うまがスラムダンクの続き

うまがスラムダンクを勝手にアレンジ。
スラムダンクの続きを書かせていただいています。

#198 【海南と湘北】

2009-09-30 | #09 湘北 県予選編
選抜県予選 準決勝会場

第1試合 陵南 × 翔陽

第2試合 海南 × 湘北



体育館入口には、大きな看板が置かれている。

大勢の観客で埋め尽くされている体育館には、雑誌記者など、多くのバスケ関係者も訪れていた。

彼らの目当ては、もちろんこの男。


総体優勝、国体準優勝の立役者、陵南高校の#7仙道彰である。


インターハイ神奈川県予選を全勝で駆け抜けた陵南は、
全国大会においても、その勢いは止まることなく、準決勝では2連覇を狙う名朋工業を撃破。

決勝戦では、山王工業に最大10点のビハインドを許すが、
仙道が第4Qで神がかり的な15点を獲得し、3点差で優勝カップを手にしてした。




『ビィーーー!!』


試合終了を告げるブザーが、高らかに響き渡る。



『パシャ!』


『パシャ!』


写真を撮られる仙道。


「仙道さーん!こっち向いて!!」

「こっちです!!」

甘いルックスとツンツンヘアーが女子高生を魅了していた。


(まいったなー。)


さらにこの人も。

「仙道くーん!!こっちよーー!!」

大はしゃぎで手を振る弥生。


(あー。彦一の姉ちゃんまで・・・。)


「仕事を忘れている・・・。」

中村は、諦めの表情を見せていた。




コートサイドの神は、電光掲示板に軽く目をやる。


「翔陽相手に35点差か・・・。」

(夏よりパワーアップしてるようだね。)

「神さん、大したことないっすよ。仙道だろうが、福田だろうが。
俺たちだって、夏よりも強くなっているんすから!ね?」

「そうだね。」にこり。

(清田の精神面が成長したことが、一番大きいところだな。)




逆サイドからは、湘北高校が、コートに足を踏み入れる。


「一番!!!」

宮城がコート一番のりを果たす。

「おっ!リョーちん、気合はいっているな!」

「当たり前だ!これが、俺たちの最後の大会だ。後悔はぜってーしたくねぇ!!」

「よくいった!!もう少しだけ、キャプテンとして慕ってやるぞ!!ハッハッハ!」

「花道。宜しく頼むな。」

「ぬっ!おっおうよ!!」

(いつものリョーちんなら、何を偉そうにときそうだが・・・。
さては、本気でこの天才の力がなければ、全国制覇は叶わぬと思ったな。)きらーん。

(花道のやつ、何か勘違いしたようだな。まぁいいぜ、あの顔はやってくれるときの顔だ。)


後ろのほうから、流川がゆっくりコートに入る。

(待ってやがれ。)

流川は去りぬく仙道の背中を睨んでいた。




準決勝 第1試合は、陵南と翔陽の試合となっていたが、
大方の予想通り、総体の覇者陵南が、翔陽高校に35点の差をつけ、圧勝した。


陵南 107 × 翔陽 72



「全国制覇に向け、死角なし!!」

田岡は自信に溢れていた。

(仙道、福田、山岡を軸に、安定感のある上級生とロールプレイヤーに徹する1年生が、噛み合った今、
夏よりも更にパワーアップしたことは間違いない!!
安西先生、高頭、悪いがどっちが勝ち上がってこようが、全国へいくのはうちだ!!
夏冬連覇は、もう目の前だ!!ギャッハッハッハ!!)

「かっ監督・・・?」

田岡の目はイッていた。




ベンチに集まる海南。


作戦の最終確認をしている。

「神、どうみる?」

「手強いですね。得点力は昨年と変わらないですし、
桜木の急成長、白田のゴール下を考えるとインサイドの強さは県内一と見ていいでしょう。
ただ、どちらかが抜ければ、ゴール下は互角です。」


『パタパタ・・・。』


「うむ。そうだな。そのために、お前の技が必要なんだ。
頼んだぞ!!夏よりパワーアップしたところを見せてやれ!」

「はい。」

C大泉が大きな声で答えた。


「アウトの4人は、フリーになったら、ガンガン打っていけ。もらったボールは、全て打つくらいの心構えでかまわん。
海南の4アウトの実力を思う存分、発揮させよう!!」

「はい!!」




対する湘北ベンチ。

「準々決勝同様、スタメンは、宮城君、流川君、白田君、柳君、そして桜木君でいきます。
インサイドは小さいですが、うちよりも技術があります。決して、侮らないように。」

「はい!」

「おうよ!この天才に任せておけ!」

「決して、油断しないように。」

「わかってらぁい!!」

(この天才が、自分よりチビに負けるわけがない!ハッハッハ!)



『クイクイ。』


「流川君、ちょっと。」

(何用・・・?)


「・・・・・・・・。任せましたよ。」


「・・・。」

「君の成長がみたい。ほっほっほ。」




-----------------------------------------------

【海南】青

PG…#10 清田 信長 181cm/2年
SG…#11 上杉 海斗 185cm/1年
SF…#4 神 宗一郎 190cm/3年
PF…#6 小菅 直人 188cm/3年
 C…#8 大泉 大丸 190cm/2年


【湘北】白

PG…#4 宮城リョータ 170cm/3年
SG…#9 柳 春風 171cm/1年
SF…#7 流川 楓 191cm/2年
PF…#14 白田 豊 194cm/1年
 C…#10 桜木 花道 195cm/2年

-----------------------------------------------



選抜県予選 準決勝 第2試合

海南大附属 × 湘北

がまもなく行われる。








続く。

#197 【宮城の想い】

2009-09-25 | #08 高校 新体制編
照りつける太陽の光は、視界を遮る。

教室は静まり返り、学校には長い静寂が訪れている。

耳に入る音は、セミの声と白球を追いかける野球部の声だけ。


「静かだぜ・・・。」

学校の屋上に寝転んでいる男は、軽く目をつぶっている。

傍らには、薄汚れたバスケットシューズと週刊バスケットボール。


「ふぅーー。」

深いため息をつくと、元気のいい声が聞こえた。



「リョータ!何やってんのよ!こんなところで!!」



「アヤちゃん。」

宮城の声は、どことなく元気がない。


「今日から、練習再開でしょ!?キャプテンとして、しっかりしなさいよね!」

「・・・。安西先生には、ああいわれたけど、俺は引退するつもりだ。」

「リョータ・・・。」

「まさか、あそこまで差があるとは思っていなかった。超えられない壁を感じたよ。」

「何を弱気なことをいっているのよ!No.1ガードを目指すっていったのは、リョータでしょ!!」

「アヤちゃんも見ただろ!?仙道のプレーを・・・。牧や深津とはタイプが違う。」

「リョータは、牧さんや仙道の背中を追いかけるんじゃなくて、自分のPGを目指せばいいでしょ!?
リョータが諦めても、私は諦めないわよ!!この湘北で、全国制覇を目指す!!
もちろん、引退もしないわ!!」

「アヤちゃん・・・。」


「私は、練習に行く。リョータも安西先生から任されているんだから、しっかりしなさい。」


「安西先生・・・か。」




体育館。


『ガラガラガラ・・・。』


勢い良く体育館の扉を開ける彩子。

「ちゅーす!!!」

大きな声で挨拶をする。


「ちゅーす!!!」


「安西先生!遅れて申し訳ありません。これからも宜しくお願いいたします!!」

「ほっほっほ。これからもバックアップのほう、お願いします。」


「彩子さん!!」

「晴子ちゃん、またよろしくね!」

「こちらこそ、頼もしいです!!」


「彩子先輩!!」

部員が声をかけ、彩子を迎える。

「私が戻ってきたからには、ビシバシ行くわよ!!」

「はい!」

部員たちは、嬉しそうに返事をした。


「彩子さん。ところで、リョーちんは?」

と桜木。

「少し遅れてくるみたい・・・。」

「ふっふっふっ。リョーちんもキャプテンというプレッシャーにやられたか!」

「ちゃんと今までキャプテンやってただろ。」

と突っ込む安田。

「ぬっ!オヤジがあんなこと言い出さなければ、この天才桜木がキャプテンだったのに・・・。
なぁ、オヤジ!!」


『タプタプタプ・・・。』


「やめなさい!バカ!!」


『バシ!』


彩子のハリセンが桜木に炸裂。


「ぐぐっ。復帰初日から、はたくとは!!」


(どあほうは、死ななきゃ治らん・・・。)


この日、結局、宮城は体育館に姿を現すことはなかった。




次の日、体育館を訪れたバスケ部員は、衝撃の光景を目の当たりにする。



「今日は、キャプテン来るかな?」

「どうだろう。やっぱ、責任を感じているのかな・・・。」

「ったく。リョーちんもだらしねぇな。」


(これで、俺が正PGか。)

柳は、複雑な表情を浮かべるが、うっすら笑っている。


『ガラガラ・・・。』


体育館の扉を開けると、そこには見慣れた男がモップをかけていた。


「なっ!」

「キャプテン・・・?」

「えぇぇーー!!」

「おぉぉぉーー!!」

「なっなんだその頭は、リョーちん!!!傑作だぞ!!!」


(・・・。キャプテン・・・。)

流川の目も点になるその先には・・・。


『ジョリジョリ・・・。』

頭をさする宮城。


「おせーぞ!おめーらぁ!!」



丸坊主姿となった宮城が、そこにいた。



『ジョリジョリ・・・。』

安田らが、頭をさする。


「なんだよ、どうしたんだよ、リョータ。あはっ!」


『ペシペシ!』

頭を叩く桜木。


「リョーちん!!可愛いぞ!!ギャッハッハッハ!!」


「うるせー!触るな!!けじめなんだよ!!」

顔を赤くして、答える宮城は、少し照れくさそうである。


「あれと一緒・・・。」

桜木を指差す流川。


以前、桜木は、海南戦を自分のせいで敗戦したと思い、頭を丸めた。

同じことを宮城がやっていた。


「なっ・・・。しまった・・・。花道と同等レベル・・・。」

宮城は思いっきり後悔した。

「負けたのはキャプテンのせいじゃないっす。
俺がもっと得点をとらなければならなかったっす・・・。」

「流川・・・。」

「冬こそ、湘北がNo.1だ!」

「うす。」



『ガラガラ・・・。』


安西登場。


宮城は安西の下に走りより、深々と丸めた頭を下げる。

「昨日は無断欠席申し訳ございませんでした。
これからは、キャプテンとしての職務を全うし、必ず全国の頂に登ってみせます!!
ご指導のほど、よろしくお願いいたします。」

「この湘北をまとめ上げられるのは、宮城君しかいません。宜しく頼みましたよ。」

「はい!宜しくお願いいたします!!」


『パチパチ・・・。』

部員たちから盛大な拍手が送られた。


「ったく。オヤジがそこまでいうんじゃ仕方ねぇな。
あと数ヶ月、リョーちんにキャプテンを譲ってやるぜ。」

嬉しそうな桜木。


「・・・ほっ。」

(正直、キャプテンに抜かれたら、きついから・・・。)

流川もほっとしていた。




その頃、彩子は屋上にいた。

「あら、今日はリョータいないじゃない。」


『パサパサパサ・・・。』


屋上には、週刊バスケットボールが置きっ放しになっていた。

「まったく・・・。こんなところに置いておいたら、ダメじゃないの。」

週刊バスケットボールを手に取る彩子。


『パサ。』


巻頭カラーのページにめくれた。




そこには・・・。




大きな字でこう書かれていた。




-----------------------------------------------------------------------


全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会



初優勝 陵南高校(神奈川県代表A)



沢北不在の山王工業を鮮やかに撃破!!


遅れてきた神奈川の未完の大器が、愛知の暑い夏に華開く!!


沢北栄治を超える逸材か!!!


仙道彰(3年)が全国初出場、初優勝、MVP初受賞の快挙を達成!!



優勝決定戦

陵南高校 72 × 山王工業高校 68


-----------------------------------------------------------------------



『パサパサ。』


更に強い風が吹くと、ページがめくれた。


小さな字でこう書かれてあった。



-----------------------------------------------------------------------


山王工業のリベンジが成就する!!


湘北キャプテン宮城リョータ(3年) 精細を欠く痛恨のミス!!


勝負どころのパスミスが、逆転負けを誘発!!



準決勝 第2試合

山王工業高校 82 × 湘北高校 76


-----------------------------------------------------------------------



「せっかく、リョータの名前が載っているんだから、大切にしないとね!!」


彩子は、雑誌を大切に胸に抱え、体育館に足を運んだ。




まもなく、新学期を迎えるある暑い夏の日の出来事であった。







#08 高校 新体制編 終了
#09 湘北 県予選編 に続く。

#196 【全国を決める試合】

2009-09-24 | #08 高校 新体制編
梅雨の合間の快晴。

多くの観客が体育館に足を運ぶ。

そして、この2人も。


「いよいよですね。神奈川新章の始まりです!!いやー、楽しみだな。」

興奮気味の中村。

「楽しみだなーじゃなくて、仕事しっかりしなさいよ!」

いつものように、中村を叱り付ける弥生。

「わかってますよ!!予習もバッチリしてきました!!」

「ふーん、珍しいわね。」

「ところで、相田さんは、どのチームが全国に行くと思っていますか?」

「優勝候補は、やはり海南ね。
実力的には、海南、陵南、湘北は横一線と見ているけど、海南には他のチームにないものがある。」

「なんですか、それは?」

「経験よ。新チームにとって、全国を勝ち抜いた経験は、プレーの自信にもつながる。」

「確かに!選抜を観戦し、自分の勘に自信を持ちましたし!!」

「・・・。」

「もう1校は?」

「今日の試合で決まるわね。」



本日は、決勝リーグ第1戦が行われる。

決勝リーグに駒を進めたのは、選抜第4位No.1シューターの呼び声高い神率いる海南大附属、
仙道は名実ともに県内No.1プレーヤーとなるか、全国初出場を目指す陵南、
新監督を迎え、新境地を開く翔陽、そして、赤木イズムを受け継ぎ、全国制覇の野望をたぎらす湘北の4校。

下馬評どおりであった。


そして、第1戦から、好カードとなっていた。


第1試合 陵南 × 湘北



選抜県予選のリベンジを果たすべく、湘北の闘志は燃え上がっていた。


『メラメラ・・・』


「流川先輩、普段以上に、近づくなオーラが出ていますね・・・。」

「相手は、宿敵仙道だからな。いつも以上に気合が入るのは、当然だ。」

チームメイトでさえ近づけないほど、流川からはオーラが放たれていた。


(センドー・・・。負けねぇ・・・。)


「初戦は陵南。勝ったほうが、全国にぐっと近づく!わかりやすくて、いいんじゃねぇか。」

「リョータ!相手が仙道でも、関係ないわよ!しっかり、証明してきなさい!!」

宮城は、手のひらに書いてあるNo.1の文字を見つめ、握り締める。

「OK!任せてといて!アヤちゃん!」

「グッド!!」


『クイックイッ。』


「柳君。」

「うん?」

柳を呼ぶ安西が、優しく語り掛ける。

「・・・・・・。」

「了解です。」

柳の顔に笑みがこぼれていた。




対する陵南。

「やっぱ、桜木さんはベンチにもおらへん!どないしたんやろ!?」

「辞めたんだよ。やってられねぇってな。」

と越野。

「桜木・・・。」

少し残念そうな福田。


(センドーは、俺が倒す!!)

「そんなたまじゃねーよ。」

仙道は、桜木の言葉を思い出した。




「いきなりこの組み合わせとはもったいないですね。」

「えぇ。海南が全勝で勝ち抜くと考えると、この試合が最も重要な試合となる。
やはり、勝った方が、全国よ。」


『ゴクッ。』


「初戦がいきなり全国を決める試合ですか・・・。
試合をする両チームともプレッシャーが凄そうですね・・・。」




「集合!」

田岡がアップをしている選手を呼び集める。

「桜木がいないようだが、それはうちにとって好都合だ。あいつのリバウンドは、正直脅威だからな。
福田、リバウンドは任せたぞ!」

「はい。」

田岡も桜木のリバウンドだけは、認めていた。

「まずは、相手の出方を見たいところだが、安西先生相手に、悠長なことはいってられん。
湘北が、流川がノる前に叩き潰せ!いいな!」

「はい!」


「仙道、わかっているな?」

チラッと湘北ベンチを見る仙道。

それに気付いた流川が鋭い眼でにらみ返す。

「おっ。まいったなー。」


『ポリポリ。』


こめかみあたりをかく仙道。

(相当な気合だ。前半から飛ばしてきそうな予感だな。)




湘北ベンチでも同様に選手が集められている。

「お前ら!この試合がどんだけ重要な試合かわかっているな?」

「全国の切符をかけた試合!」

「違う!!」

「えっ!?」

驚く部員。

「もちろん、決勝リーグの一戦一戦が大切な試合であることは間違いねぇ。
だが、俺たちにとっちゃ、県予選も全国制覇までの通過点にすぎねぇ。
ここで足踏みするようなら、全国制覇も夢だ。
そして、何より、大切なことは、花道がいねぇ試合だということだ!!」


「・・・。」


「そっそうか!!」

「花道がいねぇ試合で負けてみろ!どんな顔されるか、想像できるだろう。」

みんなが目を閉じ、踏ん反り返って高笑いする桜木の姿を想像する。


「だぁーー!!」

「悪夢だーー!!」


「わかったな!!ぜってー負けるわけにはいかねぇぞ!!」

「はい!!!」

湘北のベンチが一つになった。




「おっ!随分、湘北は気合が入っているな。」

と観客席の高頭。

「赤毛猿がいない分、チームワークが取れているんすよ。きっと。」

と清田。

「うん。でも、桜木がいないのは、湘北にとってかなり痛いと思う。」

冷静な神。

「この試合、誰よりも燃えそうな桜木がいないとは・・・、湘北もどうなっているんだろう。」

高頭が首をかしげた。




10名の選手がコートに足を運ぶ。




「湘北のスタメンが変わってきた!!」

「陵南もだ!仙道がPGだ!」

「おいおい、湘北小せーぞ!大丈夫か!?」

「逆に、陵南はサイズアップしてきた!!」

「これは、湘北不利じゃねぇか!!」




「てめーをぶっ倒す。」

「珍しいなお前から、話しかけてくるとは。」

「フン。」

「桜木がいないなら、勝つのは間違いなく俺だ。
なぜなら、お前一人じゃ俺には勝てないからな。」にこり。


「!!」

(にゃろう・・・。)



-----------------------------------------------

【陵南】青

PG…#7 仙道 彰 192cm/3年
SG…#4 越野 宏明 176cm/3年
SF…#9 山岡 拓真 185cm/2年
PF…#8 福田 吉兆 192cm/3年
 C…#6 菅平 大輔 188cm/3年


【湘北】白

PG…#4 宮城リョータ 169cm/3年
SG…#9 柳 春風 170cm/1年
SF…#7 流川 楓 191cm/2年
PF…#8 角田 悟 186cm/3年
 C…#14 白田 豊 193cm/1年

-----------------------------------------------


全国大会への切符をかけた運命の試合が今始まった。








続く。

#195 【安西の奇策】

2009-09-19 | #08 高校 新体制編
湘北がCブロック決勝を戦っている頃、桜木は、三井が進学した横浜学芸大学の体育館にいた。


「はぁはぁ・・・。くそう・・・。」

汗を拭う桜木。


「桜木、少し休むぞ。体力を回復させることも大切だ。」

「仕方ない。ミッチーにあわせてやるか。」

「なっ!練習も休憩もお前にあわせてやっているんだろう!」

「やっぱり、お前の後輩だ。口も悪ければ、諦めも悪い。」

と笑う秋田。

「あはっ。」

品川も笑う。


「こいつは、元々バカなんだ。」

「なんだと!ミッチーだって、元は不良だったくせに!」

「ふん!そんなの知らねぇ。」




秋田 智成

神奈川県武里高校出身のセンタープレーヤー。横浜学芸大学1年。
身長195cm、昨年行われた選抜県予選では、花形、高砂についで、リバウンド部門第3位の実力者。
神奈川国体メンバーにも選ばれた。



品川 祥司

東京都代表秋月高校出身のセンター。横浜学芸大学1年。
身長205cm、昨年選抜3回戦では、ミスタートリプルダブルといわれた大和統とともに、海南と対戦するが13点差で破れた。
三井同様、推薦により、横芸大バスケ部に入部する。




「まさか、安西先生から、桜木を鍛えてやってくれなんていわれるとは思ってなかったぜ。」

「こっちもだ。まさか、ミッチーの大学で練習して来いとは。オヤジも何を考えているのかわからねぇ。」

「だが、そのおかげで、お前のディフェンス力もあがっているのは確かだ。」

「いや、むしろ。この天才が君たちのオフェンス力をアップさせている。ハッハッハ!」


「すまねぇ。品川、秋田、こんなバカな後輩で・・・。」

頭を下げる三井。

「すまぬ。シイナ、アキタン、こんなアホな先輩で・・・。」


『ドカァ!』


「お前のこと言ってんだ!!」

「ったく。冗談だって・・・。
ゴリもリョーちんも彩子さんも、ミッチーもみんな冗談が通用しねぇんだから。」

「あははははっ。」

「あはっ。」

秋田と品川は、ただただ笑うだけであった。


「今頃、湘北も快勝している頃だろうよ。さぁ、もうひと勝負するぞ!」

「おう!!」



-----------------------------------------------------------------------

<<回想>>

湘北高校体育館。


スタメンが発表された日、安西が新チームの方針を説明した。

「湘北にとって、柳君と白田君が加入してくれたことは、非常に嬉しいことです。
これで、赤木君と三井君が抜け、失ったオフェンス力は、ある程度補うことができたと思っています。
ですが、ディフェンス面の低下は著しい。桜木君では、赤木君の穴を埋めることは出来ません。」

「なぬ!」

「また、三井君と同等のディフェンス力を持ち合わせているプレーヤーは、今の湘北にはいません。」


(その通りだ・・・。ダンナのゴール下の威圧感は、敵さんにとって、相当な脅威だったはず。
花道には悪いが、ダンナと比べると、ディフェンス力はもちろん、威圧感はないに等しい。
三井サンのように、スラッシャーを抑えられるディフェンス力をもっているやつもいねぇ。)


「そこで、桜木君のディフェンス力を強化します。
あとのみなさんは、オフェンスのコンビネーションの強化を行います。」


「!!!」

「えっ!!」

「どういうことだ!オヤジ!!」


「桜木君は、決勝リーグの第3戦まで試合に出場させません。」


「えぇーー!!」

「なぁーー!!!」

「なんだとーー!!」


「うるさい!桜木花道!!安西先生の話を聞きなさい!!」

と彩子。

「うっ。」


「桜木君には、来週の土曜日まで、ある場所で特訓をしていただきます。相手には、もう話はつけてあります。」


「特訓だと!?」


「はい!ディフェンスの特訓です。この先、跳ぶ、叩くだけでは、全国を勝ち上がることはできません。
桜木君には、ゴール下の番人として、赤木君に近いディフェンス力、威圧感を身に付けていただきます。」

「ふむ。つまり、湘北が勝ち上がるためには、この天才桜木の力が必要不可欠だと・・・。」


(そんなことはねぇ。)

と流川。


(確かに、安西先生の考えは一理ある。
ワンフェイクで引っかかるような花道のディフェンスでは、全国のセンターを抑えることはできない。)

と宮城。


「桜木君、いいましたよね?君は秘密兵器、そして、まずは第一段階終了と・・・。」

「あぁ。確かにな!!この桜木は、全国制覇するための湘北最大の秘密兵器であり、どんどん進化する天才だと!!」


(出た!)

(単純王!!)

(誰もそんなこと言ってねぇ・・・。)


「ですが、先生!桜木花道がいなくて、予選や決勝リーグを勝ち抜けますか?」

と心配そうな彩子。

「うむ。それは、君たちにかかっています。宮城君、流川君。」

「へっ、上等だ!」

「問題なし。」


「安西先生・・・、本気ですか・・・。」

と晴子。

「大きな賭けだわ・・・。」

と彩子。

「今年の神奈川のセンターは、小粒ぞろい、桜木君抜きでも十分にやれるはずです。」

「ハッハッハ!リョーちん、この天才がいないからといって、負けるなよ!!」

桜木の顔が晴れている。

「誰が負けるか!!」


「で、どこなんだ!秘密特訓場とやらは?」

「ほっほっほ。横浜学芸大学です。」


「横浜学芸大学!!」

「三井さんの大学!!」

驚く部員たち。


「へっ、ミッチーの大学か!上等だぜ!!」



-----------------------------------------------------------------------



安西の特訓命令から、9日間が過ぎた。

その間、横芸大と桜木の行っていた練習は、実にシンプルなものであった。


三井がシュートを打つ。

ゴール下には、桜木と品川と秋田。

桜木がリバウンドを獲る、またはタップでシュートを入れれば、桜木の勝ち。

品川、秋田がリバウンドを奪えば、ここから2on1が始まった。

当初、桜木のディフェンスは、ブロック中心であったため、9割以上が決められていた。

しかし、練習から9日間が経った今、素晴らしい成長を見せていた。



(ディフェンスに必要なものは、経験!!
相手がどのように攻めてくるか、ある程度予測できるようになれば、止められる。
この天才の98%の才能と1%と努力と1%の経験があれば、負けることはない!ハッハッハ!!)


そう、桜木に絶対的に足りないものは、それはセンタープレイヤーを守るという経験であった。

その経験を与えるために、安西は横芸大での練習を言い渡したのである。



『スポ!』


『シュパ!』


品川のゴールが連続で決まる。



『バッ!』


続いて、秋田のオフェンスを止めた。


(5回に1回は、止められるようになってきたな。
予測は経験の上にたてられる、そのことを桜木もだいぶ理解してきたようだ。)

と嬉しそうな三井。


(シイナやアキタンの動きが、だいぶ読めるようになってきた。
つまり・・・天才のなせる技!!)



桜木は、安西の思う以上のペースで進化を遂げていた。








続く。

#194 【新体制 湘北】

2009-09-18 | #08 高校 新体制編
Cブロック決勝 湘北高校 × 津久武高校



試合を終えた海南が観客席についている。


「あれ!?赤毛猿がいねぇ!!」

と開口一番は清田。

「怪我がまだ完治していないのか、再発でもしたのか?」

と神。

「桜木がいなくても、流川がいれば、まず負けることはないだろうが。」

後ろから高頭が声を出す。

「ですね。」

と神が笑った。


「春風は・・・、#9か?スタメンじゃないのか。」

「春風って、お前の中学の柳か?」

「そうですよ。」

清田の問いに上杉が答える。


「あいつは湘北にいったのか?」

「最後まで決めかねていたようですが・・・。」

「湘北は・・・、高さの代償に、スピードを得たか・・・。」

「いや、そうでもないですよ。ほら!」

「ぬっ!あいつ、デカいな!!」


「武石中の白田といって、うちらの代で一番デカいやつです。」

「なっ!手強くなってんじゃねぇか・・・。」

「まだ、わからないよ。試合を観て、判断しよう。」

神が冷静に言葉をかけた。




『ドガァァァ!!』


流川のダンクが決まる。



『バチン!!』


白田が相手センターをブロック。



『スポ!』


宮城のドライブが決まる。




『ゴクッ。』

息を飲む清田。

「おいおい。赤木と三井さんが抜けても、オフェンス力は変わってねぇぞ・・・。」

「信長の言うとおり、手強いチームになったようだね。」

神は笑った。

「神さん、随分余裕っすね?」

「まぁね。うちも強くなったから。」にこり。

「そうでしたね。」にや。

第2Q、第3Qと主力を温存し、4アウトも披露せず、武里を下した海南。

新体制の実力は、まだ未知数であった。




第2Qが開始されたころ、先程試合を終えた陵南が観客席についた。


「桜木がいないな。」

と仙道。

「まだ怪我が治っておらへんのかな。」

心配そうな彦一。

(桜木・・・。)

と福田。

「問題起こして、バスケ部やめたかもしれんな。」

越野は冗談をいった。




流川のアシストから、白田が柔らかいシュートを放つ。


『シュパ。』




(流川のやつ、パスがうまくなったな。)

仙道が嬉しそうに笑う。


「あのセンター、巧いね。」

「白田は、大蔵とは対照的なセンターです。なぁ、大蔵?」

山岡に答える上杉。

「まぁな。」

と苦笑う黒川。

「白田は、肌が白く物腰が柔らかそうな容姿をしています。
反対に、大蔵は、浅黒く見た目もいかつい。」

「うるさい。」

「プレースタイルも全く逆です。大蔵は、スクリーンやリバウンドで味方を生かすロールプレーヤー的なセンターですが、
白田はフィニッシャーです。ジャンプ、フック、バック何でもOKのゴール下の魔術師ですよ。」


「とすると・・・、湘北のオフェンスは強化されたというわけか・・・。」

と田岡。

「オフェンスの鬼・流川。常盤中の得点王・柳。ゴール下の魔術師・白田。こりゃ、すげーな。」

苦笑いの越野。

「うむ。確かに今年も県内最高のオフェンス力だろう。だが、若いオフェンス陣にミスも多かろう。
それに、赤木がいなくなった分、ディフェンス力が落ちているのは、間違いない!
点の獲りあいなら、うちも負けんし、何より、うちはディフェンスのいいチームだ!」

力強い田岡。


(安西先生が、オフェンスだけを強化しているとは思えない。
それに・・・、桜木がいないのも気になる・・・。)

仙道は少し疑問に思った。




その頃、肝心の桜木はというと・・・。

ある体育館で、大粒の汗を流していた。




「こらぁ!桜木!そんなんで、赤木の後任が務まるか!!」


「なぬ!!」


『バス!』

「腰が高い!!フットワークが遅い!!」


『ガクッ。』

膝を突く桜木。


「はぁはぁはぁ・・・。」


(そろそろ限界か。)

「少し休むか?」


「はぁはぁ・・・。この天才がこんな練習でくたばると?甘いぞ、ミッチー!!」


「ふん!負けず嫌いが!よし!品川、秋田、手を抜くな!あと10本いくぞ!!」


「おう!」


「来い!学芸3兄弟!!」



桜木は、三井寿が進学した関東三部の横浜学芸大学の体育館にいた。








続く。

#193 【新体制 海南と陵南】

2009-09-17 | #08 高校 新体制編
本日は土曜日、ブロック決勝の4試合が行われる。

明日の日曜日には、決勝リーグの第1戦が行われる。

そして、次週の土日で、第2、第3戦が行われ、上位2チームが全国の切符を手にする。




Aブロック決勝 海南大附属高校 × 武里高校


牧世代が抜け新海南の初陣。

相手は、古豪と呼ばれる武里。

選抜第4位の海南の初戦とあって、その注目度は、県内外問わず高い。



大勢の観衆で埋め尽くされた観客席から試合を見守る陵南、翔陽、そして湘北メンバー。


「清田のやつ、PGが板についてやがる。」

と宮城。

「神が凄い。3Pに加え、ドライブも速くなっている。」

と安田。

「・・・。」

(海斗は、スタメンか・・・。悔しいな。)

と柳。



湘北と反対の観客席には、陵南メンバーが座っている。


「よく似ているねー。君たち。」

山岡が上杉の顔を見ながらいう。

「あっちのほうは、シュータータイプかな。」

と仙道。

「はい。海斗は、外が得意でしたから。」

「だから、今日は神が中から攻めているのか。侮れねぇな。」

越野に気合が入る。

(ジンジン・・・。#4・・・。いいな。)


「だが、インサイドは相変わらず手薄だ。」

後ろに座っていた田岡が口を出す。

「あのセンターは、高砂さんタイプのようや。PFも小菅さんがやっとる。
今年も海南は小さいチームやで。」

「そのようだ。」




試合は終了した。


「初陣にしてはいいだろう。」

(4アウトは、決勝リーグまでおあずけだ。)


『パタ。』

高頭が扇子をしまう。


「よっしゃーー!決勝リーグ進出だーー!!」

いつものように、清田がヘアーバンドを高く放り投げた。

「ふーー。」

「大丸。海斗。お疲れ様。」

一呼吸をして、仲間をねぎらう神。

「はい!!」


海斗は、コートサイドをちらっと見て、拳を突き出す。

(空斗、勝ち上がって来いよ!)


試合に備えている空斗もコートに向かって、拳を突き出した。

(ナイスゲーム。)



海南は、昨年までのような圧倒的な強さは見せることは出来なかったが、
ウィークポイントをつくバスケスタイルは受け継がれていた。

そして、何より、静かなエース神を中心にまとまった組織力に秀でたチームであった。



海南 89
武里 72




Bブロック決勝 陵南高校 × 緑風高校

続いて、県内No.1プレーヤーの呼び声高い仙道擁する陵南対
アメリカ人ハーフのマイケル沖田率いる新鋭緑風高校の対決となった。


観客席の湘北、白田。

「あっ!克美先輩だ!」

「そうか。白田は、武石中だったね。昔、緑風高校とは練習試合をしたんだが、あいつは、ホントに性格が悪かった。
白田もいじめられたんじゃないか?」

と石井。

「えっ、まぁ、少しは・・・。」

と頭をかく白田。

「まぁ、決勝リーグに上がってくることは、万に一つもねぇから、安心しろ。」

宮城が笑った。




「お金持ちたちのバスケ部ね。」

と気楽な仙道。

「気に入らない。」

福田の機嫌が悪い。

「がっつりやってやりましょう!!」

山岡のテンションは高い。




「柳、お前の仲間っていうのは、どいつとどいつだ?」

「ベンチに座っています。あの黒い坊主とその横の海南の#11と同じ顔のやつですよ。」

宮城の問いに、素早く答えた。

「スタメンではなさそうだな。」

「実力的にはスタメンでもよさそうなんですが・・・。
何か裏がありそうな・・・。」

柳は首をかしげた。




「ふっふっふっ。」

田岡が不気味に笑っている。

(田岡の作戦その壱。上杉と黒川は、秘密兵器として決勝リーグまで温存だ。)




試合は第3Qも終盤になっていた。


「仙道は、PGではなさそうだな。」

(少し安心したぜ。)

と宮城。


「流川。仙道は、任せたぜ!」

「うす。」




「ふっふっふっ。」

田岡がまだ不気味に笑っている。

(田岡の作戦その弐。PG仙道は、決勝リーグまで温存だ。
PGに仙道を置き、上杉と黒川を投入したときこそ、新生陵南の門出となる!
高頭!安西先生!度肝を抜きますよ!!)



『ピィーー!』


試合終了を告げるブザーがなった。



「作戦通り!!今年こそ、陵南が優勝するときだーー!!!ひゃっひゃっひゃ!」


「俺たちがいなくても、先輩たちは強いな。」

「あぁ。さすが仙道さん、40点オーバーって簡単にできることじゃない。」

「俺、陵南に入って、よかった。早くあの人と一緒に試合出たいよ。」

「大丈夫。俺たちは決勝リーグからって、監督も言っていたし、もう少しの辛抱だ。」

「あぁ。」



陵南 106
緑風 71




仙道と福田のホットラインが得点を荒稼ぎし、ブロック決勝にもかかわらず、100点ゲームで圧勝した。


こうして、ブロック決勝、海南と陵南が順調に勝ち上がった。

お互いに余力を残したバスケを展開して。


続いて、桜木の出場しない湘北の試合が行われる。







続く。

#192 【スタメン】

2009-09-16 | #08 高校 新体制編
湘北は、IH予選Cブロック決勝 対津久武戦を明後日に控え、練習終了後、最終ミーティングが行われていた。


-----------------------------------------------------------------------


Aブロック 海南大附属高校 × 武里高校

Bブロック 陵南高校 × 緑風高校

Cブロック 湘北高校 × 津久武高校

Dブロック 翔陽高校 × 三浦台高校


-----------------------------------------------------------------------



「妥当なブロック決勝ですね。」

と晴子。

「えぇ。波乱はなし。4強の決勝リーグは確実とみるわ。」

彩子が答える。

「海南、陵南、どっちが強いか、全く検討がつかねぇ。」

と宮城。


(・・・。センドー。待ってやがれ。)


「たぶん、陵南のほうが強いです。」

と柳。


「!!」

「なんでそう言えるんだ?」


「うちの中学から、陵南に2人行っているんですよ。」

「何!?そんな大事なこと、なぜ黙っていた?」

「いや、聞かれませんでしたし。」

「確かに。」

彩子が首を縦に振る。


「海南にも1人進学しています。」

「海南にもか・・・。」


「リョーちん、そんなに気にすることはねぇ。どうせ、中学レベルだ!」


(いや、その中学レベルに、お前は翻弄されているじゃねぇか!)

宮城は心にしまう。


「キャプテン。あいつらを侮っては痛い目見ますから。」

「あぁ。」

「関係ねぇ。どうせ、陵南も海南もこの天才桜木率いる湘北がぶっ倒して、全国にいくんだからな!」

「花道のいうとおりだな。今更、騒いでも仕方がねぇ。
明後日まで、やつらの新体制を拝むことはできねぇんだし。」

「おう!その通りだぜ!リョーちん!!明後日は、俺が思いっきり暴れてやるぜ!!!」

「ゴール下は頼んだぜ!花道!!」

「おう!!」


「ほっほっほ。気合も十分ですね。宮城君、桜木君。」

「当たり前だ!」

「もちろんです!!」


「では、これからブロック決勝のスターティングメンバーを安西先生から発表してもらいます。」

彩子が仕切る。


(完璧に、このバスケ部を仕切っているのは、彩子先輩だ!)

(やっぱり、宮城キャプテンより、彩子先輩のほうがキャプテンぽい・・・。)


「発表します。」


『ドキドキ。』

背番号発表とともに、ユニホームを得ているものは、少々落ち着かない。


「私も緊張します。ほっほっほ。」

「オヤジ!早く言え!!」



「では。PGは・・・宮城君です。」

「はい。任せてください!!」



「SGは・・・潮崎君、宮城君のサポートをしっかりお願いします。」

(ちっ、俺じゃねぇのかよ。)

少しがっかりする柳。

「俺ですか?」

「はい。潮崎君です。君のディフェンスに期待しています。」

「シオ!頑張れよ!!」

少しばかり戸惑う潮崎に、安田が気合を入れた。

安西が続ける。



「SFは、流川君にお任せします。」

「・・・うす。」

「あのとき言った言葉を実現してください。」


(高校生のNo.1・・・。)

「うす。」


(なんだ、あのとき言った言葉って??)

1年生部員の多くが疑問に思ったが、誰も口にはしなかった。



(次は、PFか・・・。呼ばれたい!)

白田が安西の口元に注目する。

「PFは・・・、角田君にお願いします。」

「はい!!頑張ります!!」

(よし!俺だって、頑張るぞ!!)


「カク!天才の足を引っ張るなよ!」

「あぁ。2人でインサイドを守ろう。」



「最後ですね。Cは・・・。」

「当然。俺だろ!!」

安西の言葉を待たずに、桜木が声を出す。

「いや、Cは白田君です。」


「!!!」

「えっ!!!」

驚く宮城ら。


(やったーー!!でも、なぜ!?)

喜ぶ白田。


「おうおう!どうなってんだー!オヤジ!!」


『タプタプタプ・・・。』


「桜木君!やめなさい!!」

「しかしですね、ハルコさん!」

「きっと、安西先生にも考えがあるはず。聞いてみましょう。」

「ぐっ。どういうことなんだ、オヤジ?」


「・・・・・・・・・。ほっほっほ。」

部員たちは静かに安西の話を聞いていた。



安西の長い説明が終わると晴子が声を出した。

「安西先生・・・、本気ですか・・・。」

「大きな賭けだわ・・・。」

と彩子。



「大丈夫です。桜木君がいなくても、君たちは強い!」



「ハッハッハ!リョーちん、この天才がいないからといって、負けるなよ!!」

桜木の顔が晴れている。


「誰が負けるか!!」


次の日、試合会場に桜木の姿はなかった。


そして、湘北バスケ部がバッシュを履いている桜木を見たのは、それから10日後のことだった。







続く。

#191 【背番号】

2009-09-15 | #08 高校 新体制編
話は、一旦、紅白戦の終了した翌日に戻る。




湘北高校体育館。


練習前、彩子がみんなを集めた。

「昨日の紅白戦のときに話したように、
3週間後に迫ったIH予選のベンチ入りメンバー、背番号を安西先生から発表してもらいます。」

と彩子。

「お前ら!わかったか!!」

宮城が続く。


(彩子先輩がキャプテンみたいだ。)

(宮城キャプテンが更に小さく見える・・・。)


「では、安西先生宜しくお願いします。」


『ドキドキ。』

ほとんどの部員が、緊張している。

緊張していないのは、宮城と流川と桜木、そして柳であった。


(俺は、キャプテンだから、当然#4!!)

(試合に出れれば、なんでもいい・・・。)

(#4は、リョーちんに譲ってやろう。一応、キャプテンだからな。
俺は次期キャプテンだから、当然#5!いや、#1も捨てがたい!!)

(もらえるだろう。)


「以前もお話しましたが、これが全てではありません。
予選、練習を通して、変更がありますので、気を緩めないで下さい。」

「はい!」

「では、発表します。」


『ドキドキ。』

部員が安西の言葉に耳を傾ける。



(もしかしたら、いきなりこの天才が呼ばれるかもしれん。)




「#4 宮城君お願いします。
湘北のキャプテンであり、湘北のスタメンガードは君です。
No.1ガードを目指しながら、チームを勝利に導いてください。」

「はい!必ずや、先生をもう一度全国にお連れします。」

(そして、アヤちゃんに飛びっきりの笑顔をプレゼントする!!)



(予想の範囲内。次は、この桜木かな。)




「#5 安田君、お願いします。」

「はい!!」

「君の冷静な判断力は、うちにとって強力な武器です。
キャプテンが熱くなりやすいので、宮城君のバックアップをお願いします。期待していますよ。」

「なっ!先生・・・。」

少し凹む宮城。

「はい!任せてください。」



(ヤスは、一応メガネ君と同じ副キャプテンだから、よかろう。さぁ、次だ。)




「#6は、潮崎君。ディフェンスに期待しています。」

「ありがとうございます。」



(なっ!この俺よりも格下のシオがなぜ#6なんだ!?
・・・だが、まだよかろう。シオは3年だからな。一応・・・。)




「#7は、流川君です。」

「・・・うす。」



「流川だとーーー!!!!」

桜木が不満をぶちかます。

「なぜ、流川がこの天才よりも早く呼ばれるのだーー!!!」


『タプタプタプ・・・。』


「やっ止めなさい!桜木花道!!」

「桜木君!ダメ!!」

「ぬっ!!ガルルルルル。オヤジめ!!」

「ほっほっほ。桜木君は秘密兵器ですから。」

「もう騙されんぞ!!」


「流川君、君に#7を託した意味がわかりますね?」

「・・・。センドー。」

「その通りです。神奈川の#7=仙道君というイメージが付いています。
今年、君が彼以上の活躍を見せて、#7=流川というイメージを作ってください。」

「センドーを超える。」

「うむ。よろしい。」


宮城と彩子と晴子に押さえられている桜木。

「なぜだ!なぜなのだ!!」




「続いて、#8は角田君お願いします。PFとして頑張ってください。」

「はい!」



「カクにも先を越された・・・。どうなっているのだ!オヤジ!!」

桜木を無視する安西。

「無視するな!おのれーーー!オヤジまで、この天才をコケにしおって!!」




「#9・・・、柳君。君のスピードは、湘北にとって大きな武器です。
宮城君と一緒にコートを走りぬいてください。」


「おぉぉぉぉーー!!」

1年生から歓声が上がる。


(宮城君と一緒ってことは、俺は2番か・・・?)



「なにーー!なぜだ!なぜ、サル風が#9!!オヤジ!!」

桜木の眼は、涙が薄っすら溜まっている。


チラッと桜木を見る柳。

(ホント、うるさい人だな・・・。)



「期待してますよ。」

「任せてください。」



「#10は・・・、桜木君です。」

「なっなぜに、俺は、1年のときと変わらない#10なんだーー!!
そして、キツネやサル風よりも遅い!!」


「実力だ・・・。」

ボソッと流川。

「実力でしょ。」

同じく柳も小声で言った。


「ほっほっほ。」

「ほっほっほ。じゃねぇ!ハルコさんからも言ってくださいよ!」

「そっそれは・・・。」

「桜木君。#10を英語で言うと・・・。」

「てん・・・さい。そういうことなのか、オヤジ!」

「その通りです。・・・・・・という冗談はおいておいて。」

「ナメてんのか!!」



「私は、現役時代も含めて、#10をつけた多くの選手を見てきました。
かくいう、私も全日本の#10を背負っていました。」



「先生が#10・・・。初耳よ。」

と彩子。


安西は続ける。

「私のバスケ人生の中で、#10が一番似合っていたのが、
私でもなく全国のトッププレーヤーでもなく、桜木君だと思っています。
できれば、これから先も#10をつけて、活躍してほしい。もちろん、日の丸を背負って。」


「なんか、凄いこといっている!!」

「日の丸を背負ってだって!?」

ざわつく体育館。


「オヤジ・・・。」

桜木の表情がみるみる変わっていく。



「どうですか?今年も、そして来年も#10を背負ってくれますか?これは、私の願いでもあります。」


「これは、三井さんが聞いたら泣くな。」

と宮城は苦笑う。


「ハッハッハ!オヤジは良く理解している!全日本#10は、俺のものだ!!ハッハッハ!!」


『タプタプタプ・・・。』


「うぉーーー!」

部員から歓声があがる。


「桜木復活!!」

「桜木先輩のテンションがあがった!!」

「さすが、安西先生!!」


(安西先生の真意はわからないけど、さすが先生、桜木花道を納得させた!)

と彩子。

(うまい!これで来年、流川#4をつけても、花道は文句を言わねぇ!)

と宮城。

(単純王・・・。)

と流川。

(全日本の#10桜木花道・・・。いつか、見れるといいなぁ。)

晴子は思った。



その後、次々と選手と背番号が呼ばれた。


「・・・以上。」


発表が終わる。

上級生はみんなベンチ入りとなった。


武石中出身の白田は、三井のあとを継いで#14に、1年生SFの緑川は、#15をつけた。

上級生は、そっと胸をなでおろす。

選ばれた3人の1年生は、他の1年から大きな期待を寄せられた。



3週間後、この新体制にて、ブロック決勝が行われるのだが、再び事件が起こる。








続く。

#190 【桜木の特訓】

2009-09-14 | #08 高校 新体制編
桜木に対する安西のレクチャーが行われている。


「もう一つ思い出してください。先程の試合です。
桜木君が、流川君とのリバウンド争いから、リバウンドを奪いました。」

「当然!!ハッハッハ!!」

スルーする彩子と晴子。

「はい、次です。シュートを打った桜木君は、見事に流川君にブロックされました。」

「ぬっ!!」

「見え見えね。」

「かっこいい。ポッ。」

「ハッハルコさん。顔が赤くなっている・・・。」


「もし仮に、桜木君が流川君が先程打ったタップシュートをしていたらどうでしょう?」

「今の場合、リバウンドはとれているんだから、ここでタップが打てれば、得点が奪える可能性がある。」

「彩子君のいうとおりです。
せっかく、リバウンドを獲ったにもかかわらず、ブロックされたら、全く意味がありません。
ですが、そのまま押し込むことが出来れば、ブロックされることもなく2得点を奪えます。」

「確かに、リバウンドに何回も飛ぶなら、1回目でそのままシュートを打てばいい。」

「はい。その通りです。」


「オヤジ!流川の真似はしねぇぞ!!」


「流川君の真似じゃありません。現に、桜木君は山王戦でも同じプレーをしている。無意識の中で。」

「なぬ。・・・。やはり天才・・・。体が勝手に動く・・・。」

「桜木君の新必殺技は、1回のジャンプで、1リバウンド、2得点を奪うタップシュートです。
どうでしょうか?」


「凄いよ!桜木君!!このプレーをものにしたら、ますますゴール下は強くなるよ!!」

「そっそうですか?ハルコさん。」

「確かに、1回の跳躍で、リバウンドを奪って、得点を決める。効率がいいわね!!」


(頭で考えるほど簡単じゃない・・・。)

流川が思う。



桜木の顔が、見る見る変わっていく。


自信と希望で満ち溢れた桜木が言葉を放つ。


「で、どうすればいい??オヤジ!!」

「ほっほっほ。やる気が出たようですね。では、よろしいですか?
タップシュートにとって、大切なものは、タイミングとボールコントロールです。
桜木君の場合、リバウンドに飛ぶタイミングは完璧です。
ですが、ボールコントロールは、ノーコンといってよいでしょう。」

「ノーコンまでいうか!」


『タプタプタプ・・・。』


「桜木君!」

「はっはい。」


「まずは、指先でボールを捉える練習をします。
ボールを持ち、指先で押し出すように、ボールを浮き上がらせます。
右手から左手、左手から右手へと交互に続けます。」

「これだけか?」

「まずは、これだけです。練習の合間はもちろん、時間のあるときにも行って下さい。
これで、自然とボールの中心を捉えることができ、コントロールもつきます。よろしいですね?」

「任せておけ!これで、リバウンド王に続き、タップ王の2冠制覇だな。ハッハッハ!」



そのころ、紅白戦も全試合が終了した。

宮城は、3勝をもぎとり、キャプテンとしても面目を守った。

流川は、1敗したことに納得が行かず、この日、練習後も残り、シュートを打ち続けた。

桜木は、紅白戦のことなど忘れ、新必殺技の練習に没頭していた。



それから、1週間後、桜木の成果が試された。




「桜木君、どうですか、調子は?」

「バッチリだぜ!見てくれ、このボールコントロール!!」


『トス!』


『トス!』


ボールを鮮やかに、左、右、左、右と浮き上がらせる桜木。


「うむ、安定しています。では、次の段階、入ります。」

「おう!!」

「ゴール下のシュートを打ちます。」

「オヤジ!それは、もう完璧だろ?」

「違います。右手のみで打ちます。シュートはボードにまっすぐあて、ジャンプはしません。
リバウンドは右手のみでキャッチします。やってみてください。」


『バン!』


『コロッ。』


「ぬっ!」


『バン!』


『バチ!』


「なっ!」


「どうですか?難しいでしょう?」

「うむ。少しな。だが、この天才桜木にかかれば、すぐにマスターできる!!」




それから、1週間後。

「だいぶ、安定してきましたね。」

「もうボードを外すことなければ、手から落ちることもねぇ!」

「では、タップシュートもやってみましょうか?晴子君。」

「はい。」

「リングに向かって、シュートを打ってください。」

「はい。」


『ガコン!』


晴子の打ったシュートがリングにあたり、小さく跳ねる。


「今です!桜木君!」

「おうよ!」


『トン!』


『ガコン!』


「むおーー!!この天才としてことが、外してしまったーー!!」


「今までと違い、リングに当たったり、ボードに当たったり、大きく跳ねたり、小さく跳ねたり、
ボールは様々な変化を起こします。
簡単にタップシュートが出来るものではありません。
これはいける!と思ったボールにだけ、タップで押し込み、他はリバウンドを奪ってください。」

「わかったぜ!オヤジ!!ハルコさん!頼みます!!」

「うん!いくよ!!」



『ガコ!』


(低い!!)


『バシ!』


リバウンドを掴む桜木。


「いい判断です。」



『ガコ!』


(遠い!!)


「おりゃーー!!」


腕を目いっぱい広げ、ボールを掴む。


「いいですよ。」



『ガコン!』


(これだ!)


『トン!』


指先に神経を集中させ、ほどよく跳ねたボールを指で弾く。


『シュパ!』


「入った!凄いよ!桜木君!!」

「いや、ハルコさんが素晴らしいシュートの外し方をしたからですよ!!」

「・・・。まぁ、いっか!」

手を繋ぎ、ぐるぐる回る桜木と晴子。

(幸せだーー!!晴子さんと一緒に練習が出来るなんて!!)



「うむ。まずは第一段階終了ですね。」


その後、白田を交え、より実践的な練習を行い、桜木は着実に、タップシュートを自分のものとしていった。


(もし左手でもできるようなら、更に天才の技が増える。自らに試練を課す。さすが、天才だぜ!)


『きらん!』


桜木の特訓は続いた。







続く。

#189 【レクチャー】

2009-09-12 | #08 高校 新体制編
Aチーム(宮城・佐々岡・白田・・・)×Dチーム(角田・桑田・石井・・・)の最後の紅白戦が始まる。

Aチームは、ここまで2連勝。

Dチームは、ここまで2連敗。

つまり、消化試合である。




「桜木君、ちょっと。」

「なんだよ、オヤジ!」

「オヤジじゃない。いい加減、先生と呼びなさい!後輩たちに示しがつかないじゃない!」

彩子のハリセンが飛ぶ。

「オヤジはオヤジだ!」


「ほっほっほ。私はどっちでもかまいませんよ。ところで、桜木君。
以前、君が山王戦で言った言葉を覚えていますか?」

「なんだよ、いきなり?絶対に勝つ!天才!ダンコたる決意!」

「違います。俺の全盛期はいまなんだよ。という言葉です。」

「ほう。この天才の名言を覚えているとは!さすが、オヤジだな。」


「桜木君にとって、やはりあの山王戦が全盛期でした。」


「えっ!」

と晴子。

「せっ先生!」

と彩子。

「なっなんだと!」

声をあげる桜木。


「リハビリのおかげで、筋力や身体能力には、大きな低下はないようですが、
あのときよりも、バスケットの技術は、明らかに低下しています。
凄まじい速さで得たものは、凄まじい速さで失うものです。」

「何を言ってやがる。」


『タプタプタプ・・・。』


安西の下あごをタプタプする桜木。


「止めなさい!桜木花道!!」

「桜木君!ダメだよ!」

「ハルコさん!彩子さん!だって、オヤジが。」


「センタープレーヤーにとって必要なものは、守る、獲る、決める、です。わかりますか?」

「おう。ゴール下を守る。リバウンドを獲る。シュートを決める。だろ!?」

「その通りです。では、みなさんも一緒に想像してみてください。」


桜木、安西、彩子、晴子、そして、少し離れたところにいる流川も眼をつぶる。


安西が続ける。

「先程の試合、桜木君の動きを頭に思い浮かべてください。」

みんなが一斉に思い浮かべる。


「確かに、ゴール下はよく守っているわね。
流川に決められたのは、ほとんどミドルだったから、ゴール下のミスはない。」

「でしょう。さすが、彩子さん!」


(思いっきり叩いてくるから、接触プレーを避けたんだ・・・。)

流川が思う。


「赤木君に比べたら物足りませんが、ゴール下の守りは、まぁまぁですね。一応合格です。」

「一言余計だが、オヤジもわかっているじゃねぇか!!」



「では、次。リバウンドです。」

再び、思い返す安西ら。

「凄い!やっぱり、桜木君のリバウンドは、湘北にとって、最大の武器よ!」

「ハッハルコさん!ありがとうございます!!」

「うむ。ほぼ完璧なリバウンドですね。合格です。」

「だろ!リバウンドに関して、文句は言わせねぇぞ!」



「では、次。シュートです。」

「・・・。」

「・・・。」

(へたくそ・・・。)

みんなが言葉を失う。



「はい。眼を開けてください。みなさん、どうでしたか?桜木君のプレーは?」


「シュートが最悪だわ。」

と彩子。

「パスを回しづらいというか・・・。」

と晴子。


『ペタっ。』

耳をぺたっとする桜木。


「へたくそ・・・。」

遠くでつぶやく流川。


「なんだと!流川!!」

デカイ耳で探知する桜木。


「湘北のゴール下では、桜木君に頑張ってもらわなければいけませんが、
赤木君の抜けた今、桜木君のマークがきつくなることは確実です。
すでに、桜木君は全国トップクラスのリバウンダーなのですから、
相手のマークは、相当きついでしょう。」

「全国の庶民どもが、この天才をとめようと・・・。ふっ、小賢しい!」

「ちゃんと聞きなさい!」


『バシ!』


「ぬっ!彩子さんまで、ゴリのようにすぐ叩くようになってしまった・・・。」


「赤木君がいない、マークがきつい、このような状態では、桜木君のリバウンド数も半分に落ちるでしょう。
ましてや、2回も飛べるほど、全国のゴール下は、甘くはありません。」

「確かに・・・。
いくら桜木君でも、河田さんみたいな人、2人にマークされたら、リバウンドは獲れないかも・・・。」


「そんなことはありません。」

と桜木。


「そこで、新必殺技を考えましょう。」


「新必殺技??」

みんなの声が揃う。


(おっ。)

流川も少し気になる。


「オヤジ!ナイス名案だぜ!!」

「では、また先程の試合を思い出してください。宮城君と流川君のチームの試合です。」


みんなが眼を閉じて思い出す。


「試合序盤。流川君と白田君がリバウンド争いをしています。
そして、流川君が、ティップで直接押し込みました。
先程、桜木君には覚えておくようにいいましたが、覚えていましたか?」

「キツネの庶民シュートなんぞ、覚えてられるか!」


「さすが、流川ね。指先だけで、ボール全体を的確に捉え、押し返している。」

「かっこいい。ポッ。」

「ハッハルコさん!!」


(・・・。大したことはないけど・・・。)

指先でボールを回す流川。


「桜木君も試合の流れの中で、度々していますね?」

「なに!?この天才が流川なんぞの庶民シュートを・・・。」

「桜木君、よく考えてください。流川君は、1回飛んだだけで、1つのリバウンドと2得点を奪いました。
桜木君の場合、1回飛んで、1つのリバウンド、そして、2回目飛んでもシュートを外すでしょう。」

「なにを!!」


『バシ!!』


「桜木はいちいち反応しなくていいの!!」


「どうですか?なんか、桜木君は、流川君に比べ、損しているような気がしませんか?」

「確かに・・・。」

納得の彩子と晴子。


「もう一つ思い出してください。」


安西のレクチャーはまだまだ続く。









続く。