うまがスラムダンクの続き

うまがスラムダンクを勝手にアレンジ。
スラムダンクの続きを書かせていただいています。

#353 【新人戦】

2010-08-30 | #12 大学 新人戦編
第50回 関東大学バスケットボール新人トーナメント


準々決勝試合会場


第1試合 深沢体育大学 × 拓緑大学


第2試合 神奈川体育大学 × 名稜大学


第3試合 横浜学芸大学 × 白金学院大学


第4試合 慶徳義塾大学 × 法光大学




東京代々木第二体育館。

入口には、大きな縦看板が置かれている。



関東大学バスケットボール新人トーナメント。

関東大学バスケットボール協会に加盟しているチームのうち、
上位リーグ及び、予選を勝ち抜いた下位リーグの40チームに出場権が与えられている大会。


出場資格は、1、2年生のみであるため、下位リーグのチームが、上位リーグのチームを破ることも多々あり、
大学バスケファンにはたまらない非常に面白み溢れる大会でもあった。


また、次世代の大学バスケ界の勢力図を占なう意味においても、重要な大会であった。


そんな中、今年の新人戦は、例年以上の盛り上がりを見せていた。


なぜなら・・・。


黄金世代と呼ばれた深津・河田世代が、2年生に進級し、
昨年高校バスケ界を沸かした沢北・仙道世代が大学に入学したためであった。



50回目の節目を迎える今大会。

準々決勝当日。

ここまで、1部リーグの6大学、そして2部リーグの2大学が勝ち進んでいた。



現在、第3試合の横浜学芸大学(2部)×白金学院大学(1部)の試合準備が行われている。



観客席には、大学バスケファンのみならず、老若男女、様々な人たちが、
食い入るようにコートを見つめ、座っていた。


それほどまで、深津・沢北世代は一般人にも注目されていたのであった。

もちろん、彼らの魅了するバスケがファンを取り込んだのはいうまでもないが、理由は他にもある。



週刊バスケットボールとJAPAN WeeKSとのコラボ企画。


毎週、大学のバスケットボールプレーヤーを紹介し、
バスケットボールの社会的知名度のアップ、ファンの新規開拓を積極的に行った。


仕掛け人は、相田弥生であった。



観客席の一部には、出場していた各大学の選手たちも座っている。


第1試合で拓緑大学(2部)を打ち破った学生チャンピオン深沢体育大学の選手たち。



「まずは、白金のお手並み拝見だな。」

軽い声は、博多商大附属出身の徳永保(2年)


「牧はもちろん、土屋や荻野にも注意が必要だ。」

続けて、山王工業出身の河田雅史(2年)がいった。


「僕は、神君に興味がある。どれほど、腕を上げたかね。あと、三井君にも。」

博多商大附属出身の牧瀬篤弘(2年)は、シューターとして、白金学院の神の成長、
そして、横浜学芸大学のSG三井にも視線を注いでいた。


「あの1年は、見覚えがあるケロ。」

変わった語尾をつけるのは、言わずと知れた山王工業出身の深津一成(2年)



視線の先にいるのは、ツンツンヘアーの一人の男。



「あいつは仙道彰。神奈川県の陵南高校出身IHのMVP。エージと並ぶスーパープレーヤーです。」

淡々と答えたのは、同じく山王工業出身の加藤夏輝(1年)であった。


「仙道君・・・。なんとなく、その名を耳にしたことはあったけど、実際に見るのは初めてだね。」

と牧瀬。

「はい。仙道の全国デビューは、昨年のIHからです。それまでは県予選で破れ、国体は辞退しています。
たぶん・・・、見覚えがあるのは、JAPAN WeeKSの第1回目に載ったからでしょう。」

詳しく説明する加藤。


「JAPAN WeeKS?」


「んっ。思い出したケロ。」

「おっ、そういえば、加藤の部屋にそんな情報雑誌がおいてあったような。」

「2部リーグの新人賞間違いなしとか、書いてあったかも。大学バスケ界の勢力図を変えるとも。」

「そう、それが仙道彰です。」

と加藤がまとめる。


「その言葉が本当なら、なんでそんな選手が2部の横学なんだ?」

「いや、そこまではわかりませんが・・・。どうしてでしょうね。
それと、この試合で忘れてはならないのが、神と三井のシューター対決です。
三井は、2部リーグではダントツの成功数を収めています。」

「ということは、この試合のキープレーヤーは、みんな神奈川出身ってことになるのかぁ?」

「そうですね。」

徳永の問いに、加藤が迅速に答えた。


「海南の牧と神、陵南の仙道、湘北の三井。神奈川のやつらは、どいつもこいつもってとこだな。うはっ。」

と河田がいうと、ある男たちが観客席の後ろのほうから話かけてきた。



「あとは、愛和の荻野さん。」

「品川も。」

「そして、大栄の土屋淳も忘れてはいけない。」


「!!!」

「!!」


その声の方向を振り返る深沢体育大学。


「お前らも、観戦か?」

と河田。



そこには、先程深体大と戦った拓緑大学の選手たちが立っていた。



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<<回想>>

準々決勝 第1試合 

深沢体育大学 × 拓緑大学



深体大のスターティング5は、実に豪華な顔ぶれであった。

高校時代、一世を風靡し、大学バスケ界にもその名を轟かせた選手たち。



【深沢体育大学】 関東1位

PG…#13 深津 一成 180cm/2年/山王工業
SG…#37 加藤 夏輝 182cm/1年/山王工業
SF…#18 牧瀬 篤弘 182cm/2年/博多商大附属
PF…#17 徳永 保 188cm/2年/博多商大附属
 C…#9 河田 雅史 197cm/2年/山王工業



2年前の選抜優勝校山王工業から、三銃士の深津と河田が推薦入部を果たす。

深津は、1部リーグでも2番手PGとして活躍、
河田にいたっては、スタメンPFとして、深体大の中核を担っていた。

また、同年準優勝校の博多商大附属からクイックシューターの牧瀬、
勝負強さを発揮する徳永が進学し、磐石な戦力を揃え、未だかつてない大補強が成功していた。

そして、今年、昨年の選抜優勝校の山王工業からG加藤を獲得。

今大会では、2番として、深津と山王コンビを結成、
息の合った動きを見せ、持ち前の得点能力を披露していた。


学生チャンピオンの深沢体育大学は、新人戦においても断然の優勝候補であった。



「大和君と花形君の拓緑が相手か。楽しみだね。」

と牧瀬。

「2部のリーグ戦では、ほぼ主力として、試合に出ているっていう話じゃんかよ。」

徳永が答える。

「経験値は、侮れねぇな。」

「相手にとって、不足はないケロ。」

「うしっ。いくぜ!」

「おう!!」



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深体大の実力とは・・・。








続く。

#352 【初制覇】

2010-08-28 | #12 大学 新人戦編
山王工業が、選抜4連覇の快挙を達成してから半年が過ぎた。

沢北、仙道らの世代は引退し、例年以上の戦国時代を迎えた高校バスケ界。


時は、6月上旬。


新体制となった全国の高校では、IH全国大会出場に向け、熱い予選が繰り広げられていた。


それは、神奈川県においても同様であった。




神奈川県総合体育館。



「押せ押せ!リョーナン!押せ押せ!リョーナン!!」

「ディ!ディ!ディフェンス!!ショーホク!ディフェンス!!」



IH県予選。

決勝リーグ第3戦。


両校2勝をもぎ取り、ともに全国大会出場を決めていたが、貪欲に神奈川完全制覇を狙っていた。


神奈川伝統の一戦と呼ばれている海南×翔陽戦に対し、
神奈川因縁の一戦と呼ばれるようになった陵南×湘北戦。


流川、桜木らが入学して以来、ここまで公式戦2勝2敗。

互角の戦い。



コート上では、息詰まる展開を迎えていた。




『ザシュ!!』




「また流川だーー!!!」

「ルカワ!ルカワ!ルカワ!ルカワ!」




流川の頭の中は、昨年以上に日本一の高校生という言葉が支配していた。

最上級生となった今、誰かに負けることは許されない。

ましてや、仙道、沢北のいない舞台で負けるわけにはいかない。


流川の瞳の奥に映る男たち。


大学バスケ界に舞台を移した仙道彰。


アメリカでプロを目指す沢北栄治。


そして、薄っすらと映る・・・。


高校バスケ界で日本一の高校生を狙う赤い坊主頭。



(てめーらに負けてられるか!)


背番号#7の数字がコートで暴れまわった。




『シュパ!』




「キャプテンも負けていない!!」

「拓真!ナイッシュや!!」




新キャプテン山岡拓真を中心に、常盤中出身のスラッシャー上杉空斗と、
ゴール下で剛柔の動きを見せる黒川大蔵が、息の合ったチームプレーを見せる。

山岡の外角は、更に精度を増し、海南の清田、上杉海斗を抑え、今大会最も高い3P成功率をあげていた。


元々注意力の散漫な性格であり、田岡を悩まし続けた山岡であったが、
キャプテンとなり、チームリーダーとしての自覚を持ち、
プレーで、ハートで、チームを盛り上げる選手となっていた。




『ドガァー!!』




「なっなんてパスしてんだーー!!」

「桜木が叩き込んだーー!!」




#9と#10のコンビプレーが、会場を沸かせる。


宮城を髣髴させる柳のパスとドリブル。


赤木を髣髴させる桜木のパワーと存在感。



(流川だけには負けねぇ!!)


桜木にもまた、明確な目標が打ち出されていた。


決して認めることはなかったが、流川が日本一の高校生に最も近い存在であるということを、
桜木は肌で感じていた。



(てめーだけには!!)


流川は、桜木の最も近くにいる、最も大きな存在であった。



(宮城さんから受け継いだNo.1ガード!簡単に負けるわけにはいかない!)


柳も強い信念を作り上げていた。


陵南上杉の華麗なドライブが決まる。


白田の軽やかなフックシュートがネットを揺らす。


黒川の体を張ったプレーがリバウンドをもぎ取る。



湘北、陵南選手ともに、半年前から比較すると、飛躍的な進歩が見られていた。

選抜全国大会、天皇杯の経験は、それほどまでに彼らを成長させていたのであった。




「あいつら・・・。」


観客席から悔しそうな表情でコートを見つめるのは、海南キャプテン清田信長。

傍らには、上杉海斗が座っている。

先程、翔陽を下し、辛うじて1勝をあげた海南大附属高校。

17年連続IH県予選優勝の常勝軍団は、2年連続の全国大会出場を逃した。



「くそう。」


清田の脳裏に浮かぶ2つの記憶。

握り締める拳。



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<<回想>>


湘北戦。


『バチィン!!』


清田のオーバーハンドシュートを豪快に叩き落す桜木。


「野猿は所詮野猿!天才には勝てまい!!」


「あっ赤毛猿ーー!!てめーー!!」



身長、跳躍で圧倒的優位に立つ桜木。

大舞台での経験が、ディフェンス能力を目覚めさせ、清田の動きを的確に止めた。

類まれな運動能力で、桜木を翻弄していた2年前とは、明らかに立場が逆転していた。




陵南戦。


「清田さん。悪いけど、海南の時代は終わりましたよ。」


「なっにーーー!!海南を、清田信長をナメるなーー!!」



『キュ!!』


「!!!」


山岡のディフェンスが、清田のドライブを完璧に止めた。

山岡もまた、天皇杯を経験し、技を盗み、心を見習った結果、飛躍的な成長を遂げていた。



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「くそう・・・。」

拳を握り、震える清田に、高頭が声をかける。


「悔しさが、己を強くする。私たちに輝かしい光が当たっていた頃、
彼らもきっと、この場でお前と同じ思いをしていたのだろう。這い上がるぞ。
這い上がって、この悔しさを晴らすぞ!」

「はい!!」


力強くコートを睨む清田であった。




コートでは、徐々に点差が開きつつあった。




「守れーー!!流川だーー!!流川を止めろーーー!!」

「桜木にリバウンドを獲らせるな!!」

田岡の怒声が飛んでいる。




「行け!行け!ショーホク!!」

「オッ!オッ!オフェンス!」


ベンチに入りきらない控え選手が、観客席から大きな声援を送る。

湘北は今、実力、部員数でも全国に引けをとらない強豪校となっていた。

流川、桜木を迎え、わずか3年目での急成長であった。




『ガッシャァーン!!』


リングに叩きつけられるボールの音が体育館に響き渡る。



観客たちが沸く。


控え選手が応援する。


選手たちの汗がほとばしる。


そこには、何物にも変えることの出来ない熱い高校生たちの情熱と青春があった。


まもなくして、試合終了を告げるブザーが響き渡る。



優勝校決定。



悲願のIH県予選初制覇。



決勝リーグの舞台に、初めて足を踏み入れてから、実に3年目の初夏を思わせる日のことであった。




表彰式。



「優勝!!県立湘北高校!!」



照れくさそうに、#4キャプテンナンバーをつけた桑田が優勝旗を手にしていた。



「ぐぐぐぐっ!!!やはり、おかしいーー!!なぜだーー!!なぜ、桑田なんだーー!!!」

「しょうがないよ。安西先生の指名なんだから。」

と桜木をなだめる石井と佐々岡。


『ゴン!』


『ゴン!』


『シューーー。』


重い頭突きを食らった石井と佐々岡は、その場に倒れた。



「おのれ!!オヤジーーー!!!!また、だましたなーーーー!!!!」


「ほっほっほ。」


(どあほう・・・。)



全国制覇に向け、4度目の全国へ・・・。


湘北は旅立った。




時を同じくして、ある体育館でも熱い試合が行われていた。



物語は、彼らの2つの戦いに再び光を当てる。








続く。

#00 【こんにちは】

2010-08-27 | #00 ご挨拶&目次
こんにちは。毎回、拙いブログを見ていただきありがとうございます。

うまだんくと申します。

名作スラムダンクの続きを勝手にアレンジし、書かせて頂いております。


久しぶりのご挨拶となります。

1年を締めくくる選抜全国大会が終了し、沢北、宮城らが引退。

3年生となった流川、桜木たちの新しい戦いが始まる!!

と期待されていた方もいらっしゃるかもしれませんが、

ここで1度【大学】へと舞台を移らせていただきます。


登場するキャラもうまだんくオリジナルキャラ(うまキャラ)が多くなり、

スラムダンクの原作の延長を期待される方には、物足りないかと思いますが、

お付き合いいただければと思います。

原作には描かれませんでしたが、全国には原作キャラと匹敵する実力、それ以上の選手がいる!!

とうまだんくは思っています。

(といいつつも、赤木世代では河田、宮城世代で沢北が最強だと思っています。)

こんなキャラがいたら!こんなプレーができたら!を心情に、うまキャラを書かせていただきます。


なお、#12 大学 新人編に登場するうまキャラの中には、#05 海南 選抜編#11 湘北 選抜編

既に登場している選手も多くいますので、「この名前どこかで・・・」と思いましたら、#05、#11を見て下さい。

わかりやすいように、しつこいくらいに解説もいれていくつもりです。

#12 大学 新人編 終了後、みなさまからもご指摘、ご希望のあった【大学別の人物名鑑】を作成します。


みなさまの励ましや応援が、書き続ける活力になります。

これからも末永くよろしくお願いいたします。


最後に、素人が勝手にアレンジしていますが、もし著作権絡む問題等がございましたら、ご連絡下さい。

#351 【キャプテン】

2010-08-26 | #11 湘北 選抜編
コートの中央で整列する10名。




「ナイスゲーーーム!!!」

「山王、優勝おめでとう!!」

「湘北も良く頑張ったぞ!!」

「沢北ーーー!!!」

「5連覇期待しているぞーーー!!」

「ルカワ!ルカワ!ルカワ!」

「ナイスファイト!!桜木ーー!!」

「山王も湘北も、また帰って来いよーー!!!」



「スコアどおり!青!!」


「あーーしたっ!!!」




『パチパチパチパチパチパチパチパチ・・・!!』


一向に鳴り止まない拍手が、決勝戦の凄まじさを物語る。


負けた湘北も、勝った山王も、みなその歓声と拍手に、優しく包まれるのであった。




「宮城!」

「ん。」


加藤であった。


「いい試合だった。大学でも負けないぜ。」

「聞いているぜ。お前の敵は、まずは深津だろ!?深津からスタメンPGを奪ったら、相手してやるよ。」

「俺はいつまでも深津先輩のサブじゃない。」

「偉そーに。」

「宮城は神体大なんだって。松本先輩によろしくな。」

「あぁ。」


(スピードの宮城と安定感抜群の松本先輩のガードコンビか・・・。侮れないな。)


(中盤に見せたオフェンス力なら、2番もあるかもしれねぇな。深津と加藤、ホントいやなコンビだぜ。)



柳葉は、福原の肩につかまっている。


そこへ。


「柳葉さん。お疲れさまでした。」

柳が声をかけた。


『コク。』


「来年、俺はまた挑戦させてもらいますから。まずは、IHで会いましょう。」


『コク。』


「春風・・・。」

「快!勝ったお前が、なんでそんなに暗い顔してるんだよ!もっと、いい顔見せろよ!!」


「・・・。おっ俺は・・・。」

「快が山王を選んだこと。みんな、嬉しいと思っている。
あの敗戦で、お前がバスケやめちまうんじゃねぇかって、みんな心配していた。
場所がどこであれ、快がバスケを続けてくれたことを、俺たちは本当に嬉しく思う。
こうしてまた会えたしな。ありがとう、快。」にこ。


「春風・・・。」

「優勝おめでとう。」


「あぁ。今度、神奈川帰ってきたら、みんなで会える・・・かな。」

「当たり前だ。俺たちは、一生仲間だ。ほら、見ろよ。」


柳は、観客席の上杉と黒川を指差した。

「よくやったぞ。春風!快!!」


『パチパチパチ!』


旧友の戦いを見届けた2人。

「空斗・・・。大蔵・・・。」

福原は、静かにうれし涙を流した。


自分の幼いミスにより、敗戦を喫した中学3年最後の全国大会。

卒業後、そのトラウマから逃げるように、柳らの前から姿を消して、秋田の地を踏んだ福原。

今ここに自身の成長と選抜優勝。

そして、再び大切な仲間を得たのであった。



『パッ。』


『ザッ。』


突然、柳葉が柳と福原の手を取り。


『ガシ。』


重ねた。


「・・・・・・・・。なかま。」


「柳葉さん。」

「柳葉さん・・・。」

3人は、優しく微笑むのであった。



(柳、よかったな・・・。)

その光景を後ろから見つめる白田に、河田が声をかけた。


「白田君。お疲れ様。」

「あっ、河田さん。」

「才能っていいな。兄や沢北さん、桜木君、もちろん白田君のような才能は、僕にはない。」

「そっそんなことは・・・。」

「でも、努力は裏切らない。それが今日、証明できた。次も山王が勝たせてもらうよ。」

「俺ももっともっと努力して、次は湘北が勝たせてもらいます。」


『ガッ。』

固い握手をした。


この1年間、山王工業で最も成長を見せたのは、沢北でもない、柳葉でもない、この河田美紀男なのかもしれない。

河田雅史という高校バスケ界の歴史に残る兄を持つプレッシャーの中、
大きな体の優しい男は、スキル、ハートで誰もが認めるほどの成長を見せていた。




「おめでとう。よくやったぞ。よくやった。」

堂本が、5人を迎え入れる。

「沢北、これで全てを摘み終えたか?」

「雑草は、踏み潰せば潰すほど、大きく、そして強くなる。来年はしんどいですよ。」

「今まで簡単に優勝できたことなどなかったが、今日もこうして4連覇を達成できた。
心配するな。山王は簡単には負けん!!
それより、雑草はどこまでも伸びるぞ。例え、海を越えてもな。」

「そしたら、また刈るまでですよ。今以上の刃でね。」

「あぁ。そうだな。」


流川、桜木を見て思う。

(もう、雑草じゃねぇか・・・。あいつらは・・・。)




「さぁ、拍手よ!!明るく迎え入れるのよ!」

と彩子。


『パチパチパチパチパチパチ!!』


大きな拍手で5人を迎え入れる湘北ベンチ。


「アヤちゃん、すまねぇ。」


『パン!』


宮城の背中を叩く彩子。


「謝ることなんて一つもないわよ。さぁ、胸張って!
私の中のNo.1ガードは、ずっとずっと前から、リョータだったわ。」にこ。

「アッアヤちゃん・・・。」


「うっぐっ。マネージャー・・・。リョータ・・・。」

その光景を見ている3年生の安田らは、もらい泣きをしていた。



「桜木君。」

晴子がタオルを渡す。


「・・・。」

うつむく桜木。


「桜木君?」

「ハルコさんに会わせる顔がありません・・・。」

「・・・。優勝はできなかったけど・・・。私は、優勝するより嬉しいことがあったよ!!」

「んっ!?」


「今日の桜木君と流川君のコンビに胸が高鳴った。
2人が今よりももっと仲良くなれば、次は絶対絶対、湘北が優勝する!!確信できたもん!!
来年こそ、全国制覇しようね!!」


「ハッハルコさん・・・。」

「ありがとう。桜木君。」

「はっはい!流川の力なくとも、この天才桜木が、ハルコさんを優勝に導きます!!!ハッハッハ!!」

「わっわかってないかな・・・。」

晴子は苦笑するのであった。




安西の周りに選手が集まる。

静かに口を開く。


「素晴らしい試合でした。優勝できなかったのは私のせいです。
君たちの素晴らしい能力を100%引き出せなかった私の責任です・・・。」


「先生・・・。」

「オヤジ・・・。」

「いえ、先生は何も・・・。先生の指導のおかげでここまで来れた。本当に感謝しています。」


柳と白田を見る安西。

「柳君、白田君。お疲れ様でした。君たちが、湘北に来てくれたおかげで、湘北は強くなった。
この敗戦は、必ず君たちを強くする。もう一度這い上がりましょう。」

「先生・・・。」

「・・・安西先生。」



「流川君。沢北君相手によく頑張りましたが、今回も彼を超えられなかった。」


「・・・。」

「これから、どうしますか?」


「日本一になって、あいつを倒しにいく。」

「それがいい。流川君ならできる。ここにいる全員が思っています。期待していますよ。」

一人を除き、みんなが輝く瞳で流川を見つめている。


「うす!!」

流川は、決意表明をするかのように、力強く返事をするのであった。



「桜木君はどうしますか?」

「全員ぶっ倒す!!それだけだ!!」


「よろしい。仙道君も沢北君もいない高校バスケ界で、もう負けるわけにはいかないですよ。いいですね?」


「うす!!」

「おうよ!!」

「はい!!!」



「宮城君。」

「はい。」


「3年間、お疲れ様でした。ここまで来れたのは、君の力があったからこそです。」

「俺は・・・。」


「宮城君が束ねたからこそ、この湘北は強くなった。
宮城君の力が、この湘北をここまで強くしたのです。」

「先生・・・。」

再び涙がたまる宮城。

「その小さな体で、赤木君たちが抜けた大きな穴をよく補ってくれました。
もちろん、宮城君だけじゃない。安田君も、潮崎君も、角田君も、彩子君も・・・。
みんなありがとう。」


「うっうっ。」

今にもこぼれそうな涙を必死に堪える3年生たち。



「君たちを指導してきた日々は、私にとって誇りです。素晴らしい日々を本当にありがとう。」



「ぐっぐしゅん。」

安田の涙がこぼれた。

「ううう・・・。」


続いて、潮崎、角田、そこにいた多くの選手の眼から涙が流れた。



「先生を・・・。先生を優勝監督に出来ず、申し訳ありませんでした。
でも、必ずこいつらがやってくれます!なぁ、流川!花道!!」


「うす。」

「へへっ、もちろんだぜ!!このキャプテン桜木が、オヤジを優勝に導いてやるぜ!!」


「あぁ、任せたぜ!キャプテン花道!!」



「!!!!!」



「えっ!!!」



「なっ!!!」



「あっ!!!」



「ハッハッハ!!!」



「ほっほっほ。」



そこにいた全ての人が、宮城の発言に驚愕した。

湘北が初めて進出した全国大会決勝、惜しくも絶対王者の山王工業の前に夢破れた日のことであった。



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選抜優勝大会 決勝 

山王工業×湘北

山王 81
湘北 80


【山王工業】青 81

#4 加藤 8P 12A
#5 烏山 8P  
#7 沢北 27P  
#9 柳葉 19P 
#10 河田 8P 13R
#15 福原 11P 8R


【湘北】白 80

#4 宮城 8P 9A
#7 流川 23P
#9 柳 14P
#10 桜木 17P 17R
#14 白田 12P 9R
#15 緑川 6P

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第39回全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会

優勝 山王工業

準優勝 湘北

第3位 名朋工業

第4位 喜多島


最優秀選手 沢北 栄治


ベスト5
G 天野 之博(名朋)
G 柳葉 敏(山王)
F 沢北 栄治(山王)
F 流川 楓(湘北)
C 桜木 花道(湘北)







#11 湘北 選抜編 終了
#12 大学 新人戦編 に続く。

#350 【キセキ】

2010-08-23 | #11 湘北 選抜編
残り試合時間 1.7秒

山王 81
湘北 80




沢北の起死回生のジャンプシュートが決まった。



桜木、流川を超える尋常ではない高さの跳躍。



右手一本のみで、2人のブロックを交わしたボールコントロール。



まさに最高峰のジャンプシュート呼ぶべきジャンプシュート。



湘北の想いを打ち砕き、山王の想いを叶える高校バスケ界最高の男、沢北栄治。



試合残り時間は、2秒を切っていた。




『ぶわぁ。』

「ぅぅぁぁぁ・・・。」

湘北ベンチの晴子の眼から涙があふれ出た。


安西の眼鏡は曇っている。


彩子は、唇をかみ締め、控え選手の口は開いたままであった。




『パン!!』


堂本は、握っていた右手の拳を、左の手のひらに当てた。


狂喜乱舞の山王ベンチの選手たち。


拳を突き上げる。


タオルをぶん回す。


大きく跳びはねる。


そして。


コートを囲む大観衆が、騒ぎ出す。




「ぎゃ逆転だーーー!!!!」

「沢北ーーーーー!!!!!」

「キターーー!!!」

「山王ーーー!!!」

「さすが!沢北ーーーー!!!」

「奇跡だーー!!」

「凄すぎるーーー!!!」




加藤、柳葉、福原、河田が沢北に笑顔を送る。


沢北は、右手の人差し指の立てて、ひと言。


こう答えた。



「まだだ!!足を止めるな!!もう1本獲るぞ!!」


「はい!!!」

「ボールマン!!」

「OK!!」

「桜木さん、いきます!!」

「流川!チェック!!」

「ディフェーーンス!!」



残り2秒を切っていても、マークマンへのディフェンスは緩めない。


沢北のひと言が、山王選手の心を今一度締める。



一方、視線が合う流川と桜木。



「・・・。」


「・・・。」


することは一つ。



『キュ!!』


『キュッ!!』



山王ゴール目掛けて、無言で駆け上がった。



ボールは、エンドの白田から宮城へ。



加藤のディフェンスを掻い潜り、ボールをもらう。



『キュッキュ!!』



『キュッ!!』



加藤と柳葉が、容赦なく宮城を襲う。



「!!!」



『ブンッ!!』



宮城は、脇目も振らず、サイドスローから大きく前方にボールを投げた。



ボールの軌道を見守る全選手、全観衆。



祈る想い、願う想いがボールに託された。



湘北ベンチは、胸の前で手を握り祈る。



山王ベンチは、両腕を高らかに掲げる。



そして、ボールがハーフラインを越え、最高点を迎えたところで・・・。



『ビィーーーーー!!!』



試合終了を告げる長い長いブザーが、会場全体に響き渡った。



『ダン!』


ボールがコートに落ちる。


『ダン。』


『ダン。』


寂しく弾んだ。




『グッ!!!』

「よぉぉしぃーー!!」

堂本のガッツポーズを合図に、今一度山王ベンチが歓喜に沸いた。



「!!!!!!」

「勝ったーー!!!」

「4連覇ーーー!!!」

「優勝だーーーー!!!!」




タオルを舞い上げ、全身を大きく震わせ、喜びを表現する。

敗者への敬意を表す山王にとっては、珍しい勝利の雄たけびであった。

それは、この試合がかつてないほど激戦だったことを物語る。




河田と福原が、山王ベンチの歓喜を笑顔で見つめる。


柳葉は限界を迎えていた足を伸ばしている。


(優勝・・・。やりましたよ。深津さん・・・。)

加藤は、誰よりもほっとした表情を見せていた。




「残念だったな。」

と観客席の田岡。

「ぐっぐ・・・。湘北、よく頑張ったで・・・。」

彦一は涙を流している。


「惜しかったな。春風・・・。」

「あぁ・・・。あと1歩だったな。」


「この敗戦が、また湘北を大きくするだろう。」

と田岡。

「湘北とまた勝負がしたい。」

と福田。

「あぁ。またできるさ。きっと。」

微笑む仙道。




「相田さん・・・。終わっちゃいましたね・・・。」

「えぇ。終わったわ。」

「湘北・・・。負けちゃいましたね・・・。」

「えぇ。負けたわ・・・。」

「奇跡の逆転勝利がまた見られると思ったんですけどね・・・。」

「奇跡か・・・。湘北の強さは、奇跡なんかじゃないわ。
彼らは、実力は本物よ。むしろ・・・、沢北君のあのシュートのほうが、キセキだったかもしれない。」




湘北コート上。


エンドライン上に立っている白田は、大粒の涙を流していた。


試合中における自分のミスが、脳裏をよぎる。

あのとき、こうすれば・・・。

あのとき、ああすれば・・・。


悔しさは涙に変わり、頬を流れる。


(あの1本を・・・。)



柳は、天井を見上げ、両手の拳を腰の辺りで握り、涙をこらえている。


『パシ。』


「最後までよくやったぜ。」

「・・・。」

後ろから肩を叩いたのは、宮城だった。

宮城の頬には、涙がつたった痕があった。

それを見た柳の眼からは、溜まっていた涙が一気にあふれ出た。


うつむく柳。


『ガシ!』


宮城が柳の頭を掴む。


「その悔しさは、来年晴らせ。湘北のPGは任せたぞ。2代目スピードガード!」

「はい!!」




一方、山王コート。


「はぁはぁ。」


「ぜぇぜぇ。」


無言で見つめあう流川と桜木。

湘北の敗北を未だに受け入れられずに、山王ゴールの下でただ立ち尽くす。

2人には、お互いの呼吸しか耳に入らない。



『サッ。』



視線を外した流川が、右手を差し出した。



「てめーにしては、上出来だった。」



『パン。』



流川の手を弾く桜木。



「てめーにしては、よくやった。」



『プイ。』



不器用ながら、そしてぎこちなくも両者を称えあった。



そこへ。



「おい。流川、桜木!」

沢北であった。


「ん。」

「なんだ。小坊主。」


「ナイスゲームだったぜ。」


「フン。」

「負けたら意味がねぇ。」


「桜木のディフェンスは、ハイスクールのやつよりも上だった。
あそこまで、俺のドライブを止めたやつは、正直あっちにもいなかった。」

「この天才が抜かれるわけない!!」

「いや、抜いただろ。」

沢北は続ける。


「流川のオフェンスは、アメリカでも十分に通用するはずだ。
あとは、超一流とやれるだけの体力とフィジカルが必要だ。」

「・・・。」


「2人ともあっちで待ってるぜ。必ず来いよ!そのときは、好きなだけ相手してやる!!」


「ジョーートーーだ!」

桜木と流川の声が揃った。


「首を洗って待っとけ!!」

「それまで誰にも負けんじゃねぇぞ。」



「但し!!・・・。日本一になってからだぜ!!」



「わかってるぜ!!」

「ぜってー、ぶっ倒しにいってやる!!」



「ふっ、来年の柳葉と河田を倒すのは至難の技だぜ。」



桜木、流川、2年生の冬。

打倒沢北という目標は、まだまだ続くのであった。








続く。

#349 【パッサ】

2010-08-20 | #11 湘北 選抜編
試合終了まで残り6.9秒

山王 79
湘北 80



ストロングサイドには、沢北と桜木のみ。



青地に気高く輝く背番号7の数字。


白地に烈火のごとく燃ゆる背番号10の数字。


体育館の全ての視線が対峙する2人に注がれていた。


3Pライン外。


ボールは、沢北の手の中。



「・・・。」にこり。


「・・・。」にや。



沢北の四肢の筋肉が、まだかまだかと爆発を促す。


桜木の四肢の筋肉が、今まさに起きようとしている爆発に備える。



「!!!」



『ピク!』



「!!!!」



『ザッ!』



「!!!!!」


「!!!!」



『キュッッ!!』



『キュッ!!!!』



『ダムッ!!』



「!!!」


「!!!!」



沢北が爆発させた音速のドライブ。



だが。




「うわぁーーー!!」

「なんてことだーー!!」

「とっ止めたーーー!!!」

「沢北を止めたーーー!!!」

「残り5秒!!!」

「まただーー!!」

「桜木が止めたーー!!」




「桜木くーーん!!!!!」

湘北ベンチから、晴子が涙を飛ばしながら叫ぶ。




2度の小刻みなフェイントに惑わされることなく、桜木は沢北の初歩を止めた。



沢北の第2波。



手を緩めない。



まるで初歩を止められることがわかっていたかのように、沢北は再撃する。




「沢北ぁ!いけーー!」

堂本も鬼気迫る表情で叫ぶ。




『キュッ!!!』



「!!!!」



『ズバッ!!!』



『ダムッ!!』



『キュッキュ!!』



『バッ!!』



「!!!!」



『キュ!!!』



「!!!!!」




「まただ!!!」

「また止めたーー!!!!」

「一度ならず二度までも!!!」

「山王が負けるーー!!」

「凄いぞ桜木ーー!!」

「沢北が止められた!!!」




桜木は、音速に切り返す沢北に、再び完璧に対応した。



桜木の本能が、沢北の技術を超えた瞬間だった。



だが、沢北に動揺はない。



流川が思い出す。



-----------------------------------------------------------------------


「・・・。あっちでてめーを抑えたやつはいたか?」

「ん?ハイスクールか?シュートは、ブロックされたな。だが、ドライブを完璧に止めたやつはいなかった。」



「俺のドライブをとめられるやつは、日本にはいない。」


-----------------------------------------------------------------------



(桜木!!)



残り試合時間 5.1秒




「時間がない!!!」

「湘北の勝ちだーー!!!」

「まだだ!!!」

「沢北が負けるーー!!」

「どっちだーー!!」

「いけーー!!」




極限状態の2人。


観客の声援はおろか、周りの状況も視界には入っていない。


存在するのは、目の前の男を抜く、止める、それだけであった。



ここで、技術を超える沢北の本能が呼び起こされた。



(桜木ぃぃーー!!)



(小坊主ぅーーー!!)



本能と本能とのぶつかり合い。



『グワァ!!!』



眼が見開く沢北。



「うっ!!」



桜木は、その迫力、執念、闘志に一瞬押される感覚がした。



「!!!!」



『ダムッ!!!』



「!!!!」



『キュッ!』



「!!!!!」



その一瞬を見逃さなかった沢北。



桜木の横を沢北の風が吹き抜けようとした。



「!!!!」



(しまったぁ!!!)



沢北は桜木を抜いた。




「ぬっ抜かれた!!!」

「諦めるな桜木ーーー!!!」

「湘北!万事休す!!!」

「さすが沢北だーーーー!!!」

「ナンバーワンはお前だーーーー!!」




残り試合時間 4.1秒



『ダムダムッ!!』


突っ込む沢北。


狙うは、湘北リングのみ。



だが。



『バッ!!!』



「・・・。」



『キュッ!!』



「!!!!!」



沢北の前に現れた無二のライバルと認めた存在。



再び、流川が立ちはだかった。





「流川がカバー!!!」

「ナイスカバーだ!!!」

「沢北対流川ーー!!」

「あと4秒!!!」




優勝をかけた最後の1on1。



『キュッキュ!!!』



『ダムダムッ!!』



『キュ!!!!』



『ダン!!!』



『ダン!!』



沢北が、流川が、力強くコートを蹴った。



「!!!!!」



「!!!!!」



ライバル流川を目の前に、沢北の選択は。



最も自信のあるジャンプシュートであった。



(決める!!!)



『バッ!!』



沢北の体が伸びる。



(打たすか!!!)



『グッ!』



流川の腕が伸びる。



そこへ。



「小坊主ぅー!!」



沢北の後ろから、桜木がチェックに跳んだ。



空中に舞う3つの体。



わずかに体勢を崩しながらも、揺るがない上半身の沢北。



右手を懸命に伸ばし、後ろから襲い掛かる桜木。



高校バスケ界、いや日本の至宝に真っ向から立ち向かう流川。



(もらった!!!)



(届く!!!)



(止める!!!)



流川の指と桜木の指が、沢北のボールに触れようとした。



瞬間。



『グッ!!!』



左手を外し、右手一本のみでボールをコントロール。



更に沢北の腕が伸びた。



「なっ!!!」



「んっ!!!」



湘北リングを捉える。



「これで最後だーー!!!」



沢北が放つ最高峰のジャンプシュート。



沢北の右腕は、桜木のチェックを交わし、流川の手を超えた。



『シュ!!!』




「打ったーーー!!!!」

「打たれたーー!!!」

「逆転かーー!!!」

「逃げ切りかーーーー!!!!」




「外れろーーー!!!」

湘北ベンチからの想い。




「入れーーーー!!!」

山王ベンチからの祈り。




「!!!!!」



「!!!!!」



桜木と流川の眼に、沢北の手から、リングに真っ直ぐに向かうボールが映った。



「!!!!!」



沢北は、右手を力強く握る。



『ダン!』



3者同時に着地。



リングに眼を向ける。



体育館は静まり返る。



そして、その静寂があの音を一層引き立たせる。




『パッサ。』




残り試合時間 1.7秒


山王 81
湘北 80







続く。

#348 【ラストプレーへ】

2010-08-19 | #11 湘北 選抜編
試合終了まで残り18秒

山王 79
湘北 80




『ザシュ!!』


流川の逆転3Pシュートが決まった。




「うぉぉぉーーーー!!!」

「逆転だーーーー!!!」

「あの夏の奇跡が再びーー!!!」

「ありえなーーい!!!」




体育館が揺れていた。




「三井先輩・・・。」


彩子がふと、流川の姿を見ながら、つぶやいた。


「三井さん・・・。」

「三井先輩・・・」

「三井さんだ。」

「三井先輩!!」

2,3年生も続くように、その名を口にした。


ピンチになろうとも決して最後まで諦めることがなかった三井。

その跳び道具は、湘北に粘りと勝利をもたらした。



「赤木君の想い、三井君の想いがしっかりと彼らにも伝わっている。」

安西の眼鏡が光った。


「お兄ちゃん・・・。三井さん・・・。」



三井イズムの伝承。

三井を知るものは、流川の姿に三井寿の姿をダブらせるのであった。

桜木に赤木の姿をダブらせたように。




「こっこんなことって・・・。」

中村の眼から大粒の涙が流れた。

「いや、まだ18秒ある。気は抜けないわよ!」

冷静な弥生。




「・・・。」

言葉の出ない陵南の1年生。

「決めた流川君も凄いけど、パスを出した桜木さんも凄すぎやで・・・。
沢北さんの動きを読んでいたとしか思えへん・・・。」

「2人とも確認などしておらんだろう。
パスを出したところに流川がいた。動いたところに桜木からのパスがきた。そんなところだ。
お互いを思う信頼関係があって、初めて成立するパスだ。」

「仲いいなぁ。あの凸凹コンビ。」

仙道は笑った。




エンドラインから加藤へボールが渡る。


(18秒・・・。)

加藤のゲームメイクが優勝校を決めるといっても過言ではない。




「これが最後の攻防戦です。」

と拳を握る安西。




「選手を信じるのみ。」

と同じく拳を握る堂本。




「17秒・・・。」

『ゴクッ。』

晴子は息をのんだ。




「残り16秒・・・。」

弥生がペンを強く握った。




『パシ。』


『パシ。』


時間を使うように、山王が高い位置でパスを回す。


加藤ー柳葉ー福原ー加藤。


ボールの保持者が流れるように切り替わっていく。



残り10秒となった。



「10秒!!」

「どうする山王ーー!!!」

「速く攻めないと!!」

「沢北で来るはずだーー!!」



ボールは、未だ加藤がキープしていた。

沢北には、桜木の執拗なディナイディフェンス。


「フンフンフン!」

足を動かし、腕を振るい、パスコースを塞ぐ。



だが。



『キュ!』


『キュッ!』


「ん!!」


突如、桜木の前から沢北の姿が消えた。


「ぬっ。」


少し離れたところで、パスを受けた沢北に、山王の命運は託された。




「あっ!!」

「沢北だーー!!」

「やっぱり沢北だーーー!!」

「どうする湘北!!」




沢北の一瞬のキレは、桜木の身体能力を超える。




「やはり、桜木一人では抑えられないかもしれん。」

と田岡。

「桜木さん・・・。」

心配そうな彦一。




と、そのとき。



河田がハイポに上がった。

続いて、福原が逆サイドの柳の下へ、スクリーンをかけに動き出す。


「うなじ。」


「ん。」


『ガシ。』


「ぃって。」


福原は柳にスクリーンをかけた。

その結果、柳葉は沢北からフリーでボールを受け取った。




「沢北じゃない!!」

「最後は柳葉だーーー!!」

「沢北は次期エースの柳葉に託したーーー!!」




(やば。)


流川が決死のカバー。



電光掲示板の数字は、8.8秒



柳葉の腕が動いた。



「!!」


「!!!!」



『シュ。』



「!!!」


「!!!」



ボールは、ハイポへ放たれた。




「また、パスだ!!」

「河田か!!」

「インサイド!河田と白田の勝負だ!!」




『グッ。』


足腰に力を入れ、河田の重圧に構える白田。


(来い!ぜってー止めてやる!!)



だが。



『パン!!』


河田はボールを外には弾いた。




「またパス!!」

「やっぱり最後は・・・。」

「あの男ーーー!!!」

「ナンバー1高校生!!!」

「沢北だーーーー!!!!」




『パシ。』



3Pライン外。



「・・・。」にこり。



ボールを受け取ったのは、紛れもなく山王の大エース、高校バスケ界の至宝沢北であった。 



しかも。




「まっまただ!!」

「山王が寄せたーー!!!」

「アイソレーション!!」

「湘北、絶体絶命のピーーンチ!!」




沢北とリングの間にある障害は、桜木のみ。


桜木にとって、正真正銘最後の闘いが始まる。


実に、試合終了まで残り6.9秒のことであった。



山王 79
湘北 80







続く。

#347 【くらえ。山王。】

2010-08-18 | #11 湘北 選抜編
試合終了まで残り32秒

山王 79
湘北 77




沢北を止めた流川のテイクチャージ。


湘北の奇跡の逆転劇へ。


シナリオが、また一行、また一行と書き綴られていく。



「どっどしよう。またアイソレー。」


『パン。』


「わぁ!」


美紀男の腰を叩いた沢北が話しかけた。


「美紀男。そんなに緊張するな。まだ、時間は十分にある。1本入れられたって同点だ。
しかも、うちのボール。それを叩き込めば、山王は優勝だ。緊張することは何もない。」

「さっ沢北さん・・・。あっありがとうございます・・・。少し楽になりました。」

「桜木を頼んだぜ。」

「ふぁい!」


(とはいえ、美紀男じゃ桜木を止めることは難しい。となるとやはり・・・。)



『ダムダム・・・。』


安西、宮城の指示はない。



だが。



湘北は動いた。



『サッ!』


『キュ!』




「まっまただ!また桜木で攻める気だーー!!!」

「河田に止められるのかーー!!」




(だろうな。)


(にゃろう。何か企んでやがる。)


桜木と河田を見つめる沢北を流川の視線は捉えていた。



『パシ。』


ボールは、桜木へ。


3Pラインの外。




「キタで!キタで!キタで!!!」

「桜木さん!!!」

「桜木!!」

陵南選手にも力が入る。




「サークラギ!サークラギ!サークラギ!サークラギ!」

「ミキオ!ミキオ!ミキオ!ミキオ!ミキオ!ミキオ!」




「へっ。大声援って気持ちのいいもんだな。」

「・・・。」


「丸男。これで同点だぜ!」

「違うよ!!!」


河田は、桜木の動きに全神経を集中した。


桜木の赤い髪の1本1本までが、はっきりと見えるほどに。



『キュ!』


『キュッキュ!』


軽いピボッドを踏む。



「!!」


河田は、桜木の凝縮した筋肉の変化を感じた。



「くるぅ!!」



『ズバッ!!』



『バッ!!!』



『ダムッ!』



「!!!」


河田は直感した。


桜木は右手ドリブルで来ると。


大きな体を桜木のコースへと押しやった。



だが。



桜木は河田の右側を抜けていた。


初歩は、左手ドリブル。


つまり・・・。




「桜木がまた抜いたーー!!」

「どっ同点だーー!!」

「桜木がやりやがったーー!!!」



だが。



『キュッ!』



「!!」


「なにっ!!」


「!!」にや。



突然、沢北が河田の大きな体の後ろからコースに現れた。



『キュ!』


桜木の体勢が崩れる。



「小坊主ぅー!!」


「おしまいだ!桜木ー!!」



『キュ!』


ドリブルをカットするため、手を伸ばす沢北。



「!」にやっ。


(笑った?)


「やはりな。」


桜木が薄ら笑いを浮かべながら、言葉を放った。



と同時に。



「フン!!!」



『バチン!!!』



ドリブルで上がってくるボールに合わせ、真横にボールを弾いた。



(なっなに!!!)


「パッパス!!まさか!!」




「桜木!!」

と福田。

「野生の勘、いや読んでたか?」

と田岡。

(あいつ。)

仙道は拳を握った。




「小坊主の動きなんぞ、お見通しだ。」



桜木のパスが向かったその先には、もちろん・・・。



仙道を倒し、沢北が認め、桜木の追う男。



流川楓がいた。



『パシ!!』



「ぜってーー!決めろ!!流川ぁーーー!!!」



「てめーにいわれるまでもねぇ。」



胸の辺りで受け取ったボールを素早く頭の上に移動させる。


横から、跳び込んでくる柳葉の姿。



「ーーーー!!!」


柳が叫んでいるが、流川の耳には届かない。


流川の眼には、周囲の状況がスローモーションのように、ゆっくりと映っていた。



「くらえ。山王。」



『シュ。』



流川は、柳葉の存在を否定するかのように、柔らかなシュートを放った。



中学より幾度となく修羅場のシュートを決めてきた流川。



プレッシャーを感じない強靭な精神力が、柳葉の手にボールを触れさせない。



審判が、3本の指を上げる。




「3Pーーーーー!!!」

「決まったら、逆転だーーーーー!!!」

「まっまじかよ!!」




「リバウンドだーー!!」

加藤が叫ぶ。


福原、白田がゴール下へ向かう。


スナップの利いた流川のシュートは、高い放物線を描く。



弾道。



軌道。



パーフェクト。



『ザシュ!!』




「3Pーーーー!!!!」

「決まっちまったーー!!!」

「まさかのーー!!!」

「そのまさかのーーー!!!」

「逆転だーーーー!!!!」

「湘北が逆転したぞーーー!!!!」

「ありえない!!!」

「キセキーーー!!!」




体育館が揺れた。


湘北ベンチは、総立ち。


跳び上がって喜ぶ。




堂本が時計を確認する。


(残り18.3・・・。まだ大丈夫だ。)

「最後まで選手たちを信じよう。」

大きな汗が滴った。




湘北か。



山王か。



この試合最大の山場を迎えた。



優勝まで残り18秒

山王 79
湘北 80







続く。

#346 【奪取】

2010-08-13 | #11 湘北 選抜編
試合終了まで残り37秒

山王 79
湘北 77




沢北と桜木の1on1。


沢北が激動する。


桜木が防戦する。



『キュッ!』


『ダムッ!!』


『キュ!!!』



観客が見つめるその先には・・・。




「さっ桜木がとっ止めたーーー!!!!」

「沢北を止めたーーーー!!!」

「いや、まだだ!!!」

「並んでいる!!!」

「まだわからねぇーー!!!」




桜木が沢北の初歩を止めた。


それは、バスケの技術でもなく、経験でもなく、桜木の本能によるものであった。



『ダムッ!』


『キュッ!』


『ダム!』



沢北のドリブルに、手を上げながら並走する桜木。




「すっ凄いで!桜木さん!!」

「桜木。」

「桜木・・・。」




鬼の形相の沢北。



決死の形相の桜木。



桜木が沢北の前に回りこんだ。




「身体能力は沢北君以上なの!?」

と弥生。




「止めたーー!!!」

「いや、まだだ!!!」




(ここだ!)


沢北は桜木の逆足を捉えた。



『ダムッ!!』


『キュ!』


『クルッ!!』


沢北の高速バックロールが繰り出される。




「巧い!速い!」

「鮮やかなバックロール!」

「抜かれるー!!」




『ダム!』


(ぬっ!しまったぁーー!!!)


(よし!)




「抜いたーー!!」

「沢北が抜いたー!!!」

「さすが沢北だーー!!!」

「沢北が桜木に負けるかよーーーー!!」




「!!!」



桜木の眼に映る沢北の背中ともう一人の男。



「!!!」



桜木を視界から消し去った直後、突然現れた湘北背番号7のユニホーム。



「!!!」



無念の表情を浮かべる桜木と突っ込んでくる沢北の姿を捉える鋭い視線。



『ドンッ!!!!』



接触。



「!!!!!」 



「!!!!!」



倒れかける沢北。



その眼の前には、同じく倒れかける流川の姿があった。



「るっ流川!!!」



「ざまーみろ。」



『ダーーン!!』



沢北は流川に覆いかぶさるように倒れた。



体育館に雄たけびがあがる。




「マッマジかよーーー!!」

「流川がーー!!」

「沢北がーーー!!」

「遅かったか!!」

「オフェンスか!!!」

「ディフェンスか!!」

「チャージングか!!!」

「どっちだーーーー!!!!」




「流川くーーーーん!!」




「沢北ーーーー!!!!」




審判の行動に、全視線が注がれた。



『ピィーーーー!!』



一瞬の間が空く。



審判の判断は・・・。



『グッ!』


『バッ!』 


拳を前方に押し込んだ。



「オッオフェーーーーンスッーー!!」




「うわわわーーーーー!!!」

「うぉぉぉーー!!!!!」

「オフェーーーーンス!!!」

「流川が沢北からテイクチャージだ!!!!!」

「流川すげーーーーーー!!!」

「沢北のチャージングだーー!!!!」

「ターンオーバー!!!」

「2点差じゃ、本当にわからねぇーー!!!」




「流川!!」

「流川さん!!」

宮城らが流川の下に駆け寄る。


ゆっくりと立ち上がる流川。


「負けてたまるか。」


一言だけ、言葉を放った。


「あぁ。」

宮城が答え、白田らがうなずいた。


「キツネにしては、上出来だ。」

「抜かれてるじゃねぇかよ。ド素人。」

「甘い!わざと抜かれて、後ろから叩く天才の作戦だったのだ!」

「やれやれだぜ。」



「止めたぜ。」

「・・・・・・。流川。」

(桜木に気を取られていたとは言え、流川はノーマークだった・・・。迂闊だったぜ・・・。)

沢北の表情は、悔しさでゆがんでいた。



「エージ。」

「夏輝、申し訳ない。だが、この借りは倍にして返してやる。」ギラ。

「あぁ。お前は嘘をつかない男だ。」にこ。




「流川君が、初めてチャージングを奪った・・・。」

「あの流川が・・・。」

「この場面で・・・。」

「なんてこなの・・・。」

湘北の選手が、安西の言葉を思い出す。



-----------------------------------------------------------------------


「桜木君でさえ、数々のチャージングを奪ってきました。
しかしながら、1年生より湘北のエースと呼ばれてきた流川君には1度もありません。どういうことかわかりますか?」


「奪う気がないからでしょう。」


「オフェンスでやり返せば、いいと思っているからでしょう。」


「ずば抜けたオフェンス力に頼りすぎている。私が、流川君をエースと認めないゆえんです。
仙道君や沢北君のように、オフェンスでもディフェンスでもチームを勝利に導いてこそ、
本当のエースですよ。流川君。ほっほっほ。」


「沢北君を止め、沢北君以上の得点を奪い、日本一になったら、流川君を日本一の高校生プレイヤーだと認めます。」


-----------------------------------------------------------------------



「流川君。素晴らしいディフェンスですよ。そして、桜木君も。」

真剣な眼差しの中で、安西は静かに微笑むのであった。



湘北の逆転への可能性は残された。




残り32秒

山王 79
湘北 77







続く。

#345 【日本一の高校生】

2010-08-11 | #11 湘北 選抜編
残り試合時間 57秒

山王 79
湘北 77




桜木のアイソレーションで2点を奪い、1本差に詰め寄った湘北だったが、リードされていることに違いはない。


そして、このあと、呼吸を忘れるほどの壮絶な1分間を迎える。



「夏輝。」

沢北がつぶやく。

「あぁ。」

静かに答えた。



湘北はハーフマンツーでしっかり抑える作戦。

マッチアップの変更はない。


加藤に宮城、柳葉に柳、福原に流川、河田に白田、そして、沢北に桜木。

3Pのスペシャリスト烏山がベンチにいるため、桜木を除いた4人は小さく守っている。


それは、ダイヤモンドワンのようにも見えた。


だが、加藤の一言でそのディフェンスは崩れる。



「ゼロ。」


「ゼロ?」

「えっ!!」

「なっ!」


加藤が告げたのは、紛れもなくナンバープレーであった。


「!!!」


「福原か!!」




「疲労度の高い流川のところから攻めるか!!」

「いや、わからないぞ!」

「ゼロは初めて見るナンバープレーだ!!」




『キュッ!』


『ザッ!』


『キュッキュ!』


『パシ。』


『サッ!!』


『パシ!!』


ガードとインサイドでボールが回る。


そして、仙道が気付く。




「寄せられている。」




『パシ!』


複雑なスクリーンプレーを多用し、ボールは、左45°沢北に渡った。




「あっ!!!」

「なんとーー!!」

「こっこれは!!!」




「アッ!!」

中村が叫ぶ。




「アッ!!」

観客席で彦一が叫ぶ。




そして、会場が叫んだ。


「アイソレーション!!!!」




「桜木とのマッチアップなら、当然の選択。」

と田岡。


「・・・。」

無言の仙道と福田。




(にゃろう・・・。)

と流川。


(くそう。真似しやがって!)

と宮城。




「わぁわぁわぁ・・・。」

声が出ない中村。

「確かにこれは、分が悪いわね。」

冷静な弥生。




「へっ。上等だ!小坊主!」


「一瞬で終わらせてやるよ。」



残り40秒

24秒バイオレーションまであと7秒



『ジジジ・・・。』


誰にも気付かれることなく流川は、沢北側による。



「来るならきやがれ!!!」


気付くと桜木は笑っていた。


沢北も同様であった。


「ちっ。」

流川の舌打ち。




「楽しそうだな。あいつら。」

と仙道。




沢北と桜木に漂うある意味死闘にも似た空気。



(流川が止められねぇ小坊主を止めれば、俺が日本一の高校生だ!!)



(身体能力だけなら流川以上。だが、それだけじゃ、俺は止められねぇぜ!!)



「いくぜ!!!」


「きやがれ!!!」



「!!!!」


「!!!!」 



『ダムッ!』



『キュッ!』



『キュ!』



今までにない、激しいバッシュの音が体育館に響き渡る。



「!!!!」



「!!!!」



選手、ベンチ、観客が吸い込まれるように見つめる1on1の先に見たものは・・・。 



残り37秒

山王 79
湘北 77







続く。