第50回 関東大学バスケットボール新人トーナメント
準々決勝試合会場
第1試合 深沢体育大学 × 拓緑大学
第2試合 神奈川体育大学 × 名稜大学
第3試合 横浜学芸大学 × 白金学院大学
第4試合 慶徳義塾大学 × 法光大学
東京代々木第二体育館。
入口には、大きな縦看板が置かれている。
関東大学バスケットボール新人トーナメント。
関東大学バスケットボール協会に加盟しているチームのうち、
上位リーグ及び、予選を勝ち抜いた下位リーグの40チームに出場権が与えられている大会。
出場資格は、1、2年生のみであるため、下位リーグのチームが、上位リーグのチームを破ることも多々あり、
大学バスケファンにはたまらない非常に面白み溢れる大会でもあった。
また、次世代の大学バスケ界の勢力図を占なう意味においても、重要な大会であった。
そんな中、今年の新人戦は、例年以上の盛り上がりを見せていた。
なぜなら・・・。
黄金世代と呼ばれた深津・河田世代が、2年生に進級し、
昨年高校バスケ界を沸かした沢北・仙道世代が大学に入学したためであった。
50回目の節目を迎える今大会。
準々決勝当日。
ここまで、1部リーグの6大学、そして2部リーグの2大学が勝ち進んでいた。
現在、第3試合の横浜学芸大学(2部)×白金学院大学(1部)の試合準備が行われている。
観客席には、大学バスケファンのみならず、老若男女、様々な人たちが、
食い入るようにコートを見つめ、座っていた。
それほどまで、深津・沢北世代は一般人にも注目されていたのであった。
もちろん、彼らの魅了するバスケがファンを取り込んだのはいうまでもないが、理由は他にもある。
週刊バスケットボールとJAPAN WeeKSとのコラボ企画。
毎週、大学のバスケットボールプレーヤーを紹介し、
バスケットボールの社会的知名度のアップ、ファンの新規開拓を積極的に行った。
仕掛け人は、相田弥生であった。
観客席の一部には、出場していた各大学の選手たちも座っている。
第1試合で拓緑大学(2部)を打ち破った学生チャンピオン深沢体育大学の選手たち。
「まずは、白金のお手並み拝見だな。」
軽い声は、博多商大附属出身の徳永保(2年)
「牧はもちろん、土屋や荻野にも注意が必要だ。」
続けて、山王工業出身の河田雅史(2年)がいった。
「僕は、神君に興味がある。どれほど、腕を上げたかね。あと、三井君にも。」
博多商大附属出身の牧瀬篤弘(2年)は、シューターとして、白金学院の神の成長、
そして、横浜学芸大学のSG三井にも視線を注いでいた。
「あの1年は、見覚えがあるケロ。」
変わった語尾をつけるのは、言わずと知れた山王工業出身の深津一成(2年)
視線の先にいるのは、ツンツンヘアーの一人の男。
「あいつは仙道彰。神奈川県の陵南高校出身IHのMVP。エージと並ぶスーパープレーヤーです。」
淡々と答えたのは、同じく山王工業出身の加藤夏輝(1年)であった。
「仙道君・・・。なんとなく、その名を耳にしたことはあったけど、実際に見るのは初めてだね。」
と牧瀬。
「はい。仙道の全国デビューは、昨年のIHからです。それまでは県予選で破れ、国体は辞退しています。
たぶん・・・、見覚えがあるのは、JAPAN WeeKSの第1回目に載ったからでしょう。」
詳しく説明する加藤。
「JAPAN WeeKS?」
「んっ。思い出したケロ。」
「おっ、そういえば、加藤の部屋にそんな情報雑誌がおいてあったような。」
「2部リーグの新人賞間違いなしとか、書いてあったかも。大学バスケ界の勢力図を変えるとも。」
「そう、それが仙道彰です。」
と加藤がまとめる。
「その言葉が本当なら、なんでそんな選手が2部の横学なんだ?」
「いや、そこまではわかりませんが・・・。どうしてでしょうね。
それと、この試合で忘れてはならないのが、神と三井のシューター対決です。
三井は、2部リーグではダントツの成功数を収めています。」
「ということは、この試合のキープレーヤーは、みんな神奈川出身ってことになるのかぁ?」
「そうですね。」
徳永の問いに、加藤が迅速に答えた。
「海南の牧と神、陵南の仙道、湘北の三井。神奈川のやつらは、どいつもこいつもってとこだな。うはっ。」
と河田がいうと、ある男たちが観客席の後ろのほうから話かけてきた。
「あとは、愛和の荻野さん。」
「品川も。」
「そして、大栄の土屋淳も忘れてはいけない。」
「!!!」
「!!」
その声の方向を振り返る深沢体育大学。
「お前らも、観戦か?」
と河田。
そこには、先程深体大と戦った拓緑大学の選手たちが立っていた。
-----------------------------------------------------------------------
<<回想>>
準々決勝 第1試合
深沢体育大学 × 拓緑大学
深体大のスターティング5は、実に豪華な顔ぶれであった。
高校時代、一世を風靡し、大学バスケ界にもその名を轟かせた選手たち。
【深沢体育大学】 関東1位
PG…#13 深津 一成 180cm/2年/山王工業
SG…#37 加藤 夏輝 182cm/1年/山王工業
SF…#18 牧瀬 篤弘 182cm/2年/博多商大附属
PF…#17 徳永 保 188cm/2年/博多商大附属
C…#9 河田 雅史 197cm/2年/山王工業
2年前の選抜優勝校山王工業から、三銃士の深津と河田が推薦入部を果たす。
深津は、1部リーグでも2番手PGとして活躍、
河田にいたっては、スタメンPFとして、深体大の中核を担っていた。
また、同年準優勝校の博多商大附属からクイックシューターの牧瀬、
勝負強さを発揮する徳永が進学し、磐石な戦力を揃え、未だかつてない大補強が成功していた。
そして、今年、昨年の選抜優勝校の山王工業からG加藤を獲得。
今大会では、2番として、深津と山王コンビを結成、
息の合った動きを見せ、持ち前の得点能力を披露していた。
学生チャンピオンの深沢体育大学は、新人戦においても断然の優勝候補であった。
「大和君と花形君の拓緑が相手か。楽しみだね。」
と牧瀬。
「2部のリーグ戦では、ほぼ主力として、試合に出ているっていう話じゃんかよ。」
徳永が答える。
「経験値は、侮れねぇな。」
「相手にとって、不足はないケロ。」
「うしっ。いくぜ!」
「おう!!」
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深体大の実力とは・・・。
続く。
準々決勝試合会場
第1試合 深沢体育大学 × 拓緑大学
第2試合 神奈川体育大学 × 名稜大学
第3試合 横浜学芸大学 × 白金学院大学
第4試合 慶徳義塾大学 × 法光大学
東京代々木第二体育館。
入口には、大きな縦看板が置かれている。
関東大学バスケットボール新人トーナメント。
関東大学バスケットボール協会に加盟しているチームのうち、
上位リーグ及び、予選を勝ち抜いた下位リーグの40チームに出場権が与えられている大会。
出場資格は、1、2年生のみであるため、下位リーグのチームが、上位リーグのチームを破ることも多々あり、
大学バスケファンにはたまらない非常に面白み溢れる大会でもあった。
また、次世代の大学バスケ界の勢力図を占なう意味においても、重要な大会であった。
そんな中、今年の新人戦は、例年以上の盛り上がりを見せていた。
なぜなら・・・。
黄金世代と呼ばれた深津・河田世代が、2年生に進級し、
昨年高校バスケ界を沸かした沢北・仙道世代が大学に入学したためであった。
50回目の節目を迎える今大会。
準々決勝当日。
ここまで、1部リーグの6大学、そして2部リーグの2大学が勝ち進んでいた。
現在、第3試合の横浜学芸大学(2部)×白金学院大学(1部)の試合準備が行われている。
観客席には、大学バスケファンのみならず、老若男女、様々な人たちが、
食い入るようにコートを見つめ、座っていた。
それほどまで、深津・沢北世代は一般人にも注目されていたのであった。
もちろん、彼らの魅了するバスケがファンを取り込んだのはいうまでもないが、理由は他にもある。
週刊バスケットボールとJAPAN WeeKSとのコラボ企画。
毎週、大学のバスケットボールプレーヤーを紹介し、
バスケットボールの社会的知名度のアップ、ファンの新規開拓を積極的に行った。
仕掛け人は、相田弥生であった。
観客席の一部には、出場していた各大学の選手たちも座っている。
第1試合で拓緑大学(2部)を打ち破った学生チャンピオン深沢体育大学の選手たち。
「まずは、白金のお手並み拝見だな。」
軽い声は、博多商大附属出身の徳永保(2年)
「牧はもちろん、土屋や荻野にも注意が必要だ。」
続けて、山王工業出身の河田雅史(2年)がいった。
「僕は、神君に興味がある。どれほど、腕を上げたかね。あと、三井君にも。」
博多商大附属出身の牧瀬篤弘(2年)は、シューターとして、白金学院の神の成長、
そして、横浜学芸大学のSG三井にも視線を注いでいた。
「あの1年は、見覚えがあるケロ。」
変わった語尾をつけるのは、言わずと知れた山王工業出身の深津一成(2年)
視線の先にいるのは、ツンツンヘアーの一人の男。
「あいつは仙道彰。神奈川県の陵南高校出身IHのMVP。エージと並ぶスーパープレーヤーです。」
淡々と答えたのは、同じく山王工業出身の加藤夏輝(1年)であった。
「仙道君・・・。なんとなく、その名を耳にしたことはあったけど、実際に見るのは初めてだね。」
と牧瀬。
「はい。仙道の全国デビューは、昨年のIHからです。それまでは県予選で破れ、国体は辞退しています。
たぶん・・・、見覚えがあるのは、JAPAN WeeKSの第1回目に載ったからでしょう。」
詳しく説明する加藤。
「JAPAN WeeKS?」
「んっ。思い出したケロ。」
「おっ、そういえば、加藤の部屋にそんな情報雑誌がおいてあったような。」
「2部リーグの新人賞間違いなしとか、書いてあったかも。大学バスケ界の勢力図を変えるとも。」
「そう、それが仙道彰です。」
と加藤がまとめる。
「その言葉が本当なら、なんでそんな選手が2部の横学なんだ?」
「いや、そこまではわかりませんが・・・。どうしてでしょうね。
それと、この試合で忘れてはならないのが、神と三井のシューター対決です。
三井は、2部リーグではダントツの成功数を収めています。」
「ということは、この試合のキープレーヤーは、みんな神奈川出身ってことになるのかぁ?」
「そうですね。」
徳永の問いに、加藤が迅速に答えた。
「海南の牧と神、陵南の仙道、湘北の三井。神奈川のやつらは、どいつもこいつもってとこだな。うはっ。」
と河田がいうと、ある男たちが観客席の後ろのほうから話かけてきた。
「あとは、愛和の荻野さん。」
「品川も。」
「そして、大栄の土屋淳も忘れてはいけない。」
「!!!」
「!!」
その声の方向を振り返る深沢体育大学。
「お前らも、観戦か?」
と河田。
そこには、先程深体大と戦った拓緑大学の選手たちが立っていた。
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<<回想>>
準々決勝 第1試合
深沢体育大学 × 拓緑大学
深体大のスターティング5は、実に豪華な顔ぶれであった。
高校時代、一世を風靡し、大学バスケ界にもその名を轟かせた選手たち。
【深沢体育大学】 関東1位
PG…#13 深津 一成 180cm/2年/山王工業
SG…#37 加藤 夏輝 182cm/1年/山王工業
SF…#18 牧瀬 篤弘 182cm/2年/博多商大附属
PF…#17 徳永 保 188cm/2年/博多商大附属
C…#9 河田 雅史 197cm/2年/山王工業
2年前の選抜優勝校山王工業から、三銃士の深津と河田が推薦入部を果たす。
深津は、1部リーグでも2番手PGとして活躍、
河田にいたっては、スタメンPFとして、深体大の中核を担っていた。
また、同年準優勝校の博多商大附属からクイックシューターの牧瀬、
勝負強さを発揮する徳永が進学し、磐石な戦力を揃え、未だかつてない大補強が成功していた。
そして、今年、昨年の選抜優勝校の山王工業からG加藤を獲得。
今大会では、2番として、深津と山王コンビを結成、
息の合った動きを見せ、持ち前の得点能力を披露していた。
学生チャンピオンの深沢体育大学は、新人戦においても断然の優勝候補であった。
「大和君と花形君の拓緑が相手か。楽しみだね。」
と牧瀬。
「2部のリーグ戦では、ほぼ主力として、試合に出ているっていう話じゃんかよ。」
徳永が答える。
「経験値は、侮れねぇな。」
「相手にとって、不足はないケロ。」
「うしっ。いくぜ!」
「おう!!」
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深体大の実力とは・・・。
続く。