翔陽 10
海南 8
試合開始 6分
『ピィーーー!』
「タイムアウト!青!」
花形の指示により、翔陽ベンチが早くもタイムアウトをとった。
「藤真は、牧に翻弄されているな。」
「あぁ。牧にだけ意識が偏り、周りが全く見えていない。
気持ちばかりが昂り、体と気持ちが上手くかみ合っていない状態だ。
まさしく、山王戦、対河田への過敏意識、赤木状態ってわけだな。」
「なにをーー!!たわけがぁ!!」
「本当のことだろ!?俺が気付かせたおかげで、山王に勝てたんだろう!?」
「ふんっ!お前の力など借りんでも、山王には勝てたわい!!」
「ふんっ!!」
赤木と魚住を無視するかのように、木暮がつぶやく。
「このタイムアウトで気持ちの整理がつけばいいんだが。」
ベンチに戻る両チーム。
「早いタイムアウトだが、悪いタイミングではない。花形の指示か?」
扇子を仰ぎながら、高頭がいう。
「藤真がおかしいっすね?」
清田が牧に問いかける。
「あぁ、試合に集中できていない様子だな。だが、相手のことは関係ない。俺たちは、全力で翔陽をつぶすのみ。」
「OK!そうだ!今の調子でいこう。高砂、武藤、ファウルをケアしていけ。お前らが抜けると、インサイドが辛くなる。」
「はい!」
「ここ1本で同点にして、一気に決めちゃいましょう!!」
「藤真!!!」
花形が藤真に向かって叫んだ。
「・・・。」
振り向く藤真。
「お前の相手は、牧じゃない!海南なんだ!!しっかり、周りを見ろ!!海南を倒すんだろ!?」
「・・・・・・。」
沈黙の藤真。
「藤真!」
「藤真さん!」
「キャプテン!!」
「仲間を信じろ!!」
翔陽の選手が、藤真に声をかける。
「・・・・・・。」
藤真は翔陽ベンチを見渡した。
「・・・・・・。」
(仲間!?牧!?海南!?)
「・・・・・・。」
「行こうぜ!全国!」
「・・・・・・。」
(そうだ。俺の相手は牧じゃない。海南なんだ!このチームで海南に勝つことなんだ!)
藤真は、再びベンチを見渡し、軽く微笑んだ。
「みんな、すまなかった・・・。牧に対して、意識しすぎてしまっていたようだ・・・。ありがとう、花形。」
「あぁ。まだ始まったばかりだ。海南を倒すことは、牧を倒すことと一緒だ。みんなで海南を倒そう。」
「あぁ。花形の言うとおりだ。よし!ここ1本とめるぞ!!」
「おう!!」
『ピィーーー!!』
「始めます!」
両メンバーがコートに足を運ぶ。
藤真が牧を見つめている。
(これからだ。翔陽の築き上げてきたものを見せてやる!)
対する牧は、藤真をちらっと見たあと、花形を見た。
(花形、精神力も、リーダーシップも一皮剥けたな。藤真まで復活させたか。倒しがいのあるやつらだぜ。)
海南のスローインから開始。
清田から牧へ、すばやく神にボールが渡る。
執拗に長谷川から攻める海南。
3Pライン1m手前。
(神にはこの位置からの3Pもありえる。)
腰をかがめ、重心を低く、鋭い眼差しで神を睨む長谷川。
大きな瞳で、長谷川をクールに見つめる神。
『キュ!』
パスフェイク。
シュートフェイク。
(!!!)
腰が上がる長谷川。
『スッ!』
長谷川を抜く神。
「神のドライブ!」
「高確率の3Pがあるがために、どうしてもシュートフェイクには、過剰に反応してしまうな。」
「神をとめるには、ドライブを捨て、外角1本に絞るか、神の倍の運動量が必要になる。」
(桜木のようにか・・・。)
赤木が桜木を思い出す。
『ダム!』
長谷川を抜いた神に、花形がヘルプディフェンス。
『キュ!』
ジャンプシュート体勢。
花形も大きく腕を伸ばし、ブロックに跳ぶ。
(この距離なら届く!)
『ヒョイ!』
(!!)
神は、跳んだ花形の横を通るパスを出した。
そこには、フリーで清田が走り込んでいる。
「さすが神さん!!」
だが。
『バン!』
「あ!!」
「藤真!!」
藤真がパスカット。
「さぁ、行くぞ!!」
「おう!!!」
『ダムダムダム!!』
一気に海南コートまでボールを運ぶ。
サイドを高野、永野が駆け上がってくる。
だが、海南の戻りも早い。
清田が藤真に並走。
牧、神が海南コートで迎え撃つ。
「3対3!」
高さでは翔陽、スピードでは海南。
『キュ!』
一瞬スピードを緩め、再び一気に加速。
藤真のチェンジオブペースで清田を振り切る。
「アウトナンバーーー!!」
「3対2!!」
(高野か?永野か?それとも自分で突っ込んでくるか?)
牧が藤真の動きに集中する。
『キュッ!』
藤真が急ストップ。
高野に目を向ける。
「神、永野につけ!」
「はい。」
牧は神に指示を出し、自身は藤真高野ラインのパスコースを塞ぐ。
にこりと笑う藤真。
高野の方向に伸ばした腕を戻す。
そして、静かにシュートを打った。
(パスフェイク!!スリーか!?)
完全に裏をつかれた牧は、フリーで3Pを打たせてしまった。
藤真の左腕は、綺麗に伸びていた。
『スポッ!』
速攻からの鮮やかな3Pが決まる。
「アウトナンバーで3Pを打ちやがったーー!!」
「きっちり決めてきた!すげーーぞ、藤真!!」
(藤真完全復活だな。)にこり。
センターライン付近で、藤真を見ている花形が笑う。
最強の挑戦者、藤真復活の狼煙が上がった。
翔陽 13
海南 8
続く。
海南 8
試合開始 6分
『ピィーーー!』
「タイムアウト!青!」
花形の指示により、翔陽ベンチが早くもタイムアウトをとった。
「藤真は、牧に翻弄されているな。」
「あぁ。牧にだけ意識が偏り、周りが全く見えていない。
気持ちばかりが昂り、体と気持ちが上手くかみ合っていない状態だ。
まさしく、山王戦、対河田への過敏意識、赤木状態ってわけだな。」
「なにをーー!!たわけがぁ!!」
「本当のことだろ!?俺が気付かせたおかげで、山王に勝てたんだろう!?」
「ふんっ!お前の力など借りんでも、山王には勝てたわい!!」
「ふんっ!!」
赤木と魚住を無視するかのように、木暮がつぶやく。
「このタイムアウトで気持ちの整理がつけばいいんだが。」
ベンチに戻る両チーム。
「早いタイムアウトだが、悪いタイミングではない。花形の指示か?」
扇子を仰ぎながら、高頭がいう。
「藤真がおかしいっすね?」
清田が牧に問いかける。
「あぁ、試合に集中できていない様子だな。だが、相手のことは関係ない。俺たちは、全力で翔陽をつぶすのみ。」
「OK!そうだ!今の調子でいこう。高砂、武藤、ファウルをケアしていけ。お前らが抜けると、インサイドが辛くなる。」
「はい!」
「ここ1本で同点にして、一気に決めちゃいましょう!!」
「藤真!!!」
花形が藤真に向かって叫んだ。
「・・・。」
振り向く藤真。
「お前の相手は、牧じゃない!海南なんだ!!しっかり、周りを見ろ!!海南を倒すんだろ!?」
「・・・・・・。」
沈黙の藤真。
「藤真!」
「藤真さん!」
「キャプテン!!」
「仲間を信じろ!!」
翔陽の選手が、藤真に声をかける。
「・・・・・・。」
藤真は翔陽ベンチを見渡した。
「・・・・・・。」
(仲間!?牧!?海南!?)
「・・・・・・。」
「行こうぜ!全国!」
「・・・・・・。」
(そうだ。俺の相手は牧じゃない。海南なんだ!このチームで海南に勝つことなんだ!)
藤真は、再びベンチを見渡し、軽く微笑んだ。
「みんな、すまなかった・・・。牧に対して、意識しすぎてしまっていたようだ・・・。ありがとう、花形。」
「あぁ。まだ始まったばかりだ。海南を倒すことは、牧を倒すことと一緒だ。みんなで海南を倒そう。」
「あぁ。花形の言うとおりだ。よし!ここ1本とめるぞ!!」
「おう!!」
『ピィーーー!!』
「始めます!」
両メンバーがコートに足を運ぶ。
藤真が牧を見つめている。
(これからだ。翔陽の築き上げてきたものを見せてやる!)
対する牧は、藤真をちらっと見たあと、花形を見た。
(花形、精神力も、リーダーシップも一皮剥けたな。藤真まで復活させたか。倒しがいのあるやつらだぜ。)
海南のスローインから開始。
清田から牧へ、すばやく神にボールが渡る。
執拗に長谷川から攻める海南。
3Pライン1m手前。
(神にはこの位置からの3Pもありえる。)
腰をかがめ、重心を低く、鋭い眼差しで神を睨む長谷川。
大きな瞳で、長谷川をクールに見つめる神。
『キュ!』
パスフェイク。
シュートフェイク。
(!!!)
腰が上がる長谷川。
『スッ!』
長谷川を抜く神。
「神のドライブ!」
「高確率の3Pがあるがために、どうしてもシュートフェイクには、過剰に反応してしまうな。」
「神をとめるには、ドライブを捨て、外角1本に絞るか、神の倍の運動量が必要になる。」
(桜木のようにか・・・。)
赤木が桜木を思い出す。
『ダム!』
長谷川を抜いた神に、花形がヘルプディフェンス。
『キュ!』
ジャンプシュート体勢。
花形も大きく腕を伸ばし、ブロックに跳ぶ。
(この距離なら届く!)
『ヒョイ!』
(!!)
神は、跳んだ花形の横を通るパスを出した。
そこには、フリーで清田が走り込んでいる。
「さすが神さん!!」
だが。
『バン!』
「あ!!」
「藤真!!」
藤真がパスカット。
「さぁ、行くぞ!!」
「おう!!!」
『ダムダムダム!!』
一気に海南コートまでボールを運ぶ。
サイドを高野、永野が駆け上がってくる。
だが、海南の戻りも早い。
清田が藤真に並走。
牧、神が海南コートで迎え撃つ。
「3対3!」
高さでは翔陽、スピードでは海南。
『キュ!』
一瞬スピードを緩め、再び一気に加速。
藤真のチェンジオブペースで清田を振り切る。
「アウトナンバーーー!!」
「3対2!!」
(高野か?永野か?それとも自分で突っ込んでくるか?)
牧が藤真の動きに集中する。
『キュッ!』
藤真が急ストップ。
高野に目を向ける。
「神、永野につけ!」
「はい。」
牧は神に指示を出し、自身は藤真高野ラインのパスコースを塞ぐ。
にこりと笑う藤真。
高野の方向に伸ばした腕を戻す。
そして、静かにシュートを打った。
(パスフェイク!!スリーか!?)
完全に裏をつかれた牧は、フリーで3Pを打たせてしまった。
藤真の左腕は、綺麗に伸びていた。
『スポッ!』
速攻からの鮮やかな3Pが決まる。
「アウトナンバーで3Pを打ちやがったーー!!」
「きっちり決めてきた!すげーーぞ、藤真!!」
(藤真完全復活だな。)にこり。
センターライン付近で、藤真を見ている花形が笑う。
最強の挑戦者、藤真復活の狼煙が上がった。
翔陽 13
海南 8
続く。