遊行七恵、道を尋ねて何かに出会う

「遊行七恵の日々是遊行」の姉妹編です。
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比叡山は涼しかった スマホ版

2022-08-31 21:38:02 | 旅行
去年の初夏に比叡山のケーブル界隈うろうろしてたので、それをちょっとばかり。
というのはこれはスマホで撮ったものばかりを集めていて、カメラで撮ったのはまた別にあるのだが、全然挙げないまま一年以上経過してたのよ。
ああ…例によって例の如く、時間の隙間に活きてます。

叡電に乗る、と言うこと自体が楽しいのよな。


わたしは今出川通にときめくけど、賀茂川挟んでまた雰囲気が違うのが面白いよね。
同大と京大のなわばりの違いと言うか…
堀川から西がまた雰囲気も違って、やっぱり今出川通は楽しいわ。
さて普段は中京区をふらふら歩いてますが、ちょっと遠出のつもりで叡電に乗る。

カフェもあったり、ずらっとガチャガチャが並んでたり。


駅名表示板

今回は八瀬比叡山口まで向かいます。


来た来た。

車内の駅名表示板

名所案内でもある。

色々と工夫が凝らされてるのよ。


シートの文様が素敵。

小さく紅葉もデザイン。

こちらは鞍馬の天狗をイメージ。
思えば牛若丸は洛中からあの山の奥までやられたわけだねえ…



さて到着。ここから八瀬駅へ向かいます。
途中の川がまたキラキラ。


レトロな八瀬駅


八瀬童子や赦免地踊りのことを思う。
八瀬が隣接する比叡山や高野(たかの)と境界線を廻って色々あったことを京都市歴史資料館、京都文化博物館などでみているが、本当に静かな処で駅から集落までの距離も知らないので何とも言えないが、それでも今は保養所やホテルやコンビニが出来ていることを知る。


少し歩いてケーブル八瀬駅へ着く。


わたしは路面電車とケーブルが大好きなのだよ。














ひたすら楽しい。







到着。


比叡山山頂

なんか丸い輪があるよ。

比叡山頂から見る京都市街地。意外に山があるのよ。



この駅がまたいいよね。




細部が可愛い。


床もいいな。

待合室





再現展示もある。







外に転がる。

写真も展示されていた。
叡山阿闍梨
わたしのイメージでは叡山阿闍梨と言えば諸星大二郎「暗黒神話」ですな。
なお、わたしの手元にあるのは最初期の単行本と、それに加筆された88年版。
完全版およびそれを更に加筆修正した愛蔵版は未読。

山頂には記念撮影場所も。
何故かローマ字表記


向こうに広がる景色の中で、客家風なのは宝ヶ池のホテルですな。村野藤吾のあれ。

数年前、お隣の国際会館は見学したけど、ホテルにはまだ未踏。

山頂をうろうろ。
タンポポだ。

こっちは何かな。

山上遊園地の廃墟にも向かう。
昔は山頂周辺に別荘や遊戯施設が作られていたそうだが、今は全滅。
取り壊しと言うか自然崩壊と言うか、しかし下界へ降ろせないままとか。






ロケットの残骸

…かつて難波のロケット広場にあったロケットはどこへ飛んで行ったのだろう…




さて下山しよう。
ケーブルカー、やっぱりいいなあ。



窓の外も楽しい。







来た来た。来ましたよ。


到着。


いい色やなあ。


天井も素敵。


またね。



ラジオ塔ありましたわ。
前に徳島で見たけど、わたしは他では見ていないなあ。

夢二×文学 「絵で詩をかいてみた」 ― 竹久夢二の抒情画・著作・装幀― 

2022-08-22 15:54:06 | 展覧会
これも以前の展覧会。だいぶ経ったのでまとめる。
弥生美術館と夢二美術館は一度来訪すると二つ以上楽しめる美術館なのだ。


サインは「夢二」でなく「夢路」。
「め」尽くし。め組の提灯、「め」絵馬。
大きな目の少女、白椿の愛らしい着物、傘は白梅モチーフか。
朱塗りの柱には三社札、周りに鳩。神社仏閣の境内。



炬燵にもたれる少女。髪は少し幼い形。しかし背景の屏風は艶めかしい。
矢絣の着物を着た幼さの残る少女だが、読んでいるのはもしかすると情痴ものかもしれない。
夢よ浅かれ 大正15年



SAYONARAと書かれたポスター。ちょっと思わせぶりだが、旅行のポスターかもしれない。
いや、レコードのジャケットかもしれない。



夢二が装幀した様々な本。
子供向けのものから大人向けまで多種多様。



白梅を背景に本を手にする少女。おさげにりぼん。


柳原白蓮の戯曲「指鬘外道」口絵
常の作品と雰囲気が違うが、これもまた夢二の魅力。

口絵の前にこんな言葉がある。
「幻の地獄 竹久夢二画

もつと血が欲しくばこの私の血を絞るがよい、
そなたには疫痢の様に嫌はれたこの私でも、
夜になればあまたの瘦犬共がやつて来て、
骨までしやぶるであらう。        」


夢二の担当した雑誌表紙も数多い。






そのうちから
「淑女画報」

白い睡蓮が初々しい。


「新少女」

小鳥と少女がいる「花の下蔭」
大正五年の空気が伝わってくるようだ。


夢二の美人画も確かに良いものだけれど、わたしはかれの装丁、童画、イラストの方が特に好ましい。




 



大正ロマン・昭和モダンのイラストレーター 高畠華宵展 ―ジェンダーレスな まなざし― 5

2022-08-20 23:34:27 | 展覧会
これで最終回。
挿絵や物語の1シーンなどを集める。

人魚

アールヌーヴォーとはまた違う妖艶さがある。
女優の鰐淵晴子さんを少しばかり思い出す美貌。


生き生きした少女たち



「ナイル薔薇曲」とはまた別個かもしれないが、それを想起させる一枚

戦う少年の健気な美。大蛇の表現もまた決してみにくいものではない。


合奏する良家の子女と子弟。まだ前髪立ちの少年と島田を結った娘と。



ゴルフ。キャディーの少年に話しかける少女。
こちらも少女の方が年長だろう。



物語の挿絵 
剣道の道具を身に着け、額からの血を手ぬぐいでしばりつつも。



朝の身支度をする少年。



弁天小僧だろうか。
時間の止まった空間に抗うように刃を掲げる少年



梅花の下の若衆が短冊を手に。



中間らしき少年が年長の武士たちに痛めつけられている。
その苦悶に耐える瞼の美。



船の上で出会う二人の少年。
アコーディオンを演奏する少年は少し年かさか、佇む少年の憂いがちな心に演奏は届くのだろうか。



物語「ナイル薔薇曲」より。

少年少女の活躍する物語。
わたしが最初に弥生美術館に行ったとき、その直前にこれらの新発見の挿絵が大量に世に現れ、急遽池袋で展覧会が開催された。
わたしも予定を変更し、池袋へ走った。
数年後これらの作品の分類と調査が完了し、展覧会にも出るようになったが、その時にはわたしは弥生美術館友の会会員として、東京へ定期的に行くようになっていた。
全てはここからだともいえる。




磔刑少年の美にはふるえるようなときめきがある。


介抱されるその様子にも…


少女の懇願を拒絶する。

前掲のおろちと戦う少年。これは「ナイル薔薇曲」の1シーン

弥生美術館との付き合いはこの時からだから本当に長い。



日本が舞台の物語もまた艶やかだ。






縛られる少年へのときめきはやはり華宵、彦造からだろうか。

こちらは南蛮小僧。
以前にまとめたものはこちら

海賊たちに強制労働させられている南蛮小僧。どきどきするわ…

海賊たちを出し抜いて江戸へ戻って活躍していた南蛮小僧だが、あるとき連中に捕まり危機一髪!


弟分の富士松の犯行現場に来合わせ、ちょっと茫然となる南蛮小僧。



他の物語でもどきどきするものが多い。
















先般、「熱帯への旅」展の感想に挙げた中に松園さんのスケッチのチャイナ女子がいたが、似た感じの娘



最後に弟子たちを描いたスケッチなど




大正ロマン・昭和モダンのイラストレーター 高畠華宵展 ―ジェンダーレスな まなざし― 4

2022-08-18 15:52:53 | 展覧会
一枚絵を集めよう


若き船人 青海波をバックに水兵さんかな。男女の差異の分からない船人。


うっとりした目を空へ向ける。

「少年倶楽部」で活躍していた頃の表紙絵
☆が☆表現。五線星形は戦後に出てくるそうです。



立て看板のお嬢さん。モダンなスタイルだけど定着しなかったのよね…



ソファでくつろぐ。
ソファはパラの文様が入ったシートカバー。クッションもモダン。



パラソルさしてお散歩

むかしながらの八つ橋ではなく、近代的な整備をうけての八つ橋。花しょうぶが可愛い。


「乙女の日」着物も帯もモダン。90年前のおしゃれ



梅見の日。床几でくつろぐ。まだ少し肌寒いのでケットも。
白梅の下の娘さん。



影遊びをする。ウサギが浮かび上がる。器用だなあ。わたしは狐しかできない。
羽織は源氏香の文様。



肉筆画 八百屋お七

「八百屋お七が恋をした」という詩を思い出す。


「さらば故郷」と「新さらば故郷」
弥生美術館創始者の鹿野弁護士の立身は郷里を後にして、懸命に学び・働いたことから開いた。
心にはいつも華宵の描いた「さらば故郷」の哀愁に満ちた絵が活きていた。
やがて月日は巡り、華宵との運命的な出会いの後に、華宵から明るい「新さらば故郷」を描いてもらった鹿野弁護士。
華宵と鹿野弁護士との感動的な物語が弥生美術館を生み出す原動力だった。


今は亡き華宵も鹿野弁護士も、本当にありがとうございます。

因みに弥生美術館オープンの日に田中角栄がこの絵に会うために飛んできたと久世光彦が記している。
角栄も鹿野少年もみんな志を持って立身したが、その郷里を離れるときにはこの絵が胸にあったのだ。

大正ロマン・昭和モダンのイラストレーター 高畠華宵展 ―ジェンダーレスな まなざし― 3

2022-08-17 14:36:02 | 展覧会
今回は異国趣味と幻想的な作品を。


この絵は一時チケットにも選ばれていた。


月の女神。足元にはウサギが駆ける。
被り物の感じなどを見ると「狂つた一頁」の幻想のワンシーンを思い出させる。
時代に多少ずれはあっても、同時代の人の共有する何かがある。


エキゾチックな美、オリエンタルな美は、この時代特に好まれたようだが、極東の少女たちもその潮流の中にいた。
送り手の華宵にこうしたセンスがあったことが幸いを齎した。

埃及美人



影まで美しい。

熱国の朝の歓び。睡蓮の池






華宵は浅草オペラに通い詰めたそうだが、この時代のNeuer Tanzには憧ればかりがある。
バタフライダンス


胡蝶の夢と言うなかれ。



孔雀の舞


こちらは白孔雀


20世紀は新しいダンスが生まれた世紀だったのを強く感じる。



モダンチャイナ







そしてサロメ。


セダ・バラのサロメ
華宵は浅草電気館で上映された「サロメ」を目の当たりにする。

映画は1918年の制作。翌年には日本で上映されているのか。


この左下の絵はサロメの舞を描いたもの。
便箋としてかつて弥生美術館で販売されていた。

最後に津村順天堂「中将湯」広告絵

現在奈良博で開催中の「中将姫と當麻曼荼羅」展にも少しばかり華宵の描いた中将湯のビラが出ていた。