大阪に向かう列車の切符を見せて、私は尋ねた。
「この電車に乗るべきか、それとも切符をキャンセルすべきかを悩んでいるところなんです。」と
彼女は、「今の容態は確かに安定しています。けれどもその状態が長く続く事はないと思います。
心臓が止まってしまうか、肺が動かなくなってしまうかなんです。あなたがその電車に乗っている間にそうなることはないと思います。
でも、とんぼ返りはあると思います。」
と言ってくれた。
それを聞いて切符はキャンセルをした。
何度も不死鳥のようによみがえってきた父だったので、それを知っている人達は帰ってもまだ大丈夫なのでは?という空気がただよっていた。
看護師長が言ってくれた通り、父が旅立ったのは次の日の朝だった。