検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

「町振興計画」検討委員会 連載小説112

2012年09月26日 | 第2部-小説
  しかし現在の「占部町振興計画」はどこの町村でも使える、当たり障りのない計画だった。将太は松本に「なぜこういう一般的で抽象的な計画を作ったのか」と聞いたことがある。
松本は「計画とりまとめまでの経緯」と表紙にかかれた白表紙の冊子の1頁を将太に見せて、渡した。
「冨田さんならわかると思いますが、これが今の町の現状です」
 松本が開いて見せたページは「振興計画検討委員会名簿」だった。県に所在する大学教授を委員長にして助役、各課の課長のほか、有識者・住民からの委員は農協、商工会、観光協会、森林組合、福祉協議会の代表、住民は区長会、婦人団体、青年団、老人会などの代表がずらっと並んでいた。

 将太はその名簿を見て、「この人たちは積極的に発言しますか」と聞いた。
松本「ほとんどないですね」
将太「でしょうね。この人たちは他の委員会や審議会の委員になっている場合が多いでしょ」
松本「2つ、3つは掛け持つています。ご苦労様だと思いますが」
将太「この町振興計画のときはどうでした。たたき台というか原案はどなたが書かれたのですか」
松本「委員長ですが実際はゼミの学生たちが原案の原案をつくり、それを委員長、すなわち教授がまとめ、それが事務局に待ちこまれ上司の決済をいくつか受けて若干、書き直していただきました」
将太「それで教授かもしくはゼミの学生たちは占部町にきて何か調査をしたのですか」
松本「住民意識調査をしています」

将太「形はすごく整っているんですよね。だが内容は町名を変えればどこでも使える万能計画だと思います。違いますか」
松本「冨田さんだから正直にいいますがわたしもそう思います」
将太「松本さんや大滝町長さんのもとでどうしてこんなことになるのか、理解できないですね」