選抜優勝大会 決勝戦
山王 × 湘北
体育館は、大勢の観客で埋め尽くされ、凄まじい熱気に包まれている。
『ドカドカ。』
『ズンズン。』
センターサークル内に足を踏み入れる桜木と河田。
「いくぞ!丸男!」
「ふぁい!!」
『キュ!』
『キュッキュ!』
ポジション取りをする8名の選手。
センターサークルライン付近で、足が、腕が絡み合う。
『シュ!』
審判の手からボールが放り出された。
「わぁぁぁーーーー!!!」
「うぉぉぉーーー!!」
地鳴りのような歓声が起こる。
『ダン!』
『ドン!!』
ボール目掛けて放たれた2つの体。
『パシ!』
桜木が先に触れた。
「河田に勝った!!!」
「すげーージャンプ力!!」
『キュ!』
『キュッ!』
同時に走り出す宮城と柳。
湘北の電光石火の速攻が発動する。
「スタートが速い!!」
「湘北の速攻だーーー!!」
桜木が弾いたボールを身長で有利な白田が掴む。
「前ーー!!!」
湘北ベンチの安田が叫ぶ。
振りかぶる白田。
だが。
『キュ!』
『キュッキュ!』
『キュッ!』
パスが出せない。
「簡単に速攻を許すと思ったか?」
腕組の堂本。
PG加藤、SG柳葉は、宮城、柳を捕らえる。
「へい。」
2線目、流川がパスを要求するも。
「お前を止めれば、この速攻も止まる。」
沢北が流川をピッタリマーク。
「湘北の速攻が止まった!」
「さすが山王!防いだーー!」
『ガシ!』
「!!!」
動きの止まった白田の手から、ボールが奪われた。
「あっ!」
「桜木先輩!!」
「花道!!!」
「いくぜ!ヤマオーー!!」
『ダムダム!』
ドリブルを開始する桜木。
「センターの桜木がドリブル!!」
「なにやってんだ!!」
「美紀男!」
沢北の声に、河田が桜木を止めに入る。
『ダム!』
『クルッ。』
バックロールで鮮やかに交わす。
(うっ巧い。)
「彩子直伝のドリブルよ。センター相手じゃ止められないわよ。」にや。
と満足そうな湘北ベンチの彩子。
「アウトナンバーだ!!」
「湘北の速攻が再び動き出したーー!!!」
『ダムダム・・・。』
「オラオラオラオラ!!!」
『キュ!』
山王ゴールを目指す桜木だったが、急ストップ。
「ぬっ。」
「沢北だーー!!!」
「桜木を止めに来た!!」
「花道!流川だ!!流川にパス!」
「逃げる気か、桜木!?俺をぶっ倒すんだろ?こいよ。」にや。
「ぬっ。」
一瞬の葛藤を見せた桜木の動きが止まる。
『パシ。』
「あっ!!」
「バカ!!」
「何やってんだ!花道!!!」
「もーらい!!」
一瞬の隙をつき、沢北は桜木の手からボールを弾いた。
転がるボール。
沢北が拾い上げる。
「山王の速攻は、湘北より速いぜ。」にや。
桜木、流川を見て一言、言い放つと湘北リング目指して、駆け上がった。
「小坊主ーーー!!!」
(あんにゃろう!!)
「逆速攻だーーー!!!」
「沢北速ぇーーーー!!」
沢北の背中を追いかける桜木と流川。
山王選手が後を追う。
湘北選手が懸命に戻る。
『ダムダム!!』
『ダダッダン!』
『キュッ!』
『サッ!』
『スポ。』
ボールがネットをくぐり抜けた。
振り返った沢北は、桜木と流川に話しかける。
「追いつけなかったな。」にこり。
桜木と流川は、沢北との距離を縮めることができず、速攻を許す格好となった。
「この差は、縮まらない。いや、むしろ、この試合もっと開くぜ!」
「上等だ。」
と流川。
「庶民シュートごときででかいこといいおって!」
とボールを掴みながら、桜木はいった。
決勝戦は、沢北のレイアップシュートという静かな立ち上がりで始まった。
山王 2
湘北 0
続く。