検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

「町を蘇らせる」かなめ 連載小説 114

2012年09月28日 | 第2部-小説
  松本「そうおもうでしょ。とにかくこの町を蘇らせたい。この事業に冨田さん、知恵と力を貸してください」
 この時、将太は「少しでもお役に立つのであれば喜んでお手伝いします」といった。
 その後、東京に戻り、松本から送られてきた各種の資料を見てきて「町を蘇らせる」かなめは町に雇用の場を増やすことが不可欠だと思った。働く場所があって初めて住民は暮らしを立てることができる。現在の占部町住民はどうして暮らしているのか。市長村民税の申告と課税資料から住民所得を分析すると町民税の3分の1は給与所得、3分の1は事業所得、固定資産税・年金、その他で3分の1だった。

 これをさらに分析すると給与所得の大半は占部町職員や国・県など公務員が占め、事業所得の大半は建設・土木であった。町面積の9割近くを占め、住民の半数を占める山林所有者の所得は町民税収の1割以下しか占めていなかった。
 将太はその数字を知って本来、町の基幹産業であった林業の凋落のすさまじさに驚きを禁じえなかった。
「町を蘇らせる」かなめはどん底に落ち込み、金を生まない山を金を生む山に変える錬金術しかない。だがそれは日本全土をおおっている状況だから占部町の工夫と努力で金を生む山にするのは土台不可能だ。だが山の資源を横に置いて雇用の場を増やすことは、これもまた不可能だ。