もう本当に終わった展覧会の感想しか挙げられないのは何かの因果か。
こちらも最近の特徴の「令によって終わった」展覧会の感想。
去年開催されたのに途中でぶった切られたのを今年こうして再構築して展示。
楽しい展覧会だったのでやっぱり記憶と記録を残しておきたいと思い、自分の愉しみの為に挙げる。
森派は大阪で活躍したが京都とも密接な関係がある。
第一その当時も現在も大阪の半分は京都と近いのである。
こういうことです。
で、元のチラシと同じ構図のもの
序章 森派前史
応挙先生の絵が最初にある。
やっぱり応挙は偉大なのよ。それまでになかった思想を絵の世界に取り入れ、浸透させたのはすごい。ねじけの天才・蕭白も「応挙が何ぢゃい」と思うくらい、応挙はやっぱり御大なのね。
遊鯉図 円山応挙筆 個人蔵 1幅 天明7年(1787) 絹本着色
双鶴図 円山応挙筆 個人蔵 1幅 天明7年(1787) 絹本着色
波濤図 円山応挙筆 大阪天満宮蔵 1幅 江戸時代(18世紀) 紙本墨画
天明年間の応挙の充実度、好き。世相的には東北をはじめたいへん危機的状況にあるけれど、かれの芸術はそれらを完全に一掃するくらいの力がある。
岳陽楼図 吉村周山筆 三宅春楼・三宅光同・中井竹山・中井履軒・加藤景範賛 本館蔵 1幅 明和5年(1768)賛 絹本着色
これ見たかったのだが後期展示でついに出会えず。
とはいえここの収蔵品なのでいつか機会もあるでしょう。
中国では「黄鶴楼、滕王閣と共に江南の三大名楼のひとつ」と紹介もされている。
屋根の端のピンと跳ねたいかにもな楼建築。
酔李白図 吉村周山筆 中井竹山・中井履軒賛 本館蔵 1幅 明和6年(1769)賛 絹本着色 前景の岳陽楼は杜甫の有名な詩があるが、この李白先生には黄鶴楼を詠んだこれまた素晴らしい詩がある。
酔っぱらっててもグッジョブなのはいつものこと。
この二点は吉村周山も対の気持ちで描いたのだろうな。
武蔵野図 月岡雪鼎筆 個人蔵 1幅 江戸時代(18世紀) 絹本着色 綺麗。物語から離れた静けさがある。
滝桜図 勝部如春斎筆 個人蔵 1幅 江戸時代(18世紀) 絹本着色 この絵師の弟子に狙仙がいるわけです。華やかできれいな桜。
以前西宮大谷記念美術館でかれの展覧会を見た。
当時の感想はこちら
西宮の狩野派・勝部如春斎
梅に綬帯鳥図 勝部如春斎筆 個人蔵 1幅 江戸時代(18世紀) 絹本着色 これも派手な明るさがあっていい。
第1章長兄森陽信
このお兄さんの絵を見ていないことに気づいた。ほんと、知らない。
高砂図 森陽信筆 個人蔵 1幅 江戸時代(18~19世紀) 絹本着色 翁と媼が仲良さそう。考えたら二人で掃除してるんだものなあ。
諫鼓鶏図 森陽信筆 個人蔵 1基 江戸時代(18~19世紀) 紙本金地着色 平和の象徴ね。でもニガテなの。
第2章次兄森周峰
このお兄さんの絵は意外と見ている。府中市美術館、千葉市美術館、それと大阪で。
弟は猿、お兄さんは鹿が多い。
以前に見た感想
唐画もん 武禅に閬苑、若冲も http://yugyofromhere.blog8.fc2.com/blog-entry-3867.html
観瀑図 森周峰筆 本館蔵 1幅 享和2年(1802) 絹本墨画 色んな人がそれぞれ滝を見る絵を描いているが、李白の昔、本邦では業平どころか奈良時代の養老の昔から、滝へのときめきがあるからこそ、そうした絵を描くのだよなあ。
梅月猴抱子図 森周峰筆 個人蔵 1幅 安永6年(1777)以前~寛政11年(1799) 絹本着色 お家芸だね。おさるの親子。
月下鹿図 森周峰筆 個人蔵 1幅 寛政12年(1800) 絹本着色 鹿の肉のありようとかそこから色々と妄想が広がる。
蝦蟇仙人図 森周峰筆 個人蔵 1幅 寛政11年(1799)~文政6年(1823) 絹本着色 これは前にも見ているが、けっこうガマとふざけ合ってる感じ。
袱紗に絵も描く。
松竹梅に亀鶴図袱紗
松竹梅図袱紗 森周峰筆 本館蔵(木村和宏コレクション) 1枚 文政5年(1822) 絹本墨画
武庫川女子大学の博物館で幕末から明治の着物を見る機会が色々あり、そこでも手描きの袱紗や風呂敷をみた。作られた理由がごくプライベートなものだというのを感じる。
第3章 末弟森狙仙
最初は狙の狙仙ではなかったのが、日本一の猿絵描きになったので猿を意味するこの字に変わったのだったかな。耳だけで聴けば「さるのそせん」。ダーウィニズムだよなあ。
ニホンザルの毛並みがリアルで、モフモフとまではいかないけれど、ふわふわなのがよくわかる。
桃猿図 森狙仙筆 坤井堂宵瑞賛 本館蔵 1幅 文化4年(1807)年以前 絹本着色 大きな桃を抱きかかえている。サルで桃というと吉祥も吉祥なのだが、「西遊記」のエピソードを思い出しもする。
梅に猿図 森狙仙筆 黄元熈賛 個人蔵 1幅 文化4年(1807)年以前 紙本着色 風情があるが、そういえばサルは梅を食べるのだろうか。
他にも猿の絵がずらずら集まる。ただ、頴川美術館の集合猿の絵はないので惜しい気はする。
別なところで展示中でしたわ。
本も紹介されている。
『蒹葭堂雑録』巻五 木村蒹葭堂著 暁鐘成編 松川半山筆 本館蔵 5冊のうち1冊 安政6年(1859)刊 木版単色刷
やはり18~19世紀の大坂、京都は面白い。
第4章 その後の森派 -徹山から一鳳へ-
時代は変わり、だんだんと近代に近づいてゆく。
犬図 森徹山筆 個人蔵 1幅 江戸時代(19世紀) 紙本着色 このわんこがすごい可愛かった。
わんこの絵は二点あって一つは狆みたいな奴だが、もう一匹は違うわんこ。
こっちの方が好き。可愛い。これがクマちゃんのすぐ近くにあった。
可愛いの2トップでしたな。
野馬図 森一鳳筆 個人蔵 1幅 江戸~明治時代 (19世紀) 絖本着色 ちょっとばかりペーソス感じる馬。野良でぼんやりしている。なにか物思うこともあるのだろうか。
しかしこれが絖に描かれるとは。贅沢やなあ。
熊図 森一鳳筆 個人蔵 1幅 江戸~明治時代 (19世紀) 紙本墨画淡彩 丸々としててすごい可愛い。最近わたしは「ゴールデンカムイ」で羆や、「銀牙」で凶悪な熊ばかりみてたので、こんな可愛い熊見るのは本当に久しぶりでした。
孔雀図 森一鳳筆 大阪天満宮蔵 2曲1隻 江戸~明治時代 (19世紀) 紙本着色 天満の天神さんにあるのか。孔雀の配置がなんとなくホイッスラーぽくてキラキラしている。
応挙以来の雰囲気ではなく、洋風の孔雀。
夏景水辺・冬景三条大橋図 森二鳳筆 個人蔵 2幅 明治時代(19世紀) 絹本着色 三条大橋は好きでよく歩くけど、昔はこうだったのかという感じもある。
膝栗毛、広重の五十三次の昔からこの橋は愛されてるしねえ。
綿図 森二鳳筆 個人蔵 1幅 明治時代(19世紀) 紙本着色 河内木綿からかなあ。
そういえば綿の花と言うのを知ったのは歳が一桁の頃に読んだ「カムイ」からだった。
百姓たちが綿の花が咲いて喜ぶシーン。
橘姫図 森寛斎筆 個人蔵 1幅 江戸~明治時代 (19世紀) 絹本着色 八尋の海へ。ドラマティックなシーン。悲劇。以前明治神宮宝物殿でヤマトタケルの展覧会があったが、弟橘姫の話は絵になりやすく、何点かみた。
終章 上方絵師のお家芸
お仲間さん。本人はその気がなくとも今回のくくりではお仲間さん。
鷹図 土岐頼高筆 個人蔵 1幅 承応4年(1655) 紙本墨画 美濃の土岐家の末裔の絵。
「国盗り物語」で道三からうまいこと騙し取られた土岐家の殿様あたりから絵はたいへんうまかったそうだ。本宮ひろ志「猛き黄金の国」シリーズの斎藤道三編にも絵の上手な土岐家の殿様が登場する。政治家として以上に芸術家の殿様は古今東西必ず国から追われる。
だがやはり絵はうまい。この鷹も眼光鋭い。
鶉図 土佐光祐筆 近衛予楽院賛 個人蔵 1幅 元禄9年(1696) ~宝永7年(1710) 絹本着色 土佐派の鶉は他でも見ていると思う。実は鶉が耳の愉しみを齎す鳥だとは長く知らなかった。
賛は予楽院。当代きっての優美な作品なのだった。
蝦蟇図 松本奉時筆 畠中観斎賛 個人蔵 1幅 江戸時代(18世紀) 紙本墨画 さー出ました、カエルのホージ。カエル好きな絵師は存外多く、この後には暁斎もいる。
カエルの巧いヒトは多いがみんなそれぞれいい。
馬場のぼる、村上勉、水木しげる。いいものです。
地獄図 耳鳥斎筆 本館蔵 1巻 寛政5年(1793) 紙本着色 世界は悪ふざけの戯場だと言うくらいだからもうほんとに好きに地獄を描いている。鬼たちは淡々と何らかの作業をし、亡者たちはその道具としてなにやら嬉しそうに斬られたりひねられたりしている。
「江戸の戯画」 をたのしむ その1 http://yugyofromhere.blog8.fc2.com/blog-entry-4830.html
このときは全巻出ていたが、今回は一部。しかし楽しいよ。
こんなカードもありました。
藻刈舟図 森一鳳筆 個人蔵 1幅 江戸~明治時代 (19世紀) 紙本淡彩 船を浮かべてお濠や川辺の藻を刈るのだが、これを描くのが「いっぽう」サンなので所謂縁起物となる。
「もぉかるいっぽう」=儲かる一方。
株屋の集中する北浜界隈では今日でも天ぷら屋、ウナギの名店などがあるが、これも縁起担ぎの一端。
たいへん面白い展覧会でしたわ。
去年の展示を見損ねて鬱屈してたが、形を変えてこうして出してくれて嬉しい。
いいものを見た。
こちらも最近の特徴の「令によって終わった」展覧会の感想。
去年開催されたのに途中でぶった切られたのを今年こうして再構築して展示。
楽しい展覧会だったのでやっぱり記憶と記録を残しておきたいと思い、自分の愉しみの為に挙げる。
森派は大阪で活躍したが京都とも密接な関係がある。
第一その当時も現在も大阪の半分は京都と近いのである。
こういうことです。
で、元のチラシと同じ構図のもの
序章 森派前史
応挙先生の絵が最初にある。
やっぱり応挙は偉大なのよ。それまでになかった思想を絵の世界に取り入れ、浸透させたのはすごい。ねじけの天才・蕭白も「応挙が何ぢゃい」と思うくらい、応挙はやっぱり御大なのね。
遊鯉図 円山応挙筆 個人蔵 1幅 天明7年(1787) 絹本着色
双鶴図 円山応挙筆 個人蔵 1幅 天明7年(1787) 絹本着色
波濤図 円山応挙筆 大阪天満宮蔵 1幅 江戸時代(18世紀) 紙本墨画
天明年間の応挙の充実度、好き。世相的には東北をはじめたいへん危機的状況にあるけれど、かれの芸術はそれらを完全に一掃するくらいの力がある。
岳陽楼図 吉村周山筆 三宅春楼・三宅光同・中井竹山・中井履軒・加藤景範賛 本館蔵 1幅 明和5年(1768)賛 絹本着色
これ見たかったのだが後期展示でついに出会えず。
とはいえここの収蔵品なのでいつか機会もあるでしょう。
中国では「黄鶴楼、滕王閣と共に江南の三大名楼のひとつ」と紹介もされている。
屋根の端のピンと跳ねたいかにもな楼建築。
酔李白図 吉村周山筆 中井竹山・中井履軒賛 本館蔵 1幅 明和6年(1769)賛 絹本着色 前景の岳陽楼は杜甫の有名な詩があるが、この李白先生には黄鶴楼を詠んだこれまた素晴らしい詩がある。
酔っぱらっててもグッジョブなのはいつものこと。
この二点は吉村周山も対の気持ちで描いたのだろうな。
武蔵野図 月岡雪鼎筆 個人蔵 1幅 江戸時代(18世紀) 絹本着色 綺麗。物語から離れた静けさがある。
滝桜図 勝部如春斎筆 個人蔵 1幅 江戸時代(18世紀) 絹本着色 この絵師の弟子に狙仙がいるわけです。華やかできれいな桜。
以前西宮大谷記念美術館でかれの展覧会を見た。
当時の感想はこちら
西宮の狩野派・勝部如春斎
梅に綬帯鳥図 勝部如春斎筆 個人蔵 1幅 江戸時代(18世紀) 絹本着色 これも派手な明るさがあっていい。
第1章長兄森陽信
このお兄さんの絵を見ていないことに気づいた。ほんと、知らない。
高砂図 森陽信筆 個人蔵 1幅 江戸時代(18~19世紀) 絹本着色 翁と媼が仲良さそう。考えたら二人で掃除してるんだものなあ。
諫鼓鶏図 森陽信筆 個人蔵 1基 江戸時代(18~19世紀) 紙本金地着色 平和の象徴ね。でもニガテなの。
第2章次兄森周峰
このお兄さんの絵は意外と見ている。府中市美術館、千葉市美術館、それと大阪で。
弟は猿、お兄さんは鹿が多い。
以前に見た感想
唐画もん 武禅に閬苑、若冲も http://yugyofromhere.blog8.fc2.com/blog-entry-3867.html
観瀑図 森周峰筆 本館蔵 1幅 享和2年(1802) 絹本墨画 色んな人がそれぞれ滝を見る絵を描いているが、李白の昔、本邦では業平どころか奈良時代の養老の昔から、滝へのときめきがあるからこそ、そうした絵を描くのだよなあ。
梅月猴抱子図 森周峰筆 個人蔵 1幅 安永6年(1777)以前~寛政11年(1799) 絹本着色 お家芸だね。おさるの親子。
月下鹿図 森周峰筆 個人蔵 1幅 寛政12年(1800) 絹本着色 鹿の肉のありようとかそこから色々と妄想が広がる。
蝦蟇仙人図 森周峰筆 個人蔵 1幅 寛政11年(1799)~文政6年(1823) 絹本着色 これは前にも見ているが、けっこうガマとふざけ合ってる感じ。
袱紗に絵も描く。
松竹梅に亀鶴図袱紗
松竹梅図袱紗 森周峰筆 本館蔵(木村和宏コレクション) 1枚 文政5年(1822) 絹本墨画
武庫川女子大学の博物館で幕末から明治の着物を見る機会が色々あり、そこでも手描きの袱紗や風呂敷をみた。作られた理由がごくプライベートなものだというのを感じる。
第3章 末弟森狙仙
最初は狙の狙仙ではなかったのが、日本一の猿絵描きになったので猿を意味するこの字に変わったのだったかな。耳だけで聴けば「さるのそせん」。ダーウィニズムだよなあ。
ニホンザルの毛並みがリアルで、モフモフとまではいかないけれど、ふわふわなのがよくわかる。
桃猿図 森狙仙筆 坤井堂宵瑞賛 本館蔵 1幅 文化4年(1807)年以前 絹本着色 大きな桃を抱きかかえている。サルで桃というと吉祥も吉祥なのだが、「西遊記」のエピソードを思い出しもする。
梅に猿図 森狙仙筆 黄元熈賛 個人蔵 1幅 文化4年(1807)年以前 紙本着色 風情があるが、そういえばサルは梅を食べるのだろうか。
他にも猿の絵がずらずら集まる。ただ、頴川美術館の集合猿の絵はないので惜しい気はする。
別なところで展示中でしたわ。
本も紹介されている。
『蒹葭堂雑録』巻五 木村蒹葭堂著 暁鐘成編 松川半山筆 本館蔵 5冊のうち1冊 安政6年(1859)刊 木版単色刷
やはり18~19世紀の大坂、京都は面白い。
第4章 その後の森派 -徹山から一鳳へ-
時代は変わり、だんだんと近代に近づいてゆく。
犬図 森徹山筆 個人蔵 1幅 江戸時代(19世紀) 紙本着色 このわんこがすごい可愛かった。
わんこの絵は二点あって一つは狆みたいな奴だが、もう一匹は違うわんこ。
こっちの方が好き。可愛い。これがクマちゃんのすぐ近くにあった。
可愛いの2トップでしたな。
野馬図 森一鳳筆 個人蔵 1幅 江戸~明治時代 (19世紀) 絖本着色 ちょっとばかりペーソス感じる馬。野良でぼんやりしている。なにか物思うこともあるのだろうか。
しかしこれが絖に描かれるとは。贅沢やなあ。
熊図 森一鳳筆 個人蔵 1幅 江戸~明治時代 (19世紀) 紙本墨画淡彩 丸々としててすごい可愛い。最近わたしは「ゴールデンカムイ」で羆や、「銀牙」で凶悪な熊ばかりみてたので、こんな可愛い熊見るのは本当に久しぶりでした。
孔雀図 森一鳳筆 大阪天満宮蔵 2曲1隻 江戸~明治時代 (19世紀) 紙本着色 天満の天神さんにあるのか。孔雀の配置がなんとなくホイッスラーぽくてキラキラしている。
応挙以来の雰囲気ではなく、洋風の孔雀。
夏景水辺・冬景三条大橋図 森二鳳筆 個人蔵 2幅 明治時代(19世紀) 絹本着色 三条大橋は好きでよく歩くけど、昔はこうだったのかという感じもある。
膝栗毛、広重の五十三次の昔からこの橋は愛されてるしねえ。
綿図 森二鳳筆 個人蔵 1幅 明治時代(19世紀) 紙本着色 河内木綿からかなあ。
そういえば綿の花と言うのを知ったのは歳が一桁の頃に読んだ「カムイ」からだった。
百姓たちが綿の花が咲いて喜ぶシーン。
橘姫図 森寛斎筆 個人蔵 1幅 江戸~明治時代 (19世紀) 絹本着色 八尋の海へ。ドラマティックなシーン。悲劇。以前明治神宮宝物殿でヤマトタケルの展覧会があったが、弟橘姫の話は絵になりやすく、何点かみた。
終章 上方絵師のお家芸
お仲間さん。本人はその気がなくとも今回のくくりではお仲間さん。
鷹図 土岐頼高筆 個人蔵 1幅 承応4年(1655) 紙本墨画 美濃の土岐家の末裔の絵。
「国盗り物語」で道三からうまいこと騙し取られた土岐家の殿様あたりから絵はたいへんうまかったそうだ。本宮ひろ志「猛き黄金の国」シリーズの斎藤道三編にも絵の上手な土岐家の殿様が登場する。政治家として以上に芸術家の殿様は古今東西必ず国から追われる。
だがやはり絵はうまい。この鷹も眼光鋭い。
鶉図 土佐光祐筆 近衛予楽院賛 個人蔵 1幅 元禄9年(1696) ~宝永7年(1710) 絹本着色 土佐派の鶉は他でも見ていると思う。実は鶉が耳の愉しみを齎す鳥だとは長く知らなかった。
賛は予楽院。当代きっての優美な作品なのだった。
蝦蟇図 松本奉時筆 畠中観斎賛 個人蔵 1幅 江戸時代(18世紀) 紙本墨画 さー出ました、カエルのホージ。カエル好きな絵師は存外多く、この後には暁斎もいる。
カエルの巧いヒトは多いがみんなそれぞれいい。
馬場のぼる、村上勉、水木しげる。いいものです。
地獄図 耳鳥斎筆 本館蔵 1巻 寛政5年(1793) 紙本着色 世界は悪ふざけの戯場だと言うくらいだからもうほんとに好きに地獄を描いている。鬼たちは淡々と何らかの作業をし、亡者たちはその道具としてなにやら嬉しそうに斬られたりひねられたりしている。
「江戸の戯画」 をたのしむ その1 http://yugyofromhere.blog8.fc2.com/blog-entry-4830.html
このときは全巻出ていたが、今回は一部。しかし楽しいよ。
こんなカードもありました。
大阪歴博のカード
— 遊行七恵 (
耳鳥斎の地獄図巻より歌舞伎役者の地獄 https://pic.twitter.com/D8SGNYuY4Y
@yugyo7e
) April 26, 2021
藻刈舟図 森一鳳筆 個人蔵 1幅 江戸~明治時代 (19世紀) 紙本淡彩 船を浮かべてお濠や川辺の藻を刈るのだが、これを描くのが「いっぽう」サンなので所謂縁起物となる。
「もぉかるいっぽう」=儲かる一方。
株屋の集中する北浜界隈では今日でも天ぷら屋、ウナギの名店などがあるが、これも縁起担ぎの一端。
たいへん面白い展覧会でしたわ。
去年の展示を見損ねて鬱屈してたが、形を変えてこうして出してくれて嬉しい。
いいものを見た。