LOHASな感じ!

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数寄屋建築|数寄屋師

2007-03-18 | 建築と文化
我々建築の世界で、大工は社寺建築を手がける宮大工と、住宅建築を手がける町屋大工に区別される。
社寺建築の工法は一般建築とは異なった納め方をする場合があるので、
一般的には宮大工の方が技能が高いとされているが、実はそうでもないのだ。

町屋大工の中でも、数奇屋建築を主に手がけている職人がいる。
数奇屋建築の技術は、千利休が草庵の茶室を造るようになって発達していったものだ。

数奇屋建築を語るには、茶の湯の息吹が欠かせない。
茶の湯の心意気を理解するものでなければ、本格的な数奇屋建築は当然造れないだろう。
世間一般に言っている数奇屋建築は、数奇屋風建築のことであって、
本格的な数奇屋建築と出会うことは意外と少ないのだ。

数奇屋建築は、丸太や竹などの素材を自然形のままで利用するため、
施工精度がかなりのレベルで要求されてくる。
これは、大工に限ったことではない。
杮葺き職、網代職人、左官職人、簾職人など、その建築に携わる職人の高い技能がそれぞれの分野において必要とされる。
そう言った職人を数寄屋師と呼んでいた。
 ~「数寄屋師の世界」淡交社

しかし、それら職人の高い技術を単に露呈してしまっては、あまりにも短絡的であり、豪華絢爛な建物としてしか存在しないだろう。

茶事の終局の目が、
亭主は客の心を思いやり、客は亭主の心を推し量り、互いに真の心の交わりを楽しむ。
という事にもあるように、その建築そのものも、亭主の心を推し量ることができるようなものでなくてはならない。
さり気無さの中に、真髄が見えてくるようなものでなければならないのだ。

うーん、自分ではこうは言っているが、実際そのような現場をいかに納めていくかは、確かに難しい事だ。
一朝一夕では成就しないという事だけは間違いない。
まずは、日々向上心を持って望む事だろう...。