翔陽 10
海南 8
海南のオフェンス。
牧がドリブルで運ぶ。
翔陽は、トライアングルツーのまま。
藤真は低い姿勢で、牧の動きを見ている。
(また、一志のところか?あるいは、自分でいくか?)
牧が微かに神を見た。
(神か?)
藤真は、一瞬、横に目を向けた。
『キュ!!』
その一瞬の目の動きを見逃さなかった牧は、神とは反対方向にドリブルをはじめ、藤真を抜く。
(!!!)
「藤真があっさり抜かれたーーー!!」
「牧が前半から飛ばしているぞーー!!」
牧は一直線に永野に向かっていく。
「俺の上からは打たせん!」
『ダムダム!』
かまわずジャンプする牧。
永野もブロックに跳ぶ。
長谷川は、神にタイトについている。
(神にはいれさせない!)
『スッ!』
跳んでいる永野を横目に、牧がボールを落とす。
『バン!』
『ガシ!』
「牧さん、ナイスパス!」
ボールを受け取ったのは清田。
「俺をフリーにするとは、誤算だぜ!」
清田がレイアップシュートを放った。
だが。
「フリーでも、点は入れさせん!」
『バチィーン!』
「!!!」
花形が、豪快に清田のシュートを叩き落した。
「おぉぉーー!花形すげーーー!!」
「花形、高すぎる!!」
ボールは、ラインを割った。
「ちきしょう。どっから跳んできやがった!?」
「清田、花形はだいぶ脚力がついている。瞬発力はもちろん、届かないと思ったところからも跳んでくるから、気をつけろ。」
「はい。」
(藤真にも、花形にもぜってー負けねぇぞ!!)
(やはり、花形のあの脚力は、要注意だな。)
花形を見て牧が思う。
海南ボールで始まる。
『ダムダムダム・・・。』
牧が小刻みに体を揺らしながら、ドリブルをついている。
「今のところ、藤真君は牧君を抑えられていないわね。」
「サイズ、パワー、スピード、どれをとっても牧君が藤真君に勝っている気がするんですけど、
なぜ2人はライバルという位置付けなんでしょう?」
「強豪海南、翔陽にして、1年生からスタメンとして活躍している彼ら。
自らがしかけ、攻撃の起点となる牧君に対し、味方を動かし、得点を獲る藤真君。相対する2人の3年生PG。
帝王と呼ばれる牧君、並び称されはしても、牧君に一度も勝ったことのない藤真君。
ライバルというより、因縁の対決といったほうがいいわね。」
弥生が続ける。
「ただ、藤真君は今、牧君しか見えていない。周りが見えていない状態だわ。
最後の対決ということもあり、対牧君に固執しすぎている気がするわね。
普段なら交わせるスクリーンプレーも周りが見えていない分は、簡単に引っかかっているもの。
藤真君がこのままだと、底力で勝る海南が圧倒する可能性もあるわね。」
「確かに、最初のスクリーンだけは、交わせていたけど、今は引っかかってしまっていますもんね・・・。」
『キュ!』
(牧!もう抜かれないぞ!)
『ダム!』
(硬すぎる!らしくないぞ!)
一つのフェイクを交え、牧が抜きにかかる。
「藤真!」
花形が藤真に声をかけるが、藤真の耳には届いていない。
『ガシ!』
再び、清田のスクリーンにかかる。
(くそ!またスクリーンか!)
自分自身に腹が立つ藤真。
(牧さんのライバルがこんなもんなのか?)
少し残念に思う清田。
『ダムダム!!』
『シュ!』
ステップを踏む牧。
オーバーハンドレイアップシュートを放った。
だが。
『バチィーーン!!』
「!!!!」
再び、花形のブロックが炸裂。
「うぉーーーー!牧もブロックしたぁ!!」
「ゴール下の摩天楼!!」
(花形・・・、やるな・・・。)
花形の想像以上の動きに、戸惑いを隠せない牧。
(やはり、跳躍力に、瞬発力が格段にあがっている。これは少々やっかいだな。)
(牧さんが、あんなに綺麗にブロックされたのは、赤木以来だぜ。)
ボールは、再び、ラインをわっていた。
藤真は、花形のブロックを傍観者としてただ眺めていた。
藤真の瞳に写っているのは、牧の姿だけ。
(俺は、牧に勝てないのか・・・。)
翔陽 10
海南 8
続く。
海南 8
海南のオフェンス。
牧がドリブルで運ぶ。
翔陽は、トライアングルツーのまま。
藤真は低い姿勢で、牧の動きを見ている。
(また、一志のところか?あるいは、自分でいくか?)
牧が微かに神を見た。
(神か?)
藤真は、一瞬、横に目を向けた。
『キュ!!』
その一瞬の目の動きを見逃さなかった牧は、神とは反対方向にドリブルをはじめ、藤真を抜く。
(!!!)
「藤真があっさり抜かれたーーー!!」
「牧が前半から飛ばしているぞーー!!」
牧は一直線に永野に向かっていく。
「俺の上からは打たせん!」
『ダムダム!』
かまわずジャンプする牧。
永野もブロックに跳ぶ。
長谷川は、神にタイトについている。
(神にはいれさせない!)
『スッ!』
跳んでいる永野を横目に、牧がボールを落とす。
『バン!』
『ガシ!』
「牧さん、ナイスパス!」
ボールを受け取ったのは清田。
「俺をフリーにするとは、誤算だぜ!」
清田がレイアップシュートを放った。
だが。
「フリーでも、点は入れさせん!」
『バチィーン!』
「!!!」
花形が、豪快に清田のシュートを叩き落した。
「おぉぉーー!花形すげーーー!!」
「花形、高すぎる!!」
ボールは、ラインを割った。
「ちきしょう。どっから跳んできやがった!?」
「清田、花形はだいぶ脚力がついている。瞬発力はもちろん、届かないと思ったところからも跳んでくるから、気をつけろ。」
「はい。」
(藤真にも、花形にもぜってー負けねぇぞ!!)
(やはり、花形のあの脚力は、要注意だな。)
花形を見て牧が思う。
海南ボールで始まる。
『ダムダムダム・・・。』
牧が小刻みに体を揺らしながら、ドリブルをついている。
「今のところ、藤真君は牧君を抑えられていないわね。」
「サイズ、パワー、スピード、どれをとっても牧君が藤真君に勝っている気がするんですけど、
なぜ2人はライバルという位置付けなんでしょう?」
「強豪海南、翔陽にして、1年生からスタメンとして活躍している彼ら。
自らがしかけ、攻撃の起点となる牧君に対し、味方を動かし、得点を獲る藤真君。相対する2人の3年生PG。
帝王と呼ばれる牧君、並び称されはしても、牧君に一度も勝ったことのない藤真君。
ライバルというより、因縁の対決といったほうがいいわね。」
弥生が続ける。
「ただ、藤真君は今、牧君しか見えていない。周りが見えていない状態だわ。
最後の対決ということもあり、対牧君に固執しすぎている気がするわね。
普段なら交わせるスクリーンプレーも周りが見えていない分は、簡単に引っかかっているもの。
藤真君がこのままだと、底力で勝る海南が圧倒する可能性もあるわね。」
「確かに、最初のスクリーンだけは、交わせていたけど、今は引っかかってしまっていますもんね・・・。」
『キュ!』
(牧!もう抜かれないぞ!)
『ダム!』
(硬すぎる!らしくないぞ!)
一つのフェイクを交え、牧が抜きにかかる。
「藤真!」
花形が藤真に声をかけるが、藤真の耳には届いていない。
『ガシ!』
再び、清田のスクリーンにかかる。
(くそ!またスクリーンか!)
自分自身に腹が立つ藤真。
(牧さんのライバルがこんなもんなのか?)
少し残念に思う清田。
『ダムダム!!』
『シュ!』
ステップを踏む牧。
オーバーハンドレイアップシュートを放った。
だが。
『バチィーーン!!』
「!!!!」
再び、花形のブロックが炸裂。
「うぉーーーー!牧もブロックしたぁ!!」
「ゴール下の摩天楼!!」
(花形・・・、やるな・・・。)
花形の想像以上の動きに、戸惑いを隠せない牧。
(やはり、跳躍力に、瞬発力が格段にあがっている。これは少々やっかいだな。)
(牧さんが、あんなに綺麗にブロックされたのは、赤木以来だぜ。)
ボールは、再び、ラインをわっていた。
藤真は、花形のブロックを傍観者としてただ眺めていた。
藤真の瞳に写っているのは、牧の姿だけ。
(俺は、牧に勝てないのか・・・。)
翔陽 10
海南 8
続く。