うまがスラムダンクの続き

うまがスラムダンクを勝手にアレンジ。
スラムダンクの続きを書かせていただいています。

#22 【ライバル】

2008-12-15 | #01 陵南 選抜編
残り 22秒

湘北 88
陵南 87




「陵南は、じっくり1本攻めてくる。そして、最後は仙道。」

赤木の額から汗が流れた。

「湘北は、何が何でも止めなきゃならないな。」

(仙道・・・、頼んだぞ!)

魚住の手は汗ばんでいる。




「仙道・・・。」

「仙道さん・・・。」

陵南ベンチに座っているものはいない。




陵南は、植草から山岡、山岡から福田、福田から植草、ハーフコートで、ボールをまわしている。



残り8秒。



『キュッ!』



『バシ!』



仙道にボールが渡った。




「最後は、仙道!」

湘北に緊張感が走る。




「陵南も・・・。」

「アイソレーション・・・。でも、三井君、宮城君は、仙道君をしっかり捉えているわ。」




『シュ!』


190cmを超える仙道の体が、今まで以上の速さで動く。



(仙道、てめーを止める!!)


(やってみな!!)



流川と仙道が、1on1で会話をする。



『キュッ!』



『ダムダム・・・ダム!!』


仙道が繰り出すドリブルテクニックにより、流川の体制が崩れる。




「流川!」


宮城がすかさずフォロー、ドリブルカットに向かう。



たまらず、仙道は、ボールをキャッチ、強引にステップを踏んだ。



「打たせねーー!」


ゴール下では、三井が懸命に右腕を伸ばし、ブロックに飛ぶ。




「ブロックされる!!」

「ナイスタイミング!!!」




誰もが思う絶妙のタイミングで、流川も仙道のブロックに飛ぶ。



だが。



『ヒョイ!』



「!!!!」



「ん!!」



「へなちょこシュート!!」



(沢北!!)



仙道は、1歩目のステップで、高い軌道のスクープシュートを放った。


滞空時間の長い、そのシュートは、リングを通過する。



『ストッ!』



そして。




『ビィーーーー!!』




「試合終了だ!!!」

「仙道が決めた!!」

「陵南が優勝だーー!!!」

「仙道が勝ったーーーー!!!!」




「仙道!!」

田岡が叫ぶ。

「仙道さん、ミラクルアンビリーーーバブルやーーー!!」

彦一は、泣いている。




「よぉし!!!」

魚住が、立ち上がって拳を握った。




「ふぅーーーー。きわどかったなーー。」


「仙道!」

福田、植草、山岡ら、陵南のチームメイトが仙道を囲んだ。




「陵南が決勝進出!!!」

「わぁぁーーーー!!!!」




「三井・・・。」

大歓声のなか、小暮が、感慨深くつぶやく。




「流川!」


「・・・。」


立ち尽くす流川に仙道が声をかける。



「チームを日本一に導く選手だ。」



仙道は、先ほどの流川の問いに答えた。



「・・・。」

(同じかよ・・・。)

流川は続ける。


「さっきのシュート、山王の沢北がしてた。」


「沢北???」


「てめーの言う北沢だ。」


「沢北?北沢?あっ、北沢こーじ!」


「沢北栄治だ。どあほう。」

流川が続ける。

「仙道、負けるんじゃねぇ。」

「あぁ。またやろうぜ。」



『ガシ!!』

仙道と流川が、握手を交わす。




「ア・キ・ラ!!ア・キ・ラ!!」

「ル・カ・ワ!!ル・カ・ワ!!」




「流川君。仙道さん。」

晴子の顔を涙でボロボロである。




(あいつ、思いっきり握ったな。)


仙道は、流川に握られた手を笑いながら、振っている。




「整列ーー!!スコアーどおり、赤湘北88対白陵南89白陵南の勝利!!」

「あーしたぁーー!」

選手同士が、握手を交わし、一言、二言、会話を交わす。



「三井さん、ありがとうございました!」

山岡が、三井に挨拶をする。




今まで、沈黙していた赤木が、立ち上がって叫んだ。

「シューホクーーー!!リョーーーナーーン!!ナイスファイト!!!」

その赤木の声を皮切りに、会場は、陵南、湘北、選手を称える拍手、喝采で包まれ、数分間鳴り止むことはなかった。




選抜神奈川県予選、準決勝

湘北×陵南

湘北 88
陵南 87







続く。

#21 【日本一の選手】

2008-12-12 | #01 陵南 選抜編
残り 45秒

湘北 86
陵南 87




(時間を使う。いや、ここは速めに攻めて、もう1度オフェンス!)

宮城のスピードドリブルで、一気に陵南コートへ。


『キュッ!』


宮城の前には、植草。



(抜かせない!)


植草の必死のディフェンスに、宮城も止まる。


『キュッ!』



「流川!」



『バシ!』



流川にボールが回る。

角田が、菅平を押さえ込み、ゴール下でスペースを作る。

宮城、潮崎、三井もゴールから離れたところで、待機。




「アイソレーションだわ!湘北は、流川君にかけた!!」

弥生が持っているペンを握り締める。




「流川くん・・・。」

晴子もハンカチを握り締めている。


水戸が、悔しそうに言う。

「流川が倒しちまうぞ・・・、花道。」




「覚悟しろ!」

流川が笑った。


「来い!」

仙道も笑う。




『ダムダムダム!!』



バックロール、レッグスルー、バックビハインド、多彩な技を繰り出す流川の汗が飛ぶ。



『キュッ!』



仙道は、粘り強いディフェンスで抜かせない。



だが。



『キュ!!』


チェンジオブペースから、流川が抜いた。


(やべ!)


仙道は、後ろからドリブルをカットしようとするが、届かない。



(くっ!)



流川とリングの直線上に障害物はない。

渾身の力を込めて、踏み込んだ。



『グッ!!』



滞空時間の長いジャンプは、一直線にリングに向かう。



『ドガァァァ!!!』




「流川のダーーンク!!」

「仙道を抜いた!!」

「すげーーーーー!!!」

「この土壇場でーーー!!」




「るっ、流川くん・・・。うぅ・・・。」

晴子からは、涙が溢れている。




「わぁぁーーーーーー!!!!!」

「ル・カ・ワ!!ル・カ・ワ!!ル・カ・ワ!!ル・カ・ワ!!ル・カ・ワ!!」




「日本一の選手ってどんなだ?」

流川が仙道に問う。


「・・・。」

仙道は答えなかった。




残り 22秒

湘北 88
陵南 87







続く。

#20 【1on1】

2008-12-11 | #01 陵南 選抜編
残り 1分6秒

湘北 86
陵南 85




「山岡!残り1分、走り続けたほうが勝つ。勝利を強く望んだほうが勝つ!三井から目を離すな!!」

「はい!」

田岡が、山岡を呼ぶ。



「植草!」

浅い位置から宮城のプレッシャーにあい、思うようにボールを運べない植草に、越野がヘルプに行く。



『バシィ!』



「あっ!」


植草のバウンドパスは、宮城の指先を掠めサイドラインを割る。

(ちぃっ!ヤスの言うとおり、バウンドパスを狙ってみたんだが、あと少しだったぜ。)



『ピィーーー!』


「メンバーチェンジ青!#4交代!」




「越野さん!交代です。」

40分間走り続け、なおかつ三井を徹底マークしていた越野も潮崎同様、体力、脚力ともに、限界を超えていた。




「おー!#12が入ってきたぞ!」

「誰だ!!」




「仙道、あとは頼んだぞ!」

越野は、仙道に一声かけ、ベンチに戻る。



「越野さん、あとは任せてください。」

「山岡!三井は、終盤に強いぞ!最後の1秒まで気を抜くな!」

「了解っす!」



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SG…#4 越野 宏明 175cm/2年

SG…#12 山岡 拓真 183cm/1年

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「三井さん!!俺、山岡拓真って言います!今日が、デビュー戦です!宜しくお願いしまっす!!」

「おおよぉ。」

三井は、少し戸惑っている。



その山岡から、仙道へパスがつながる。




「わーーー!!」




会場は、大歓声で包まれ、パス、ドリブルの音がかき消される。




「やっぱり、お前との1on1は楽しいよ。」


「・・・。」


「最後は、俺が勝つからな!」


「負けねぇー。」



『キュッ!』



『キュッキュ!』



仙道は、低い姿勢から、一気にドリブルで抜きにかかる。

そして、レッグスルーからジャンプシュート。




「やはり、高い!!」




だが、流川も負けていない。

本日、1番高いチェックで仙道のシュートコースを塞ぐ。



『シュ!』



「!!」



仙道は、流川のチェックに反応。

すかさずボールを下ろし、伸びてきた流川の右腕の脇から、レイアップシュートを放った。




「ダブルクラッチ!!!」




『シュル!』



『・・・ストッ!』


ボールは、リングを半周し、ネットを揺らす。




「仙道のダブルクラッチだ!」

「また、逆転ーー!」

「もうどっちが勝つかわからねぇー!」




「・・・。」


「・・・。」


仙道、流川も目の前にいるライバルだけを見つめている。




魚住は、あの日のことを思い出す。


(「俺はプレーでチームを勝利に導く。」仙道・・・。)




残り 45秒

湘北 86
陵南 87







続く。

#19 【選択肢の一つ】

2008-12-09 | #01 陵南 選抜編
残り 1分18秒

湘北 83
陵南 85




福田の3Pが決まった直後。



「まだだ!」


流川が駆け上がる。



「走れーー!」


宮城がボールを運ぶ。



「行くぞ!」


三井も左脚を引きずりながら、走る。



「戻れ!」


越野が声をかけるが、流川、宮城は、その前を行く。




「湘北の速攻だーー!!」




宮城のドリブルを植草が止めにかかるが抜かれる。

ファウルさえさせてくれないそのドリブルは、まさしく電光石火。




「2対1ー!!」




宮城、流川の最速コンビに立ちはだかるのは、仙道。




「止めろ!仙道!!」

観客席から、魚住が叫ぶ。




(流川だ。)


仙道は、冷静に2人の動きを確認している。




負けじと赤木が吼える。

「宮城、流川、決めろーー!!」




コート中央 3Pライン付近。


宮城がゴールに向かって、突っ込む。



「流川!」



『バン!』



鋭いバウンドパスが、流川にはいる。




「いけぇーー!!!」



「うすっ!」


流川が宙に舞った。



(来い!!)


仙道も大きく跳んだ。



流川が右手でボールを掴んだ。



(スナップシュート!)


(ダンク!)


(ダブルクラッチ!)


あらゆる流川の動きを予測し、仙道は両手を大きく伸ばす。



流川が選択したプレーは。



鋭い眼光は、一直線にリングを見つめ、左手は、仙道をガードする形で伸びている。



右手は、腰の後ろに回していた。



『シュン!!』




「ノールックビハインドパス!!」




「!!!!」



『ダム!』


ワンバウンドして、ボールが向かったその先には、やはりこの男。



「外す気がしねぇー。」



『ザシュ!!』



左膝を痛め、苦痛で顔を歪め、3Pラインまで必死に走った三井の放ったシュートは、
リングはもちろん、ネットにも触れてないと錯覚させるほど、リングのど真ん中を射抜いていた。




「最後は決める炎の男!三っーーちゃーーん!バーイ三井応援団神奈川県本部」

堀田が泣いている。



「三井、ナイッシュ!!」

赤木と小暮が吼える。




「再び逆転だーー!!」

「三井のスリーキター!!」




「この場面でパス・・・。」

仙道は、驚きと納得の表情が入り混じっている。


「1対1もオフェンスの選択肢の一つにすぎねぇ。てめーが言った言葉だ。」

「そうだったな。ふっ。」

仙道は少し笑った。




残り 1分6秒

湘北 86
陵南 85







続く。

#18 【三井と福田】

2008-12-08 | #01 陵南 選抜編
残り2分

湘北 83
陵南 82




陵南のオフェンス。

植草から福田にパスがはいる。

福田をマークしている潮崎の足は限界に近い。

体力はあっても、脚力が不足している。



「ぐっ!」

(つりそうだっ。)



福田は、潮崎を抜き、レイアップシュート。



だが。



『バシィ!!』




「流川のブロックだーー!!」




陵南が福田で攻めることを読んでいた流川は、仙道をフリーにする危険を顧みず、ブロックに跳んだ。


「!!!」


「!!」

(ボールは!)


流川が弾いたボールは、仙道の下へ、転がった。



「・・・。」


(!!)




「運がねぇ。」

「流れは、陵南か。」




「ぜってー勝つ!!」


湘北の嫌な流れを払拭する強い一言を流川が放つ。

そして、流川は、仙道に間合いをつめたが、仙道は、1度冷静に植草にボールを戻した。



「・・・。」

(確実に1本。)



再び、陵南のオフェンス。

三井が福田に、潮崎は越野についている。



『ダムダム・・・。』


越野が動く。



『ガシ!』


三井にスクリーン。



「くそっ!潮崎スイッチ!」

ボールは、福田に渡る。




「福田だ!」




『ダム!』


ドリブルから、右足を軸にバックロールで、潮崎を抜きにかかる。



だが。



『ドン!!』



「ん!?」


潮崎を抑え、福田が振り向いたその前で、三井が倒れている。




「チャージ?」

「福田のオフェンスファール!?」




『ピィーー!』


「ディフェーーンス!赤#9 ブロッキング!」




「うわー、惜しいー!」

「チャージングだろ!!」




「くそっ!最高のディフェンスだったのによ!」

「ナイスディフェンス!ただ、三井サン、今ので4つ目のファールですから、
残り時間少ないですけど、気をつけて下さいよ。」

「先輩、おしかったっす。」

宮城、流川が称える。


「次、抑えるぞ!!」

(膝、やっちまったか・・・。)

三井が叫ぶ。




「おしかったな。」

(三井・・・。)

「あぁ。チャージングを取られてもおかしくないきわどいプレーだ。
審判によっては、チャージングを取っていただろう。だが、潮崎は、完全に抜かれていた。
結果的には、点は取られなかった。三井のナイスディフェンスだ。」

(三井・・・、正念場だぞ。)

観客席の小暮、赤木も三井のプレーを称えた。




「湘北ーー!守れーーー!!」

「湘北、頑張れーー!!」

流川のブロック、三井の攻めるディフェンスは、会場を味方につけていた。




残り1分36秒。

植草のスローインは、仙道へ。

トップで、コートにいる9人の動きを見ている。



「・・・。」



『ダムダムダム・・・。』


『キュン!』


「!!!」


仙道は、突いたボールが手に戻るか戻らないかのところで、ビハインドパスを出した。


「あっ!!」


パスの先には福田がノーマークでかまえている。




「三井!」

小暮が叫ぶ。




先ほどのディフェンスの際に、左脚の古傷を強打していた三井は、膝の踏ん張りが利かなくなっていた。



『バシィ!』



パスを受けた福田は、静かにボールを放つ。



『シュ!』



『スポッ!』



福田は、足元を見る。

3Pラインの外。




「福田のスリーだーーー!!」

「ここでキターー!!」

「逆転だーー!!」

「フ・ク・ダ!フ・ク・ダ!」




福田を称える声が、会場を包む。


「・・・。」ぷるぷるぷるぷるぷるぷるぷる。




「いいぞ!福田!!」

田岡が、ベンチから立ち上がって叫んだ。




残り 1分18秒

湘北 83
陵南 85







続く。

#17 【てめーに勝つためだ】

2008-12-04 | #01 陵南 選抜編
第4Q 残り8分

湘北 66
陵南 64




「福田ー!」


植草から、福田にパスが入る。


(仙道がチームを引っ張っている。俺もエースとしてやらなければ!!)


「ヤス!」


安田は、足をつり、思うように動けないでいる。



『シュパ!』


福田のミドルがネットを揺らす。



「いいぞーーーー!!」

「ナイッシュ!」




「福田、さすがエースだな。」

「・・・じわぁーー。」ぷるぷるぷる



『ピィーーー!!』


安田がベンチに下がり、潮崎がコートに入る。




「安田君、ナイスファイトでしたよ。よく頑張りました。あとは、潮崎君に任せましょう。」

「先生・・・、すいませんでした・・・。」




「キャプテン。」

(パスくれ!パスくれ!パスくれ!パスくれ!パスくれ!パスくれ!パスくれ!)

珍しく、流川が宮城を呼ぶ。


センターライン過ぎたところでボールをもらった流川は、そのままリングに向い、ドリブル。



『ダムダム!!』


(来るか!)


仙道もプッシング気味に、激しいディフェンスで対抗する。


流川は仙道を半歩抜いたところで、強引にステップを踏み、飛んだ。


(さっきと同じ?)


仙道は、スナップシュートを警戒し、流川の右腕に集中している。


「・・・。」


流川は、仙道の動きを予測したかのように、ボールを左側に持っている。


(まさか?)


そして、今度は、右手で仙道の両腕をブロックするかのように、左手は高く遠くへ伸ばし、スナップシュートを放った。



『バンッ!』



『ザシュ!!』




「左だーー!」

「左手でやったぞー!」




「アンビリーーーバブルやーーーーー!!」

弥生、彦一の声が揃う。




「左手もできるのか?」

仙道は、少し困惑の表情。

「てめーに勝つためだ。」

流川は、表情を変えない。



湘北は、流川のスナップシュート、陵南は、仙道の個人技で、得点を重ねていった。

緊迫した展開となった第4Q。

会場も、緊張感を感じ、静寂している。




残り2分

湘北 83
陵南 82







続く。

#16 【流川始動】

2008-12-01 | #01 陵南 選抜編
湘北 62
陵南 62




第3Qまで、同点。

お互い、引き離せないシーソーゲームとなった。

試合は、最後の10分で決まる。




「第3Qは、随分、流川にやられたな。いくら仙道でも、流川とゴール下を守ることは、難しい。
第4Qは、ディフェンスを変えざるは得ないだろうな。」

「あぁ。そのとおりだ。流川をナメては困る!無愛想だが、やつは頼りになる!」

「ヘラヘラしてるが、仙道も頼りになる!」

魚住と赤木の言い合いは続く。




「いいぞ、仙道!その調子だ!」

越野が鼓舞する。

「あぁ、サンキュ。だが、流川にはやられたな。後半は・・・。」

「そうだな。あーも簡単に、点を入れられては、もはやあのゾーンでは、湘北は止められないだろう。」

間髪入れずに田岡が言う。

「ここまできたら、全力勝負。次は、ハーフマンツーに戻す。真っ向勝負で、決めて来い!!」

「はい!!!」




『ピィーーー!!』



潮崎に代わり、安田が入る。

その安田のスローインから、勝敗を決める最後の10分が始まる。



「リョータ!」

「おう。」

(まずは、この1本、確実に決める!)




「陵南は、ハーフマンツーに戻してきたぞ!」

「三井には越野、流川には仙道がついた!」




『ダムダムダム・・・。』


『キュ!』


宮城が仕掛けた。

センターライン付近から、スピードで一気に抜きにかかる。



『ダムダム!!』



『キュ!』


『キュッキュ!』



(速い!!)


植草の低いディフェンスの腹をえぐるような、更に低いドリブルで、植草を抜く。

福田がカバーにいくが、クロスオーバーから、あっさり抜かれる。

流川は45°で待機、角田は菅平をゴール下で、抑え込んでいる。




「一人で突っ込むかーーー!!」




『キュ!』


宮城は、フリースローラインで止まり、ジャンプシュートを放った。



『シュパ!』



「おっしゃーー!」

宮城が叫んだ。




「宮城は、苦手なジャンプシュートをよく決めたな。それでこそキャプテンだ。」

観客席の小暮は称えた。




「とめるぞーー!」

宮城が再び叫ぶ。




「ここで、離されるわけにはいかない。」

魚住が力強く言う。




(仙道だ!)

(仙道で来る!)

(あいつがやるしかない!)


会場にいる多くの視線が、2人の男に注がれる。




『バシ!』




「来たー!仙道にボールが回った!」




仙道は、右側に視線を落とす。


(来る!)



『キュッ!』


視線と逆方向にドリブルを始める。

流川は、素早く反応し、抜かせない。

だが、仙道は、バックビハインドで右に切り返したところで、ジャンプシュート。



『キュッ!』


流川もチェックに飛ぶ。




「高い!!」




高い打点で放たれたシュートに、流川のチェックは届かない。



『スポ!』



リングに吸い込まれた。



「ふぅーー。」


「・・・。」




「きたー!同点!」

「エース対決全開だーー!!」




「ドンマイ、流川!どんどんパス回すから、やり返せ!」

「うすっ。」


「宮城、越野は、だいぶ足にきはじめている。俺にもパス回せ!」

「わかりましたよ、三井サン。」

(あんたも、ギリギリだろ。)




『バン!』



宮城から、流川へ。

ボールをもらうと同時に、高速ドライブで、ゴールを狙う。

流川は、仙道にピッタリとマークされていたが、強引にステップを踏み、レイアップ体制にはいる。



(とめる!)


仙道もチェックに飛ぶ。



だが、流川は空中で左手で仙道を抑えつつ、右手を上に突き上げ、スナップシュートを放った。



『バンッ!』



『ザシュ!!』



ボードにバンクして入った。




「流川が、右手だけで決めたぞーー!!」




「凄いコントロールだわ・・・。右手だけで放つシュートのため、打点が高い。
さすがの仙道君もあれでは届かないわ。
跳躍力、ボディコントロール、手首の強さ、全てが揃っていないとそう簡単に打てるシュートじゃないわよ。」

(仙道君、どう対抗する?)

弥生は、驚きの表情を隠せない。




「流川君!!アンビリーーーバブルやーーーー!!」


『ゴンッ!』


「お前も、どっちのチームなんだ!!しっかり、仙道を応援しろ!」

(仙道・・・、頼むぞ!!)

(いたいわー!そない思い切りたたかんでもええのに。・・・、仙道さん、大丈夫かな?)




「やるねーー。」

「ったりめーだろ。てめーに勝つ。」

「望むところだ。」

仙道の表情から、笑みが消えた。




湘北 66
陵南 64







続く。