選抜神奈川県予選 準決勝 第1試合
湘北×陵南
試合開始前。
体育館サイドの廊下。
ウォーミングアップ中の翔陽選手。
「終了だ!みんな、汗を拭いて、控え室に集合してくれないか。」
「ん!?陵南と湘北戦は、観戦しなくていいのか?」
「あぁ。今は目の前にいる海南だけに集中する。控え室でもう一度、作戦を確認しよう。
鎌田、湘北と陵南のビデオはちゃんと撮っておいてくれ。」
「はい。わかりました。」
(ふぅっ、今日の藤真さんは、今まで見たことのないくらい気合が入っているな。)
(まぁ、仕方ないな。牧を倒せるチャンスは、今回で最後だから。)
(何とか勝たせてやりたい。)
翔陽の選手がそれぞれ思う。
廊下から、翔陽控え室に向かう途中、海南の高頭と出くわした。
「おう。藤真。」
「あっ、高頭監督。国体のときは、お世話になりました。」
「いや、こちらこそ。藤真がいてくれて頼もしい限りだったよ。
選手層の薄いセンター陣のなかで、花形もよく頑張ってくれた。」
「いえ。私も大変勉強になりました。」
『パタパタ・・・。』
高頭が続ける。
「ん!?もう控え室か?湘北陵南戦は観戦せんのか?いい試合になると思うのが・・・。」
「ええ。これから対海南戦の作戦会議です。
今の翔陽の選手たちには、今日の海南戦のことしか頭にありませんから。」
「そうか。今日はお手柔らかに頼むぞ。」
「はい。海南は、全力を出し切ってくださいね。手を抜いた海南を倒しても、自慢にはなりませんから。」にや。
『パタ!』
扇子を閉じる高頭。
「あぁ。牧にそう伝えておくよ。」
(藤真め。デカく出おったな。)
どこか嬉しそうな高頭。
「あっ、高頭監督!」
「なんだ?まだ何かあるのか?」
「今日は、プレーでは牧に、頭脳では貴方に勝ちますから。」にこり。
『ピクッ。』
(この智将高頭に頭脳で勝つだと??いいおったな・・・。だが、貴様の考えはお見通しだ。)
「ふっ。楽しみにしているよ。」
高頭が、少し笑いながら答えた。
「では、のちほど。」
「あぁ。」
「藤真、高頭監督にあんなこと言っていいのか?」
と高野が心配そうにいう。
「挑発して、少しでも高頭監督の平常心を奪えればと思ったんだが、そう簡単にうまくはいかなかったな。
さぁ、改めて作戦会議だ。」
少し微笑む藤真。
「そういうことか、相変わらず策士だな。」
高頭×藤真
第1戦 ドロー
翔陽が、控え室で作戦会議中のころ、観客席の海南は。
「藤真さんたちは、どこですかね?」
神が尋ねた。
「翔陽は、控え室で作戦会議だそうだ。」
高頭が答える。
「うちはしなくていいんですか?」
『ポン!』
「なーんも考えておらん。」
(藤真の出方を見るか。)
清田の問いに、扇子をたたんで、高頭が答えていた。
体育館のトイレ。
便器を前に、2人が並ぶ。
「高頭監督。」
「おぉ、藤真。今日はよく会うな。」
「えぇ、奇遇ですね。」
2人とも何かを狙っている様子。
先制攻撃は、高頭。
「第3Qを終了して、62点の同点だ。うち(海南)の決勝の相手は、まだわからん。」
(うちの決勝の相手?)
「そうですか、うち(翔陽)の決勝の相手は、まだ未定ですか?」にこり
すぐに藤真が冷静にやり返す。
(オウム返し、まだ若いな。)
鼻で笑う高頭。
「うちは、どちらが来ても、決勝では勝つ自信があるぞ!」
「えぇ、うちもです。仙道や流川とやるのが、今から楽しみですよ。」
と挑発のやりあい、意地の張り合い。
(やるな、藤真。)
(さすがですね、高頭監督。)
「では、次はコートでお会いしましょう。」
「あぁ、そうしよう。」
すれ違いざまに、藤真がいう。
「あっ、高頭監督!顔の割りに小さ・・・、いえ、何でもないです・・・。」
予想外の藤真の下ネタの口撃に高頭を衝撃と屈辱が襲う。
(気にしていること・・・。)
高頭×藤真
第2戦 藤真勝利
体育館サイドの廊下。
次の試合の海南、翔陽両選手が待機している。
そして、3度、高頭と藤真が出会う。
「おや、翔陽の諸君、また会ったな。」
「えぇ。」
「・・・。」
花形たちは、高頭に返事をしたが、藤真は黙っていた。
「藤真、先ほどは大人気なかったな。いやー申し訳ない。」
後頭部をかきながら、高頭が藤真に謝る。
「・・・。牧、今日は勝たせてもらうぞ!」
「ん!?あぁあ、そう簡単にはいかないぞ。」
(監督を無視??)
少し戸惑いながら、牧が答えた。
「牧・藤真の3年間に渡る闘いも今日で最後だと思うと、お前らの一ファンとしては悲しい。」
高頭がいう。
「・・・。ところで、牧は大学決まったのか?」
そこにいる選手全員が疑問に思う。
(藤真は高頭監督の声が聞こえてないのか??)
「あぁあ、今は検討中だ。選抜中に、決めるつもりだけどな。」
やはり戸惑いながら、牧が答えた。
内心イラっとしはじめている高頭も思う。
(藤真め!無視する気か!!)
「今日は、最後までフェアプレーで。」
と藤真に握手を求める高頭に対し、藤真は・・・。
「牧、悔いを残さないようにやろうぜ。」
牧と握手をした。
そして、そこにいる全ての人が思った。
(藤真は、完璧に高頭監督を無視している!!)
高頭監督は、出した手を引っ込めながら、頭をかいている。
「いやー、まいった。まいった。」
と笑いながら、話す高頭であったが、内心は腸が煮えくり返るほど、憤慨していた。
(藤真め!選手たちの前で恥をかかせおったな!)
もはや、平常心とは程遠い高頭は、心の中では怪獣のように火を噴いて、暴れている。
高頭を見て、ポリポリと顔をかきながら、牧は思った。
(監督を挑発しする作戦だったのか。さすが、藤真だな。)
高頭×藤真
第3戦 藤真勝利
高頭監督、藤真の頭脳心理戦は、藤真の勝利で終わった。
続く。
湘北×陵南
試合開始前。
体育館サイドの廊下。
ウォーミングアップ中の翔陽選手。
「終了だ!みんな、汗を拭いて、控え室に集合してくれないか。」
「ん!?陵南と湘北戦は、観戦しなくていいのか?」
「あぁ。今は目の前にいる海南だけに集中する。控え室でもう一度、作戦を確認しよう。
鎌田、湘北と陵南のビデオはちゃんと撮っておいてくれ。」
「はい。わかりました。」
(ふぅっ、今日の藤真さんは、今まで見たことのないくらい気合が入っているな。)
(まぁ、仕方ないな。牧を倒せるチャンスは、今回で最後だから。)
(何とか勝たせてやりたい。)
翔陽の選手がそれぞれ思う。
廊下から、翔陽控え室に向かう途中、海南の高頭と出くわした。
「おう。藤真。」
「あっ、高頭監督。国体のときは、お世話になりました。」
「いや、こちらこそ。藤真がいてくれて頼もしい限りだったよ。
選手層の薄いセンター陣のなかで、花形もよく頑張ってくれた。」
「いえ。私も大変勉強になりました。」
『パタパタ・・・。』
高頭が続ける。
「ん!?もう控え室か?湘北陵南戦は観戦せんのか?いい試合になると思うのが・・・。」
「ええ。これから対海南戦の作戦会議です。
今の翔陽の選手たちには、今日の海南戦のことしか頭にありませんから。」
「そうか。今日はお手柔らかに頼むぞ。」
「はい。海南は、全力を出し切ってくださいね。手を抜いた海南を倒しても、自慢にはなりませんから。」にや。
『パタ!』
扇子を閉じる高頭。
「あぁ。牧にそう伝えておくよ。」
(藤真め。デカく出おったな。)
どこか嬉しそうな高頭。
「あっ、高頭監督!」
「なんだ?まだ何かあるのか?」
「今日は、プレーでは牧に、頭脳では貴方に勝ちますから。」にこり。
『ピクッ。』
(この智将高頭に頭脳で勝つだと??いいおったな・・・。だが、貴様の考えはお見通しだ。)
「ふっ。楽しみにしているよ。」
高頭が、少し笑いながら答えた。
「では、のちほど。」
「あぁ。」
「藤真、高頭監督にあんなこと言っていいのか?」
と高野が心配そうにいう。
「挑発して、少しでも高頭監督の平常心を奪えればと思ったんだが、そう簡単にうまくはいかなかったな。
さぁ、改めて作戦会議だ。」
少し微笑む藤真。
「そういうことか、相変わらず策士だな。」
高頭×藤真
第1戦 ドロー
翔陽が、控え室で作戦会議中のころ、観客席の海南は。
「藤真さんたちは、どこですかね?」
神が尋ねた。
「翔陽は、控え室で作戦会議だそうだ。」
高頭が答える。
「うちはしなくていいんですか?」
『ポン!』
「なーんも考えておらん。」
(藤真の出方を見るか。)
清田の問いに、扇子をたたんで、高頭が答えていた。
体育館のトイレ。
便器を前に、2人が並ぶ。
「高頭監督。」
「おぉ、藤真。今日はよく会うな。」
「えぇ、奇遇ですね。」
2人とも何かを狙っている様子。
先制攻撃は、高頭。
「第3Qを終了して、62点の同点だ。うち(海南)の決勝の相手は、まだわからん。」
(うちの決勝の相手?)
「そうですか、うち(翔陽)の決勝の相手は、まだ未定ですか?」にこり
すぐに藤真が冷静にやり返す。
(オウム返し、まだ若いな。)
鼻で笑う高頭。
「うちは、どちらが来ても、決勝では勝つ自信があるぞ!」
「えぇ、うちもです。仙道や流川とやるのが、今から楽しみですよ。」
と挑発のやりあい、意地の張り合い。
(やるな、藤真。)
(さすがですね、高頭監督。)
「では、次はコートでお会いしましょう。」
「あぁ、そうしよう。」
すれ違いざまに、藤真がいう。
「あっ、高頭監督!顔の割りに小さ・・・、いえ、何でもないです・・・。」
予想外の藤真の下ネタの口撃に高頭を衝撃と屈辱が襲う。
(気にしていること・・・。)
高頭×藤真
第2戦 藤真勝利
体育館サイドの廊下。
次の試合の海南、翔陽両選手が待機している。
そして、3度、高頭と藤真が出会う。
「おや、翔陽の諸君、また会ったな。」
「えぇ。」
「・・・。」
花形たちは、高頭に返事をしたが、藤真は黙っていた。
「藤真、先ほどは大人気なかったな。いやー申し訳ない。」
後頭部をかきながら、高頭が藤真に謝る。
「・・・。牧、今日は勝たせてもらうぞ!」
「ん!?あぁあ、そう簡単にはいかないぞ。」
(監督を無視??)
少し戸惑いながら、牧が答えた。
「牧・藤真の3年間に渡る闘いも今日で最後だと思うと、お前らの一ファンとしては悲しい。」
高頭がいう。
「・・・。ところで、牧は大学決まったのか?」
そこにいる選手全員が疑問に思う。
(藤真は高頭監督の声が聞こえてないのか??)
「あぁあ、今は検討中だ。選抜中に、決めるつもりだけどな。」
やはり戸惑いながら、牧が答えた。
内心イラっとしはじめている高頭も思う。
(藤真め!無視する気か!!)
「今日は、最後までフェアプレーで。」
と藤真に握手を求める高頭に対し、藤真は・・・。
「牧、悔いを残さないようにやろうぜ。」
牧と握手をした。
そして、そこにいる全ての人が思った。
(藤真は、完璧に高頭監督を無視している!!)
高頭監督は、出した手を引っ込めながら、頭をかいている。
「いやー、まいった。まいった。」
と笑いながら、話す高頭であったが、内心は腸が煮えくり返るほど、憤慨していた。
(藤真め!選手たちの前で恥をかかせおったな!)
もはや、平常心とは程遠い高頭は、心の中では怪獣のように火を噴いて、暴れている。
高頭を見て、ポリポリと顔をかきながら、牧は思った。
(監督を挑発しする作戦だったのか。さすが、藤真だな。)
高頭×藤真
第3戦 藤真勝利
高頭監督、藤真の頭脳心理戦は、藤真の勝利で終わった。
続く。