LOHASな感じ!

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原油100ドル時代を向かえて

2011-06-28 | 地政学的備忘録
脱原発を掲げた解散総選挙?も囁かれる中、今後のエネルギー政策はどのように展開されるのか。
今回は原油市場に目を向けてみた。

先日のIEA(国際エネルギー機関)による石油備蓄放出決定を受け、直近100ドル前後で推移していた原油相場が90ドル前半へと落ち着きを取り戻しつつある。
とは言っても70ドル~80ドルの状況には程遠い。高値安定とでもいうべきか。

今回の石油消費国での備蓄放出による協調介入は、今後市場にどのような影響をもたらすのであろうか。
原油相場から債権等の安全資産への資金移動が進むとされているが、長期的には疑問視する声もある。
原油相場が経済成長率を左右するとも言われ、このまま落ち着きを取り戻せば世界経済にとっても好材料になるのだが...。


「原油100ドル時代の成長戦略」~朝日新聞出版
では、主題について述べる前に、2008年7月のWTI最高値147ドルから原油が急落した原因を取り上げていた。

サブプライムローン問題から世界的な金融危機の連鎖と景気後退懸念による資源需要の減退観測、
及び投機規制の強化を急落の原因としている。

WTI最高値をつける2ヶ月前には、IEAとCFTC(米国商品先物取引委員会)が投機資金の財務内容の透明化と原油取引に対する持ち高制限導入を図り、先物取引の証拠金の変更を実施している。
また、ドル高相場となった金融市場は、投機資金の原油からドル資産へのシフトが促され原油の売り材料となって行った。
そのような要因と2008年9月のリーマンブラザーズの破綻が大きく市場に影響をもたらしたのは言うまでもない。

原油相場は均衡点を模索し続けているのが現状だが、
今後10年から15年、資源需要の増加は、長期的には上昇トレンドにあると述べている。
また、OPECにおいては、市場安定化を望む国とそうでない目先の利益に固執する国々があり、そう簡単には安定化は図れないのだ。
資源の枯渇に危機感を抱いているベネズエラやインドネシアなどは後者の部類のようだ。

今後、我々は世界的臨界点を向かえる事になる。
2030年のピークオイル論。
地球温暖化により2~3℃上昇してしまうのも2030年。
世界人口が80億人を超えるのは2025年。
~それら全てが1つになり地球の臨界点を向かえるというものだ。

我々はどうすべきなのか。
著書においては、海外での自国権益を含めた資源自給率の向上、
WTO協定に基づく多国間協議、ETA、技術革新、環境対応、人材育成...あらゆる対応が急務と警告する。

もし、あらゆる資源価格が上昇するパラダイムシフトと捉えれば、新たな産業が生み出される可能性が秘められている。
また、日本企業にとっての真のリスクは、
資源高等を投機マネーによる一過性の現象と認識し、高い資源時代の到来に対して何もしようとしない不作為にあるとも述べていた。

今後の成長戦略として、地下系から太陽系への移行を急務とし、高い資源コストはその移行のためのものとして捉えるべきだとしている。

冷静に考えればそうなのかも知れないが、震災復興の中、企業体力も当然考慮しなくてはならない...。