検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

いかに林家を守るか 連載小説 116

2012年09月30日 | 第2部-小説
  森林法改正の概要は本連載109号でも触れたが改正法を実務的、機械的に実施されると林家の大半は山を手離さざるを得なくなる。それは大半の林家が所有財産を失うことだから将来にわたって収入を得る糧を失うことになる。地域に暮らすものの収入が減っては地域が活性化することは望むべくもない。そう思うと今回の森林法改正は林家のためにも地域振興のためにもならない。だが法律はできた。その土俵の中でどう林家を守り、収入を増やすようにするか。

 その場合、最大の難問は林家は立木を自ら販売するルートを持っていないことだ。間伐、主伐も森林組合に委託し、売れた代金から委託手数料を差し引いた残金が林家に支払われる。自分の木の値段を自分で決めることができない仕組みは農業、水産業でも共通している。そして手元に残ったお金と材木店で販売される木材価格との違いにびっくりする。せめて材木店の2割であれば十分、利益がでる。しかし立木価格は材木店の10分の1にもならない。

 例えば、現在、木材市場価格は未口(切り口)22cm(樹齢45年)、長さ4mの杉丸太で1立方㍍8000円だ。1立方㍍で約3本分あるから8000円を3で割ると1本当たり2700円にしかならない。45年間、手塩にかけて育て2700円だから1年当たりで計算すると60円にしかならない。苗木代、下草刈、枝打ち、間伐などの経費がかかっているから、この値段では完全に赤字で、再植林の費用など出ない。

 そう考えたとき、将太ははたと思いついた。
 もし占部町の関係者が1つになって育林から建設までを手がければ、多くの問題は解決できる。東北に「川上から川下まで、森林・林業日本一の町づくり」の取り組みをしているT町があることを思い出した。
 松本は知っているのだろうか。翌日、松本に電話した。