まずはカラー原画展があり、少し間をおいて原稿の原画展が開催された。
カラー原画展の感想はこちら。
幼少期からファンとして活きるわたしにとってはわたなべまさこさんの原画が並ぶ空間に佇むだけでも昂揚するのだが、今回は更にサイン会もあると伺った。
クラクラした。
めまいがするのは血の気が引いたからではない。
あのわたなべまさこさんの目の前に立つことになるのだ。
89歳にして優雅な伯爵夫人といった趣をもったわたなべまさこさんの前に立つ…
想像するだけでクラクラする。
あのおしゃれな方の前に、昭和天皇の肉声による「堪え難きを耐え」の玉音放送を聞いて「これでオシャレが出来る!」と力強く喜ばれた方の前に立つのだ。
あまりな格好は出来ない。
というわけで、わたしとしては大仰にならないようにしつつ、普段よりずっとずっと気を遣って銀座に出た。
…おられた。
生きるレジェンドとも言える現役作家わたなべまさこさんがギャラリーの方や読者とにこやかにお話しされていた。
白地に上品な金色がところどころに煌めく装いをされていた。足元はスニーカーだが、それとても白に金で、優雅な統一感がある。
紅茶を飲まれる様子にもドキドキした。
そしてついにわたしはサインをお願いした。
既に前期のカラー原画展で今回刊行された図録は購入していたので、大判のポストカードを購入し、そちらへのサインをお願いした。
手が震えすぎて、うまく出来ないのでギャラリーの人に頼った。情けないが仕方ない。
子供の頃からファンであること、また「水曜日の森」など作中でのわたなべまさこさんの直筆の美しさについて、少しばかりお話しすると、「あらあら嬉しい。他の方には内緒でいっぱいサインしちゃおう」とおっしゃって、そのうつくしい文字を全てのカードに載せてゆかれる。
わたしの名前も書いてくださった。あまりに嬉しすぎて手が震えた。
熱が上がりすぎて自分でも止められなくなり、身を引いたところへ男性客が「先生、お写真をご一緒に」と言い出した。
いいなあ。しかしこれ以上近づくことはわたしには出来ないので、これで終わりでよかった。
先生、本当に元気で長生きをしてください。
そしていつかまた新作を発表してください。
お待ちしています。
なお原画は「ガラスの城」「聖ロザリンド」「金瓶梅」などがあり、中でも「聖ロザリンド」を愛するわたしには深い喜びがあった。
わたなべまさこさんの官能的な絵もとても好きなので、本当にどきどきする原画展だった。