「いろいろな人」がいるらしい。少なくともこのオーケストラの運営幹部にとって、この件について「普通」とは別の感情が沸き起こったようだ。

彼らにとって、直前で話を断ったという事自体がなによりも許せないことであったらしい。その事情がどのようなものであっても。そして彼らはその高ぶる感情を静める事が、この件に関する何よりの収束方法だと考えたようだ。

彼らはソリストを呼びつけ、全員の前で自分の病状を説明し、急遽演奏会をキャンセルしたことへの謝罪することを求めたという。そして若く、立場も強くない若き音楽家は彼らの言に従い先日の練習の場、全団員の前で自分の症状を事細かに報告、謝罪したという。もちろん、泣き崩れながら。

無神経な人はどこにでもいるけれど、こういう話を聞くと絶望的な気分になってくる。いろいろな考えの人間がいるからこそ人生面白いと思うわけだが、その全ての人々と触れ合うことが楽しいわけでもない、ということを思い知らされた限り。

人間としてさほど寛容なわけではないけれど、人生つまらなくなるので「好きでない人間」は作っても「嫌いな人間」は極力作らないよう努力してきたつもり。だが、今回のオーケストラ幹部のようなタイプの人々についてはそういう努力も不要だろう。正直「大嫌い」だ。