LOHASな感じ!

日頃、仕事やプライベートで感じた事をLOHASな感覚で書いています。

真実の軌跡

2007-03-08 | 音楽の調べ?
ふと立ち止まった所に、「フジ子・フェミング真実の軌跡」と題した書籍が書棚ケースの中に納められていた。
フジ子・フェミングに関して以前ブログ投稿をした事もあり、彼女の音楽やここまで辿ってきた道のりはある程度知っていた。
ショパンとリストを演奏するために生まれてきたピアニストと今では絶賛される彼女。
彼女の人生の軌跡は決して一言では語れない。

中でも衝撃的な事は、壮絶な日々を送りながらやっと事で掴んだ数少ないチャンスが悲劇的結末を迎えてしまう。
一度目は、カラヤンとの出会い。
二度目は、バーンスタインとの出会い。
特に、彼女の才能を絶賛し、後ろ盾を約束してくれたバーンスタインが、フジ子のリサイタルを設定してくれたにも関わらず、彼女の身に悲劇が起こってしまう。
折角のチャンス、こんな事があって良いのだろうかと誰もが感じる壮絶な出来事だ。

当時ウィーンにいたフジ子は、貧困の生活を余儀なくされ、ある未亡人の所に身を寄せていた。
マイナス10度を超える極寒の中、安普請の家に冷気が入り込み、そこで風邪をこじらせてしまった。
しかし、彼女には医者にかかるお金がなく、安いワインで体を温めているだけだった。
リサイタル1週間前に、彼女の耳は聞こえなくなってしまう。
音楽家に取って聴力は命だ。
誰にも聴力の事は言わないで無理矢理リサイタルを決行したフジ子の評判は、言うまでもないように酷評に終わってしまったのだ。

壮絶な人生の軌跡そのものが、一瞬にして彼女の脳裏に走り、絶望感と孤独感で人生の終焉を感じざぜるを得なかったと思う。

しかし、今は違う。
ラ・カンパネラのあの鐘の響きは、彼女自身の人生を物語っているようにも聞こえる...。